9 / 34
幼女編
第9話 市場の小さな改革
しおりを挟む
「おとーさーん。」
私が、市場に出てから5ヶ月経ったある日、市場からの帰りに、お父さんにかねてから考えてたことを相談をした。
「お父さん。前に薬屋さんで私が言ったの覚えてる。」
「??」
忘れてる様だ。
「薬屋さんとか、魔道具屋さんとか、色んな職人さん達って、自分で作って、自分で商談して、自分で資金繰りをしてるじゃないですか。」
「商談とか、資金繰りとか難しい言葉知ってるな。」
「そんなことじゃなくて、ルーベック鍛冶商会みたく、経営販売と、作成を別にしてあげられないかな?」
「うーん。ルーベックさんのところは、ダイアンがやると言ったから協力したけど、ガンガルディ商会として、協力するメリットあるか?」
「うーん。逆にメリットがあれば、手伝ってあげられる?」
「そうだな。」
「たとえば、ポーションや魔道具の安定供給とか?仕入れ値を下げられるとか?商会で販売代理を請け負うとか。」
「それなら多少は手伝えるが、手伝う程度だな。」
「わかった。」
お父さんは、真剣に聞いてくれてないことはわかった。ルーベック鍛冶商会については、ダイアンお兄ちゃんが真剣にやったから手伝ったが、私では子供すぎるのだ。私は、次に、ルーベックさんに相談してみた。
「大師匠。ご相談が。」
「なんだ、嬢ちゃん。気持ち悪い。」
「カクカクシカジカで、手伝って欲しいのですが。」
ルーベックさんは、顔を強張らせ。
「カクカクシカジカってよくわからないが、いいだろう。でも、商会員どうするんだい。」
「ありがとうございます。それについては、リストを作ってきました。みんな人間関係や手柄を取られたりしたり等で有力商会を辞めて、今別の仕事をやってたりする人や、冒険者ですが、冒険者の才能が無い人達等です。多分協力してくれるし、商人の才能のあるいい人達です。ルーベック鍛冶商会の戦力増強と、新しい商会の人材として活用して下さい。」
私はあらかじめ、攻略本を元にピックアップした人の数百人のリストをルーベックさんに渡した。
「嬢ちゃん、これは。」
「グランデ様のご加護です。」
「おいおい。」
「あと、鍛冶師も含めて、声かけてをする職人のリストです。」
「どうやって調べたんだ。」
「ですから、グランデ様のご加護で、」
「はあ。」
「後、予算はこのくらいで。」
「もう、どうでもいいや。グランデ様のご意向に沿うなら。」
私は、手元にある10億円を渡した。これで、魔道具屋、薬屋、家具屋が作れる筈だ。今回は、ルーベックさんが声をかけ、各業界のマイスターに商会代表になってもらい、オーナーは、ルーベックさんを通じて資金拠出する仕組みにした。権利証などは、商業ギルドの貸金庫に入れ、配当等は、別の貸金庫に振り込んでもらう様にしている。
ルーベックさんは、私が攻略本で選んだ3人の職人を口説き、魔道具商会、薬商会、家具商会を立ち上げさせ、サポートした。
また、市場で各職人の店を閉め、大きな区画を借りて、販売することとなった。これにより、4階、5階の店舗の3割は1年の内に閉鎖し、行商人が売るスペースに変わった。この変化は、後に、市場の小革命と呼ばれた。
「お父さん。何か、知らない内に、職人の商会が出来ちゃったね。」
「そうだな。お父さんがやらなくても、職人さんが幸せになれたから良かったじゃないか。」
「悔しくないの。」
「悔しいか。お父さんは、商会主だから、使用人達を含め食わせていく義務はあるが、それ以上に儲けようとは思っていないんだ。ダメな商人かもしれないが、みんなが幸せになれればそれが一番だと思っている。ダメなお父さんでごめんな。」
そんな、お父さんをはじめ誇らしいと思った日だった。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
こじんまりとした円卓に4人の職人が座っていた。
「ルーベックさん。帝室御用達おめでとうございます。」
「ロドリゲスさん。あなたの薬商会から、宮廷薬師が生まれたそうじゃないですか?」
「オーナーの発案と出資で、薬師同士の知識を共有し、発展させる研究所と、育成の学校を作ってくれたことですよ。隣に大工房を作り、学生にバイト兼修行ができる様にして、孤児院出の子でも優秀なら学べる様になりましたからね。」
「鍛冶師、薬師、魔道具師、家具師そろぞれの学校に、研究所。これだけて、どの位のコストがかかったのか?ランニングは、収益で賄えてるが、まだ一切配当は出せてないぞ。効率的になって、商会通さないから、マージンもなくコストは劇的に下がり、価格は変わらなくても、品質や買いやすさが向上して売り上げも伸びているから、利益は相当出てるんだけど、殆ど、職人、使用人のボーナスや、投資に回しちゃって、オーナーは大丈夫か?」
オーナーか、ジェシカの事は話せないからな。流石に、偶に原料の仕入れで、粗悪品を神聖魔法で良品にして各商会に卸して、差額でぼろ儲けしているなんて、言えないよ。各学校のテキストや、参考書も一手に売ってるし。でも、毎日金金言う癖に、金払いは無茶苦茶良いし、分からん。
「オーナーか?商会立ち上げた時に、同時に学校と研究所の準備初めろってびっくりしたが、一年も掛けずに開校、会所。老齢で引退し後進に工房を譲ろうと考えてたマイスターや、仕事より研究好きの天才鬼才がこぞって入ってきて、商会参加の呼び水になったし、一年半で様々な成果が出てきた。それだけで相当満足されている。まぁ、金があってもあの人無駄遣い一切しないし、今の儲けは将来の投資に回してって言ってるからいいんじゃないか?そもそも商会自体儲けより、職人の為に作ってくれたものだから。まぁ、昨日お会いしたが、元気に走り回ってたし、何も考えてないんじゃないか。」
「走り回る?そんなにお忙しいのか?」
「うーん。忙しいと言えばな。」
「まあ、オーナーに関しては、引退を考えてる職人だけでなく、一子相伝とか、今まで技術が極秘とされ、技術が発展しない事や、昔ながらの経営スタイルに不満を持つ職人達を的確にリストアップしてきた事にびっくりした。その多くが才能溢れる者達で、商会に入りメキメキと成長している。どうやってそんな情報を」
「さあな。いくら聴いても、グランデ様のご加護があらんことをとしか言わないし、分からん。」
そう、私にもオーナーの事はわからんよ。あのお嬢ちゃんにどんな能力があるかそこが知れない。でも、俺は恩を返すだけだな。
「そういえば、メキメキで思い出したが、オーナーから頂いた神像だが、あれだけでひと財産だ。あんなランクの神像を大量に製造するなんて、どうやったら出来るのだ。あの神像を祭ってから、成長が滞っていたベテランも再び成長しはじめている。凄すぎないか?」
「そうだな、神像と言えば、前に商会を辞める者がいて、こっそり元いた工房の神像を持ち逃げしたんた。持ち逃げした神像を祭ったところ、神像が二つに割れ怒りの顔になった、この日その工房では事故が多発したらしい。翌日、その職人は神像を持って商会に謝りに来て、持ち逃げされた工房主は、お説教だけして、許してあげた。そうしたら、神像の顔が元に戻り、割れた神像が綺麗にくっついたとのことだ。それこそ、グランデ様のご加護だな。」
グランデ様にそこまでのご加護があるのか・・・。絶対なんかおかしいだろう。他の商会主達は、嬢ちゃんを見たことないからな、神格化してるんだろうな~。
「本当に神様は見ていらっしゃるのだな。ところで、ビクターさん、商会で立ち上げたブランドはどうだい?」
「いや、うちの業界は、皆さんと違って一部の有名工房と、そうでないの無名工房では、同じものでも価格が変わる業界だ。だから、工房毎の商品の振り分けとか、価格付けとか、売値交渉とかが大変だった。そこで、ブランドを作り、高級ブランド、中級ブランド、庶民派ブランドに分けて、品質、規格を揃えて作ったら、買う側も売る側もわかりやすいし、その分かりやすさが貴族の皆様にも受けて売り上げは上がるし、規格が揃ってるので大量注文も来るようになるし、素材も大量注文出来るので、仕入れ値も大きく抑えられて、大正解だった。皆さんと同じで卸もやっているが受注が取りづらかったのを、ブランド化による商品の統一化と、カタログ作成で、一気に卸の売り上げものびて、人が全く足りない状況だ。オーナーは、試しにとの注文だったが、このまま、工房名とブランドのダブルネームでやってく予定だ。」
「職人達は、不満は無いのか?」
「基本的には、名前でなく、出来で評価されるから、好評だよ。それに工房名つけてるし、他の物を作りたい奴は、ノルマさえこなせば作らせてるから、そんなに規格品を作るストレスも溜んないよ。職人の中には、色々やりたがる奴は多いから、ノルマをこなす為に、手は早くなってるし、品質チェックはしっかりやっているから、仕上げまでキッチリ出来るようなっている。あと、工房の時代は、休みなんて決まって無いし、売れなきゃ給料もまともに出なかったから、今みたいに、休みもキッチリとれて、給料も働いた分だけ出るし、大半は喜んでるよ。合う合わないはあるからな。」
「そうか、辞めた奴も含めて、ルーベックさんのところは、他の職人系商会に経営のノウハウ教えてるけど、大丈夫かい?」
そうそう、職人系商会を助けろって、嬢ちゃんがバクって言ったから、ノウハウ教えてるけど、普通の職人には無理だよな、そんなことが得意なら職人になってないよ。それをわかってあえて教えろって言っている嬢ちゃんは何なんだよって感じだよ。商人出の人材を集めたうちみたいな実績を出すのはつらいだろうな。
「職人持ちつ持たれつで、ウチだけが稼いでもしょうがないから、経営ノウハウを教えたり、学校での受け入れもしてるよ。元々、職人が幸せになると事目的に立ち上げたからね。まあ、経営の話をしたら、面倒なのがわかってうちの商会に入りたがる奴が多いし、成功したらしたで、ギルドのうるさ方の風除けになるからいいんじゃないの。」
「そうだな。うるさ方、本当にうるさいからな。俺たちの苦労わかって欲しいよ。」
「「「だよな~。」」」
「ところで、ルーベックさん。今日はみんなを集めて、雑談でも無いだろし、どうしたのだ。」
そうだ、ここからが今日の本題、初めてみんなを集めた理由だ、きっちり決めてかないと、嬢ちゃんに何を言われるかだな。
「うん。オーナーからだ。ルーベック鍛冶商会、ロドリゲス薬商会、モンティ魔道具商会、ビクター家具商会の4商会で業務提携を行う。提携内容は3つ。一つ目は共同出資の共同研究所を立ち上げる。資金はオーナーから各商会に1億づつ4億預かっているから、受け取ってくれ。商品の共同開発、素材等の基礎研究が目的だ。
二つ目は、共同ブランドの設立。これは、研究所で共同開発したものを売る時に使うブランドを決めるものだ。名前は勝手に考えろだと。
三つ目は、15日会の設立。これは月は違うが、4商会が3年前に立ち上げた時立ち上げた日が偶々15日だったから、毎月15日頃集まって、朝食でも食べながら情報交換の会合をもとうというものだ。俺達は別室で、他に経営幹部達は大きな部屋でな。俺達も若く無い。退いた時にも助け合える素地を作って行くのと、お互いにいい意味でなんでも言い合える関係を気づいて行くのが目的だ。」
「わかった。それって、夜酒飲みながらはダメか?」
俺も飲みながらやりたいよ。みんなそう思うよなー。
「それは、聞いたが、別でやればいいじゃん。経費で落としていいから。と言ってた。その中で、どのギルドでも年に二度あるマイスター任命のタイミングで、4商会の全マイスターを全員集めて新マイスターを祝う大飲み会を経費でやったらと言ってた。関係ないマイスターも呼んでも良いしって言ってたよ。」
「ギルドのうるさ方に挨拶を頼めば、うるさ方の溜飲も下がるだろうし、単に業務提携の一環でやってるから、他のマイスター達を呼ぶのも問題ないしね。」
こうして決まった業務提携が、後に世界最大の企業連合体となるマイスターズに繋がっていく。
また、15日会は、商会主達の緩い考えと違い、幹部達の活躍の場となった。そこでは、様々な共同事業、共同出資商会等が、議論され、次々に決まり立ち上げていった。新たな事業、商会の幹部達も15日会に参加していきと、急速に拡大、15日会が企業拡大の原動力となっていった。ただ、4商会の商会主の別室会議だけは、世代交代があることはあれ、人数が増減することはなかったという。
新任マイスターを祝う会も、元々4商会プラスアルファ程度だったが、各ギルドがやるならみんなでと、すぐにギルド主催に変わった、4商会が所属していないギルドも参加してきて、終いには全職人ギルド共同開催となった。定期的に飲み騒ぐ中で、過去からのギルド間の軋轢等のも無くなり、情報交流等も盛んになり、最終的に職人ギルド連合が出来るキッカケとなった。
因みに、共同研究所は、ジェシカが、思いつきを実現させる為に、作ろうとしたのがきっかけであり、自身も鍛治研究所と合わせてちゃっかり特別研究員の地位に就いていた。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
その頃ジェシカは、
「4商会の業務提携で、4社の企業価値は鰻登り。今は現金持っていてもしょうがないから、ただでさえ高まっている企業価値を限界まで高めて、ウフフフフ。」
と薄気味悪い笑みを浮かべていた。
そんなこんなで、ジェシカが6歳になった冬のある日、あの事件が起きた。
私が、市場に出てから5ヶ月経ったある日、市場からの帰りに、お父さんにかねてから考えてたことを相談をした。
「お父さん。前に薬屋さんで私が言ったの覚えてる。」
「??」
忘れてる様だ。
「薬屋さんとか、魔道具屋さんとか、色んな職人さん達って、自分で作って、自分で商談して、自分で資金繰りをしてるじゃないですか。」
「商談とか、資金繰りとか難しい言葉知ってるな。」
「そんなことじゃなくて、ルーベック鍛冶商会みたく、経営販売と、作成を別にしてあげられないかな?」
「うーん。ルーベックさんのところは、ダイアンがやると言ったから協力したけど、ガンガルディ商会として、協力するメリットあるか?」
「うーん。逆にメリットがあれば、手伝ってあげられる?」
「そうだな。」
「たとえば、ポーションや魔道具の安定供給とか?仕入れ値を下げられるとか?商会で販売代理を請け負うとか。」
「それなら多少は手伝えるが、手伝う程度だな。」
「わかった。」
お父さんは、真剣に聞いてくれてないことはわかった。ルーベック鍛冶商会については、ダイアンお兄ちゃんが真剣にやったから手伝ったが、私では子供すぎるのだ。私は、次に、ルーベックさんに相談してみた。
「大師匠。ご相談が。」
「なんだ、嬢ちゃん。気持ち悪い。」
「カクカクシカジカで、手伝って欲しいのですが。」
ルーベックさんは、顔を強張らせ。
「カクカクシカジカってよくわからないが、いいだろう。でも、商会員どうするんだい。」
「ありがとうございます。それについては、リストを作ってきました。みんな人間関係や手柄を取られたりしたり等で有力商会を辞めて、今別の仕事をやってたりする人や、冒険者ですが、冒険者の才能が無い人達等です。多分協力してくれるし、商人の才能のあるいい人達です。ルーベック鍛冶商会の戦力増強と、新しい商会の人材として活用して下さい。」
私はあらかじめ、攻略本を元にピックアップした人の数百人のリストをルーベックさんに渡した。
「嬢ちゃん、これは。」
「グランデ様のご加護です。」
「おいおい。」
「あと、鍛冶師も含めて、声かけてをする職人のリストです。」
「どうやって調べたんだ。」
「ですから、グランデ様のご加護で、」
「はあ。」
「後、予算はこのくらいで。」
「もう、どうでもいいや。グランデ様のご意向に沿うなら。」
私は、手元にある10億円を渡した。これで、魔道具屋、薬屋、家具屋が作れる筈だ。今回は、ルーベックさんが声をかけ、各業界のマイスターに商会代表になってもらい、オーナーは、ルーベックさんを通じて資金拠出する仕組みにした。権利証などは、商業ギルドの貸金庫に入れ、配当等は、別の貸金庫に振り込んでもらう様にしている。
ルーベックさんは、私が攻略本で選んだ3人の職人を口説き、魔道具商会、薬商会、家具商会を立ち上げさせ、サポートした。
また、市場で各職人の店を閉め、大きな区画を借りて、販売することとなった。これにより、4階、5階の店舗の3割は1年の内に閉鎖し、行商人が売るスペースに変わった。この変化は、後に、市場の小革命と呼ばれた。
「お父さん。何か、知らない内に、職人の商会が出来ちゃったね。」
「そうだな。お父さんがやらなくても、職人さんが幸せになれたから良かったじゃないか。」
「悔しくないの。」
「悔しいか。お父さんは、商会主だから、使用人達を含め食わせていく義務はあるが、それ以上に儲けようとは思っていないんだ。ダメな商人かもしれないが、みんなが幸せになれればそれが一番だと思っている。ダメなお父さんでごめんな。」
そんな、お父さんをはじめ誇らしいと思った日だった。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
こじんまりとした円卓に4人の職人が座っていた。
「ルーベックさん。帝室御用達おめでとうございます。」
「ロドリゲスさん。あなたの薬商会から、宮廷薬師が生まれたそうじゃないですか?」
「オーナーの発案と出資で、薬師同士の知識を共有し、発展させる研究所と、育成の学校を作ってくれたことですよ。隣に大工房を作り、学生にバイト兼修行ができる様にして、孤児院出の子でも優秀なら学べる様になりましたからね。」
「鍛冶師、薬師、魔道具師、家具師そろぞれの学校に、研究所。これだけて、どの位のコストがかかったのか?ランニングは、収益で賄えてるが、まだ一切配当は出せてないぞ。効率的になって、商会通さないから、マージンもなくコストは劇的に下がり、価格は変わらなくても、品質や買いやすさが向上して売り上げも伸びているから、利益は相当出てるんだけど、殆ど、職人、使用人のボーナスや、投資に回しちゃって、オーナーは大丈夫か?」
オーナーか、ジェシカの事は話せないからな。流石に、偶に原料の仕入れで、粗悪品を神聖魔法で良品にして各商会に卸して、差額でぼろ儲けしているなんて、言えないよ。各学校のテキストや、参考書も一手に売ってるし。でも、毎日金金言う癖に、金払いは無茶苦茶良いし、分からん。
「オーナーか?商会立ち上げた時に、同時に学校と研究所の準備初めろってびっくりしたが、一年も掛けずに開校、会所。老齢で引退し後進に工房を譲ろうと考えてたマイスターや、仕事より研究好きの天才鬼才がこぞって入ってきて、商会参加の呼び水になったし、一年半で様々な成果が出てきた。それだけで相当満足されている。まぁ、金があってもあの人無駄遣い一切しないし、今の儲けは将来の投資に回してって言ってるからいいんじゃないか?そもそも商会自体儲けより、職人の為に作ってくれたものだから。まぁ、昨日お会いしたが、元気に走り回ってたし、何も考えてないんじゃないか。」
「走り回る?そんなにお忙しいのか?」
「うーん。忙しいと言えばな。」
「まあ、オーナーに関しては、引退を考えてる職人だけでなく、一子相伝とか、今まで技術が極秘とされ、技術が発展しない事や、昔ながらの経営スタイルに不満を持つ職人達を的確にリストアップしてきた事にびっくりした。その多くが才能溢れる者達で、商会に入りメキメキと成長している。どうやってそんな情報を」
「さあな。いくら聴いても、グランデ様のご加護があらんことをとしか言わないし、分からん。」
そう、私にもオーナーの事はわからんよ。あのお嬢ちゃんにどんな能力があるかそこが知れない。でも、俺は恩を返すだけだな。
「そういえば、メキメキで思い出したが、オーナーから頂いた神像だが、あれだけでひと財産だ。あんなランクの神像を大量に製造するなんて、どうやったら出来るのだ。あの神像を祭ってから、成長が滞っていたベテランも再び成長しはじめている。凄すぎないか?」
「そうだな、神像と言えば、前に商会を辞める者がいて、こっそり元いた工房の神像を持ち逃げしたんた。持ち逃げした神像を祭ったところ、神像が二つに割れ怒りの顔になった、この日その工房では事故が多発したらしい。翌日、その職人は神像を持って商会に謝りに来て、持ち逃げされた工房主は、お説教だけして、許してあげた。そうしたら、神像の顔が元に戻り、割れた神像が綺麗にくっついたとのことだ。それこそ、グランデ様のご加護だな。」
グランデ様にそこまでのご加護があるのか・・・。絶対なんかおかしいだろう。他の商会主達は、嬢ちゃんを見たことないからな、神格化してるんだろうな~。
「本当に神様は見ていらっしゃるのだな。ところで、ビクターさん、商会で立ち上げたブランドはどうだい?」
「いや、うちの業界は、皆さんと違って一部の有名工房と、そうでないの無名工房では、同じものでも価格が変わる業界だ。だから、工房毎の商品の振り分けとか、価格付けとか、売値交渉とかが大変だった。そこで、ブランドを作り、高級ブランド、中級ブランド、庶民派ブランドに分けて、品質、規格を揃えて作ったら、買う側も売る側もわかりやすいし、その分かりやすさが貴族の皆様にも受けて売り上げは上がるし、規格が揃ってるので大量注文も来るようになるし、素材も大量注文出来るので、仕入れ値も大きく抑えられて、大正解だった。皆さんと同じで卸もやっているが受注が取りづらかったのを、ブランド化による商品の統一化と、カタログ作成で、一気に卸の売り上げものびて、人が全く足りない状況だ。オーナーは、試しにとの注文だったが、このまま、工房名とブランドのダブルネームでやってく予定だ。」
「職人達は、不満は無いのか?」
「基本的には、名前でなく、出来で評価されるから、好評だよ。それに工房名つけてるし、他の物を作りたい奴は、ノルマさえこなせば作らせてるから、そんなに規格品を作るストレスも溜んないよ。職人の中には、色々やりたがる奴は多いから、ノルマをこなす為に、手は早くなってるし、品質チェックはしっかりやっているから、仕上げまでキッチリ出来るようなっている。あと、工房の時代は、休みなんて決まって無いし、売れなきゃ給料もまともに出なかったから、今みたいに、休みもキッチリとれて、給料も働いた分だけ出るし、大半は喜んでるよ。合う合わないはあるからな。」
「そうか、辞めた奴も含めて、ルーベックさんのところは、他の職人系商会に経営のノウハウ教えてるけど、大丈夫かい?」
そうそう、職人系商会を助けろって、嬢ちゃんがバクって言ったから、ノウハウ教えてるけど、普通の職人には無理だよな、そんなことが得意なら職人になってないよ。それをわかってあえて教えろって言っている嬢ちゃんは何なんだよって感じだよ。商人出の人材を集めたうちみたいな実績を出すのはつらいだろうな。
「職人持ちつ持たれつで、ウチだけが稼いでもしょうがないから、経営ノウハウを教えたり、学校での受け入れもしてるよ。元々、職人が幸せになると事目的に立ち上げたからね。まあ、経営の話をしたら、面倒なのがわかってうちの商会に入りたがる奴が多いし、成功したらしたで、ギルドのうるさ方の風除けになるからいいんじゃないの。」
「そうだな。うるさ方、本当にうるさいからな。俺たちの苦労わかって欲しいよ。」
「「「だよな~。」」」
「ところで、ルーベックさん。今日はみんなを集めて、雑談でも無いだろし、どうしたのだ。」
そうだ、ここからが今日の本題、初めてみんなを集めた理由だ、きっちり決めてかないと、嬢ちゃんに何を言われるかだな。
「うん。オーナーからだ。ルーベック鍛冶商会、ロドリゲス薬商会、モンティ魔道具商会、ビクター家具商会の4商会で業務提携を行う。提携内容は3つ。一つ目は共同出資の共同研究所を立ち上げる。資金はオーナーから各商会に1億づつ4億預かっているから、受け取ってくれ。商品の共同開発、素材等の基礎研究が目的だ。
二つ目は、共同ブランドの設立。これは、研究所で共同開発したものを売る時に使うブランドを決めるものだ。名前は勝手に考えろだと。
三つ目は、15日会の設立。これは月は違うが、4商会が3年前に立ち上げた時立ち上げた日が偶々15日だったから、毎月15日頃集まって、朝食でも食べながら情報交換の会合をもとうというものだ。俺達は別室で、他に経営幹部達は大きな部屋でな。俺達も若く無い。退いた時にも助け合える素地を作って行くのと、お互いにいい意味でなんでも言い合える関係を気づいて行くのが目的だ。」
「わかった。それって、夜酒飲みながらはダメか?」
俺も飲みながらやりたいよ。みんなそう思うよなー。
「それは、聞いたが、別でやればいいじゃん。経費で落としていいから。と言ってた。その中で、どのギルドでも年に二度あるマイスター任命のタイミングで、4商会の全マイスターを全員集めて新マイスターを祝う大飲み会を経費でやったらと言ってた。関係ないマイスターも呼んでも良いしって言ってたよ。」
「ギルドのうるさ方に挨拶を頼めば、うるさ方の溜飲も下がるだろうし、単に業務提携の一環でやってるから、他のマイスター達を呼ぶのも問題ないしね。」
こうして決まった業務提携が、後に世界最大の企業連合体となるマイスターズに繋がっていく。
また、15日会は、商会主達の緩い考えと違い、幹部達の活躍の場となった。そこでは、様々な共同事業、共同出資商会等が、議論され、次々に決まり立ち上げていった。新たな事業、商会の幹部達も15日会に参加していきと、急速に拡大、15日会が企業拡大の原動力となっていった。ただ、4商会の商会主の別室会議だけは、世代交代があることはあれ、人数が増減することはなかったという。
新任マイスターを祝う会も、元々4商会プラスアルファ程度だったが、各ギルドがやるならみんなでと、すぐにギルド主催に変わった、4商会が所属していないギルドも参加してきて、終いには全職人ギルド共同開催となった。定期的に飲み騒ぐ中で、過去からのギルド間の軋轢等のも無くなり、情報交流等も盛んになり、最終的に職人ギルド連合が出来るキッカケとなった。
因みに、共同研究所は、ジェシカが、思いつきを実現させる為に、作ろうとしたのがきっかけであり、自身も鍛治研究所と合わせてちゃっかり特別研究員の地位に就いていた。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
その頃ジェシカは、
「4商会の業務提携で、4社の企業価値は鰻登り。今は現金持っていてもしょうがないから、ただでさえ高まっている企業価値を限界まで高めて、ウフフフフ。」
と薄気味悪い笑みを浮かべていた。
そんなこんなで、ジェシカが6歳になった冬のある日、あの事件が起きた。
0
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
世界最強の七賢者がお世話係の俺にだけはデレデレすぎる件
Y.
恋愛
国の頂点に君臨し、神にも等しい力を持つ『七賢者』。
火・水・風・土・光・闇・氷の属性を極めた彼女たちは、畏怖の対象として国民から崇められていた。
――だが、その「聖域」の扉を一枚隔てた先では、とんでもない光景が広がっていた。
「アルトぉ、この服脱がせてー。熱いから魔法で燃やしちゃった」
「……アルトが隣にいないと、私、一生布団から出ないから」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。さあ、私と混ざり合いましょう?」
彼女たちの正体は、私生活が壊滅的にポンコツで、特定の一人に依存しきったデレデレな美少女たちだった!
魔法の才能ゼロの雑用係・アルトは、世界で唯一「彼女たちの暴走魔力に耐えられる」という理由で、24時間体制の身の回りのお世話をすることに。
着替え、食事の介助、添い寝(!?)まで……。
世界最強の7人に取り合われ、振り回され、いじり倒される。
胃袋と心根をガッチリ掴んだお世話係と、愛が重すぎる最強ヒロインたちによる、至福の異世界ハーレムラブコメ、開幕!
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる