30 / 33
番外編 男爵親子 1
しおりを挟む
『フィネル家の令嬢エミリアは婚約者を嫌い、幼馴染と不貞をしたあげく外国へと逃げた。』
そう言う噂が王都に流れた。令嬢たちの集まるお茶会で、またはパーティーでと社交の場で静かに広まっていった。加えて、
『バランド家のヨハンは幼馴染の令嬢を弄び、令嬢は婚約を破棄された。法律家の家系のくせに女性関係のだらしないヨハンは二人の女性を不幸にした。』
そう言う悪質な根も葉もないうわさをアイラは流した。
カフェやお店など、とにかく不特定多数の人々に聞こえるように、涙を流しながら友人に訴える。事情を知っている者は無視をしているが、直接付き合いがないもの達の間や、仕事柄バランド家に良い感情を持っていない者達の間で面白おかしく広まっていった。
あわよくば、重要な地位にいるバランド家を堕としたい者達が話を大げさに悪意を持って広めた。
バランド家当主はその噂を部下から聞いた。
その部下はヨハンの人となりをよく知っていたために信じることはなく、噂の出所迄突き止めてくれていた。
「あいつらか。逆恨みだな。」
「ええ。裁判で負けた腹いせでしょう。ですから良識のあるものは信じてはおりませんが、その噂に乗じるものも出てきております。」
「そうか、助かった。今度は厳しい処分と、それを公表せねばなるまいな。」
裁判沙汰にはしたが、おとなしく慰謝料を払ったためわざわざ公表はせず温情を与えたのが仇になったようだ。
その噂はエミリアも非難していたが、その原因となったヨハンの不貞や女癖の悪さを咎めており、それを聞いたフィネル家が慰謝料の上乗せを通告してきた。
現在、フィネル家とはどちらからも婚約破棄を慰謝料を請求し合っており、裁判になる寸前であった。
しかしヨハンと娘、そして姉から止められ何とか裁判には至っていないという状況だ。裁判になればこちらが勝つ自信はあり、フィネル家もそれがわかっているからこそ裁判には持ち込んでいないのだ。
それなのにその噂に便乗し、ヨハンを有責として慰謝料を上乗せしてくるとは・・・
バランド子爵は、ヨハンがどれほどフィネル家に執着していようとも、絶対にフィネル家とは縁を切ると強く決心したのだった。
その道のプロであるバランド子爵は関係各所の協力を得て、すぐさまアイラ親子が流したという証拠をつかんだ。どの店で、いつ、だれがその話をしたのかを追い、どこからたどってもアイラに行きつくことが判明した。アイラの親の男爵ももっともらしく娘がヨハンに騙されたせいで破談になったと酒場でくだを巻いていたことも分かった。
そして今裁判の場でアイラ親子を糾弾している。
最初はしらばっくれていたがどんどん証人が現れ、証言していく。
「わざとじゃないわ!ちょっと・・・そうだったらよかったのにって言っただけよ。それを人の話を勝手に聞いてそんな噂を流した人が悪いんじゃない!私のせいじゃないわ!」
「そうか、あくまでも自分には責任がないというのだな。」
「もちろんです!」
「反省の色がないとみなし、情状酌量は認められない。」
そうしてアイラ親子には再度、多大な慰謝料が請求されたのだった。
そう言う噂が王都に流れた。令嬢たちの集まるお茶会で、またはパーティーでと社交の場で静かに広まっていった。加えて、
『バランド家のヨハンは幼馴染の令嬢を弄び、令嬢は婚約を破棄された。法律家の家系のくせに女性関係のだらしないヨハンは二人の女性を不幸にした。』
そう言う悪質な根も葉もないうわさをアイラは流した。
カフェやお店など、とにかく不特定多数の人々に聞こえるように、涙を流しながら友人に訴える。事情を知っている者は無視をしているが、直接付き合いがないもの達の間や、仕事柄バランド家に良い感情を持っていない者達の間で面白おかしく広まっていった。
あわよくば、重要な地位にいるバランド家を堕としたい者達が話を大げさに悪意を持って広めた。
バランド家当主はその噂を部下から聞いた。
その部下はヨハンの人となりをよく知っていたために信じることはなく、噂の出所迄突き止めてくれていた。
「あいつらか。逆恨みだな。」
「ええ。裁判で負けた腹いせでしょう。ですから良識のあるものは信じてはおりませんが、その噂に乗じるものも出てきております。」
「そうか、助かった。今度は厳しい処分と、それを公表せねばなるまいな。」
裁判沙汰にはしたが、おとなしく慰謝料を払ったためわざわざ公表はせず温情を与えたのが仇になったようだ。
その噂はエミリアも非難していたが、その原因となったヨハンの不貞や女癖の悪さを咎めており、それを聞いたフィネル家が慰謝料の上乗せを通告してきた。
現在、フィネル家とはどちらからも婚約破棄を慰謝料を請求し合っており、裁判になる寸前であった。
しかしヨハンと娘、そして姉から止められ何とか裁判には至っていないという状況だ。裁判になればこちらが勝つ自信はあり、フィネル家もそれがわかっているからこそ裁判には持ち込んでいないのだ。
それなのにその噂に便乗し、ヨハンを有責として慰謝料を上乗せしてくるとは・・・
バランド子爵は、ヨハンがどれほどフィネル家に執着していようとも、絶対にフィネル家とは縁を切ると強く決心したのだった。
その道のプロであるバランド子爵は関係各所の協力を得て、すぐさまアイラ親子が流したという証拠をつかんだ。どの店で、いつ、だれがその話をしたのかを追い、どこからたどってもアイラに行きつくことが判明した。アイラの親の男爵ももっともらしく娘がヨハンに騙されたせいで破談になったと酒場でくだを巻いていたことも分かった。
そして今裁判の場でアイラ親子を糾弾している。
最初はしらばっくれていたがどんどん証人が現れ、証言していく。
「わざとじゃないわ!ちょっと・・・そうだったらよかったのにって言っただけよ。それを人の話を勝手に聞いてそんな噂を流した人が悪いんじゃない!私のせいじゃないわ!」
「そうか、あくまでも自分には責任がないというのだな。」
「もちろんです!」
「反省の色がないとみなし、情状酌量は認められない。」
そうしてアイラ親子には再度、多大な慰謝料が請求されたのだった。
353
あなたにおすすめの小説
あなたを愛する心は珠の中
れもんぴーる
恋愛
侯爵令嬢のアリエルは仲の良い婚約者セドリックと、両親と幸せに暮らしていたが、父の事故死をきっかけに次々と不幸に見舞われる。
母は行方不明、侯爵家は叔父が継承し、セドリックまで留学生と仲良くし、学院の中でも四面楚歌。
アリエルの味方は侍従兼護衛のクロウだけになってしまった。
傷ついた心を癒すために、神秘の国ドラゴナ神国に行くが、そこでアリエルはシャルルという王族に出会い、衝撃の事実を知る。
ドラゴナ神国王家の一族と判明したアリエルだったが、ある事件がきっかけでアリエルのセドリックを想う気持ちは、珠の中に封じ込められた。
記憶を失ったアリエルに縋りつくセドリックだが、アリエルは婚約解消を望む。
アリエルを襲った様々な不幸は偶然なのか?アリエルを大切に思うシャルルとクロウが動き出す。
アリエルは珠に封じられた恋心を忘れたまま新しい恋に向かうのか。それとも恋心を取り戻すのか。
*なろう様、カクヨム様にも投稿を予定しております
【完結】イアンとオリエの恋 ずっと貴方が好きでした。
たろ
恋愛
この話は
【そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします】の主人公二人のその後です。
イアンとオリエの恋の話の続きです。
【今夜さよならをします】の番外編で書いたものを削除して編集してさらに最後、数話新しい話を書き足しました。
二人のじれったい恋。諦めるのかやり直すのか。
悩みながらもまた二人は………
婚約破棄されました。
まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。
本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。
ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。
習作なので短めの話となります。
恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。
ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。
Copyright©︎2020-まるねこ
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
【完結】3度婚約を破棄された皇女は護衛の騎士とともに隣国へ嫁ぐ
七瀬菜々
恋愛
先日、3度目の婚約が破談となったモニカは父である皇帝から呼び出しをくらう。
また皇帝から理不尽なお叱りを受けると嫌々謁見に向かうと、今度はまさかの1回目の元婚約者と再婚約しろと言われて----!?
これは、宮中でも難しい立場にある嫌われ者の第四皇女モニカと、彼女に仕える素行不良の一途な騎士、そして新たにもう一度婚約者となった隣国の王弟公爵との三角関係?のお話。
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる