【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの

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最終章 町の名はパラフ。プラハじゃないです。……どう言う事?

7-4 大容量ゴキゴキじぇじぇジェット2回目の出番です。

「……父さん、それに母さんもどうしたんだよ!」

 ツランフが叫ぶ声が聞こえた。

「何かあったのかな?」

「もしかしたら二人して怪我して帰って来たのかも」

「確か俺の父さん達が帰って来る前もそんな事を言っていたよな? 父さん達は大した怪我じゃなかったけど」

 そう言いながらも、フランツは心配しているんだろう。

「……ちょっと様子を見に行こう」

 フランツが部屋を飛び出して行く。

「おい、置いて行くなよ」

 慌ててフランツに続く。……それは予想出来た事だけど、玄関先には血だらけになった、ツランフの両親が立っていた。

「ねぇ、ツランフ。この人達は?」

 ツランフの母親がハンカチで顔を押さえている。父親の方はさらに酷い怪我を負ったのか、頭から被ったタオルを真っ赤に染めている。

「一体、何があったんだよ?」

 ツランフが出した大きな声に、体がビクリと跳ねる。これはハル君が言っていた事態と同じじゃないんだろうか? ハル君の小説は今、どうなっているんだろう? とりあえずハル君に聞いてみよう。……ポケットのスマホに手を伸ばす。

「なぁ、父さん、母さん。こんな血だらけになって、一体、何があったんだよ」

 ツランフの声が一段と大きくなる。

「広場でちょっと……」

「いや、何でもない。気にするな」

 ツランフの父親が、母親の言葉を遮っていた。

「広場なんだな。分かった」

 玄関先の二人を払って、飛び出そうとするツランフ。

「ツランフちょっと待って。俺とイスケも一緒に行くよ」

 フランツが続こうとする。……それはいいんだけど、何で俺まで一緒に? もしハル君が書いた通りだったら、広場には巨大ゴキブリがいて、退治する羽目になるんですけど。しかも退治した後に巨大ゴキブリと一緒に葬られるんですけど。

「ツランフもフランツもちょっと待って。……広場には巨大ゴキブリが何匹も現れてるはずなんだけど」

「あなたどうしてそれを知っているの?」

 ツランフの母親にただされる。

「……それは、何となくですけど。それよりお二人は巨大ゴキブリに襲われて怪我したんですよね?」

 ツランフの母親が何かを言いたそうに、父親の方へと目配せしている。父親は父親で諦めたような表情を見せ始めた。

「ツランフ。広場には危ないから行くんじゃない。今、その人が言った通りだ」

 その人? あ、俺の事ですね。

「……父さんと母さんは、広場で巨大ゴキブリに襲われて怪我をしたんだ。町の人も皆んな逃げ出したよ。……いや、カルレだけは逃げ遅れたが仕方ない。皆んな自分の事で精一杯だったんだ」

「え? カルレが?」

 ツランフの顔から血の気が引いていく。……カルレって言うのは、ツランフの親しい人なのか? ん? カルレ? え? もしかしてカレルの事じゃないよね? カレルは、そうだ。カレル・チャペックだ。

「なぁ、ツランフ。そのカルレって言うのは、少年だったりするのか?」

「ああ。そうだよ。カルレ・チャクッペの事だ。今、地方の町からこのパラフに遊びに来ているんだ」

 その時だ。フランツの顔からも血の気が引いていくのが分かった。

「フランツ、大丈夫か?」

「……なぁ、イスケ。カルレ・チャクッペって言うのは、俺が知るカレル・チャペックの事なのか?」

「ああ。多分そうだと思う」

「それなら、助けに行かなきゃ。巨大ゴキブリがいる広場に取り残されているんだろ? 何としても助けに行かなきゃ」

「フランツも一緒に来てくれるのか?」

「ああ、もちろんだ」

 あーーーーーー。二人で話をまとめないでくださいーーー。

「なぁ、イスケ。こないだのプシューを沢山出してくれよ」

 大容量ゴキゴキじぇじぇジェットですね。在庫あるだけ渡しますよ。

 えーっと。あら、まだ13本も在庫が残っていたんですね。……はい、はい。全部買いますよ。はい。

「……フランツ。大容量ゴキゴキじぇじぇジェットだ。全部持っていけ! それとこないだも言ったけど、絶対人に向けるなよ」

「ああ、分かってるって」

「それと俺はここで待ってるから」

「え? 何で一緒に行かないんだよ!」

「それは……。俺が広場に行くと死んでしまうんだよ。フランツだって俺が死ぬのは嫌だろ?」

「それは嫌だよ」

「んじゃ、二人で行ってこい!」

 フランツとツランフの二人を見送る。考えてみれば、広場に行かなければ、巨大ゴキブリ退治に行かなければ、俺が葬られる事はない! もっと早く気付けばよかった。
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