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第2缶
5ー1シナリオ
しおりを挟む私は確か
幻惑魔術と支援魔術・・・それにアリガへ集中していた・・・はず。
・・・人族たちは幻惑魔術にかかっている。
間違いない。
しかし、なんだこの痛みは・・・背部に味わったことのない激痛が走る。
ふと、両手で確認すると腹部に真っ赤に染まった鋭利な物が出ており、だんだん全身の力が失われていく。
ボタッボタッ
「ぷぷぷ、クククッ」
とニヒルに笑う。
その声は・・・先ほどまで一緒に支援魔術を展開していた、ヒューリス?
「あれぇ?知将殿、状況把握できてない感じですか~?」
ジャラッ
「これ、なんだと思います?」
そ、それは・・・
「そうです、これはアリガの妹の形見である指輪です。」
なぜ、貴様が!?
「不思議ですね~?でも思ったより知将殿、察しが悪いのと違いますか~?」
いや、指輪を見た瞬間察しは付いていたが、どこかで認めたくない私がいた。
「まぁこれから死んでゆく知将殿には関係ないかも知れないけど、今回の救援要請と来るはずのない勇者パーティ・・・偶然にしては出来過ぎましたね?」
そこまで言われたら誰でも察しがつく。
死んだアリガの妹の形見に城内ヒューリスと出会った私
今まで救援要請をすることの無かったアリガ。
城内で感じた違和感のひとつひとつが丁寧に紡ぐように繋がっていく。
「そう、私は魔王への恩より人族につく事を選んだんです!宝珠で人族になる為、近づいたんですよ?」
裏切られた憎悪と激痛よりも哀しみの方が大きい・・・。
どうしてこういう事になってしまったのかと
「さぁて実に愉快なひと時かな!あの憎き知将が朽ちるとは!この傷も癒されようぞ!」
と重戦士も加わり、かつて私が負わせた傷を見せて勝ち誇ったように笑う。
「あらっ未だにそんな傷、気にしてるのかしら?重戦士のくせに!」
小馬鹿にした態度で重騎士を小突く魔導士。
「五月蝿い!普段ならこんな卑怯な奴なんかに傷付けられることはないんだ。」
「どうかしらね~?」
「2人とも良さぬか!」
と止めに入る僧侶。
「・・・アル。」
明らかにおかしな様子のアリガ。
「おやおや~?他の事に気を取られ過ぎじゃないですか~?」
「な、何を行っている!?今回、救援要請さえ出したら妹の仇を教えて・・・ゴフゥ」
ザシュッ
「やっぱりダメ、ダメダメですね~脳筋は!そこまで鈍感だとつまらないですよ?」
「や、やはり貴様かぁ!!」
「そうです、仇が見つかったんじゃなくて最初から私の計画通りなんですよ?アリガさん」
「ク、クソガァア!!」
力を振り絞り大剣をヒューリスに向けて振り下ろ
ザシュッ
ザシュッ
「阿呆が!こいつは嫌いだが、王に殺すな言われてるんだ、そんな事させる訳がないだろ?」
「そう、まぁ私たちにとっては魔族が片付いたら何でもいいんだけどね!」
重戦士と魔導士がアリガを背後から突き刺す。
ごぷっ
「く、くそ!せっかく仇を見つけたと思った・・・のに、やはりどうであれ旧友を裏切っちゃ天罰も食らうわけだ・・・すまん、こんな俺を許してくれ」
溢れんばかりの涙が・・・血が、アリガの全てを語っている。
「さて、ここもお終いね。私たちも勇者と合流するわよ?」
「そうじゃな!まぁとは言っても、片付いているかもしれないがな!!」
「違いない!」
「「「ワハハハッ」」」
こうしてゴルグの渓谷での裏切りは歴史上、魔族の敗戦のみが刻まれた。
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