ひとりの獣人と精霊

わんコロ餅

文字の大きさ
12 / 66
追憶

道中

しおりを挟む
何処か遠くの方から土煙を上げて何かがぎんたに向かってくる

ドドドッ

エメレッタの目でそれを捉えると思わず、口から「えっ!?」と驚きの声が溢れ出した

「ドドドッ」

「にゃ?来たかにゃ」

「ドドドッ」

「ぎ、ぎんたさん・・・こちらは?」

エメレッタはチラチラと尻目に確認しながらぎんたに尋ねる

「にゃ?こいつかにゃ?ケンホースって言う奴にゃ」

「・・・けんほーす?」

初めてみるその姿はドーベルマンの凛々しい顔で身体は馬になっている

体毛は黒色と茶色のコントラストが印象的で長い尾際立つ

「ドドドッ!」

「で、でも、なんか・・・ドドドッて」「ケンホースうるさいにゃ!」

エメレッタの言葉に被せてケンホースを注意するぎんた

「くぅ~ん」

明らかにへこむケンホース

「な、なんか可哀想ですよ?」

エメレッタの言葉に目をキラつかせるケンホース

「そんな事にゃいにゃ!」

「えぇ・・・」

ケンホースに対してぎんたの塩対応に驚くエメレッタ

「あっ紹介するにゃ!ケンホースって言って精霊仲間にゃ!」

右手をケンホースに向けて紹介するぎんた

「ヒヒィーン!」と嬉しそうにするケンホース

「よろしくお願いします?」

「こいつ、人を乗せるのが好きな奴だから運んでもらったら良いにゃ!」

「・・・な、なるほど」

なぜ、最初から呼ばなかったんだろ?と一瞬考えてしまったが、それは胸の内に秘めようと感じたエメレッタだった

「じゃ、頼んだにゃ」

「ヒヒィーン!」と呼応したケンホースは膝を曲げ頭を垂れて2人が背に乗りやすい体制をとる

「あ、ありがとうございます!」

ぎんたは慣れた様子でエメレッタは恐る恐るゆっくりとケンホースに体を委ねる

ケンホースは2人が乗った事を確認すると姿勢を戻して報告すべくアーサット王国へと足を向けて走り出す

背に乗せた2人を気にかけて最初はパカラパカラッとゆっくり歩み徐々に速度を上げていく

そこから感じるに知性の高い優しい精霊だとエメレッタは思わされる

「ふぅ、疲れたにゃ」

目的に向かう道中、ケンホースの乗り心地が良いためなのか、気持ちが緩んだのかは定かではないが、ぎんたは本音をポツリと溢す

「そうですね・・・さすがに危なかったですもんね。」

ぎんたの独り言に釣られエメレッタも話し始め・・・

「そうにゃ!ラビリンスエッタ様にしごかれたとは言えまだまだエメレッタは未熟者にゃ!」とぎんたは前方を見つつも話を続ける

「ラクシスさんが時の神様に連れ去られた後、何年も修行しましたよね・・・」

エメレッタは目を細め思い出す

「そうにゃね~エメレッタは最初、ぎんたすら呼べなかったからにゃ~」

ぎんたも思い出しながら語る

「うぅ、それは申し訳ないです。今も小さいままで・・・」

少し申し訳なさそうにするエメレッタ

「それは仕方がないにゃ!ぎんたをフルサイズで維持できるのはラクシス様くらいにゃ」

ニャハハハと笑うぎんた

「そ、そう言ってもらえると助かります。」

「でも精進はするにゃ!」

「は、はい。そうですよね・・・」

「あっそろそろ見えてきたにゃ!」

ケンホースの前に跨るぎんたは前方に指を差し後ろにいるエメレッタへ教える

「え?あっ本当ですね!何だか懐かしいですね?」

「まぁ確かに死に掛けたから余計そう感じるにゃ!」

「そ、そうですよね・・・ま、まぁとにかく報告に向かいましょう?」

エメレッタはそうぎんたに話すと報告の為、アーサット王国へと向かうのであった

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...