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シルヴェストル公爵の助勢
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この一年、ルーナ国を襲った禍の数々は人的なものではないかという噂が流れはじめた。
そして前回と同じく、魔術宮の面々が疑われた。そんなことが可能なのは魔術を扱えるものだけだ。このころにはその膨大な魔力から筆頭魔術師になっていたイリークが王宮に呼ばれた。
盗聴を防止する魔方陣が敷かれた狭く特別な謁見の間に国王、宰相、シルヴェストル公爵、イリークの4名が集っていた。護衛騎士、並びに侍従まで人払いがされていた。
「イリークが申していた通りだな。エレンという女が接触してきおった」
「陛下のお身体は問題ございませんでしたか?」
「そのほうがくれたこれのおかげだ。」
と腕輪を掲げて見せた。
「彼女に会って目が合うと頭がボヤっとしてきてな。ふわっと心地よいと思ったとたんに、腕輪から体にスーッと冷たい力が流れ込んで頭の靄を払ってくれたわい。」
イリークとアリスは精神を操るような魔法をはじく魔道具を完成させていた。
王国の警備部を統括するシルヴェストル公爵の力を借り、国王並びにその側近、王宮の中枢に携わる者たちに腕輪型の魔道具をつけるように命じていた。
国王がシルヴェストル公爵から話をされたのは災害が起こり始める半年前だった。
おおよそ半年後から国中に災害が起こり始めるといわれた時は全く信じられなかった。
魔術師の家系であるグランジェ家の嫡男イリークが同席し、グランジェ家の一族の者が先見の力で判明したことだと断ったうえで、
「災害が頻発する事、人為的に引き起こされる可能性、エレンという隣国の聖女が関わっている可能性」
を奏上した。
公爵からはそれにより、ルーナ国を滅ぼそうとしているのではないかと告げられた。
先見の力がある魔術師とは聞いたことがない、にわかには信じられなかった。しかし少し思い当たることもあった。
「エルネスト。随分前だが、学園の狩りの遠征訓練を中止したことがあったな。」
「はい」
「あの時、あの狩りに参加予定だった王子も助かったのだ。護衛がいたところであの時の魔物の集団にはどうしようもなかったろう。あれは、お主が王子暗殺計画の情報を伝えてきたから中止にしたのだ。だが、実際は魔物集団発生だった。」
「・・・」
「あれも先見の力か」
「さようでございます」
「なぜ言わなかった。」
「イリーク殿の一族とはいえ、先見の力とはなかなか信じてもらえません。それに先見の力を持つものを公にはしたくなかったので」
イリークも横で頷く。
エルネストとイリークはアリスのことは公表しないことに決めた。いもしない先見能力者をしたて、予言とした。
狩りの中止の時はただアリスの存在を知られないで済むようエルネストが知恵を絞った結果だったが、それが功を奏し、今回の話も国王は半信半疑ながらもそれらに対応することを決めた。ただし人手は割けない、少数で対応するよう命が下った。二人にとって望むところだった。
「あの腕輪がなければわしは操られていたかもしれん。魔術宮の魔術師たちが土地に呪いをかけた可能性があるなどと妄言を吐きおった。だが、それだけでは罪に問うことはできん、証拠もないしな。腕輪がなければわしは魔術師たちをとらえていたやもしれん。そなたらのおかげで助かった」
「しかし、今までの災害が魔術宮の魔術師達が起こしたと王宮内のみならず、街でも噂になっているようです。確かに全員に腕輪がいきわたってはおりませんが」
宰相は眉をひそめる。
「相手も重要人物以外一人一人に精神干渉をするような手間はかけないでしょう。おそらく、彼らからの差し入れに魅了や催眠剤などが混入されていたかと」
「恐ろしいことを…」
「ですが、それも見越してあの日、宴会場の料理に解毒剤となる薬草を使用しておりました。記念の品だと渡した焼き菓子にも入れてあります。おそらくたまたまそれらを食べなかった人々が彼らの言い分を信じ、そこから市井に広まったのでしょう。」
知らされていなかった国王と宰相は目を瞠った。
公爵家長男クリストフの薬草研究が役に立ち、手配をしていたのだ。
先手先手を行く公爵の手腕に唸った。味方にいるとこれほど心強いことはない。
「そこまで手をまわしてくれていたか、さすがだな公爵。」
「いいえ、すべてイリーク殿のおかげでございます。それに世間に噂が広がるのは構いません。陛下や中枢のものがわかっていれば問題はないかと。」
「それはそうかもしれぬが・・・次はどういう手を打ってくるかだ。」
公爵とイリークがアリスから聞いた話では、イリークが拘束され処刑されるはずだった。しかし未来が変わった、国王はじめ主たるものたちが魔術師たちを疑うことはなかった。
呪いを使役できるということから魔術師が疑われても仕方のない状況ではあったが、少なくとも盲目的に断罪されることはなかった。
アリスの話から、過去世の人々が操られていた可能性を考慮し、それにも出来うる限りの対策をしていたのが功を奏した。
「先見でわからぬか?」
「はい、先見の未来が変わっております。これからのことはわかっておりません。」
「そうか。そういえば、公爵。エル殿のことだが。」
「・・・・はい。」
「女神とも呼ばれるほどの魔術師ならばこの度のこと何か知っているのではないのか?そなたと行動を共にしているのであろう?かたくなに存在を隠そうとしているが先見の主はエル殿ではないのか?」
「まさか。違いますよ。エルにはそんな力はありません。それに女神とはおおげさな。」
「切断された足を戻す奇跡は女神の御業としか思えんわ。」
「大げさに話が伝わってしまったのでありましょう。ともかく、エルはまだ子供です、治癒魔法が少々使える程度です。ですが傷ついた人の力になりたいと精一杯がんばった彼女をそっとしてやっていただきたい」
あくまでエルを隠そうとするエルネストに、王命だと命令することはできる。しかしこれほどまでの忠誠と功績。信頼を損ねたくはなく、今は無理に正体を暴くことはあきらめた。
そして前回と同じく、魔術宮の面々が疑われた。そんなことが可能なのは魔術を扱えるものだけだ。このころにはその膨大な魔力から筆頭魔術師になっていたイリークが王宮に呼ばれた。
盗聴を防止する魔方陣が敷かれた狭く特別な謁見の間に国王、宰相、シルヴェストル公爵、イリークの4名が集っていた。護衛騎士、並びに侍従まで人払いがされていた。
「イリークが申していた通りだな。エレンという女が接触してきおった」
「陛下のお身体は問題ございませんでしたか?」
「そのほうがくれたこれのおかげだ。」
と腕輪を掲げて見せた。
「彼女に会って目が合うと頭がボヤっとしてきてな。ふわっと心地よいと思ったとたんに、腕輪から体にスーッと冷たい力が流れ込んで頭の靄を払ってくれたわい。」
イリークとアリスは精神を操るような魔法をはじく魔道具を完成させていた。
王国の警備部を統括するシルヴェストル公爵の力を借り、国王並びにその側近、王宮の中枢に携わる者たちに腕輪型の魔道具をつけるように命じていた。
国王がシルヴェストル公爵から話をされたのは災害が起こり始める半年前だった。
おおよそ半年後から国中に災害が起こり始めるといわれた時は全く信じられなかった。
魔術師の家系であるグランジェ家の嫡男イリークが同席し、グランジェ家の一族の者が先見の力で判明したことだと断ったうえで、
「災害が頻発する事、人為的に引き起こされる可能性、エレンという隣国の聖女が関わっている可能性」
を奏上した。
公爵からはそれにより、ルーナ国を滅ぼそうとしているのではないかと告げられた。
先見の力がある魔術師とは聞いたことがない、にわかには信じられなかった。しかし少し思い当たることもあった。
「エルネスト。随分前だが、学園の狩りの遠征訓練を中止したことがあったな。」
「はい」
「あの時、あの狩りに参加予定だった王子も助かったのだ。護衛がいたところであの時の魔物の集団にはどうしようもなかったろう。あれは、お主が王子暗殺計画の情報を伝えてきたから中止にしたのだ。だが、実際は魔物集団発生だった。」
「・・・」
「あれも先見の力か」
「さようでございます」
「なぜ言わなかった。」
「イリーク殿の一族とはいえ、先見の力とはなかなか信じてもらえません。それに先見の力を持つものを公にはしたくなかったので」
イリークも横で頷く。
エルネストとイリークはアリスのことは公表しないことに決めた。いもしない先見能力者をしたて、予言とした。
狩りの中止の時はただアリスの存在を知られないで済むようエルネストが知恵を絞った結果だったが、それが功を奏し、今回の話も国王は半信半疑ながらもそれらに対応することを決めた。ただし人手は割けない、少数で対応するよう命が下った。二人にとって望むところだった。
「あの腕輪がなければわしは操られていたかもしれん。魔術宮の魔術師たちが土地に呪いをかけた可能性があるなどと妄言を吐きおった。だが、それだけでは罪に問うことはできん、証拠もないしな。腕輪がなければわしは魔術師たちをとらえていたやもしれん。そなたらのおかげで助かった」
「しかし、今までの災害が魔術宮の魔術師達が起こしたと王宮内のみならず、街でも噂になっているようです。確かに全員に腕輪がいきわたってはおりませんが」
宰相は眉をひそめる。
「相手も重要人物以外一人一人に精神干渉をするような手間はかけないでしょう。おそらく、彼らからの差し入れに魅了や催眠剤などが混入されていたかと」
「恐ろしいことを…」
「ですが、それも見越してあの日、宴会場の料理に解毒剤となる薬草を使用しておりました。記念の品だと渡した焼き菓子にも入れてあります。おそらくたまたまそれらを食べなかった人々が彼らの言い分を信じ、そこから市井に広まったのでしょう。」
知らされていなかった国王と宰相は目を瞠った。
公爵家長男クリストフの薬草研究が役に立ち、手配をしていたのだ。
先手先手を行く公爵の手腕に唸った。味方にいるとこれほど心強いことはない。
「そこまで手をまわしてくれていたか、さすがだな公爵。」
「いいえ、すべてイリーク殿のおかげでございます。それに世間に噂が広がるのは構いません。陛下や中枢のものがわかっていれば問題はないかと。」
「それはそうかもしれぬが・・・次はどういう手を打ってくるかだ。」
公爵とイリークがアリスから聞いた話では、イリークが拘束され処刑されるはずだった。しかし未来が変わった、国王はじめ主たるものたちが魔術師たちを疑うことはなかった。
呪いを使役できるということから魔術師が疑われても仕方のない状況ではあったが、少なくとも盲目的に断罪されることはなかった。
アリスの話から、過去世の人々が操られていた可能性を考慮し、それにも出来うる限りの対策をしていたのが功を奏した。
「先見でわからぬか?」
「はい、先見の未来が変わっております。これからのことはわかっておりません。」
「そうか。そういえば、公爵。エル殿のことだが。」
「・・・・はい。」
「女神とも呼ばれるほどの魔術師ならばこの度のこと何か知っているのではないのか?そなたと行動を共にしているのであろう?かたくなに存在を隠そうとしているが先見の主はエル殿ではないのか?」
「まさか。違いますよ。エルにはそんな力はありません。それに女神とはおおげさな。」
「切断された足を戻す奇跡は女神の御業としか思えんわ。」
「大げさに話が伝わってしまったのでありましょう。ともかく、エルはまだ子供です、治癒魔法が少々使える程度です。ですが傷ついた人の力になりたいと精一杯がんばった彼女をそっとしてやっていただきたい」
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