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異端児達の集結
エグゼキュート・コンプレックス③中編
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『むかーしむかし、あるところに、ひとりのおんなのこがいました。
おんなのこがすむしまは、9ねんにいっかい、14にんのこどもたちが、こわーいもうじゅうをおさえるために、もうじゅうに、たべられていたのです。しまのひとたちはいつもあたまをなやませていました。
あるとき、おんなのこはあるおとこのこにであい、ともにこいにおちたのです。
しかし、おとこのこはゆうかんなゆうしゃでした。9ねんにいっかいたべられるこどもたちにまざって、もうじゅうをたおそうとしていたのです。だから、ラビリンスといわれるこわーいこわいめいろのなかにいる、これまたこわーいもうじゅうをたおさなければなりませんでした。
ですが、ラビリンスはとてもくらくてふくざつです。そのままラビリンスへといってしまえば、おうじさまはかえってこられないでしょう。
しかし、おんなのこはとてもあたまがよかったのです。
おとこのこにいとをもたせて、でぐちへのみちしるべにしたのです。おとこのこはおんなのこをとてもほめました。
そして、とうとうそのひがやってきました。おとこのこはいいつけどおり、いとをはなすことなく、もうじゅうがいるへやへとたどりつきました。
もうじゅうはうわさどおりとてもきょうぼうでした。しかし、おとこのこはみごとたおすことができたのです。
ふつうならば、ここからでぐちをさがしてえいえんにさまよいつづけるでしょう。ですが、おんなのこにわたされたいとをつたって、あぶなげなく、そとへでることができたのです──』
亜芽は、思い出していた。昔、偶然手に取った絵本のあらすじを。なにやら、神話をもとにしたとかしてないとか、そんなことを気にしたことは一度もない。
「えー、この問題は、高べきの順に並び替えればいいので──」
数学の授業中だが、まるで頭に入らない。まぁいい。そんなことは忘れない内に復習するなり読み返すなりなんとでもなる。
あの本の最終的結末は覚えていない。というか、そもそも読んでないかもしれない。途中から読むという発想が無かったのか、それとも毎回毎回内容を忘れたのか、いつも最初から読んでいた。すると、途中で呼ばれたり、時間がなくなったり、眠くなったりで、最後まで読んでいなかった。後悔──というまでもないが、地味に気になったりしている。
「それじゃあ……九番椎名、答えてみろ」
「(2x+3y)(3x+y+1)です」
零弥は速攻で答える。
(椎名……確かストラップの時の人……名前は、レイヤ、だったかな?)
亜芽はファストフード店での出来事を思い出す。
(向こうの女性は……相崎さんだ)
亜芽は視線を変える。
(あの背の高い人は……成川って人だったかな?)
亜芽はさらに深く深く、自分の記憶へと潜り込む。
(──相崎さんは何故か涙を流してた)
(──椎名って人は……何か暗いものを背負ってるのかな?とても重い雰囲気だった)
(──成川って人は……わからなかった。雰囲気から読み取れなかったし、思考も読みづらかった)
亜芽は授業中にもかかわらず、まだ続ける。
(──結論、三人ともただ者じゃない。というか、何かの修羅場をくぐって来てる)
(特に、椎名って人のようなタイプは一番たちが悪い。何か『必殺』を隠し持ってる気がする)
亜芽の『必殺』とは、単純な戦力でもあるが、正確に言えば、相手を必ず倒す技、また、それを発動することを厭わない冷酷な性格を指す。
(──大丈夫。あの三人だって気づくはずがない。何らかの力がない限り、私に干渉することなんて不可能なはず。ファストフード店……いや、ストラップを落としたのは誤算だったけど、想定の範囲内)
という言葉にもかかわらず、亜芽の表情に余裕があるとは言えない。やはり、心の奥底で警戒感が存在しているのだろうか。
亜芽はそんな雑念を振り払うかのように、目をつぶり、小さく深呼吸した。
(自分に与えられたミッションは、必ずやり通す……それが私の生命線)
亜芽は心の中で何度も何度も繰り返し呟いた。
一日の授業が終わり、全員帰宅や部活に取りかかる頃の事だ。
夕日が窓から差し掛かり、物静かな雰囲気を出す廊下を零弥は歩いていた。
夕日の茜色の木漏れ日は、何故か緊張感を持たせると同時に、その先の展開を期待させるようなワクワク感とドキドキ感を織り混ぜてくるこの高揚感……がテンプレなのだが……今の零弥にそんな気分など微塵も感じさせなかった。
そもそも、告白の手紙を受け取った所で、そうやすやすと現れるような人間でもないが。
簡潔に言うと、零弥は呼び出しを食らっていた。 しかし、それは教員によるものではないと予め言っておこう。
目的の教室──『用具室』へと到着した零弥は、特に何も考えずに感熱パネルに触れた。
自動ドアは何の変哲もなく開いた。用具室自体も、何の変哲もない。置いてある用具も特に変わった様子はない。
ただ、先にいる人物は変わっている。別の意味で。
「おそーい!やっときたわね」
残念生徒会長のお出ましだ。
おんなのこがすむしまは、9ねんにいっかい、14にんのこどもたちが、こわーいもうじゅうをおさえるために、もうじゅうに、たべられていたのです。しまのひとたちはいつもあたまをなやませていました。
あるとき、おんなのこはあるおとこのこにであい、ともにこいにおちたのです。
しかし、おとこのこはゆうかんなゆうしゃでした。9ねんにいっかいたべられるこどもたちにまざって、もうじゅうをたおそうとしていたのです。だから、ラビリンスといわれるこわーいこわいめいろのなかにいる、これまたこわーいもうじゅうをたおさなければなりませんでした。
ですが、ラビリンスはとてもくらくてふくざつです。そのままラビリンスへといってしまえば、おうじさまはかえってこられないでしょう。
しかし、おんなのこはとてもあたまがよかったのです。
おとこのこにいとをもたせて、でぐちへのみちしるべにしたのです。おとこのこはおんなのこをとてもほめました。
そして、とうとうそのひがやってきました。おとこのこはいいつけどおり、いとをはなすことなく、もうじゅうがいるへやへとたどりつきました。
もうじゅうはうわさどおりとてもきょうぼうでした。しかし、おとこのこはみごとたおすことができたのです。
ふつうならば、ここからでぐちをさがしてえいえんにさまよいつづけるでしょう。ですが、おんなのこにわたされたいとをつたって、あぶなげなく、そとへでることができたのです──』
亜芽は、思い出していた。昔、偶然手に取った絵本のあらすじを。なにやら、神話をもとにしたとかしてないとか、そんなことを気にしたことは一度もない。
「えー、この問題は、高べきの順に並び替えればいいので──」
数学の授業中だが、まるで頭に入らない。まぁいい。そんなことは忘れない内に復習するなり読み返すなりなんとでもなる。
あの本の最終的結末は覚えていない。というか、そもそも読んでないかもしれない。途中から読むという発想が無かったのか、それとも毎回毎回内容を忘れたのか、いつも最初から読んでいた。すると、途中で呼ばれたり、時間がなくなったり、眠くなったりで、最後まで読んでいなかった。後悔──というまでもないが、地味に気になったりしている。
「それじゃあ……九番椎名、答えてみろ」
「(2x+3y)(3x+y+1)です」
零弥は速攻で答える。
(椎名……確かストラップの時の人……名前は、レイヤ、だったかな?)
亜芽はファストフード店での出来事を思い出す。
(向こうの女性は……相崎さんだ)
亜芽は視線を変える。
(あの背の高い人は……成川って人だったかな?)
亜芽はさらに深く深く、自分の記憶へと潜り込む。
(──相崎さんは何故か涙を流してた)
(──椎名って人は……何か暗いものを背負ってるのかな?とても重い雰囲気だった)
(──成川って人は……わからなかった。雰囲気から読み取れなかったし、思考も読みづらかった)
亜芽は授業中にもかかわらず、まだ続ける。
(──結論、三人ともただ者じゃない。というか、何かの修羅場をくぐって来てる)
(特に、椎名って人のようなタイプは一番たちが悪い。何か『必殺』を隠し持ってる気がする)
亜芽の『必殺』とは、単純な戦力でもあるが、正確に言えば、相手を必ず倒す技、また、それを発動することを厭わない冷酷な性格を指す。
(──大丈夫。あの三人だって気づくはずがない。何らかの力がない限り、私に干渉することなんて不可能なはず。ファストフード店……いや、ストラップを落としたのは誤算だったけど、想定の範囲内)
という言葉にもかかわらず、亜芽の表情に余裕があるとは言えない。やはり、心の奥底で警戒感が存在しているのだろうか。
亜芽はそんな雑念を振り払うかのように、目をつぶり、小さく深呼吸した。
(自分に与えられたミッションは、必ずやり通す……それが私の生命線)
亜芽は心の中で何度も何度も繰り返し呟いた。
一日の授業が終わり、全員帰宅や部活に取りかかる頃の事だ。
夕日が窓から差し掛かり、物静かな雰囲気を出す廊下を零弥は歩いていた。
夕日の茜色の木漏れ日は、何故か緊張感を持たせると同時に、その先の展開を期待させるようなワクワク感とドキドキ感を織り混ぜてくるこの高揚感……がテンプレなのだが……今の零弥にそんな気分など微塵も感じさせなかった。
そもそも、告白の手紙を受け取った所で、そうやすやすと現れるような人間でもないが。
簡潔に言うと、零弥は呼び出しを食らっていた。 しかし、それは教員によるものではないと予め言っておこう。
目的の教室──『用具室』へと到着した零弥は、特に何も考えずに感熱パネルに触れた。
自動ドアは何の変哲もなく開いた。用具室自体も、何の変哲もない。置いてある用具も特に変わった様子はない。
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「おそーい!やっときたわね」
残念生徒会長のお出ましだ。
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