虚構幻葬の魔術師

crown

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異端児達の集結

The last thinking③中編Ⅰ

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 零弥は何の物怖じも無く扉を開ける。
「動くな!」
 男の一人が叫ぶ。構成員たちは全員仮面を被っていて、顔を確認することはできない。ただ、その仮面自体がそれぞれ異なっているので、どの者がどう行動しているかは見分けがつく。
 その男たちの背後から、ある一人の男が悠々と歩いてくる。
「──ペルティエのリーダーか……」
「その通りだ。よくアジトを見つけ出してくれたなぁ。どこの馬の骨だぁ?」
 リーダーは大物ぶったようにニヤニヤしながら脅しをかける。
「そう簡単に素性を話すバカがいるか。早急に片をつけるつもりだが」
 零弥は脅しには乗らない。
「──そうか。じゃあ、うちに入らねぇか?」
「……?」
 リーダーから意外な返答が帰って来た。
「おっしゃる通り、俺はペルティエのリーダー、唐木からき庸治ようじだ。その体術、そのキレた頭脳、その有能な能力アビリティ。うちの仲間になる十分な条件を満たしている。どうだ?金は払ってやるからうちに入らねぇか?」
 リーダーは零弥に対して最後通告をする。
「──なるほど、そういうことか」
「……あぁ?」
 それに対する零弥の返答は誰しも考え付かないものだった。
「俺は元々、ペルティエは大麻の中継ぎ取引で利益を得て活動していると踏んでいた。だが、実際は少し違った」
 そう言って零弥はさりげなく左手を動かす。
「国内外で栽培された大麻を売り付け、利益を得る。それだけなら誰でも考え付くことだ。しかし、その銃。そいつは日本国内では簡単に手に入れられることは出来ない。むしろ不可能だ」
 零弥は推理を続ける。
「──実際は、大麻と同時に、その武器も売り付けられた。それに対して利潤と俺を利用して、取引相手との立場を逆転しようという算段か」
 零弥は実は疑問に思っていたことがあった。大麻を回収するためとはいえ、わざわざサブマシンガンを使ってまで取り返そうとする必要があるのか、と。
 さっきの脅しでようやく理解できた。利潤に関しては一粒も離すことが出来ない、そして、零弥自身を脅しの材料として取引相手に威嚇する。これこそがペルティエの現在目的であった。
「ものすごい洞察力だねぇ。いや~ますますほしくなる。で、結局のところどうなんだ?」
「もちろん断る」
 唐木はその反応に眉を少し動かすと、ふりかえってもといた場所に戻ろうとする。
「そうか。ならお前ら、適当にあしらってやりな」
 その一言とともに、構成員たちは銃を構える。
 そして、零弥はナイフの柄のようなものをポケットから出し、左手で柄をもち、本来無いはずの刃に右手をかざす。そうすれば、部屋の中の光が集まっていき、柄から伸びるように刃が形成された。
「あれは、まさか光子フォトン!」
 構成員の一人が叫ぶ。
 光子フォトンとは、十数年前に発見された新しい原子。空気中に動き回る素粒子光子と原子核となる物質を集め、一つの原子を形成。そして、それを目的の形に形成することで一つの物体となる。製作者は不明で、どこで発見されたのかもわからない。物質に集めて形成しているため、もろく、壁ならば弾丸数十発受けただけで崩壊する。その代わり、精製機によってはどんな形にでも変化できるため、さまざまな使い方に期待されていた。
 今回、零弥が所持しているのは光子剣フォトン・ブレード光子銃フォトン・バレット。精製機の小型化に成功し、それぞれ、柄の部分とグリップの部分で精製するまでに至った。
 しかし……
「そんな時代遅れな武器で戦えるとでも思っているのか!」
 実は、精製機の小型化に成功したのはいいが、その時間が問題だった。空気中の素粒子光子と物質を集め、精製し形成。これらの行程を行うのに時間がかかって当然だ。
 平均的に、刃が崩れてから精製に十秒を要する。接近戦に活躍する剣で、十秒は致命的だ。
 その結果、軍事的に期待されても、そのスピードによって使われなくなったのだ。構成員たちもその話は聞いたことがあるのだろう。
「やれ!」
 男の号令がかかる。そして、構成員たちが一斉に引き金を引きかけた瞬間……
「──あぁ、止めといたほうがいいぞ」
 零弥が不意に呟く。
「──何?」
「構うな!撃て!」
 零弥の呟きを無視して、男の一人は零弥に向かって引き金を引く。

 バァン!

 弾丸は発射されなかった。
 それどころか、銃は腔発し、破裂した。その結果、男の両手は血だらけだ。
「アァ……ア」
 撃とうとした男は、何があったのかわからない感情と、あまりにも痛すぎる感覚で、言葉を発せなくなっている。
「ご丁寧に、弾丸は全て装填されているようだな。しかし、それが仇となった。リーダーと話をしている間に弾丸を全て潰して密閉してある。その結果、内部で異常高圧が発生し、腔発した。方法は特に教えないが」
 零弥は唐木と話をしている間、無重力グラヴィティ・ゼロを発動していた。その効果は、『圧縮コンプレッション』。その物体のみに働くように空間内の重力のベクトルを変化させ、物体の形状を変化させる能力アビリティ。有効エリアも設定してやることで、物体に対してピンポイントで効果を及ぼし、余計な物体を巻き込みにくいので、弾丸の形状の変化にはもってこいだ。
 もちろん、生命体に対しても有効だが、今回はそれが狙いではないし、生命体は骨や筋肉等が複雑に組み込まれているので、うまくいかない場合が多いのでほとんど使わない。
 それはともかく、銃が腔発し、使い物にならないと悟った瞬間、構成員たちは次々に銃を置き始めた。
「クソッ、オラァァァ!」
 その一人が隠し持っていたナイフで零弥に襲いかかる。
 零弥はナイフの位置を正確に把握。その後、光子剣フォトン・ブレードを振り、ナイフの刃に正確に当てる。下から振り上げられたため、男の手から簡単に放たれた。
 すかさず零弥は、残っていた右手で男の鳩尾をグーで殴る。
 男は声にもならない悶えた声で、腹をおさえながら膝をつく。
「さぁ、誰からでも来やがれ。まとめて俺が相手してやる」
 零弥が威嚇するが、構成員たちは足がすくんで動かない。
「そうか、来ないのか。ならば俺から向かってやる」
 零弥はその一言と同時に、構成員たちの渦に向かっていった。
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