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異端児達の集結
エグゼキュート・コンプレックス②後編Ⅰ
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オートマチックを装備した流雅は、バトル開始後、すぐさま弾丸を集めに、身を隠しながら走り回る。
弾丸等はある程度ストック可能であり、先に集めるに越したことはなく、終盤で大きな差がつく場合もある。
素材集め及び対人戦や狙撃への対策として、流雅は走力を重点的に上げている。
バイタル・ソリッドの基本として、キャラクターのステータスも特徴的である。基本的にはステータスは一定で全く差はなく、レベルを上げようとも変わらない。ならば、どこでステータスの差がつくのだろうか?
答えは装備である。
例えば、スナイパーが愛用するようなライフルだと重量があるため、走力は下がるし、逆に流雅が装備したようなオートマチックならば軽量のため非常に動き回りやすい。
また、服装も開始前にある程度の装備は可能であり、走力は上がるが耐久力が下がる……なんてこともある。
服装はこのゲームで勝敗を分けうる要因になりやすい。何故ならば、先ほど挙げた「走力」と「防御力」以外にも、手袋によっては崖やはしごを登るスピードが上がったり、靴によってはジャンプ力が上がったりする。
しかし、服もステージ内に落ちているので、拾ってから着替えることも可能であり、当然ながらその瞬間にステータスは変化する。
弾丸や新しい銃、回復アイテムなどを回収した流雅はすぐさま周囲を確認する。このポイントはアイテムが置かれる確率が高いため、敵が集まって来やすいのだ。
案の定、身を隠しながら見ていれば、直ぐに一人のプレイヤーが入室してきた。
「ふぅーん……そうやすやすと来てくれるんだー……」
流雅は身を隠したままではあるが、立場的には有利である。例え、アイテム回収を行ったプレイヤーを狩りに来たとしても、既に臨戦態勢に入っている流雅には関係の無い話だ。
流雅は迷わず戦うことを選択した。それでも動かないのはタイミングを測っているだけだ。
一瞬だけ、その空間に緊張感が貼り詰める。
男は一歩、一歩と歩を進める。
(─今だ!)
流雅はコマンドを素早く入力する。物陰からいきなり飛び出してきたので、流石に虚をつかれたようで、標準を合わせるのに一瞬ばかりかタイムラグが発生している。
「うおっ!?こんなところに隠れていやがった!」
この会話は当然向こう側のプレイヤーが現実世界で発した言葉であるため、某VRMMOのように流雅達に聞こえているわけではない。
相手が標準を合わせるより早く流雅は弾丸を発射した。
(─狙う─)
オートマチックから放たれた弾丸は正確に眉間を撃ち抜いた。しかも二発とも。
頭、心臓部に当たったと判定されれば、ダメージはさらに大きくなる。攻撃力の低いオートマチックでも、二回ヘッドショットが決まれば十分だ。
男は標準を合わせる前に体力がつき、その場で倒れてしまった。
「二発ともヘッドショットか。よく狙えるな」
零弥が感嘆を含んだ感想を告げる。
「これでも僕はスナイパーだよ。ホントは動き回るのは好きじゃないんだけどね」
流雅は画面から目を離さない。
バトルは着々と進み、プレイヤーの大半が抜けていた。
もちろん流雅は何度も戦闘を行った。例えば、二人に挟まれた時。さっきのように、いち早く標準を合わせるだけで勝てるはずはない。ならば、二人が一直線上になるように回り込んでから一人ずつ殺ればいい。そのために走力を上げているのだから。
「しかし、ここまで機敏な動きが出来るとは……いつから鍛えてたんだ?」
「ん?どういうこと?」
流雅は目を離さずに応答する。
「アリアドネと対等に渡り合えたからこそフレンドになったんだろ。なら、しばらくやりこんだんじゃないか?」
零弥が問いかける。
「スナイパーやってればどのような動きをされれば困るのか、ある程度は知ってるんだ。バイソルはプレイヤー視点での観戦も出来るから、トッププレイヤーの動きを見て学習してる。時間はそこまで費やしてないけどね」
さりげなくすごいことを言った流雅だが、零弥はそんなことに気を回す時ではないとわかっていた。
「─来たね」
「あぁ」
流雅は、終盤に差し掛かっても体力をほとんど減らさずに生き残った。キルもそれなりに取ったし、武器、弾丸、回復アイテムの携帯は十分だ。それなのに、びしびしと伝わってくる、この緊張感。
流雅はいつものように笑っていた。しかしそれは、出会ったという喜びではなく、緊張感に耐えられなくなって開き直ったわけでもない。
緊張感を──楽しんでいる──
──流雅の性格は厄介だ──何度こう思っただろうか。零弥は考えていた。
それでも流雅の考えは変わることはない。
流雅は、目の前に近づいているプレイヤーへ挑戦することを迷いなく決めた。
「バイタル・ソリッド」トッププレイヤー、『ariadne』に──
「さぁ!よく見ててよ。これからもっと楽しくなるんだ」
弾丸等はある程度ストック可能であり、先に集めるに越したことはなく、終盤で大きな差がつく場合もある。
素材集め及び対人戦や狙撃への対策として、流雅は走力を重点的に上げている。
バイタル・ソリッドの基本として、キャラクターのステータスも特徴的である。基本的にはステータスは一定で全く差はなく、レベルを上げようとも変わらない。ならば、どこでステータスの差がつくのだろうか?
答えは装備である。
例えば、スナイパーが愛用するようなライフルだと重量があるため、走力は下がるし、逆に流雅が装備したようなオートマチックならば軽量のため非常に動き回りやすい。
また、服装も開始前にある程度の装備は可能であり、走力は上がるが耐久力が下がる……なんてこともある。
服装はこのゲームで勝敗を分けうる要因になりやすい。何故ならば、先ほど挙げた「走力」と「防御力」以外にも、手袋によっては崖やはしごを登るスピードが上がったり、靴によってはジャンプ力が上がったりする。
しかし、服もステージ内に落ちているので、拾ってから着替えることも可能であり、当然ながらその瞬間にステータスは変化する。
弾丸や新しい銃、回復アイテムなどを回収した流雅はすぐさま周囲を確認する。このポイントはアイテムが置かれる確率が高いため、敵が集まって来やすいのだ。
案の定、身を隠しながら見ていれば、直ぐに一人のプレイヤーが入室してきた。
「ふぅーん……そうやすやすと来てくれるんだー……」
流雅は身を隠したままではあるが、立場的には有利である。例え、アイテム回収を行ったプレイヤーを狩りに来たとしても、既に臨戦態勢に入っている流雅には関係の無い話だ。
流雅は迷わず戦うことを選択した。それでも動かないのはタイミングを測っているだけだ。
一瞬だけ、その空間に緊張感が貼り詰める。
男は一歩、一歩と歩を進める。
(─今だ!)
流雅はコマンドを素早く入力する。物陰からいきなり飛び出してきたので、流石に虚をつかれたようで、標準を合わせるのに一瞬ばかりかタイムラグが発生している。
「うおっ!?こんなところに隠れていやがった!」
この会話は当然向こう側のプレイヤーが現実世界で発した言葉であるため、某VRMMOのように流雅達に聞こえているわけではない。
相手が標準を合わせるより早く流雅は弾丸を発射した。
(─狙う─)
オートマチックから放たれた弾丸は正確に眉間を撃ち抜いた。しかも二発とも。
頭、心臓部に当たったと判定されれば、ダメージはさらに大きくなる。攻撃力の低いオートマチックでも、二回ヘッドショットが決まれば十分だ。
男は標準を合わせる前に体力がつき、その場で倒れてしまった。
「二発ともヘッドショットか。よく狙えるな」
零弥が感嘆を含んだ感想を告げる。
「これでも僕はスナイパーだよ。ホントは動き回るのは好きじゃないんだけどね」
流雅は画面から目を離さない。
バトルは着々と進み、プレイヤーの大半が抜けていた。
もちろん流雅は何度も戦闘を行った。例えば、二人に挟まれた時。さっきのように、いち早く標準を合わせるだけで勝てるはずはない。ならば、二人が一直線上になるように回り込んでから一人ずつ殺ればいい。そのために走力を上げているのだから。
「しかし、ここまで機敏な動きが出来るとは……いつから鍛えてたんだ?」
「ん?どういうこと?」
流雅は目を離さずに応答する。
「アリアドネと対等に渡り合えたからこそフレンドになったんだろ。なら、しばらくやりこんだんじゃないか?」
零弥が問いかける。
「スナイパーやってればどのような動きをされれば困るのか、ある程度は知ってるんだ。バイソルはプレイヤー視点での観戦も出来るから、トッププレイヤーの動きを見て学習してる。時間はそこまで費やしてないけどね」
さりげなくすごいことを言った流雅だが、零弥はそんなことに気を回す時ではないとわかっていた。
「─来たね」
「あぁ」
流雅は、終盤に差し掛かっても体力をほとんど減らさずに生き残った。キルもそれなりに取ったし、武器、弾丸、回復アイテムの携帯は十分だ。それなのに、びしびしと伝わってくる、この緊張感。
流雅はいつものように笑っていた。しかしそれは、出会ったという喜びではなく、緊張感に耐えられなくなって開き直ったわけでもない。
緊張感を──楽しんでいる──
──流雅の性格は厄介だ──何度こう思っただろうか。零弥は考えていた。
それでも流雅の考えは変わることはない。
流雅は、目の前に近づいているプレイヤーへ挑戦することを迷いなく決めた。
「バイタル・ソリッド」トッププレイヤー、『ariadne』に──
「さぁ!よく見ててよ。これからもっと楽しくなるんだ」
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