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異端児達の集結
The last thinking③前編
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「──集まったな……」
「みんないい顔してるね~、よく眠れたんじゃないの?」
「久しぶりだし……そりゃ気合いも入るでしょ」
全員、体調は良好みたいだ。こういう状態はかなりの集中力を発揮するので、零弥個人としてはプラスに見ている。
「各自、武器はちゃんと持ってきているな?」
零弥が確認する。
「うん。私の桐鋼、ちゃあんと磨いてきたよ♪」
久しぶりの愛剣の登場に、ユミはご機嫌のようだ。
「僕は素手で行くよ。武器は接近戦ではうまく使えないし」
流雅は両手の平を上に向け、やれやれとしたポーズをとる。
「俺はこいつらを持ってきた。リソースが尽きなきゃいいんだがな」
零弥はポケットからナイフの柄のようなものと、オートマチックのような拳銃を出す。
「大丈夫でしょ、それって結構高性能らしいしね」
「でもまぁ、気を付けることに過ぎたことはないし。頭に入れておくだけでも十分じゃない?」
ユミと流雅が答える。
「──そうか。なら、作戦を伝える。これからアジトに向かうが、今回は出来るだけバラバラに行動しようと思う。どのように散らばるかは現場の判断になるが、それはついてから指示する」
零弥は説明を続ける。
「ユミ、タイミングを見て警察や抑制師に連絡してくれ。よほどのことが無い限りそこまではしないつもりだし、身柄もすぐに引き取ってもらいたいからな」
「わかった。状況を見て判断するよ」
ユミはそう言ってうなずく。
「そして流雅、お前は武器を持ってないから、出来るだけ正面からの戦闘を避けて隠密に行動しろ。戦闘員を固めるためにこっちも派手にやるつもりだ」
「了解だよ。もとより、そうするつもりだったしね」
流雅は無邪気な笑顔を見せる。
「よし……なら、時間を見て、深夜に出発するぞ」
零弥の指示で、出発の時間までユミの自宅で心を落ち着かせることになった。
月島亜芽は、歩いていた。
何度か来ていたアジトの廊下を。
規則通り、お互いの顔を見られないように仮面をつけて、厳戒体制の中、誰もいない空間ですたすたと歩く。だから、同じメンバーの顔はわからない。
廊下は変な臭いがする。何度もこの臭いは嗅いだことがあるが、正体はつかめていない。仮面をつけたメンバーは何事も内容に歩くが、亜芽自信はそうは思わない。
それはいいとして、亜芽はアジトに来たいとは思わなかった。だがこれは命令だ。来ないという選択肢はない。
『死にたくない』というのが最大の理由ではない。零弥たち三人、ハンバーガー屋であった三人と命のやり取りをしなければいけないのが嫌だった。
零弥たちはおそらく実践経験があると予測している。ならば、一筋縄ではいかない……と亜芽は考えている。
結局、こうなる運命だったと亜芽は無駄な思考を切り捨てた。
零弥たちは森の中を歩いていた。そこには、他の人物は全く見当たらない。『アジトが地下にある』という予想が当たっているならば、逆に武装した人がいれば余計に不自然どころか、アジトの位置を教えているに等しい。
こちらも、目立たないように歩いてきた。
「入り口が見当たらないね。どうやってさがす?」
流雅が聞く。
「一応方法はある」
零弥が解説を始める。
「暗くて見えづらいが、木が多いこの場所で、人の出入りが激しければ、土や木の根になんかしらの形跡がのこるはずだ。例えば、この土、他に比べて、草の量が少ないと思わないか?」
零弥が指さす。端末の光を当てて覗いてみれば、確かに草の量は少ない。
「あっ……ほんとだ」
「人間が作った獣道みたいになってるんだね」
流雅が補足をする。
「そしてもう一つ、木の根や付近の土を踏めば土の間隔が狭くなり、十分な空気が入らなくなることによって、木の根が一部腐ってしまうことがある。ほら、そこもよく見れば、腐敗してるのがわかるだろう」
「確かにそうだ……」
ユミがそれを見て絶句している。
零弥はこのように、残された小さな情報から推理するのに長けており、その小さな情報についての知識量も豊富である。
ただ、ここまでまわりくどい方法でアジトを探さなくてもいい方法があるのだが。
それはさておき、零弥たちは先ほどの情報をもとに道を歩いていく。そして、いくつか、明らかに怪しい小屋があった。
「これか?」
三人は扉を開けて中に入る。
そこには誰もいない。使い古しのテーブル、本棚、食器等がおかれているだけで、埃も被っていることから、誰も全く触れていないのだろう。
そして、その付近を調べている中、本棚を触ってみる。本棚はいとも簡単に動き、ドアの要領で開けば、その先の床には蓋をしていた。
「どかしてみるよ」
ユミが動かす。
そして、その場所には、下へと続くはしごがあった。
「当たりのようだね。早速降りていこうか」
零弥は重力を操作して一気に地下まで。ユミと流雅ははしごを伝って降りた。そして、降りた先にはさっきより広い空間がある。そして、いくつかの道と、分岐点、そこまで多くないが、扉もある。
「よし、ここからは単独行動だ。各々、死なないように気を付けろよ」
「わかってる」
「じゃあね、二人とも」
三人はバラバラに散らばった。零弥はそこにある扉から、ユミは左の廊下、流雅は右へ行ったが、おそらくルートは何度も変えていくだろう。
二人を信じて、敵が待ち構えているであろう扉の先へ、零弥は歩き出した。
「みんないい顔してるね~、よく眠れたんじゃないの?」
「久しぶりだし……そりゃ気合いも入るでしょ」
全員、体調は良好みたいだ。こういう状態はかなりの集中力を発揮するので、零弥個人としてはプラスに見ている。
「各自、武器はちゃんと持ってきているな?」
零弥が確認する。
「うん。私の桐鋼、ちゃあんと磨いてきたよ♪」
久しぶりの愛剣の登場に、ユミはご機嫌のようだ。
「僕は素手で行くよ。武器は接近戦ではうまく使えないし」
流雅は両手の平を上に向け、やれやれとしたポーズをとる。
「俺はこいつらを持ってきた。リソースが尽きなきゃいいんだがな」
零弥はポケットからナイフの柄のようなものと、オートマチックのような拳銃を出す。
「大丈夫でしょ、それって結構高性能らしいしね」
「でもまぁ、気を付けることに過ぎたことはないし。頭に入れておくだけでも十分じゃない?」
ユミと流雅が答える。
「──そうか。なら、作戦を伝える。これからアジトに向かうが、今回は出来るだけバラバラに行動しようと思う。どのように散らばるかは現場の判断になるが、それはついてから指示する」
零弥は説明を続ける。
「ユミ、タイミングを見て警察や抑制師に連絡してくれ。よほどのことが無い限りそこまではしないつもりだし、身柄もすぐに引き取ってもらいたいからな」
「わかった。状況を見て判断するよ」
ユミはそう言ってうなずく。
「そして流雅、お前は武器を持ってないから、出来るだけ正面からの戦闘を避けて隠密に行動しろ。戦闘員を固めるためにこっちも派手にやるつもりだ」
「了解だよ。もとより、そうするつもりだったしね」
流雅は無邪気な笑顔を見せる。
「よし……なら、時間を見て、深夜に出発するぞ」
零弥の指示で、出発の時間までユミの自宅で心を落ち着かせることになった。
月島亜芽は、歩いていた。
何度か来ていたアジトの廊下を。
規則通り、お互いの顔を見られないように仮面をつけて、厳戒体制の中、誰もいない空間ですたすたと歩く。だから、同じメンバーの顔はわからない。
廊下は変な臭いがする。何度もこの臭いは嗅いだことがあるが、正体はつかめていない。仮面をつけたメンバーは何事も内容に歩くが、亜芽自信はそうは思わない。
それはいいとして、亜芽はアジトに来たいとは思わなかった。だがこれは命令だ。来ないという選択肢はない。
『死にたくない』というのが最大の理由ではない。零弥たち三人、ハンバーガー屋であった三人と命のやり取りをしなければいけないのが嫌だった。
零弥たちはおそらく実践経験があると予測している。ならば、一筋縄ではいかない……と亜芽は考えている。
結局、こうなる運命だったと亜芽は無駄な思考を切り捨てた。
零弥たちは森の中を歩いていた。そこには、他の人物は全く見当たらない。『アジトが地下にある』という予想が当たっているならば、逆に武装した人がいれば余計に不自然どころか、アジトの位置を教えているに等しい。
こちらも、目立たないように歩いてきた。
「入り口が見当たらないね。どうやってさがす?」
流雅が聞く。
「一応方法はある」
零弥が解説を始める。
「暗くて見えづらいが、木が多いこの場所で、人の出入りが激しければ、土や木の根になんかしらの形跡がのこるはずだ。例えば、この土、他に比べて、草の量が少ないと思わないか?」
零弥が指さす。端末の光を当てて覗いてみれば、確かに草の量は少ない。
「あっ……ほんとだ」
「人間が作った獣道みたいになってるんだね」
流雅が補足をする。
「そしてもう一つ、木の根や付近の土を踏めば土の間隔が狭くなり、十分な空気が入らなくなることによって、木の根が一部腐ってしまうことがある。ほら、そこもよく見れば、腐敗してるのがわかるだろう」
「確かにそうだ……」
ユミがそれを見て絶句している。
零弥はこのように、残された小さな情報から推理するのに長けており、その小さな情報についての知識量も豊富である。
ただ、ここまでまわりくどい方法でアジトを探さなくてもいい方法があるのだが。
それはさておき、零弥たちは先ほどの情報をもとに道を歩いていく。そして、いくつか、明らかに怪しい小屋があった。
「これか?」
三人は扉を開けて中に入る。
そこには誰もいない。使い古しのテーブル、本棚、食器等がおかれているだけで、埃も被っていることから、誰も全く触れていないのだろう。
そして、その付近を調べている中、本棚を触ってみる。本棚はいとも簡単に動き、ドアの要領で開けば、その先の床には蓋をしていた。
「どかしてみるよ」
ユミが動かす。
そして、その場所には、下へと続くはしごがあった。
「当たりのようだね。早速降りていこうか」
零弥は重力を操作して一気に地下まで。ユミと流雅ははしごを伝って降りた。そして、降りた先にはさっきより広い空間がある。そして、いくつかの道と、分岐点、そこまで多くないが、扉もある。
「よし、ここからは単独行動だ。各々、死なないように気を付けろよ」
「わかってる」
「じゃあね、二人とも」
三人はバラバラに散らばった。零弥はそこにある扉から、ユミは左の廊下、流雅は右へ行ったが、おそらくルートは何度も変えていくだろう。
二人を信じて、敵が待ち構えているであろう扉の先へ、零弥は歩き出した。
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