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異端児達の集結
エグゼキュート・コンプレックス②後編Ⅱ
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アリアドネも流雅の姿に気がついたのであろう。即座に臨戦態勢に入ったと思われるような動作をする。
流雅は得意のAIM力で先制攻撃を仕掛ける。
そのまま当たればヘッドショットの位置だ。
「─なっ」
零弥が息を飲んだ。
何故ならば、アリアドネは避けていたからだ。
予測していた──わけではない。 むしろ、そっちの方が頭の整理がしやすかった。
弾丸を、反応して避けたのだ。
無論、オンライン上でのやり取りなので、百パーセントそうだという保証はない。だが、アリアドネから放たれる雰囲気が、そうであると感じさせた。
「……さすがだね。やっぱり当たってくれない。なら、次は……」
流雅はもちろん想定済みだ。
物陰に身を隠しながら隙を伺う。
建物の三階で鉢合わせしたのは幸か不幸か、廃墟と化したオフィスをイメージしたエリアでは、たくさんのデスク、柱があり、プレイヤーの腕の見せ所だ。
身を隠している間、アリアドネは一発も撃ってこない。ましてや、グレネードすら投げてこない。
牽制する気は微塵もない。
弾数を最小限に抑える気でいるのだろう。アリアドネは次の事もしっかり考えている。そこが流雅との違いなのだろうか。その結果がすぐに解るとは──
「そこね!」
他のプレイヤーが乱入してきたのだ。そのものは女性キャラ。長いポニーテールを持ち、若干肌が焦げている。
女性は流雅のオートマチックとは違い、リボルバー式の銃、「カイザー28型」を構えている。28は「にじゅうはち」ではなく、「にいはち」と読む。
リボルバー式はマグナム弾を装填するため、非常に攻撃力が高いが、連射力がイマイチであり、撃った後の硬直が気になる武器である。
「うらぁ!」
さらに男性キャラが乱入してきたかと思えば、間髪を入れずに銃弾を浴びせる。
バトルロワイヤルであるため、本来ならば二人とも始末するべき場面である。
だが、今回の相手は世界的最強プレイヤー、アリアドネが含まれている。女性キャラと男性キャラ、どちらも、先に葬るべき相手は誰か、という点では一致していた。その結果、アリアドネは流雅との対決を前に、左右から同時に襲われることになったのである。
流石に二人相手ならば倒すことは出来る……はずはなかった。
アリアドネは男からの銃弾を避け、すぐさま移動をする。移動といっても、標準を定めさせないためのステップに近い。
その後、男に向かって、柱に被さる寸前に発砲。目の前にいきなり弾丸が現れた格好になった。
しかし、男はこれを避けて見せた。これだけでも十分スーパープレイだ。
だが、アリアドネはその上を行っていた。放たれた弾丸は、「跳躍弾」。これは現実でも存在するもので、殺傷力を犠牲に壁に当たった場合に反射しやすくしたものだ。
男は壁を背にしていた。跳弾丸が見事に跳ね返り。後頭部のヘッドショット判定がなされた。
発砲と同時に女性も動きながらアリアドネの胸部を狙う。
それに対して、アリアドネは素早く回避するが、すぐに攻撃に転じることはない。その証拠として、一瞬だけ流雅を見た。不意打ちもきっちり警戒している。
流雅は牽制程度で撃つ気は無いわけではなかった。だが、正々堂々と戦うとか、そんな古くさい事を考えるほど流雅の頭は硬くない。当然ながら、アリアドネと一騎討ちで戦いたかった。だからこそ、あまり手を出していない。
流雅からの不意打ちが無いことを確認すると、アリアドネはすぐさま女性の方に目を向ける。
逆に女性は流雅のことは全く関係ないので、アリアドネに集中出来るだけ有利であると言える。その状態を無駄にしたくないのは百も承知である。
女性はリボルバーを廻す。
アリアドネが流雅を見ていた隙を狙っていた格好だ。
女性が奇襲の一発。
なんとこれがアリアドネの肩をヒットする。
だが、急所は外れている。
しかし、それでも安堵感は絶大なものだった。
アリアドネは一瞬の呼吸を置く。
そして、女性への反撃の一発。
しかし、それは当たることはなかった。女性を狙っていた弾丸は、無情にもその右側を通りすぎていった。
女性も反応している。だからこそ、アリアドネから見て左側に反射的に避けている。
完全に、アリアドネの敗北へと傾く流れだ。
何故だろうか──アリアドネの顔が一瞬ほころんだように見えた。そして、その答えはすぐさま表される。
女性へ向かって、一発の弾丸が頭上から降って来たのである。しかも、落ちてくる、ではなく、跳躍弾がその勢いを保ったまま降って来た。
「そんな……これを狙って!?」
しかもヘッドショット判定である。
女性はなすすべなく、その場に力尽きたように倒れた。
「─なんだ……今のは」
「あれがあるから怖すぎるんだよねー。確か、『隠れた弾丸』って言ったかな。あまりにも正確で、恐ろしく、アリアドネの必殺の一撃になってるよ」
流雅が解説する。
「っていうか、次は僕とやる気でしょ。流石に野放しにし過ぎたかな。」
プレイヤー同士の相討ちが多数発生したのか、残っているプレイヤーは流雅とアリアドネのみの二人だけである。
結局、一騎討ちで戦うことになるのだ。まぁ、それが流雅の望みでもあったのかもしれないが。
流雅は得意のAIM力で先制攻撃を仕掛ける。
そのまま当たればヘッドショットの位置だ。
「─なっ」
零弥が息を飲んだ。
何故ならば、アリアドネは避けていたからだ。
予測していた──わけではない。 むしろ、そっちの方が頭の整理がしやすかった。
弾丸を、反応して避けたのだ。
無論、オンライン上でのやり取りなので、百パーセントそうだという保証はない。だが、アリアドネから放たれる雰囲気が、そうであると感じさせた。
「……さすがだね。やっぱり当たってくれない。なら、次は……」
流雅はもちろん想定済みだ。
物陰に身を隠しながら隙を伺う。
建物の三階で鉢合わせしたのは幸か不幸か、廃墟と化したオフィスをイメージしたエリアでは、たくさんのデスク、柱があり、プレイヤーの腕の見せ所だ。
身を隠している間、アリアドネは一発も撃ってこない。ましてや、グレネードすら投げてこない。
牽制する気は微塵もない。
弾数を最小限に抑える気でいるのだろう。アリアドネは次の事もしっかり考えている。そこが流雅との違いなのだろうか。その結果がすぐに解るとは──
「そこね!」
他のプレイヤーが乱入してきたのだ。そのものは女性キャラ。長いポニーテールを持ち、若干肌が焦げている。
女性は流雅のオートマチックとは違い、リボルバー式の銃、「カイザー28型」を構えている。28は「にじゅうはち」ではなく、「にいはち」と読む。
リボルバー式はマグナム弾を装填するため、非常に攻撃力が高いが、連射力がイマイチであり、撃った後の硬直が気になる武器である。
「うらぁ!」
さらに男性キャラが乱入してきたかと思えば、間髪を入れずに銃弾を浴びせる。
バトルロワイヤルであるため、本来ならば二人とも始末するべき場面である。
だが、今回の相手は世界的最強プレイヤー、アリアドネが含まれている。女性キャラと男性キャラ、どちらも、先に葬るべき相手は誰か、という点では一致していた。その結果、アリアドネは流雅との対決を前に、左右から同時に襲われることになったのである。
流石に二人相手ならば倒すことは出来る……はずはなかった。
アリアドネは男からの銃弾を避け、すぐさま移動をする。移動といっても、標準を定めさせないためのステップに近い。
その後、男に向かって、柱に被さる寸前に発砲。目の前にいきなり弾丸が現れた格好になった。
しかし、男はこれを避けて見せた。これだけでも十分スーパープレイだ。
だが、アリアドネはその上を行っていた。放たれた弾丸は、「跳躍弾」。これは現実でも存在するもので、殺傷力を犠牲に壁に当たった場合に反射しやすくしたものだ。
男は壁を背にしていた。跳弾丸が見事に跳ね返り。後頭部のヘッドショット判定がなされた。
発砲と同時に女性も動きながらアリアドネの胸部を狙う。
それに対して、アリアドネは素早く回避するが、すぐに攻撃に転じることはない。その証拠として、一瞬だけ流雅を見た。不意打ちもきっちり警戒している。
流雅は牽制程度で撃つ気は無いわけではなかった。だが、正々堂々と戦うとか、そんな古くさい事を考えるほど流雅の頭は硬くない。当然ながら、アリアドネと一騎討ちで戦いたかった。だからこそ、あまり手を出していない。
流雅からの不意打ちが無いことを確認すると、アリアドネはすぐさま女性の方に目を向ける。
逆に女性は流雅のことは全く関係ないので、アリアドネに集中出来るだけ有利であると言える。その状態を無駄にしたくないのは百も承知である。
女性はリボルバーを廻す。
アリアドネが流雅を見ていた隙を狙っていた格好だ。
女性が奇襲の一発。
なんとこれがアリアドネの肩をヒットする。
だが、急所は外れている。
しかし、それでも安堵感は絶大なものだった。
アリアドネは一瞬の呼吸を置く。
そして、女性への反撃の一発。
しかし、それは当たることはなかった。女性を狙っていた弾丸は、無情にもその右側を通りすぎていった。
女性も反応している。だからこそ、アリアドネから見て左側に反射的に避けている。
完全に、アリアドネの敗北へと傾く流れだ。
何故だろうか──アリアドネの顔が一瞬ほころんだように見えた。そして、その答えはすぐさま表される。
女性へ向かって、一発の弾丸が頭上から降って来たのである。しかも、落ちてくる、ではなく、跳躍弾がその勢いを保ったまま降って来た。
「そんな……これを狙って!?」
しかもヘッドショット判定である。
女性はなすすべなく、その場に力尽きたように倒れた。
「─なんだ……今のは」
「あれがあるから怖すぎるんだよねー。確か、『隠れた弾丸』って言ったかな。あまりにも正確で、恐ろしく、アリアドネの必殺の一撃になってるよ」
流雅が解説する。
「っていうか、次は僕とやる気でしょ。流石に野放しにし過ぎたかな。」
プレイヤー同士の相討ちが多数発生したのか、残っているプレイヤーは流雅とアリアドネのみの二人だけである。
結局、一騎討ちで戦うことになるのだ。まぁ、それが流雅の望みでもあったのかもしれないが。
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