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第1部 示される能力(ちから)
24 襲撃者の正体
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煌一が龍弥を覗き込み、声をかける。
「タツヤ、起きて来い。もう心配ない」
けれどすぐに首を横に振る。
「ダメだ、少しも応えがない」
そして雷雅に視線を移した。
「ライガ、おまえ、随分とコイツに信頼されているようだな」
「えっ?」
「ひなたはおまえが陽の一族だからと受け止めたようだが、俺は違うことを考えている」
「コーちゃんは解術者設定だと?」
ひなたが横から入る。
「ライガの力はまだ目覚めていない。陽の力が発揮されるかどうかは未知数、そんな危ういものをタツヤが頼ると思えない。それ以前に、俺がどれだけ深く呼びかけても反応しないといんだから、設定した解術者以外には反応しないと考えたほうがいい」
「襲われた時、タツヤはライガたちのところに行くつもりだった。だからライガを思いついた?」
「そうだとしても、信頼していない相手を選んだりはしない」
「でも、もしそうなら――」
煌一とひなたのやり取りに、雷雅がついを口を挟む。
「タツヤが一番信頼しているのは僕じゃない。ユウキだ」
「ユウキ?」
「うん、タツヤを僕らの仲間に引き入れたのはユウキだから。タツヤが信頼しているとしたら、僕じゃなくユウキだ」
真面目な顔で説明する雷雅を煌一がクスリと笑う。
「あいにく、タツヤは坊やたちの友情ごっこで判断を違えたりしない――まあいい、ライガ、タツヤに声をかけて起こしてみろ」
「いや、僕は……」
そんな重大なこと、できない。もしそれで龍弥が起きなかったら? そんな雷雅の不安を察したのか、ひなたが軽く肩を叩く。
「タツヤに戻ってきて欲しくはないのか? それを素直に伝えればいいだけだ。素直なのはライガ、おまえの取り柄だろ?」
煌一がベッドサイドを雷雅のためにあけた。
近寄って、改めて龍弥を見る。本当に眠っているだけか? 息をしているように見えない。思わず雷雅が龍弥の頬に触れる。暖かい。ならば生きている。
(タツヤ! もう、出てきて大丈夫だ。ここは安全だ)
心の中でそう叫び、それに雷雅自身が驚く。なぜそう思った? ここは安全?
「あ……」
狼狽えながらも龍弥から目が離せなかった雷雅が、さらに動揺する。龍弥の頬に触れる自分の手を包み込む手があった。龍弥の手だ。
「ライ……無事でよかった」
かすれ気味の龍弥の声、次いでゆっくりと瞼があげられ、龍弥の瞳が揺れて雷雅を探す。
「こんな近くで誰かの顔を見るのは初めてだ」
うっすらと龍弥が笑みを浮かべ、雷雅の手を包んでいた手で今度は雷雅の頬をゆっくりと撫でた。
「おまえ、なんで泣いてるんだ?」
龍弥が不思議そうに雷雅を見詰めた――
身体から意識を隔離していたんだ、すぐには動くな……と煌一に言われ、龍弥はそれからしばらく眠った。
「それにしても犯人は、なぜ龍弥を連れ去っていかなかったんですか? 連れて行って目覚めさせればよかったんじゃ?」
雷雅の疑問を煌一が鼻で笑う。
「連れて行っても誰にも龍弥は起こせない、それがヤツ等には判っていた」
「やっぱり僕じゃなきゃ起こせなかった? てか、僕、何もしてない。何も言ってない」
「おまえ、タツヤに触れたよな?」
「うん、触った。暖かくって、生きてるって安心した。それで……」
不安気に雷雅が煌一を見る。
「それで……なんでそう思ったか判らないんだけど。でも、気が付いたら心の中で、出てきて大丈夫、ここは安全だって龍弥に呼び掛けてた」
「なんだ、ちゃんとやってるじゃないか――龍弥にはそれが聞こえたんだ」
「声に出したわけじゃないし。僕、テレパシーなんか使えない」
「テレパシーとはちょっと違うが……自分で使えないと思っているだけだ」
「え……」
「自覚して使えるようになるには少し訓練が必要なようだな。ひなたに教えて貰え」
夕飯はマスターが雷雅の部屋まで運んでくれた。今夜は青椒肉絲と中華粥だ。龍弥も起こされたが、用意されたのは粥だけだった。
「マスターが粥にしたのは龍弥のためだろうけど、まさか付き合わされるとは思ってなかった」
不満そうな煌一、
「コーちゃんは白飯、好きだもんね」
ひなたが蓮華に掬った粥をフーフーしながら笑う。
「マスターは粥好きのひなたのために、全員粥にしたんだ――青椒肉絲には白飯があう。ライガ、おまえもそう思うだろ?」
「うーん、どうだろう? それより龍弥はお粥だけなのに、なんか悪く感じる」
雷雅の答えにニヤリと煌一が笑う。そして小声で、
「遠慮は無用さ、タツヤはピーマンが食べられない」
煌一が暴露し、龍弥が真っ赤になった。
「煌一さん!」
「ほほう、元気が出てきたな。食事が終わったら話を聞こうか」
デザートは杏仁豆腐、飲み物は烏龍茶と、今夜のマスターは中華で統一したかったようだ。杏仁豆腐は龍弥にも配膳された。飾られたサクランボを煌一はひなたの鉢に移し、ひなたが嬉しそうな顔をしたのを雷雅も龍弥も見ないふりをしていた。
「後ろから車が来ていることには気が付いていました」
食事が終わってマスターが食器を下げ終わると、煌一に促されて龍弥が襲撃の様子を話し始めた。
「あの時、日差しは前方から差し込んでいたのに車の影が車道から歩道に伸びてきたんです。影の仕業だ、一瞬で判った。自分の影を飛ばして回避しようとはしたんだ」
だけど車の速度には負けてしまった。ヤツ等はすぐに俺の影を捕らえ、影ごと俺を車に引き寄せた。
「なんのつもりだ? 俺の抗議にヤツは言った。聞きたいことがある――」
何も考えずに意識を隔離した。何か考えれば読み取られる、そう思った。あの影は煌一さんと同じくらいの力があった。
「俺と同じくらいの力? そうなると限られてくるが……」
煌一の疑問に龍弥が答える。
「それが――我らが把握している影ではなかったかと」
「間違いないのか?」
「神影・炎影・月影の実力者の誰か、という事はありません。彼らのことは嫌って言うほど知っています」
「うん。だが、それ以外となると随分と厄介だな」
「申し訳ありません。相手すら特定できないなんて」
「まぁいい、炎影と月影にはそれとなく探りを入れてみる。新たな勢力だとしたら、そこから脱落したか追放された誰かだ――それよりタツヤ」
「はい?」
「なんで解術者をライガにした?」
「えっ?」
黙って話の成り行きを見守っていた雷雅の顔を龍弥が反射的に見て、雷雅と目が合う。煌一がもう一度龍弥に訊いた。
「俺が解術しようとしても全く反応しなかった。なのに雷雅はあっさりとおまえの術を解いた。解術者をライガに設定したんだろう?」
「判りません」
雷雅から視線を煌一に戻し龍弥が言う。
「いえ、確かにライを解術者に施術しました。こいつが欲しい情報はきっとライガのことだ。だからライガのことを考えちゃいけない。でも……解術者はライじゃなきゃダメだと思いました。ライガなら間違いない、そう感じたんです。問題でしたか?」
「いや、なぜだろうと思っただけだ。気にするな」
煌一の手が胸ポケットを探ろうとして、元に戻る。きっとタバコが吸いたいんだ、雷雅がそう思っていると煌一が立ち上がった。
「今日の事は判った。なにか思い出したら、その時はまた報告しろ――少しマスターと話してくる。ひなた、あとは任せた」
「マスターと話した後は?」
ひなたに答えず煌一は龍弥に言った、
「今日からこの部屋に住め。明日、向こうの部屋からおまえの荷物を運ぶ。雷雅も異存ないな?」
龍弥の答えも雷雅の答えも待たずに煌一は勝手口から出て行こうとする。追い縋ったひなたに煌一が何か耳打ちする。ひなたの顔がパッと輝いたのを雷雅は見ていた。
「タツヤ、起きて来い。もう心配ない」
けれどすぐに首を横に振る。
「ダメだ、少しも応えがない」
そして雷雅に視線を移した。
「ライガ、おまえ、随分とコイツに信頼されているようだな」
「えっ?」
「ひなたはおまえが陽の一族だからと受け止めたようだが、俺は違うことを考えている」
「コーちゃんは解術者設定だと?」
ひなたが横から入る。
「ライガの力はまだ目覚めていない。陽の力が発揮されるかどうかは未知数、そんな危ういものをタツヤが頼ると思えない。それ以前に、俺がどれだけ深く呼びかけても反応しないといんだから、設定した解術者以外には反応しないと考えたほうがいい」
「襲われた時、タツヤはライガたちのところに行くつもりだった。だからライガを思いついた?」
「そうだとしても、信頼していない相手を選んだりはしない」
「でも、もしそうなら――」
煌一とひなたのやり取りに、雷雅がついを口を挟む。
「タツヤが一番信頼しているのは僕じゃない。ユウキだ」
「ユウキ?」
「うん、タツヤを僕らの仲間に引き入れたのはユウキだから。タツヤが信頼しているとしたら、僕じゃなくユウキだ」
真面目な顔で説明する雷雅を煌一がクスリと笑う。
「あいにく、タツヤは坊やたちの友情ごっこで判断を違えたりしない――まあいい、ライガ、タツヤに声をかけて起こしてみろ」
「いや、僕は……」
そんな重大なこと、できない。もしそれで龍弥が起きなかったら? そんな雷雅の不安を察したのか、ひなたが軽く肩を叩く。
「タツヤに戻ってきて欲しくはないのか? それを素直に伝えればいいだけだ。素直なのはライガ、おまえの取り柄だろ?」
煌一がベッドサイドを雷雅のためにあけた。
近寄って、改めて龍弥を見る。本当に眠っているだけか? 息をしているように見えない。思わず雷雅が龍弥の頬に触れる。暖かい。ならば生きている。
(タツヤ! もう、出てきて大丈夫だ。ここは安全だ)
心の中でそう叫び、それに雷雅自身が驚く。なぜそう思った? ここは安全?
「あ……」
狼狽えながらも龍弥から目が離せなかった雷雅が、さらに動揺する。龍弥の頬に触れる自分の手を包み込む手があった。龍弥の手だ。
「ライ……無事でよかった」
かすれ気味の龍弥の声、次いでゆっくりと瞼があげられ、龍弥の瞳が揺れて雷雅を探す。
「こんな近くで誰かの顔を見るのは初めてだ」
うっすらと龍弥が笑みを浮かべ、雷雅の手を包んでいた手で今度は雷雅の頬をゆっくりと撫でた。
「おまえ、なんで泣いてるんだ?」
龍弥が不思議そうに雷雅を見詰めた――
身体から意識を隔離していたんだ、すぐには動くな……と煌一に言われ、龍弥はそれからしばらく眠った。
「それにしても犯人は、なぜ龍弥を連れ去っていかなかったんですか? 連れて行って目覚めさせればよかったんじゃ?」
雷雅の疑問を煌一が鼻で笑う。
「連れて行っても誰にも龍弥は起こせない、それがヤツ等には判っていた」
「やっぱり僕じゃなきゃ起こせなかった? てか、僕、何もしてない。何も言ってない」
「おまえ、タツヤに触れたよな?」
「うん、触った。暖かくって、生きてるって安心した。それで……」
不安気に雷雅が煌一を見る。
「それで……なんでそう思ったか判らないんだけど。でも、気が付いたら心の中で、出てきて大丈夫、ここは安全だって龍弥に呼び掛けてた」
「なんだ、ちゃんとやってるじゃないか――龍弥にはそれが聞こえたんだ」
「声に出したわけじゃないし。僕、テレパシーなんか使えない」
「テレパシーとはちょっと違うが……自分で使えないと思っているだけだ」
「え……」
「自覚して使えるようになるには少し訓練が必要なようだな。ひなたに教えて貰え」
夕飯はマスターが雷雅の部屋まで運んでくれた。今夜は青椒肉絲と中華粥だ。龍弥も起こされたが、用意されたのは粥だけだった。
「マスターが粥にしたのは龍弥のためだろうけど、まさか付き合わされるとは思ってなかった」
不満そうな煌一、
「コーちゃんは白飯、好きだもんね」
ひなたが蓮華に掬った粥をフーフーしながら笑う。
「マスターは粥好きのひなたのために、全員粥にしたんだ――青椒肉絲には白飯があう。ライガ、おまえもそう思うだろ?」
「うーん、どうだろう? それより龍弥はお粥だけなのに、なんか悪く感じる」
雷雅の答えにニヤリと煌一が笑う。そして小声で、
「遠慮は無用さ、タツヤはピーマンが食べられない」
煌一が暴露し、龍弥が真っ赤になった。
「煌一さん!」
「ほほう、元気が出てきたな。食事が終わったら話を聞こうか」
デザートは杏仁豆腐、飲み物は烏龍茶と、今夜のマスターは中華で統一したかったようだ。杏仁豆腐は龍弥にも配膳された。飾られたサクランボを煌一はひなたの鉢に移し、ひなたが嬉しそうな顔をしたのを雷雅も龍弥も見ないふりをしていた。
「後ろから車が来ていることには気が付いていました」
食事が終わってマスターが食器を下げ終わると、煌一に促されて龍弥が襲撃の様子を話し始めた。
「あの時、日差しは前方から差し込んでいたのに車の影が車道から歩道に伸びてきたんです。影の仕業だ、一瞬で判った。自分の影を飛ばして回避しようとはしたんだ」
だけど車の速度には負けてしまった。ヤツ等はすぐに俺の影を捕らえ、影ごと俺を車に引き寄せた。
「なんのつもりだ? 俺の抗議にヤツは言った。聞きたいことがある――」
何も考えずに意識を隔離した。何か考えれば読み取られる、そう思った。あの影は煌一さんと同じくらいの力があった。
「俺と同じくらいの力? そうなると限られてくるが……」
煌一の疑問に龍弥が答える。
「それが――我らが把握している影ではなかったかと」
「間違いないのか?」
「神影・炎影・月影の実力者の誰か、という事はありません。彼らのことは嫌って言うほど知っています」
「うん。だが、それ以外となると随分と厄介だな」
「申し訳ありません。相手すら特定できないなんて」
「まぁいい、炎影と月影にはそれとなく探りを入れてみる。新たな勢力だとしたら、そこから脱落したか追放された誰かだ――それよりタツヤ」
「はい?」
「なんで解術者をライガにした?」
「えっ?」
黙って話の成り行きを見守っていた雷雅の顔を龍弥が反射的に見て、雷雅と目が合う。煌一がもう一度龍弥に訊いた。
「俺が解術しようとしても全く反応しなかった。なのに雷雅はあっさりとおまえの術を解いた。解術者をライガに設定したんだろう?」
「判りません」
雷雅から視線を煌一に戻し龍弥が言う。
「いえ、確かにライを解術者に施術しました。こいつが欲しい情報はきっとライガのことだ。だからライガのことを考えちゃいけない。でも……解術者はライじゃなきゃダメだと思いました。ライガなら間違いない、そう感じたんです。問題でしたか?」
「いや、なぜだろうと思っただけだ。気にするな」
煌一の手が胸ポケットを探ろうとして、元に戻る。きっとタバコが吸いたいんだ、雷雅がそう思っていると煌一が立ち上がった。
「今日の事は判った。なにか思い出したら、その時はまた報告しろ――少しマスターと話してくる。ひなた、あとは任せた」
「マスターと話した後は?」
ひなたに答えず煌一は龍弥に言った、
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