ひとりの獣人と精霊

わんコロ餅

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生命との狭間

生態系

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活発するマグマの中からチラッと見える浅黒い物はヨットの帆に良く似た形をしていて浮き上がっては潜りを繰り返している

「な、何ですかね?」

恐怖で動けずにいるエメレッタはぎんたに尋ねる

「し、知るわけないにゃ・・・」チラッ

ガンフゥを確認すると早く来いとジェスチャーしている

「えぇ・・・」

恐る恐る震える足で一歩一歩進めるエメレッタ

どんっパラッ

「にゃ!?あ、危にゃいにゃ!エメレッタ!ちゃんと前を見てほしいにゃ!!」

必死な表情で訴えるぎんた

「す、すいません。前を見れてなかったです。」

チキンっぷりを示す2人

臆病風を吹かせつつ、震える足をガンフゥの待つ場所へと進める

怖いもの見たさなのだろうか、見てはいけないとは理解しているのにも関わらず、視線は自然に下へと傾く

ザバァッと気持ちよさそうに回遊する背ビレが見える

「ふぉぉ・・・」

ザポンッと1匹が潜水し、勢いよく飛び上がる

「あれ??さ、サメ???」

エメレッタは目を疑った

自身の知るサメではないからだ

エメレッタの書物を漁った記憶にあるサメは海という場所に生息していて視力が悪く獰猛な性格をした肉食の魚という事

「にゃ?エメレッタにゃに言ってるにゃ?」

聞きなれない言葉に聞き返すぎんた

「書物で見た魚によく似ているんですよ・・・ただ、あんなに岩石を付けてませんが・・・」

魚影を確認するエメレッタ

「にゃんでもいいからさっさと進むにゃ!ここを抜けなきゃ落ち着けにゃいにゃ!!」

ぎんたの言葉にそれもそうだと納得するエメレッタ

2人が思った以上の不安定な足元に気持ちと身体は震える

進むにつれて空気感と下にチラつく魚影がさらに恐怖を抱かせる

「ふぅ、無事に着けて良かったぜ!」

ガンフゥの待つ場所まで蝸牛かぎゅうの歩みながらも無事たどり着いた2人をガンフゥは両手を広げ出迎える

「もぉ、怖かったですよぉ~」

半ベソをかきガンフゥの胸に飛び込むエメレッタ

「おう、そうか、そうかそれは悪かったな!」

ヨシヨシとエメレッタの頭を撫でるガンフゥ

「そうにゃ怖かったにゃ!いくらぎんたでもあんなところに落ちたら終わりにゃ!」

文句を言うぎんた

「ガハハハッ、悪いな!俺は慣れているから気にしていなかったぜ。」

豪快に笑い気にする様子もないガンフゥ

「さぁ、ここを過ぎちまえば、もうすぐよ!」

笑顔で話すガンフゥ

「えぇ・・・す、少し、少し休みましょうよ?」

「そうにゃ!ぎんたも休みたいにゃ!」

エメレッタとぎんたはガンフゥに休みを要求する

「いや~そりゃいいけどよ。この辺りはまだ危険な生物が多いんだぜ?さっきの溶鮫ヨウキョウもそうだが、ここいらは溶岩猿ラヴァエイプの縄張りだ。ちと、危険すぎる。」

険しい表情をするガンフゥ

溶岩猿ラヴァエイプですか!?」

「にゃ??」

聞きなれない2人は聞き返す

「とにかく、進みながら話そう」

ガンフゥは目的地を指差して2人を促す

溶岩猿ラヴァエイプは濡らした体毛に火山灰などを絡ませ鎧のように纏うのが特徴の凶暴な生物んだ。」

冷や汗を掻き表情がピクピクと引きつるガンフゥ

「にゃ!?とんでもない奴がいる所にゃ・・・」

あんぐりを開けるぎんた

「しかも、奴らは群れで生活してるからここからは大人しく静かに進もう」

ガンフゥは口元に人差し指を当て2人に示す

「は、はい。分かりました。」「わ、分かったにゃ」

ごくりと喉を鳴らし頷くエメレッタとぎんた

ガンフゥは2人の反応を確認してゆっくり先導を切る

溶鮫ヨウキョウが泳ぐ地帯を越え溶岩猿ラヴァエイプが縄張りとされる場所を3人は慎重に歩を進める

ゆっくりと確実に目的地へ向かう3人の少し前方に何か小さな物が見える

「な、なんだあれ?」

「にゃ?」

「なんですかね?」

ガンフゥ、ぎんた、エメレッタの前に現れたのは子ゴリラによく似た生き物だった

「ま、まずい・・・溶岩猿ラヴァエイプの子どもだ。・・・このまま、避けて通るぞ」

気まずい表情をしたあと考慮し答えを出したガンフゥ

「え?でも何かケガをしているようにも見えますよ?放っておくのですか?」

「にゃ?助けたらまずいかにゃ??」

意外な答えに驚くエメレッタとぎんた

「あ、あぁ・・・変に関わって襲われるよりマシだ。」

苦虫を噛んだような表情をするガンフゥ

「しかし・・・可哀想ですよ???」

見て見ぬふりができないエメレッタ

「あー良いにゃ!ぎんたが勝手に助けるにゃ!」

2人の会話に呆れたぎんたは独断で溶岩猿ラヴァエイプの子どもの元へと走り出し小さな鞄の中から傷薬を溶岩猿ラヴァエイプの子どもにぶっかけた

「なっ!?おい!!勝手な事をするんじゃね!」

ぎんたの身勝手さに慌てるガンフゥ

「「ギィ!!キィィイ!!!」」

ぎんたに傷薬をぶっかけられた子どもは動揺して助けを呼ぶように大声で鳴く

「や、やべぇぞ・・・こりゃ」

慌て混乱するガンフゥ

「にゃ!?どうしたにゃ!?」

子どもを助けたぎんたも予想外の反応に驚く



遠くから溶岩猿ラヴァエイプの咆哮が聞こえる

「え!?ぎ、ぎんたさんやばいですよ!?」
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