うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの

文字の大きさ
27 / 68
第四章 孫を追いかけタターニャの町で御座います。

4-3 赤ちゃん誕生で御座います。

しおりを挟む
「探偵さんよぅ。これは一体、何の卵じゃ?」

「さあ、何でしょうね。私も見た事がありません」

 探偵さんでも分からないのであれば、私共に分かるはずは御座いません。

「……この卵、食っていいにゃ?」

 そう言いながら、パンさんが、卵を持ち上げようとしています。……その時、私、思ったんです。ドラゴンさんの話を聞いていたので、もしかしてドラゴンさんの卵じゃないかって。

「ダメです。パンさん。食べちゃダメです。食事なら、私が美味しい物を作りますから」

 もしドラゴンさんの卵なら、大変です。卵があると言う事は、母親が居ると言う事です。……もし私が、自分の子を食べられたらなんて、考えただけで、ゾッとするはずです。

「ダメにゃー?」

「はい、ダメです。この卵は私がお預かりさせていただきます」

 私、卵を抱えようと、しゃがんでみました。よっこいしょ。……あら、重い。もう一度です。よっこいしょういちさん。と、あら、無理で御座います。重くて卵は持ち上がりません。

「光江さん、お手伝い致しましょうか?」

 探偵さんに感謝です。私1人の力では、ニッチもサッチもいきません。

「……ありがとうございます」

 そう探偵さんにお礼を申し上げた時で御座います。カツンと、小さな音がしたかと思ったら、卵にヒビが入ったではありませんか。……もしかして、ここで孵化ふかすると言うのでしょうか。

「あら、大変です。卵にヒビが入りました。道の真ん中では何ですから、脇の方へ移動させましょう」

 皆さんの手を借りようと、声を掛けている間にも、ヒビは見る見る広がっていきます。……まぁ、どうしましょう。こんな道の真ん中で産まれてくると言うので御座いますか。何故だか、私が道の真ん中でお産をしている気分で御座います。

「何が産まれるんじゃ?」

 じぃじは相変わらず呑気で御座います。確か私が息子を産んだ時も、飄々ひょうひょうとしておりました。分かっております。じぃじはそんな人なんです。そんな掴みどころのない所が愛おしいのですが。

「……飛び出してくる前に、あっちへ移そう」

 探偵さんとレオンさんが、2人かがりで卵を道端の草むらへと移してくださいました。もし突然、飛び出してきても柔らかい草の上なら、安心で御座います。

 バキッ、バキバキッ。一気に卵が割れ、羽毛でしょうか、薄茶色の産毛うぶげが見えてまいりました。えっ? 鳥の赤ちゃんですか? 卵から飛び出した、その個体は羽を広げたようです。……あっ、まだ目は開いていないようですが、お顔がどこか分かりました。

「光江さん、危ない!」

 探偵さんの声と同時。産まれたばかりの赤ちゃんが私の胸に飛び込んでまいりました。あら、クリクリして、何て可愛らしい目でしょうか。さっきまで開いていなかった目が今はパッチリです。

「光江さん、大丈夫ですか?」

「ええ、私は何ともありませんが、……この子はもしかして?」

「ええ、そうですね。小さいながらも翼もありますし、2本の足で立てるようですし。……多分、ワイバーンの仲間だと思います」

「ワイバーン? ですか?」

「ああ。ドラゴンの一種です」

 やっぱりドラゴンさんの赤ちゃんだったのですね。それよりも一安心です。赤ちゃんなら、じぃじに退治される心配はありませんもの。……それにしても、何て可愛らしい赤ちゃんで御座いましょう。

「ああ、そうそう」

 赤ちゃんと言えば、ミルクで御座いますね。牛乳なんて飲むかは分かりませんが。アイテムボックスさん、召喚。で、御座います。

「……ばぁばや。そのドラゴンのチビをどうするつもりじゃ?」

 じぃじで御座います。どうするか? なんて、聞いてくると言う事は、退治するつもりはないのでしょう。

「どう致しましょうか? ですが、赤ちゃんですから、母親がいるはずです。この子の親を探しながらタターニャの町を目指すと言うのはいかがでしょう? この道中で昨日、ドラゴンが現れた情報がと、探偵さんもおっしゃっていましたし」

 あら、そんな事を話しながらも、ドラゴンさんの赤ちゃんにミルクを与えておりましたら、目を細めて美味しそうに飲んでいるじゃありませんか。……なんて微笑ましい事でしょう。私まで幸せな気分にさせてくださいます。やっぱりどんな生き物も、赤ちゃんは本当に可愛いらしいものですね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾
ファンタジー
 子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。  女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。 「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」 「その願い叶えて差し上げましょう!」 「えっ、いいの?」  転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。 「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」  思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

処理中です...