31 / 109
異端児達の集結
エグゼキュート・コンプレックス④中編
しおりを挟む
「これは……まさか、爆破予告!?」
奈緒が口に手を当てて絶句する。
「間違いなくそうなんだろうが……しかし、なぜこんな時に?」
「こんな時……というのは?」
今のは摩美の質問だ。
「タイミング的におかしい、ということだ。大体、この時期に送りつけて来るならば、『参観日を中止しろ』ってケースが多いはずだろ。何で途中に送りつけて来る。大体、犯人の要求も一切書かれてない……どういうことなんだ、一体」
神崎があご髭をさすりながら首をかしげる。どうやら、本人もよく分からないみたいだ。
「確かに……要求は何も書かれていませんね……いったい、何がしたいのでしょうか?」
奈緒も首をかしげる。
「単なるいたずらかなぁ?それともホントに仕掛けたとか……」
「縁起でもないこと言わないでよ!」
摩美の仮説に紗亜矢が叫ぶ。
「今日は参観日で、多数の人数がいます。早急に避難しないと不味いのでは?」
一人冷静に見ていた奈緒が提案する。
「あぁ、そうだろな」
「なら、校長先生や教頭先生に放送を頼まないと……」
「いいや、霧島、お前がやれ」
「私ですか!?」
紗亜矢が目を大きく開けて驚いた。
「校長や教頭が言おうが、誰が言おうとパニックになることに変わりはない。なら、若いリーダーのお前が行けば多少は軽傷ですむだろ」
言っていることは筋が通っているように見えて無茶苦茶だが、神崎の表情はいたって真面目だ。実際、彼自身は紗亜矢のリーダーシップに信頼を寄せている。
ここは紗亜矢に任せるべきだと、教師ながら感じたのだろう。
「……わかりました。やってみます」
紗亜矢は意を決した。
「よし。なら放送室へ急げ。そして、自分が思う通りに伝えるんだ」
神崎の励ましの言葉に、紗亜矢は応えようと思った。
「それじゃ、いきます」
そう言って、紗亜矢たちは放送室へと足を運び始めた。
ピーンポーンパーンポーン──
『失礼します。私は星蕾高校生徒会長の霧島紗亜矢です──』
「会長?どうした、急に」
零弥はある場所で紗亜矢の放送を聞いていた。この時、まだ零弥は爆破予告のことは聞いていない。
『これから伝えることは、全て事実であり、また、衝撃的なことでもあります。皆さん、慌てずに聞いてください。
先ほど、星蕾高校宛にメールが届きました。その内容は、この学校に爆弾を仕掛けた、というものです──』
「爆弾だって!?」
「大変よ、逃げなくちゃ!」
ギャラリーは当然ながらパニックになる。大声が飛び交う中、紗亜矢の放送は続く。
「爆破……予告!」
零弥は息を飲んだ。準備、直前準備、さらに片付けも頼まれていた零弥は、1年A組から離れた場所にいる。
『ただいま、教員が誘導にかかっています。誘導にしたがって、落ち着いて行動してください』
紗亜矢の連絡は以上だ。
「早くでないと!」
「そこ、どいてよ!」
紗亜矢の健闘も虚しく、パニックになって慌てる人は数十人いた。辺りはかなりざわめいている。
しかし、零弥にとって、問題はその先だった。
視線の先に、すぐそこの廊下を通りすぎる一般人がいたのだ。その男は出た瞬間に、パッケージに入っている何かをポケットに入れた。また、その男の手に、見覚えのあるタトゥーが彫られていた。
「くそっ!こんな時に!」
零弥はスマートフォンを取り出す。そして、ある人物にかけた。
『もしもし』
「俺だ。放送は聞いたな?」
『聞いたよ。爆破予告だって』
電話の相手は流雅だった。零弥は軽く走りながら電話をする。
「あぁ、こっちも用ができてだな、少しばかり学校出るわ」
『──わかった。それで?』
「爆破予告は直接学校に届いているとしたら、その内容はハッキングして閲覧できるな?ならば、足が付かないように内容と送信者等を思いっきり調べることは可能か?」
『余裕だよ。すぐに取りかかる。ユミちゃんにもちゃんと伝えておくから、そっちも気を付けてよ』
「OKだ」
零弥は電話を切った。
「さあて、腕の見せ所といこうかな!」
流雅は子供のように無邪気な笑顔でパソコンを立ち上げ、意識を一画面に集中し始めた。
零弥が向かった先は紗亜矢たちがいるはずの放送室だ。
それはちょうど、紗亜矢たちが退出した時だった。神崎も同席していたのでさらに都合がいい。
「零弥くん!?何で来たの?」
「いきなり押し掛けてすいません」
そう言って、零弥は紗亜矢、奈緒、摩美、そして神崎の顔を確認する。
「会長、そして先生に言っておきます。少し用事ができたので、今すぐ外出します。すぐ戻ってきますので、お願いします」
「おい!何を勝手に──」
「わかったわ」
「会長?」
神崎が制止しようとしたが、紗亜矢がさらに遮った。
「気を付けてね!」
「わかっています」
零弥はすぐに玄関へと駆け出した。
靴を効率よく履いて外に出た後、タトゥーの男をすぐさま探し始めた──
奈緒が口に手を当てて絶句する。
「間違いなくそうなんだろうが……しかし、なぜこんな時に?」
「こんな時……というのは?」
今のは摩美の質問だ。
「タイミング的におかしい、ということだ。大体、この時期に送りつけて来るならば、『参観日を中止しろ』ってケースが多いはずだろ。何で途中に送りつけて来る。大体、犯人の要求も一切書かれてない……どういうことなんだ、一体」
神崎があご髭をさすりながら首をかしげる。どうやら、本人もよく分からないみたいだ。
「確かに……要求は何も書かれていませんね……いったい、何がしたいのでしょうか?」
奈緒も首をかしげる。
「単なるいたずらかなぁ?それともホントに仕掛けたとか……」
「縁起でもないこと言わないでよ!」
摩美の仮説に紗亜矢が叫ぶ。
「今日は参観日で、多数の人数がいます。早急に避難しないと不味いのでは?」
一人冷静に見ていた奈緒が提案する。
「あぁ、そうだろな」
「なら、校長先生や教頭先生に放送を頼まないと……」
「いいや、霧島、お前がやれ」
「私ですか!?」
紗亜矢が目を大きく開けて驚いた。
「校長や教頭が言おうが、誰が言おうとパニックになることに変わりはない。なら、若いリーダーのお前が行けば多少は軽傷ですむだろ」
言っていることは筋が通っているように見えて無茶苦茶だが、神崎の表情はいたって真面目だ。実際、彼自身は紗亜矢のリーダーシップに信頼を寄せている。
ここは紗亜矢に任せるべきだと、教師ながら感じたのだろう。
「……わかりました。やってみます」
紗亜矢は意を決した。
「よし。なら放送室へ急げ。そして、自分が思う通りに伝えるんだ」
神崎の励ましの言葉に、紗亜矢は応えようと思った。
「それじゃ、いきます」
そう言って、紗亜矢たちは放送室へと足を運び始めた。
ピーンポーンパーンポーン──
『失礼します。私は星蕾高校生徒会長の霧島紗亜矢です──』
「会長?どうした、急に」
零弥はある場所で紗亜矢の放送を聞いていた。この時、まだ零弥は爆破予告のことは聞いていない。
『これから伝えることは、全て事実であり、また、衝撃的なことでもあります。皆さん、慌てずに聞いてください。
先ほど、星蕾高校宛にメールが届きました。その内容は、この学校に爆弾を仕掛けた、というものです──』
「爆弾だって!?」
「大変よ、逃げなくちゃ!」
ギャラリーは当然ながらパニックになる。大声が飛び交う中、紗亜矢の放送は続く。
「爆破……予告!」
零弥は息を飲んだ。準備、直前準備、さらに片付けも頼まれていた零弥は、1年A組から離れた場所にいる。
『ただいま、教員が誘導にかかっています。誘導にしたがって、落ち着いて行動してください』
紗亜矢の連絡は以上だ。
「早くでないと!」
「そこ、どいてよ!」
紗亜矢の健闘も虚しく、パニックになって慌てる人は数十人いた。辺りはかなりざわめいている。
しかし、零弥にとって、問題はその先だった。
視線の先に、すぐそこの廊下を通りすぎる一般人がいたのだ。その男は出た瞬間に、パッケージに入っている何かをポケットに入れた。また、その男の手に、見覚えのあるタトゥーが彫られていた。
「くそっ!こんな時に!」
零弥はスマートフォンを取り出す。そして、ある人物にかけた。
『もしもし』
「俺だ。放送は聞いたな?」
『聞いたよ。爆破予告だって』
電話の相手は流雅だった。零弥は軽く走りながら電話をする。
「あぁ、こっちも用ができてだな、少しばかり学校出るわ」
『──わかった。それで?』
「爆破予告は直接学校に届いているとしたら、その内容はハッキングして閲覧できるな?ならば、足が付かないように内容と送信者等を思いっきり調べることは可能か?」
『余裕だよ。すぐに取りかかる。ユミちゃんにもちゃんと伝えておくから、そっちも気を付けてよ』
「OKだ」
零弥は電話を切った。
「さあて、腕の見せ所といこうかな!」
流雅は子供のように無邪気な笑顔でパソコンを立ち上げ、意識を一画面に集中し始めた。
零弥が向かった先は紗亜矢たちがいるはずの放送室だ。
それはちょうど、紗亜矢たちが退出した時だった。神崎も同席していたのでさらに都合がいい。
「零弥くん!?何で来たの?」
「いきなり押し掛けてすいません」
そう言って、零弥は紗亜矢、奈緒、摩美、そして神崎の顔を確認する。
「会長、そして先生に言っておきます。少し用事ができたので、今すぐ外出します。すぐ戻ってきますので、お願いします」
「おい!何を勝手に──」
「わかったわ」
「会長?」
神崎が制止しようとしたが、紗亜矢がさらに遮った。
「気を付けてね!」
「わかっています」
零弥はすぐに玄関へと駆け出した。
靴を効率よく履いて外に出た後、タトゥーの男をすぐさま探し始めた──
0
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
精霊姫の追放
あんど もあ
ファンタジー
栄華を極める国の国王が亡くなり、国王が溺愛していた幼い少女の姿の精霊姫を離宮から追放する事に。だが、その精霊姫の正体は……。
「優しい世界」と「ざまあ」の2バージョン。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる