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第11章 魔法砲撃と乗客保護の選択
第11章 魔法砲撃と乗客保護の選択
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遠くから響いた汽笛の音は、勇樹たちに一瞬の希望を与えた。
しかし、その希望は次の瞬間、絶望に変わった。
ドォォォーン——
轟音と共に、巨大な魔法砲弾が空を切り裂いて飛来した。それは救援列車に向かって真っ直ぐ飛んでくる火球のような光弾で、周囲の空気を焼きながら突進してくる。
「魔導砲撃!」レオンが絶叫した。
勇樹は反射的に回避機動を取ろうとしたが、間に合わなかった。避難民を守るために低空飛行していた救援列車は、機動性を犠牲にしていたのだ。
魔法砲弾は列車の中央部に直撃した。
爆発の閃光が荒野を照らし、凄まじい衝撃波が大地を震わせた。救援列車は空中で大きく揺れ、黒煙を上げながら高度を下げていく。
「うわああああ!」
車内から悲鳴が上がった。避難民たちは座席から放り出され、壁に叩きつけられ、床に転がった。子供の泣き声と大人の怒鳴り声が入り混じり、車内は完全に混乱状態に陥った。
勇樹は操縦席で必死にハンドルを握りしめた。計器盤の半分が破損し、警告音が鳴り響いている。
「エンジン出力、急激に低下!」勇樹が報告した。
「浮遊機能も不安定です!」リリアが機関室から叫んだ。「魔導蒸気の供給系統に損傷があります!」
列車は地面すれすれまで高度を下げ、やがて不時着した。車輪が地面に接触し、激しい振動と共に停止する。幸い横転は免れたが、車体の損傷は深刻だった。
勇樹は慌てて立ち上がり、被害状況を確認した。
「皆さん、怪我はありませんか!」
車内を見回すと、多くの避難民が軽傷を負っていた。切り傷、打撲、捻挫——大けがではないものの、恐怖と痛みで青ざめている。
「ママが——ママが動かない——」
幼い男の子が泣きながら、意識を失った母親に縋りついていた。女性は頭から血を流しており、砲撃の衝撃で頭部を強打したようだった。
「急いで救護を!」ミナが駆けつけた。
しかし、車内の救護用品は砲撃で散乱し、まともに使えるものは僅かだった。
その時、列車の後部から重い足音が聞こえてきた。
「おい、大丈夫か!」
太い声と共に、ガンドルフ・アイアンハンマーが現れた。ドワーフの鍛冶師は全身煤だらけで、大きな工具箱を担いでいる。
「ガンドルフさん!」勇樹が驚いた。「どうしてここに?」
「汽笛を聞いて駆けつけた」ガンドルフは工具箱を床に置いた。「案の定、えらいことになってるじゃないか」
「エンジンが——」
「分かってる」ガンドルフは既に損傷箇所を確認していた。「魔導砲の直撃で、浮遊石の制御系統がやられた。だが、完全に破壊されたわけじゃない。即席だが修理できる」
ガンドルフは工具を取り出し、破損した機械部分の点検を始めた。彼の動きは迅速で的確で、長年の経験に裏打ちされた技術力を感じさせた。
「どのくらい時間がかかりますか?」勇樹が尋ねた。
「最低でも十五分はかかる」ガンドルフは作業を続けながら答えた。「完全修理なら一時間は必要だが——」
その時、外から再び砲撃音が響いた。まだ敵は攻撃を続けているのだ。
「十五分も持ちこたえられるでしょうか」レオンが不安を口にした。
勇樹は窓から外を見た。黒甲冑の将軍は依然として破砕剣を構えており、周囲の先遣隊も戦闘態勢を維持している。さらに遠方からは、魔導砲を操る別の敵部隊が接近してくるのが見えた。
「状況は厳しいですが——」勇樹は振り返った。「やるしかありません」
その時、意識を失っていた女性が苦しそうに呻いた。頭部の出血が止まらず、顔色は土気色に変わっている。
「この人、危険です!」ミナが脈を確認した。「脳震盪を起こしている可能性があります。早急な治療が必要です」
「治療って——」勇樹は困惑した。「この状況で、どうやって——」
車内には医師もおらず、まともな医療設備もない。救護用品は散乱し、外では戦闘が続いている。女性を安全な医療施設まで運ぶには、まず列車を修理しなければならない。
しかし、修理には時間がかかる。その間に女性の容態が悪化する可能性があった。
「お母さん——お母さん——」男の子が母親の手を握って泣いていた。
勇樹は胸が締めつけられる思いだった。JR九州時代にも、同様の状況に遭遇したことがある。列車事故で負傷した乗客を、限られた条件の中で救護しなければならない場面が。
あの時、勇樹は何を最優先にしたか——
「ガンドルフさん」勇樹は決断した。「修理を続けてください。私は——」
「勇樹さん?」リリアが不安そうに見た。
「【乗客保護】を使います」
三人とも驚いた表情を見せた。
「【乗客保護】って——」ミナが確認した。「あなたの第四のスキルのことよね?」
「はい」勇樹は頷いた。「これまで一度も使ったことがありませんが、この状況では——」
「危険すぎます!」レオンが制止した。「未知のスキルを、こんな緊急時に——」
「だからこそです」勇樹は振り返った。「乗客の命が危険にさらされている今だからこそ、使うべきなんです」
勇樹の脳裏に、【乗客保護】のスキル説明が浮かんだ。『乗客の安全を絶対保証するシールド展開』——それは勇樹の持つ四つのスキルの中でも、最も重要な能力だった。
しかし、これまで使用したことがないため、どのような効果があるのか、どれほどの負荷がかかるのか、全く分からない。
それでも、使うしかなかった。
「野中さん——」ガンドルフが作業の手を止めた。「あんた、本当にやるつもりか?」
「はい」勇樹は迷いなく答えた。「救援列車の使命は、乗客を守ることです。どんな危険があっても、その使命を放棄するわけにはいきません」
意識を失った女性の息が、さらに浅くなった。このままでは、本当に命に関わる。
「お母さん——死んじゃやだ——」男の子の泣き声が、勇樹の心に響いた。
JR九州で働いていた頃、勇樹は常に乗客の安全を最優先に考えていた。時刻表よりも、利益よりも、自分の体調よりも——乗客の命こそが最も大切だった。
その信念は、この異世界でも変わらない。
「【乗客保護】、発動——」
勇樹は手を前に伸ばし、スキルの発動を試みた。すると、彼の体の奥底から、温かい光が湧き上がってきた。
それは【鉄道召喚】や【路線建設】とは全く異なる感覚だった。もっと深く、もっと根源的な力。勇樹の魂の奥底に眠っていた、人を守りたいという純粋な願いが形になったような——
光は勇樹の手のひらから放たれ、車内全体に広がっていく。負傷した女性を包み込み、泣いている男の子を包み込み、恐怖に震える避難民たちを包み込んでいく。
「これは——」リリアが息を呑んだ。
「すごい——」ミナも驚愛した。
光に包まれた瞬間、女性の出血が止まった。苦しそうな呼吸も安定し、顔色も徐々に回復してきた。他の負傷者たちの傷も癒され、恐怖に震えていた子供たちも落ち着きを取り戻した。
「お母さん——」男の子が母親の顔を覗き込んだ。
女性はゆっくりと目を開けた。
「大丈夫よ——ママはここにいるから——」
母と子の再会に、車内から安堵の溜息が漏れた。
しかし、【乗客保護】の真の力は、これだけではなかった。
光は列車の外部にも広がり、車体全体を包み込んでいく。透明なシールドのような結界が形成され、外部からの攻撃を完全に遮断する防護壁となった。
「信じられない——」ガンドルフが作業を止めて見上げた。「これほどの防御結界を、魔法なしで——」
外では黒甲冑の将軍が、再び破砕剣で攻撃を仕掛けてきた。しかし、【乗客保護】のシールドに阻まれ、攻撃は全く効果がない。
「何だこの結界は——」将軍が困惑した。
魔導砲の攻撃も、シールドの前では無力だった。どんな強力な攻撃も、乗客を傷つけることはできない。
「すごいわ——」ミナが感嘆した。「完璧な防御よ」
しかし、勇樹の表情は苦痛に歪んでいた。【乗客保護】の発動には、想像以上の負荷がかかっていた。全身から力が抜けていき、意識も朦朧としてくる。
「勇樹さん!」リリアが慌てて支えた。
「大丈夫——です——」勇樹は必死に意識を保とうとした。「この結界を——維持しなければ——」
【乗客保護】は強力だが、その分使用者への負担も大きかった。勇樹の生命力を消費して発動するスキルだったのだ。
【乗客保護】のスキルが完全に発動すると、救援列車全体が神々しい光に包まれた。
透明な結界は単なる防御壁ではなかった。光そのものが生きているかのように脈動し、列車の周囲を守護する天使の翼のように広がっている。結界の表面には複雑な魔法陣が浮かび上がり、あらゆる攻撃を無効化する完璧な防御システムを形成していた。
外では黒甲冑の将軍が再び破砕剣を振るったが、暗黒のオーラは結界に触れた瞬間に消散した。魔導砲の砲撃も、結界の前では花火のように散っていく。
「信じられない——」将軍の声に初めて動揺が混じった。「この結界、いかなる攻撃も通さない——」
魔王軍の先遣隊も困惑していた。これまで破れない防御などなかったのに、この光の結界だけは全く歯が立たない。
「将軍、どうしますか?」部下の一人が尋ねた。
「くっ——」将軍は歯噛みした。「一時撤退だ。この結界の正体を分析してから再攻撃する」
黒甲冑の軍勢は、不本意ながら後退を開始した。光の結界を前に、彼らにできることは何もなかった。
列車内では、避難民たちが奇跡に息を呑んでいた。
「すごい——本当にすごいわ——」回復した母親が涙を流しながら言った。「私、死ぬかと思ったのに——」
「ママ!」男の子が母親に抱きついた。「ママが元気になった!」
他の負傷者たちも、【乗客保護】の効果で傷が癒されていた。切り傷は消え、打撲の痣も薄くなり、心の不安さえも和らいでいる。
「この光——」老人の一人が呟いた。「まるで神様の御加護みたい——」
「救援列車って——」若い商人が感動して言った。「こんなにも私たちを守ってくれるのね」
しかし、光の結界を維持する勇樹の状況は深刻だった。
「勇樹さん——」リリアが青ざめた顔で支えていた。「顔色が——」
勇樹の顔は紙のように白く、額には大量の汗が浮いている。【乗客保護】のスキルは、使用者の生命力を直接消費して発動する技術だった。これほど大規模で完璧な結界を維持するには、想像を絶するエネルギーが必要だった。
「大丈夫——です——」勇樹は震え声で答えた。「まだ——まだ持ちこたえられます——」
しかし、その言葉とは裏腹に、勇樹の体は限界に近づいていた。立っているのがやっとという状態で、意識も朦朧としている。
「無理をしないでください」ミナが心配そうに言った。「結界は十分に強いから、少し力を抜いても——」
「だめです」勇樹は首を振った。「一瞬でも気を抜いたら——結界が——」
実際、【乗客保護】の結界は勇樹の意志力によって維持されていた。彼が意識を失えば、結界も消滅し、避難民は再び危険にさらされる。
ガンドルフは修理作業を続けながら、勇樹の状況を気にかけていた。
「あと十分——いや、八分あれば応急修理は完了する」ガンドルフが報告した。「それまで持ちこたえられるか?」
勇樹は答える代わりに、さらに強い光を結界に送り込んだ。外からの攻撃は止んだが、いつ再開されるか分からない。完璧な防御を維持しなければならない。
「勇樹さん——」レオンが決意を込めて言った。「私も手伝います。風魔法で結界を補強しましょう」
「私もです」リリアが魔導蒸気装置を取り出した。「魔導蒸気で結界にエネルギーを供給できるかもしれません」
「私たちも何か——」避難民の中から声が上がった。
しかし、勇樹は首を振った。
「だめです——この結界は——私でなければ——」
【乗客保護】は勇樹固有のスキルで、他者が介入することはできない。勇樹一人が全ての負荷を背負わなければならない宿命だった。
その時、結界の外で新たな動きがあった。
黒甲冑の軍勢は完全に撤退したわけではなく、包囲網を形成して様子を窺っていた。そして、遠方からさらに大型の魔導砲が運び込まれてくる。
「あれは——」レオンが望遠鏡で確認した。「超大型の魔導砲です。先ほどとは比較にならない威力の——」
確かに、運び込まれた魔導砲は巨大だった。車輪付きの大砲で、砲身には複雑な魔法陣が刻まれている。明らかに結界破りを目的とした特殊兵器だった。
「結界破砲」ガンドルフが作業の手を止めた。「あの大砲は、どんな防御魔法も貫通する。まずい——」
勇樹も外の様子を確認した。超大型魔導砲が照準を合わせ、砲身が不気味な光を放ち始めている。
「撃ってきます——」レオンが警告した。
勇樹は【乗客保護】の出力をさらに上げた。体の奥底から残された力を全て絞り出し、結界の強度を最大限まで高める。
「うぐ——」勇樹の口から血が溢れた。
「勇樹さん!」リリア、ミナ、レオンが同時に叫んだ。
しかし、勇樹は止まらなかった。JR九州で働いていた頃、過労で倒れるまで働き続けた時と同じように、限界を超えても職務を全うしようとする。
「乗客の——安全は——絶対に——守る——」
勇樹の決意が、結界にさらなる力を与えた。光はより強く、より美しく、より神聖に輝いた。
超大型魔導砲が発射された。
「結界破砲、発射!」敵の号令が響いた。
巨大な魔法砲弾が結界に向かって飛来する。それは先ほどの攻撃とは比較にならない威力で、空間を歪めながら突進してくる。
結界と砲弾が衝突した瞬間、荒野全体が光に包まれた。
爆発の規模は凄まじく、周囲の岩石を粉砕し、大地に巨大なクレーターを作った。衝撃波は数キロメートル先まで届き、森の木々をなぎ倒した。
しかし——
光が収まった時、救援列車は無傷のままそこにあった。
【乗客保護】の結界は、結界破砲の直撃を完全に防いだのだ。砲弾のエネルギーは結界の表面で完全に中和され、列車にも乗客にも一切の被害を与えなかった。
「不可能だ——」敵の将軍が絶句した。「結界破砲が通じないなど——」
車内では、避難民たちが安堵と感動で涙を流していた。
「守られてる——」
「本当に守られてる——」
「救援列車が——私たちを——」
しかし、勇樹の状況はさらに深刻になっていた。結界破砲を防ぐために消費した力は膨大で、もう立っているのも困難な状態だった。
「勇樹さん——」リリアが涙声で呼びかけた。「もう十分です。よく頑張りました」
「まだ——」勇樹は震え声で答えた。「まだ——敵が——」
その時、ガンドルフが大声で叫んだ。
「修理完了だ!」
ドワーフの鍛冶師は工具を放り投げて立ち上がった。
「エンジン再始動、浮遊機能復旧! いつでも離陸できるぞ!」
勇樹の顔に僅かな安堵の表情が浮かんだ。これで避難民を安全な場所まで運ぶことができる。
「それでは——離陸——」
しかし、勇樹が操縦桿に手を伸ばした瞬間、ついに力尽きた。
「勇樹さん!」
仲間たちが慌てて駆けつけたが、勇樹は意識を失っていた。同時に、【乗客保護】の結界も消失し始めた。
「結界が消える——」ミナが叫んだ。
「急いで離陸を!」レオンが操縦席に駆け寄った。
「私がやります」リリアが操縦桿を握った。「魔導蒸気で機関を制御できます」
救援列車は勇樹の意識が戻る前に離陸し、安全な高度まで上昇した。下では敵軍が追撃を試みたが、既に射程外だった。
「成功しました——」ガンドルフが報告した。「全員無事です」
車内では避難民が安堵の表情を浮かべていた。特に、命を救われた母親と息子は、勇樹に深い感謝を抱いていた。
「あの方が——」母親が意識を失った勇樹を見つめた。「私たちを守るために——」
「命を賭けて守ってくれたのね」息子も涙を浮かべた。
リリア、ミナ、レオン、ガンドルフは、勇樹を囲んで看病していた。
「すごい人ですね」レオンが感嘆した。「自分の命を危険にさらしてまで、乗客を守るなんて」
「これが勇樹さんの本当の強さよ」ミナが答えた。「魔法が使えなくても、誰よりも強い心を持っている」
「【乗客保護】——」リリアが呟いた。「人を救うことに全てを捧げる、勇樹さんらしいスキルですね」
ガンドルフは静かに頷いた。
「あいつは本物の救援者だ。技術や力だけじゃない。魂から人を救いたいと願っている」
救援列車は夕日を背に飛び続けた。勇樹の意識はまだ戻らないが、仲間たちの信頼と避難民の感謝に包まれながら、安全な避難所へと向かっていく。
【乗客保護】の奇跡は、勇樹という人間の本質を全員に示した。彼は単なる鉄道技術者ではなく、真の意味での救済者だった。
そして、この体験により、仲間たちの絆はさらに強固なものになった。どんな困難が待ち受けていようとも、彼らは勇樹と共に戦い続ける決意を固めたのだった。
しかし、その希望は次の瞬間、絶望に変わった。
ドォォォーン——
轟音と共に、巨大な魔法砲弾が空を切り裂いて飛来した。それは救援列車に向かって真っ直ぐ飛んでくる火球のような光弾で、周囲の空気を焼きながら突進してくる。
「魔導砲撃!」レオンが絶叫した。
勇樹は反射的に回避機動を取ろうとしたが、間に合わなかった。避難民を守るために低空飛行していた救援列車は、機動性を犠牲にしていたのだ。
魔法砲弾は列車の中央部に直撃した。
爆発の閃光が荒野を照らし、凄まじい衝撃波が大地を震わせた。救援列車は空中で大きく揺れ、黒煙を上げながら高度を下げていく。
「うわああああ!」
車内から悲鳴が上がった。避難民たちは座席から放り出され、壁に叩きつけられ、床に転がった。子供の泣き声と大人の怒鳴り声が入り混じり、車内は完全に混乱状態に陥った。
勇樹は操縦席で必死にハンドルを握りしめた。計器盤の半分が破損し、警告音が鳴り響いている。
「エンジン出力、急激に低下!」勇樹が報告した。
「浮遊機能も不安定です!」リリアが機関室から叫んだ。「魔導蒸気の供給系統に損傷があります!」
列車は地面すれすれまで高度を下げ、やがて不時着した。車輪が地面に接触し、激しい振動と共に停止する。幸い横転は免れたが、車体の損傷は深刻だった。
勇樹は慌てて立ち上がり、被害状況を確認した。
「皆さん、怪我はありませんか!」
車内を見回すと、多くの避難民が軽傷を負っていた。切り傷、打撲、捻挫——大けがではないものの、恐怖と痛みで青ざめている。
「ママが——ママが動かない——」
幼い男の子が泣きながら、意識を失った母親に縋りついていた。女性は頭から血を流しており、砲撃の衝撃で頭部を強打したようだった。
「急いで救護を!」ミナが駆けつけた。
しかし、車内の救護用品は砲撃で散乱し、まともに使えるものは僅かだった。
その時、列車の後部から重い足音が聞こえてきた。
「おい、大丈夫か!」
太い声と共に、ガンドルフ・アイアンハンマーが現れた。ドワーフの鍛冶師は全身煤だらけで、大きな工具箱を担いでいる。
「ガンドルフさん!」勇樹が驚いた。「どうしてここに?」
「汽笛を聞いて駆けつけた」ガンドルフは工具箱を床に置いた。「案の定、えらいことになってるじゃないか」
「エンジンが——」
「分かってる」ガンドルフは既に損傷箇所を確認していた。「魔導砲の直撃で、浮遊石の制御系統がやられた。だが、完全に破壊されたわけじゃない。即席だが修理できる」
ガンドルフは工具を取り出し、破損した機械部分の点検を始めた。彼の動きは迅速で的確で、長年の経験に裏打ちされた技術力を感じさせた。
「どのくらい時間がかかりますか?」勇樹が尋ねた。
「最低でも十五分はかかる」ガンドルフは作業を続けながら答えた。「完全修理なら一時間は必要だが——」
その時、外から再び砲撃音が響いた。まだ敵は攻撃を続けているのだ。
「十五分も持ちこたえられるでしょうか」レオンが不安を口にした。
勇樹は窓から外を見た。黒甲冑の将軍は依然として破砕剣を構えており、周囲の先遣隊も戦闘態勢を維持している。さらに遠方からは、魔導砲を操る別の敵部隊が接近してくるのが見えた。
「状況は厳しいですが——」勇樹は振り返った。「やるしかありません」
その時、意識を失っていた女性が苦しそうに呻いた。頭部の出血が止まらず、顔色は土気色に変わっている。
「この人、危険です!」ミナが脈を確認した。「脳震盪を起こしている可能性があります。早急な治療が必要です」
「治療って——」勇樹は困惑した。「この状況で、どうやって——」
車内には医師もおらず、まともな医療設備もない。救護用品は散乱し、外では戦闘が続いている。女性を安全な医療施設まで運ぶには、まず列車を修理しなければならない。
しかし、修理には時間がかかる。その間に女性の容態が悪化する可能性があった。
「お母さん——お母さん——」男の子が母親の手を握って泣いていた。
勇樹は胸が締めつけられる思いだった。JR九州時代にも、同様の状況に遭遇したことがある。列車事故で負傷した乗客を、限られた条件の中で救護しなければならない場面が。
あの時、勇樹は何を最優先にしたか——
「ガンドルフさん」勇樹は決断した。「修理を続けてください。私は——」
「勇樹さん?」リリアが不安そうに見た。
「【乗客保護】を使います」
三人とも驚いた表情を見せた。
「【乗客保護】って——」ミナが確認した。「あなたの第四のスキルのことよね?」
「はい」勇樹は頷いた。「これまで一度も使ったことがありませんが、この状況では——」
「危険すぎます!」レオンが制止した。「未知のスキルを、こんな緊急時に——」
「だからこそです」勇樹は振り返った。「乗客の命が危険にさらされている今だからこそ、使うべきなんです」
勇樹の脳裏に、【乗客保護】のスキル説明が浮かんだ。『乗客の安全を絶対保証するシールド展開』——それは勇樹の持つ四つのスキルの中でも、最も重要な能力だった。
しかし、これまで使用したことがないため、どのような効果があるのか、どれほどの負荷がかかるのか、全く分からない。
それでも、使うしかなかった。
「野中さん——」ガンドルフが作業の手を止めた。「あんた、本当にやるつもりか?」
「はい」勇樹は迷いなく答えた。「救援列車の使命は、乗客を守ることです。どんな危険があっても、その使命を放棄するわけにはいきません」
意識を失った女性の息が、さらに浅くなった。このままでは、本当に命に関わる。
「お母さん——死んじゃやだ——」男の子の泣き声が、勇樹の心に響いた。
JR九州で働いていた頃、勇樹は常に乗客の安全を最優先に考えていた。時刻表よりも、利益よりも、自分の体調よりも——乗客の命こそが最も大切だった。
その信念は、この異世界でも変わらない。
「【乗客保護】、発動——」
勇樹は手を前に伸ばし、スキルの発動を試みた。すると、彼の体の奥底から、温かい光が湧き上がってきた。
それは【鉄道召喚】や【路線建設】とは全く異なる感覚だった。もっと深く、もっと根源的な力。勇樹の魂の奥底に眠っていた、人を守りたいという純粋な願いが形になったような——
光は勇樹の手のひらから放たれ、車内全体に広がっていく。負傷した女性を包み込み、泣いている男の子を包み込み、恐怖に震える避難民たちを包み込んでいく。
「これは——」リリアが息を呑んだ。
「すごい——」ミナも驚愛した。
光に包まれた瞬間、女性の出血が止まった。苦しそうな呼吸も安定し、顔色も徐々に回復してきた。他の負傷者たちの傷も癒され、恐怖に震えていた子供たちも落ち着きを取り戻した。
「お母さん——」男の子が母親の顔を覗き込んだ。
女性はゆっくりと目を開けた。
「大丈夫よ——ママはここにいるから——」
母と子の再会に、車内から安堵の溜息が漏れた。
しかし、【乗客保護】の真の力は、これだけではなかった。
光は列車の外部にも広がり、車体全体を包み込んでいく。透明なシールドのような結界が形成され、外部からの攻撃を完全に遮断する防護壁となった。
「信じられない——」ガンドルフが作業を止めて見上げた。「これほどの防御結界を、魔法なしで——」
外では黒甲冑の将軍が、再び破砕剣で攻撃を仕掛けてきた。しかし、【乗客保護】のシールドに阻まれ、攻撃は全く効果がない。
「何だこの結界は——」将軍が困惑した。
魔導砲の攻撃も、シールドの前では無力だった。どんな強力な攻撃も、乗客を傷つけることはできない。
「すごいわ——」ミナが感嘆した。「完璧な防御よ」
しかし、勇樹の表情は苦痛に歪んでいた。【乗客保護】の発動には、想像以上の負荷がかかっていた。全身から力が抜けていき、意識も朦朧としてくる。
「勇樹さん!」リリアが慌てて支えた。
「大丈夫——です——」勇樹は必死に意識を保とうとした。「この結界を——維持しなければ——」
【乗客保護】は強力だが、その分使用者への負担も大きかった。勇樹の生命力を消費して発動するスキルだったのだ。
【乗客保護】のスキルが完全に発動すると、救援列車全体が神々しい光に包まれた。
透明な結界は単なる防御壁ではなかった。光そのものが生きているかのように脈動し、列車の周囲を守護する天使の翼のように広がっている。結界の表面には複雑な魔法陣が浮かび上がり、あらゆる攻撃を無効化する完璧な防御システムを形成していた。
外では黒甲冑の将軍が再び破砕剣を振るったが、暗黒のオーラは結界に触れた瞬間に消散した。魔導砲の砲撃も、結界の前では花火のように散っていく。
「信じられない——」将軍の声に初めて動揺が混じった。「この結界、いかなる攻撃も通さない——」
魔王軍の先遣隊も困惑していた。これまで破れない防御などなかったのに、この光の結界だけは全く歯が立たない。
「将軍、どうしますか?」部下の一人が尋ねた。
「くっ——」将軍は歯噛みした。「一時撤退だ。この結界の正体を分析してから再攻撃する」
黒甲冑の軍勢は、不本意ながら後退を開始した。光の結界を前に、彼らにできることは何もなかった。
列車内では、避難民たちが奇跡に息を呑んでいた。
「すごい——本当にすごいわ——」回復した母親が涙を流しながら言った。「私、死ぬかと思ったのに——」
「ママ!」男の子が母親に抱きついた。「ママが元気になった!」
他の負傷者たちも、【乗客保護】の効果で傷が癒されていた。切り傷は消え、打撲の痣も薄くなり、心の不安さえも和らいでいる。
「この光——」老人の一人が呟いた。「まるで神様の御加護みたい——」
「救援列車って——」若い商人が感動して言った。「こんなにも私たちを守ってくれるのね」
しかし、光の結界を維持する勇樹の状況は深刻だった。
「勇樹さん——」リリアが青ざめた顔で支えていた。「顔色が——」
勇樹の顔は紙のように白く、額には大量の汗が浮いている。【乗客保護】のスキルは、使用者の生命力を直接消費して発動する技術だった。これほど大規模で完璧な結界を維持するには、想像を絶するエネルギーが必要だった。
「大丈夫——です——」勇樹は震え声で答えた。「まだ——まだ持ちこたえられます——」
しかし、その言葉とは裏腹に、勇樹の体は限界に近づいていた。立っているのがやっとという状態で、意識も朦朧としている。
「無理をしないでください」ミナが心配そうに言った。「結界は十分に強いから、少し力を抜いても——」
「だめです」勇樹は首を振った。「一瞬でも気を抜いたら——結界が——」
実際、【乗客保護】の結界は勇樹の意志力によって維持されていた。彼が意識を失えば、結界も消滅し、避難民は再び危険にさらされる。
ガンドルフは修理作業を続けながら、勇樹の状況を気にかけていた。
「あと十分——いや、八分あれば応急修理は完了する」ガンドルフが報告した。「それまで持ちこたえられるか?」
勇樹は答える代わりに、さらに強い光を結界に送り込んだ。外からの攻撃は止んだが、いつ再開されるか分からない。完璧な防御を維持しなければならない。
「勇樹さん——」レオンが決意を込めて言った。「私も手伝います。風魔法で結界を補強しましょう」
「私もです」リリアが魔導蒸気装置を取り出した。「魔導蒸気で結界にエネルギーを供給できるかもしれません」
「私たちも何か——」避難民の中から声が上がった。
しかし、勇樹は首を振った。
「だめです——この結界は——私でなければ——」
【乗客保護】は勇樹固有のスキルで、他者が介入することはできない。勇樹一人が全ての負荷を背負わなければならない宿命だった。
その時、結界の外で新たな動きがあった。
黒甲冑の軍勢は完全に撤退したわけではなく、包囲網を形成して様子を窺っていた。そして、遠方からさらに大型の魔導砲が運び込まれてくる。
「あれは——」レオンが望遠鏡で確認した。「超大型の魔導砲です。先ほどとは比較にならない威力の——」
確かに、運び込まれた魔導砲は巨大だった。車輪付きの大砲で、砲身には複雑な魔法陣が刻まれている。明らかに結界破りを目的とした特殊兵器だった。
「結界破砲」ガンドルフが作業の手を止めた。「あの大砲は、どんな防御魔法も貫通する。まずい——」
勇樹も外の様子を確認した。超大型魔導砲が照準を合わせ、砲身が不気味な光を放ち始めている。
「撃ってきます——」レオンが警告した。
勇樹は【乗客保護】の出力をさらに上げた。体の奥底から残された力を全て絞り出し、結界の強度を最大限まで高める。
「うぐ——」勇樹の口から血が溢れた。
「勇樹さん!」リリア、ミナ、レオンが同時に叫んだ。
しかし、勇樹は止まらなかった。JR九州で働いていた頃、過労で倒れるまで働き続けた時と同じように、限界を超えても職務を全うしようとする。
「乗客の——安全は——絶対に——守る——」
勇樹の決意が、結界にさらなる力を与えた。光はより強く、より美しく、より神聖に輝いた。
超大型魔導砲が発射された。
「結界破砲、発射!」敵の号令が響いた。
巨大な魔法砲弾が結界に向かって飛来する。それは先ほどの攻撃とは比較にならない威力で、空間を歪めながら突進してくる。
結界と砲弾が衝突した瞬間、荒野全体が光に包まれた。
爆発の規模は凄まじく、周囲の岩石を粉砕し、大地に巨大なクレーターを作った。衝撃波は数キロメートル先まで届き、森の木々をなぎ倒した。
しかし——
光が収まった時、救援列車は無傷のままそこにあった。
【乗客保護】の結界は、結界破砲の直撃を完全に防いだのだ。砲弾のエネルギーは結界の表面で完全に中和され、列車にも乗客にも一切の被害を与えなかった。
「不可能だ——」敵の将軍が絶句した。「結界破砲が通じないなど——」
車内では、避難民たちが安堵と感動で涙を流していた。
「守られてる——」
「本当に守られてる——」
「救援列車が——私たちを——」
しかし、勇樹の状況はさらに深刻になっていた。結界破砲を防ぐために消費した力は膨大で、もう立っているのも困難な状態だった。
「勇樹さん——」リリアが涙声で呼びかけた。「もう十分です。よく頑張りました」
「まだ——」勇樹は震え声で答えた。「まだ——敵が——」
その時、ガンドルフが大声で叫んだ。
「修理完了だ!」
ドワーフの鍛冶師は工具を放り投げて立ち上がった。
「エンジン再始動、浮遊機能復旧! いつでも離陸できるぞ!」
勇樹の顔に僅かな安堵の表情が浮かんだ。これで避難民を安全な場所まで運ぶことができる。
「それでは——離陸——」
しかし、勇樹が操縦桿に手を伸ばした瞬間、ついに力尽きた。
「勇樹さん!」
仲間たちが慌てて駆けつけたが、勇樹は意識を失っていた。同時に、【乗客保護】の結界も消失し始めた。
「結界が消える——」ミナが叫んだ。
「急いで離陸を!」レオンが操縦席に駆け寄った。
「私がやります」リリアが操縦桿を握った。「魔導蒸気で機関を制御できます」
救援列車は勇樹の意識が戻る前に離陸し、安全な高度まで上昇した。下では敵軍が追撃を試みたが、既に射程外だった。
「成功しました——」ガンドルフが報告した。「全員無事です」
車内では避難民が安堵の表情を浮かべていた。特に、命を救われた母親と息子は、勇樹に深い感謝を抱いていた。
「あの方が——」母親が意識を失った勇樹を見つめた。「私たちを守るために——」
「命を賭けて守ってくれたのね」息子も涙を浮かべた。
リリア、ミナ、レオン、ガンドルフは、勇樹を囲んで看病していた。
「すごい人ですね」レオンが感嘆した。「自分の命を危険にさらしてまで、乗客を守るなんて」
「これが勇樹さんの本当の強さよ」ミナが答えた。「魔法が使えなくても、誰よりも強い心を持っている」
「【乗客保護】——」リリアが呟いた。「人を救うことに全てを捧げる、勇樹さんらしいスキルですね」
ガンドルフは静かに頷いた。
「あいつは本物の救援者だ。技術や力だけじゃない。魂から人を救いたいと願っている」
救援列車は夕日を背に飛び続けた。勇樹の意識はまだ戻らないが、仲間たちの信頼と避難民の感謝に包まれながら、安全な避難所へと向かっていく。
【乗客保護】の奇跡は、勇樹という人間の本質を全員に示した。彼は単なる鉄道技術者ではなく、真の意味での救済者だった。
そして、この体験により、仲間たちの絆はさらに強固なものになった。どんな困難が待ち受けていようとも、彼らは勇樹と共に戦い続ける決意を固めたのだった。
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