攻略本片手に異世界へ 〜モブは、 神様の義祖母 〜

出汁の素

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幼女編

第12話 ルーベックさんとの交渉

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 久しぶりにゆっくり起きた。と言っても、4時半。朝から雨の日にやっている、部屋の中で出来る修行をして、攻略本を見ながらお勉強をする。みっちり2時間半やったところで、

トントン

「はい。」
「アリアです。」
「どうぞ。」

 アリアさんが扉を開けて入ってきた。少し伏し目がちに、申し訳なさそうな顔をしている。
「どうなさったのですか?」
「申し訳ございませんでした。」

 綺麗に頭を下げている。
「旦那様のお客様なのに、ハイアが嫌がらせであんな料理を出してしまい、息子もその場で謝らず、大変大変申し訳ございませんでした。」

 あっ、この人はまともだ。直感的にわかった。
「息子さんって?」
「バリモアです。騎士見習いの資格を得て、修行の為にこの屋敷で、旦那様の付きになったのですが、あの子達に誑かされ、まともな対応すら出来ない始末。大旦那様である、フランドル公爵にもお伝えし、処罰して頂きます。大変申し訳ございませんでした。」

 私の息子も、小さい頃何度もやらかして、頭を下げに行ったな~。母親って、子供、特に息子は本当に可愛いのに、処罰させるなんて、私には出来ないな~。許せない部分はあるけど、敵も増やしたく無いから、許してあげるか。

「ごめんなさい。昨日は眠くてよく覚えてないの。処罰とかそんなのよく分からないし、バリモアさんが居ないと、お兄ちゃんにお手紙届けてくれる人がいなくなるので、やめてね。」
「良いのですか?」
「よく分からないけど、そうだ、このお手紙、ルーベック鍛冶商会に届けて下さい。店長さんに。後、こっちはお兄ちゃん。120区出身のハーバードお兄ちゃん1年生なので、探すの大変かも知れないけど、よろしくお願いします。」
「わかりました。ありがとうございます。」

 彼女はそう言って、手紙を受け取って、走って出て行った。アリアさん良いお母さんだな。バリモアさんダメ息子だな~。罰ゲームを考えとかないとね。

数分後。

トントン

「はーい。」
「ジェシカさん。アリアです。」
「はーい。どーぞー。」

そう言うと、アリアさんがまた入ってきた。
「朝ごはんです。ジェシカさんの朝ごはんは私が担当します。ハイアと、ローアは、とりあえず上屋敷に戻しました。今は、私と、バリモアのみです。2人はジェシカさんがお帰りになるまで、上屋敷で修行です。旦那様が戻る時は、他の者が来る予定です。」
「そうですか。」

 情報収集だけなら、私から取れた情報で当面十分な筈なので、上屋敷の方が情報の受け渡しがしやすいかも知れない。まっ良いかな。とその時は思った。

「アリアさん。1人じゃ寂しいの。一緒に食べません?」
「そう?」
「2人だけなら、私暇だし、お料理もお手伝いさせて貰いたいです。」
「良いの?」
「お願い~。」(ニコッ×3)
「わかりましたわ。3人の時は、一緒に食べましょう。」

 そう言って、アリアさんとダイニングに向かい、一緒にご飯を食べた。

「ご馳走さま。」
「お粗末さま。」
 アリアさんと喋りながらゆっくり朝ごはんを食べ終わった頃。

ドタドタドタドタ
ドンドンドンドン

ど、屋敷の戸が叩かれる音がした。
「キャー。何?」
 アリアさんが、びっくりして軽い悲鳴をあげると。私は冷静に、
「大丈夫ですよ。多分、私のお客様ですから。食事を置いたまま失礼します。」

と言って、私が玄関に向かって歩いていくと、少し遅れて

「待って、私が開けますから。」
と言って、アリアさんがスタスタ抜いて行った。玄関で、深呼吸し始めると、また凄い勢いで

ドンドンドンドン
「キャー。」

との、悲鳴に外から大きな声で
「すみませーん。ルーベック鍛冶商会のドドリゲルです。ジェシカお嬢様。」

 私は、頑張って大きな声で、
「ドドリゲルさん。お久しぶりです。支店にドドリゲルさんがいらして良かったです。少しお待ち下さい。」
「わかりました。お嬢様がご無事で安心しました。」

 と私と、ドドリゲルさんの会話を聞いたアリアさんが玄関の扉を開けると、また、ギョッとした顔をした。ずんぐりむっくりの体に少し派手な商人でーすって感じの服。ドドリゲルさんは鍛冶師ではないものの、鍛冶師に多いドワーフ族で、帝都でマジョリティを占める人族(自分達がそう言っているだけで、他の種族からは、ヒウマン族と呼ばれている。)からは、差別されている。但し、鍛冶屋や魔道具屋でドワーフであったり、薬屋でエルフだったり職人としている分には気にならない人が多い。そんなわけで、ドドリゲルさんは、鍛冶商店の人間としてやっているのであるが、その背景無く会うと、ぎょっとするのは標準的な反応である。それも腹立たしい限りであるが。

「ドドリゲルさん。どうぞ、こちらに。」
「ジェシカお嬢様、大きくなられました?」
「このドワーフ。ジェシカさんが大きくなったって失礼な?」

 アリアさんがなんか勘違いしているのを無視して、
「ドドリゲルさん。まあ、6歳児なので、半年ぶりに会えば成長するでしょう。」
「そうですか?ドワーフは、40年位かけて成長するので。」
「そうなの?」
「ドワーフの寿命は、150歳位で、ジェシカさん達の2倍以上ですから。」
「そうなんだ。ところで、アリアさん。客間お借りして良い?」
「はぁ、どうぞ。」

 アリアさんをさっと無視して、話を進めていたのと、ドワーフと私が、普通に会話してたので、アリアさんは、完全に置いていかれていた。普通の、6歳児は、ドワーフのオッチャンと、掛け合いで話なんか出来ない。普通、子供は怖がるし、多少でも差別意識が加われば、びっくりするのも無理ないかも知れない。

「ドドリゲルさん、ソファに座ってお待ち下さい。」
「アリアさん。少しドドリゲルさんと話をしないといけないので、扉を開けないで下さいね。」
「お茶は?」
「今用意してから行きます。ドワーフさんは猫舌なので、冷やしてから出さないと、面倒なことになるので。」
「そうなの?」

 そう言うと、私はお茶のセットを持って、客間に入って行った。

「ジェシカお嬢様。少しお待ち下さい。」

 ドドリゲルさんは、胸からペンダントを取り出し、ボタンを押した。
「これで大丈夫です。」
「防音の魔道具ですか?」
「よくご存知で。」

 ご存知も、何も、私が攻略本を見ながら、基本設計をし、設計書を魔道具研究所に渡した、魔道具の一つで、結構な価格だが、貴族や商人にバカ売れしている商品である。魔道具商会の看板商品の一つとなっている。この、ペンダントは、周囲5メートルの空間に結界を作り、音を通さなくする。ドドリゲルさんは、この話が聞かれなく無いとわかっているのだ。

「ありがとう。ドドリゲルさん。」
「お嬢様。びっくりしました。お嬢様に何かあれば、鍛冶商会だけでなく、ダイアン商会主補佐をはじめ、お嬢様のご家族が酷く悲しみます。」
「申し訳ない。ドドリゲルさん。実はカクカクシカジカで、こんな事になっているんだ。」
「なんと!ってカクカクシカジカって。」
「テイ!」

 カクカクシカジカで済ますのを拒んだドドリゲルさんに蹴りを入れ、納得してもらった。
「そうですかい。お嬢様。それで、ルーベック商会主をお呼びすれば。」
「そうです。どうですかね。」
「お嬢様のお呼びなら、取るものもとりあえず、速攻でいらっしゃると思いますよ。因みに、ルーベック商会主には、もう報告の手紙を走らせてますので、支店には、遅くても夕方にはいらっしゃるはずです。」
「ありがとう。流石手が早いわね。いらしたら、時間を関係なく、お連れしてください。」
「はっ。」

 ドドリゲルさんは、素早く頭を下げた。
「ことに、ドドリゲルさん、あなた商会主になってみない?」
「は?商会主ですか?ドワーフですよ。私。」
「そう、帝都で数多ある商会でドワーフが商会主となったケースはないです。」
「そうですか?なのに何故。」
「ご存知かと思いますが、ルーベック鍛冶商会の様な職人系商会はら職人系各ギルドに入っているので大丈夫だが、職人系商会以外の商会は、税納付の関係で商業ギルドに入る必要があります。」
「そうです。そして、差別主義甚だしい商業ギルドは、商会主に亜人を認めない。」
「そう亜人は認めましないでしょう。亜人がトップでは。」
「は?」

 ドドリゲルさんは、訳がわからんと言う顔をしている。
「しかしですね。共同経営者が、貴族だったらどうでしょう。渋々了承する可能性が高くなります。」
「そうですね。」
「加えて、雇われ商会主。つまり、どこかの商会が共同出資の為に作った商会なら。その上で、今流行らない鉱山掘りだったら。」

 ドドリゲルさんさんは目を大きく開いて
「そこまでの前提があれば、了承されるでしょう。」

 すかさず、私は言葉を繋いでいった。
「それで成功したら、次に条件を一つ無くす。」
「もしかしたら、了承されるかも知れませんね。」
「その商会主が、成功した商会主だったら。」
「断りきれないでしょう。」

 ドドリゲルさんは、ふんふんと頷いている。
「最終的に、普通に皆さんが差別無くす商会を作れるようにする。その為に、商会主になってくれませんか?」(ニコッ×3)

 ドドリゲルさんは、暫し悩んで、
「わかりました。ドワーフの未来の為に頑張ります。」
「ありがとうございます。」

 よっしゃ―。ドドリゲルさんは、実はルーベック鍛冶商会で出世していることで、若手のドワーフ達の目標になっていた、流石に今店長にまでなっていたのは聞いていなかったが、ここの店長は、当然商会の上級幹部の一人とみられる。そんな彼が、新しい貴族との事業の責任者として、抜擢されたとなれば、商会内のドワーフさんのやる気だけでなく、鍛冶商会に対するドワーフさん達の支持も高まる。鉱山開発のプロの多くはドワーフ達、彼らの協力、中でも一癖二癖もあるプロたちを雇わないといけない。そんな中で、ドドリゲルさんは、最高のヘッドハンターになれる。貴族達の不当な扱いに、嫌気がさしている彼らなら、ドドリゲルさんの誘いに乗ってくれるだろう、そうすれば、またお金が、グハハハハ。っと冷静に冷静に。

「では、細かい話はルーベック商会主が来てからという事で、私は一旦商会に戻ります。何かご入用のものはありますか。」
「大丈夫です。」

 と言って、魔道具を止め、部屋から出て玄関に向かうと、

ドンドンドンドン

「すみませーん。」

 と言う声が聞こえた。アリアさんが、玄関にお客さんの対応に走っていった。
 何やら話しているのをみていると、扉がドカッと開き、そこには見知った人がいた。

「ハーバードお兄ちゃん。」
「ジェシカ。あと、えーと、ドドリゲルさん。」

 ハーバードお兄ちゃんだった。ドドリゲルさんの名前も何とか覚えていたようだ。ハーバードお兄ちゃんは、中央学院の制服姿、手にはカバンを持っており、取るものもとりあえず来た感じだ。
「お兄ちゃん、バリモアさんは?」
「バリモアさん?バリモア、バリモア・・・あの、騎士君?」
「そうだけど」

 ・・・やばい、嫌な予感しかしない。
「うーん。ぼこっといた。」
「ぼこっとく?」
「まぁ、可愛い妹の誘拐犯だし。」
「ダメな予感的中。」

 私はダメ兄に頭を抱えたが、とりあえず、わたしの為にやってくれた事なので、
「色々言わないといけないことあるけど、お兄ちゃん、ありがとう。お久しぶり。」
「やあ、なんか怒られてるけど、お久しぶり。」
「で、カクカクシカジカでこんなったの。」
「そうか、カクカクシカジカでこうなったか。でだ、お兄ちゃんはとりあえず、毎日朝練がてら様子見に来れば良いか?」
「ありがとう。そんな感じで、」

と言うやり取りを見て、アリアさんがふと
「あの、カクカクシカジカで何でわかるんですか?」
「うーん。多分、カクカクシカジカでわからないと、ジェシカのお兄ちゃんはやってられないからかな?」
「大変なんですね。」
「いや、楽しいぞ、このトレーニングで、中央学院首席になれたから。」

お兄ちゃんは胸を大きく張った。イケメンで細マッチョのお兄ちゃんだが、胸を張れば筋肉の線がはっきりする。そんなことはさておき。
「中央学院首席?」 
「そう、魔法学、政策立案演習、薬草学、呪術学、政治学、錬成学で一年前期首席だ。お兄ちゃん凄いだろう~。」
「えっ、迷宮学と、経済学、魔道具学に神学を落としたの~。」

 お兄ちゃんが天狗気味なので、少しいじめてあげた。
「はっ?そんな沢山?」
「アインお兄ちゃんなら、取りに行くでしょうね。」
「うっ、そうだよな~。」

 と、下らないやり取りを見て、アリアさんが
「魔法学首席なら、宮廷魔導士、政治学首席なら、官僚、そこまで万能なら、息子がいない貴族達から婿入の誘いが数多くるんじゃ?」
「まあ、来ても、貴族になる気ないし、家を継ぐだけだしな。」
「アリアさん。そんな兄ですみません。」
「と言うわけで、毎朝来ますから、じゃ。」
「じゃって?」
「妹の無事さえ確認できれば。何かあればちゃんと言うやつですし、この顔なら大丈夫です。授業抜けてきて良かったです。アリアさん宜しくお願いします。何でも出来る妹ですが、6歳児ですから。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
「では。」

 と言って、ダッシュで帰って行った。
「いいお兄さん持ったわね。」
「ありがとうございます。あれでも自慢の兄ですから。」

 因みに、ドドリゲルさんは、会話の途中でこそっと帰っていました。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------

 客室で、ゆっくり机に座り、各種リストや、事業構想を前世の様に紙に書き込んでいた。

 トントン

「はーい。」
「ジェシカさん、アリアです。」
「あいてます。」

 アリアさんが、扉を開けて入って来ると、
「ジェシカさん。ルーベックさんとドドリゲルさんがいらっしゃいました。今客間におられます。」
「もうそんな時間なの。」

 と、窓の外を見ると日が沈みかけていた。
「今行くわ。」

 と、わたしは、ペンと紙、リスト、構想を書いた紙を持ち、客間に向かった。

 扉を開くと、ルーベックさんと、ドドリゲルさんがいた。ルーベックさんは、いつも通り髭を蓄えたロマンスグレーのマッチョさんだが、貴族相手用と思われる質の良い服を着ていた。
「嬢ちゃん。話を聞いた時にはびっくりしたが、大丈夫かい?」
「何とか。それでルーベック師匠のお力を貸して欲しいですが?」
「そうかい。話を聞こう。」
「アリアさん、少し込み入った話をするので、」
「わかりましたわ。お茶と、軽食はここに置いておきますので、」

 と言って、アリアさんは、カートを置いて出て行った。

「ドドリゲル。」
「はい。」
 ドドリゲルさんは、ペンダント型魔道具のスイッチを入れた。ルーベック師匠の隣にいるドドリゲルさんは、固く固まった様になっている。ルーベック師匠ってすごいのか?世のかな的に

「ルーベック師匠、ありがとうございました。ドドリゲルさんからお聞きかと思いますが、カクカクシカジカで。」
「そうか。とりあえず、武器は誰かに作らせれば良いだろう。ドドリゲルの件は、今まで、うちの商会に、商業ギルドがギルドに入れ、入れって煩かったから、一揉めするかもしれんが、何とか出来るだろう。ギルドの範疇毎に商会を分けるのも分かりやすくて良いだろ。分商会化を含めて、15日会に伝えておく。」
「ありがとうございます。」

 私は、話をしていくとテンションが上がり早口になる癖があるので、一拍おいて、ゆっくり事業計画を話し出した。
「後、2つルーベック師匠には、立ち上げて頂きたい商会があります。」
「なんだ。」

ルーベック師匠は、面倒くさそうな顔をしたが、
「1つは、鉱山が出たものを運ぶ商会です。鉱山から出たものを運ぶのは基本的に片道だと儲からず、相当なコストがかかるので、通り道の貴族領での関税は無税になります。これは、台数、街が限定されたものですが、この権利を上手く利用しない手はないと思っています。また、この商会に、4商会の輸送も任せようかなとも思っています。お客様の商品を商会の人間が運ばなくて良いのであれば、相当仕事が楽になるかなって思うんです。4商会の商売方法を見てれば他の商会も利用する様になるだろうし、どうかなって。これは、ルーベック商会のサハリンスさんにお願いしようかなと思っています。15日会でお願いします。」
「わかった。でもそれには、初期投資どこくらいかかるか。」
「それは、預けてある資金を使って。」
「了解した。」

 ルーベック師匠は、幹部会に丸投げする気マンマンでいるのが、みてとれた。私は、出来るだけゆっくりとは思っているものの、テンションが上がって、少しづつ話が早くなってく。ちなみにドドリゲルさんは、お茶を飲み、パンを食べている。

「次は、昨年末魔道具研究所で、発明された通信機を使った通信商会の設立です。帝都内なら何とかなるが、鉱山との通信か出来るようなれば、何かあった時の対処も可能となります。来年帝国軍が、全国規模で実証実験を行いますが、その前に事業化をしたいです。」
「嬢ちゃん、発明したチームは、帝国に引き抜かれたが、どうしたらいい。」
「そこは、大丈夫です。あのチームには、潤沢な資金はありますが、政治屋さん達とのやり取りを上手くこなしながらやっていける人はいません。まあ、早晩解体していくでしょう。こちらには、研究成果と、やる気のある若者達、それに高精度の魔道具作りに欠かせない高純度魔石があります。また、あの魔道具には長距離通信が出来ない、欠陥がまだいくつかあります。解消方法はこの紙に書いてありますので、このリストでチームを作って、研究させて下さい。」
「わかった。やろう。」
「通信商会は、4商会系から独立した様にみえる形で、このリストのメンバーを軸に人選して、商業ギルドに入れて下さい。発明チームを引き抜かれた時に制定させた特許制度も活用して、ガンガン稼いで下さいね。」

 そう、発明チームの帝国の無理な引き抜きで魔道具研究所と、帝国はもめる事になった、その時出した条件は二つ、1つ、私的利用を除き新規の発明品を開発した商会対し、利益の一部を特許料と言う形で利用料を払う制度を作ること。当然、帝国が政府内で利用する場合は特許料は発生しない。2つ、魔道具研究所で開発された魔道具の権利、研究成果は、魔道具研究所を保有する商会のものであり、それを侵さない。但し、帝国の要請があった場合には、国民として技術協力を含めた協力を合理的な範囲で行う。である。2つめについては、同時に共同研究所を含め5つの研究所すべてと結んだ。帝国にとっては、コストはかからず、無理な挑発を行わずに研究所の協力を確保できるのでメリットが大きく、商会にとっても正式に手続きを踏んだ協力のみ受ければいいので、変な要求を受けにくくなり、特許権を確保できたので、研究によりコストをかけられる。また、技術交流と言う形で、帝国の各研究所と連携を組むきっかけとなり、貴族等からの横やりの傘になって貰えることだ。どんな時代でも、無理な要求をしてくる者達はいるが、それから守られるだけでもとても大きい効果になる。
 そんなことを思いつつ、ルーベック師匠を少し悩んだうえで、私にニカッと笑顔をも見せ

「わかりました。流石お嬢ちゃんだな、これも含めて、15日会に持ち込もう。」
「では、山師リストと、採掘権取得候補鉱山のリスト、後、作って欲しい魔道具のアイデアブックもこちらにありますので、宜しくお願いします。」
「魔道具?」
「共同研究所で作って貰おうと思っている魔道具です。簡単に言えば荷馬車なんですが、車輪の周りを柔らかい素材でカバーして、クッション性を高め滑りにくくして、車軸もクッション性を付けて、荷馬車に軽くなる効果と、マジックバックの効果を付けて、大量の商品を軽く持ち運べる様にして欲しいなと。襲われた時の防御性もあげるアイデアも入れてあります。これを使えば、輸送商会の利益が数倍ですね。」
「どのくらいの輸送量なんだ。」
「お馬さんの負担が減って、速度は2倍程度、運べる量は20倍くらいかな?」
「そんなに。」
「でも、魔石は高純度魔石の中でも、ルーベック工房の私の倉庫の木箱にある超高純度属性魔石を使わないといけないので、倉庫から170番って書いてある箱を5つ持っていて下さい。他の魔石だと耐えられないはずですし、属性を間違えても機能しませんので。」
「嬢ちゃん、あんた本当に何者だ?」

 師匠の言葉に、私は少し間を開け、怪訝そうな顔をして。

「ルーベック師匠。私が赤ちゃんの時からご近所さんとして知ってるじゃないの。化け物扱いして、酷くないですか?」
「酷くないって、嬢ちゃんが、グランデ様の使徒とか言われたら納得いくが。」

 あっ、ばれてる?そんなことない・・・ここは辺に否定してもダメなので、
「いや~。そう思って納得頂けるのであれば。」
「は?そうなの。」
「さあ、グランデ様に聞いて頂かないと。」
「聞けるか!神様にお会いした人なんぞ、それこそ伝説の使徒様くらいだろう。なあいい。話は嬢ちゃんの言った通り進めておこう。後、ここの坊主の武器については、週末来ればいいんだね。」

 ルーベック師匠が笑いながら言ってきたので、
「頼みます。師匠。」(ニコッ×3)
「では、また週末に、行く日時はドドリゲルと、ここのマリアさんとで、話をつけてもらう。ドドリゲルさん良いよね。」
「畏まりました。」

そして2人は帰っていった。ドドリゲルさん終始お茶を飲んで、パンを食べていた。いくつ食べたんだろ。山盛りだったパンが無くなっている。ちなみに今日のパンは昨日と違って今日作ったものだった。カビてないし。

 この指示が、15日会の幹部会で、叩きに叩かれた後、極めて迅速実行され、通信商会と、輸送商会ができた。その上で、各都市の通信商会の支店は、4商会の販売店化したり、輸送商会が宅配事業をはじめたりと、他の商会が真似る間を与えずに、急速に拡大、業務拡張し、数年で帝国全土だけでなく、国境を越えた巨大なネットワークを作り、市場を独占していった。
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