攻略本片手に異世界へ 〜モブは、 神様の義祖母 〜

出汁の素

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幼女編

第8話 神像

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 ルーベンス鍛冶商会が立ち上げって2カ月経ち、ルーベンス工房が落ち着き始めたころ、私はルーベンス工房の一角に私専用の窯を用意してもらった。小型の窯で、金属製の神像を作るためのものだ。窯で神像をどうやって作るか・・・。
 1.粘土を用意し、捏ねてから、神像を作る。
 2.粘土神像を窯で焼き、陶器神像にする。
 3.陶器神像の周りに、別の粘土を塗り、型を作る。
 4.型を焼き陶器の型にする。
 5.陶器の型に溶かした金属を流し込み、固める。
 6.固めた神像の余分なところを削り、磨き完成させる。

 こんな感じで作っているが、グランデ様の神像は最近いつも
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名前 グランデの神像
ランク B
効果 なし
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こんな感じだ、効果 グランデの祈りがなかなかでない。うーうーうなっていると。

「嬢ちゃんどうした?」
「これは、ルーベンス大師匠」
「大師匠だなんて、私なんて工房の運営を息子に任せた老人だよ。」
「いやいや、この区で大師匠以上の鍛冶師はいませんよ。」
「グランデ様のご加護がある嬢ちゃんにそう言ってくれると嬉しいがな。それでどうした。」
「大師匠、グランデ様の神像を作っているのですが、最近はいつもランクBで、頭打ちなんですよ。」
「ランクBって、ちょっと見せろ。」

 大師匠が、私の神像の一つひとつをみていく。
「凄い、3歳でランクBなんて。」
「大師匠、ランクBってどの位ですか?」
「基本的に武器も何もそうだが、鑑定でランクはGからAそのうえがS、SS,SSSがあって、C以上は一級品と呼ばれ、S以上なんて、儂でも何本かしか打ったことがない。」
「そうですか。凄いんですか。」
「そうだよ、とりあえず、やっている所を見せてくれ」
「はい。」

と言って、順番にやって見せた。私が銅を溶かす為に銅のインゴットを持った時
「なんだ?」
「銅のインゴットですけど。」
「それは」、見ればわかるが、凄く良いやつじゃ?
「いやー。普通のインゴットですよ。ただ、神聖魔法を使って、純度を究極まで高めてますが。」
「は?」
「私、ご加護があるので。」
「そうか・・・」
「今度作ったのあげますね。」
「ありがとう・・・。」

 とやっていてる間に出来上がった。本当は時間がもっと掛かるが、神聖魔法でスピードアップさせていた。
「あの、神聖魔法使い過ぎじゃないか?」
「えっ?」
「神の力に頼りすぎなんじゃろう。自分の力のみでやってみたら。」
「あっ」
「そう、神様の力でなく、自分の力でやるから、神様への祈りが通じるのではないか。」
「うっ。うん。わかったやってみるよ。」

そういうと、私は2日かけて、、4体の神像をつくってみた
「できた。」

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名前 グランデの神像
ランク C
効果 グランデへの祈り
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「やったー。」
4体の内2体にグランデへの祈りがついていた。
「ひょほほ。嬢ちゃん。その様子だとできたようだね。」
「ありがとうございました、大師匠。」
「よかったな。それより、嬢ちゃん、まさか、倉庫全ての金属の純度を高めなくても、どの位価値が高まったと」
「それで利益が増えたらうれしいわ。魔力使い切りたかったし」
「そうかい、まぁ、ありがとうよ。」
「これで、お兄ちゃんに、グランデ様の加護をつけられる。」
「そうかい。そうだったな。あいつには色々迷惑かけたし、あいつのおかげで、嬢ちゃんに助けて貰えたからな」

ルーベンスさんは、涙ぐんできたが
「お兄ちゃんには、少しくらい苦労してもらってと思ったけど、苦労しすぎだしね。大師匠、明日、この工房にグランデ様の神像を祭って良いですか?」
「あぁ、こっちからお願いしたい。嬢ちゃんの初めての本当の意味での神像だ。好きなところに祭ってくれ。」
「ありがとうございます。大師匠」

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私は、今ある神棚の上に、グランデ様の神像をおいた。そして、ダイアンお兄ちゃんを呼んだ。

「お兄ちゃん。神像が完成したよ。」
「ありがとう。今度は俺の頑張りを、グランデ様に見てもらうだけだ。」

そう言って、お兄ちゃんは渾身の力で、剣と打った、2時間かけて、インゴットから、見事な剣に仕上げていった。その間、私は、無言でお兄ちゃんを見つめ、遠巻きにいる工房のみんなも真剣にお兄ちゃんをみていた。
「できたー。」

私は咄嗟にお兄ちゃんの剣を鑑定した。
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名前 鋼の剣
ランク E
作 ダイアン
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ランクE、一流には全然届かないが、お兄ちゃんの今出せる全てで作り出した剣だ。まだ子供で、工房の為に毎日駆けずり回って、市民学校にも行き、朝4時からの訓練を1日も欠かさず努力をしている子供の剣だ。グランデ様が納得されるレベルでは当然ないが、私も、周りのみんなもここ2カ月の尋常じゃないお兄ちゃんの努力を知っている。グランデ様もそんなお兄ちゃんを認めてくれると信じている。だから、この剣をグランデ様に捧げるのだ。

儀式を始めた。儀式と言っても一緒に祈るだけだが、私とお兄ちゃんは、神棚の神像に祈りを捧げた
「「グランデ神よ、この鍛冶工房に、安定と良い仕事を与え給え。」」

 と言った瞬間、意識が一瞬どんで、気づくと見慣れない場所にいた
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「ジェシカちゃん、久しぶりじゃな。」
「グランデ様にお久しぶりです。こちらが、私の兄のダイアンです。」
「へ?」

 お兄ちゃんは呆気にとられ、現状把握できていない。そりゃそうだろうけど
「お兄ちゃん」
「はっ、ああ、あっ、グランデ様、はっはじめてお目にかかります。ダイアンです。」

 グランデ様はじーっとお兄ちゃんをみて
「ダイアン君か、これが私への供物か」
「あっ、そうです。」
「君はこの剣をどう見る。」
「世の中でいくらでもある。3流の剣だと思います。でも」
「でも?」

 グランデ様がお兄ちゃんを見る目はより厳しくなった
「でも、これが俺・・・私の今できる全てです。これで、グランデ様に捧げるなんておこがましいかもしれませんが、私が今できるのはこれだけです。」
「そうか・・・・。」

 グランデ様は、息をゆっくり吸って
「それで、君は、これで私の加護が得られると。」

 グランデ様がお兄ちゃんを睨めつけた
「いえ、・・・ジェシカには悪いですが、今の私にはそんな技量はないとわかっています。ただ、ジェシカや、ルーベンス師匠、両親、工房のみんな、私を支えてくれる全てのみんなの為に、その期待をすべてではないですが、今できる全てで返せるように、全身全霊をぶつけてみました。グランデ様には悪いですが、グランデ様の加護なんてどうでもいいんです。それより、その為に、一生懸命になれたこと、鍛冶師として、鍛冶商会を立ち上げて、自分のできる全てを鍛冶にぶつけられたことに価値があると思っています。グランデ様には、お目汚しと思います。私はどうなっても構いません。ジェシカや、みんなには何の罪もないので・・・・。」
「そうか・・・。君は、何か勘違いしているようだ。」
「はぁ」
「儂は、鍛冶の神で、武器の神ではない。武器の出来なんぞにさして興味はない。君とジェシカちゃんの立ち上げた鍛冶商会という新しい仕組みは、鍛冶師達の活躍の機会を増やし、鍛冶を次の次元に引き上げていくだろう。また、鍛冶以外で鍛冶師が悲しむことを防いでいくだろう。君は誇りを持つべきだ、君が立ち上げた鍛冶商会を、その中で幼い君が打った剣を。」
「ありがとうございます。そのお言葉で十分です。」

 ダイアンお兄ちゃんは、グランデ様の言葉に泣き出した。
「君には、新たな神具と、加護を超える寵愛と言う名の加護を与えよう。君の成長を神像を通して見守っておくよ。」

 そう言うと、ダイアンお兄ちゃんは光に包まれ消えていった。
「さて、ジェシカちゃん」
「なんでしょう、グランデ様。」

 グランデ様が緩み切った顔に変わった。
「大変だったね。本当に鍛冶師たちを助けてくれたありがとう。カグラ様と相談して、新たな神聖魔法を作ったのじゃ。」
「へっ。魔法ってくれるの。」
「うん。儂だけなら無理だが、カグラ様のご協力があれば」
「そうなの。何なの神楽君って」
「主神様ですのじゃ。それで、神聖魔法で、神像を素材からちゃちゃーっと作って、それに、神の祈りがつくのじゃ。ランクは、修行と想像力によるから、頑張るのじゃ。」
「はぁ。」
「じゃんじゃん神像を作ってく、ではさらばじゃ。そういえば、忘れてたのじゃ。カグラ様から。「孫の面倒を見ていて、会いにいけずごめんなさい。」とのことじゃ」
「神楽君」


 そう言うと、私は光に包まれ消えていった。
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ダイアンお兄ちゃんは、無事加護を得て、今まで持っていた神具である「壊れないトンカチ」に加えて、瞬間的に金属を溶かす超レア神具「夢幻高炉」をもらった。

この後、私は、楽チン神聖魔法で、グランデ様と神楽君の神像を作りまくり、各工房に配り、各店には商売の神様、グランデ様と神楽君の神像を配って祭った。調子にのって、予備も含めて、膨大な数を作ったのて、1年後にはコンスタントにSクラス以上を作れる様になった。この世界のバランスは本当に大丈夫か?

ちなみに、今回の倉庫内の金属の純度引き上げが、商会拡大為の極めて大きな原資となったのは、言うまでもない。
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