虚構幻葬の魔術師

crown

文字の大きさ
23 / 109
異端児達の集結

エグゼキュート・コンプレックス②中編

しおりを挟む
『あの動きチートじみてね?』
『AIM力半端ない』
『これがウワサの……』
『いや、どうやって避けるんだよwww』
 オンライン上では騒ぎが止むことはない。それは政治や芸能界だけではなく、ゲームの空間でのことだ。
 ゲームはこの時代、人々により深く浸透し、日本でeーsportsが正式にスポーツとして認められるまでに至った。もはやこの時代に、「運動はいいがゲームはダメ」という理論は通用しないのである。
 その結果、芸能人がゲームをプレイする番組はさらに増え、オンラインでの対戦を地上波で放送していたりもする。地上波で自分のプレイを見てもらえるかもしれない……という期待からプレイヤーは格段に増え、ゲームの需要はさらに大きくなっている。
 ここで本題に戻ろう。先程の会話は掲示板でのコメントである。
 読者の皆様には大方予想はついているだろうが、これはFPSの出来事でネット上は大騒ぎなのだ。
 それは、この世界で大人気の対戦型オンラインゲーム、「バイタル・ソリッド」の、あるプレイヤーによるものだ。
 彼女(プレイヤー設定が女性なのであくまで仮である)は戦場を幾度となく駆け巡る。
 彼女は出会った敵を見逃さない。
 彼女は……この世界で「最強」と言っても過言ではない存在。
 彼女は自身を、『ariadneアリアドネ』と名乗った……


  では、物語の本編へと帰還することにしよう。
「今日はここまでにしておこう。ちょっと遊ばない?」
 流雅がテレビの下に置いてあるゲーム機の電源を入れた。
「バイソルか……って、やり込みすぎだろ。どんだけレベル上がってんだ」
『バイソル』というのはバイタル・ソリッドの通称だ。
「まぁ、暇なときはいつも潜ってるし、そりゃ勝手に上がってくれるさ」
 流雅はホーム画面が表示されれば、コントローラを操作しメニュー画面へと移行していく。
  メニューが表示されるや否や、流雅は自身をカスタマイズし、オンラインの待機画面に移った……と思えば、フレンドを表示する画面に移行した。
「おっと……ちょうど待機中か……混ざっちゃお」
 流雅は待機中のフレンドに合流した。それだけならまだ良い。問題はそのプレイヤーのアカウント名だ。
「アカウント名は……『ariadne』!?お前いつの間にフレンドになったんだよ」
「この前に偶然にもぶつかってね、一対一のタイマン勝負まで持ち込んだんだ、結局負けたけどね。 だけど、あまりにも長い戦闘をしたからワンチャン申請すれば来るかなって、そしたらホントに承認してくれたんだ」
 分かりやすく言うと、流雅はバイソル・ソリッドのトッププレイヤーのフレンドになっているのだ。
 ルールからしても非常に時間がかかるもので、アリアドネもその実力を認めたのだろうか。
「トッププレイヤーに認められたって思うとやっぱ嬉しいもんだねぇ~」
 流雅がいつも以上ににやける。
 舌打ちしたくなるのは気のせいだろうか─と、零弥は考える。
「さぁ始めるよ。まぁそこで見てて」
 一通りの装備を確認し、流雅はエントリーする。
『エントリーが終了いたしました。ゲーム開始までもう少しお待ち下さい』
  進行役を務める女性キャラクターがそう伝えるや否や、すぐにステージに移動する。
「始まるよ」
 流雅がコントローラを構える。
 画面上に、『START!』の文字が浮かべば、流雅はすぐに動き出す。
 バイタル・ソリッドのルールは複数あるが、今回流雅が合流したのは一番分かりやすくハードな「バトルロワイヤル」である。ルールはいたって簡単。20人程度のプレイヤーが最後の一人になるまで互いに攻撃し合う、それだけだ。
 このゲームで登場する武器はほとんどがオリジナルであるが、数種類は実在するものがある。
 また、フィールドには各所でアイテムが配置され、それは相手を攻撃できる銃や弾丸、また回復アイテムなど様々であり、死亡したプレイヤーからも奪い取れる。
 といっても、武器は一つだけ、弾丸の装填数を満タンの状態で最初から装備することが可能であり、無論銃は使い捨てではなく、武器破壊しないかぎりほぼ永遠に使用できるため、最初の装備の口径に合う弾丸のみを拾っていればまず攻撃に困ることはない。
 ここで説明した『武器破壊』というのは、そのままの意味で、弾丸が当たった場所が武器に命中したとする判定内の場合、その武器の耐久度が減ってしまうルールである。
  当然ながら武器によって耐久度には差があり、攻撃力も影響する。
 今回流雅が装備したのは、オートマチックの一種、「E―23p」。
 軽量で装填数が多く、連射しやすいが口径が小さいため攻撃力が低いのがネックだ。
「オートマ?お前スナイパーじゃなかったのか?」
「『彼女』と戦うときはいつもこれにしてるよ。そうでなきゃ、最後でやられちゃうもん」
 零弥が言うように、流雅は基本的にアサルトライフルを装備したスナイパーである。そのため、標準を合わせる能力が非常に高く、打ち合いでは負けづらい。
 そんな事を話していれば、近くに敵がいる。一方的に見つかればそれはそれで困るので、ここは敢えて戦うことにしたようだ。
 流雅はコントローラを操作し、画面の奥に存在する男は命令通り走り出した─
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

精霊姫の追放

あんど もあ
ファンタジー
栄華を極める国の国王が亡くなり、国王が溺愛していた幼い少女の姿の精霊姫を離宮から追放する事に。だが、その精霊姫の正体は……。 「優しい世界」と「ざまあ」の2バージョン。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども

神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」 と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。 大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。 文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...