虚構幻葬の魔術師

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異端児達の集結

The last thinking③後編

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「──ふぅ、みんな大丈夫かな?」
 ユミは廊下を歩き続けている。戦闘を一旦終えてひと安心しているところだが、まだまだ油断は出来ない。
 本来、所々に構成員が散らばってもおかしくないのに、あの戦闘以降全く出くわさない。おそらく、零弥の部屋に集中したのだろう。
「ここは……まだ見てない部屋」
 ユミは扉を開ける。
「──うわぁ……」
 ユミは気が抜けたのか、呆れたのか、もしくはその両方のような表情をした。目の前の光景に、だ。
 そこには、数十人の男たちが意識無く倒れていた。顔面や服に殴られた跡があり、仮面も所々外れている者もいる。
 そして、その中に、唯一直立している男がいた。
「──よくもまぁ、ここまで派手にやったもんよね」
「俺は最初に言ったはずだぞ」
 零弥だった。しかも無傷だ。
「──流雅とは合流していないか……」
「うん。多分色々なルートを探ってるんじゃない?」
「そうだといいんだがな……」
 零弥は不意にため息をつく。
 だが、その目は心配しているような脆弱な目ではない。
「──ねぇ、これからどうするの?リーダーらしき者の姿なんて全く見えないんだけど」
 ユミが辺りを見回す。唐木が構成員たちを使って足止めさせていることなど、ユミは知らない。
「そうだな……とりあえず、そのまま先へ向かうか」
「わかった」
 零弥の指示で、ユミは同行することになった。
 扉を開け、その先へと向かい、二人は足を回す。



「──ついたね」
「あぁ、いくつか足音、武器が擦れる音が聞こえる。こちらも、かなりの人数だな」
 零弥とユミは壁に耳をあてて確認する。
「どうする?私はダクトから入って奇襲攻撃したんだけど」
 ユミが小声で提案する。
「人数的に意味がないだろうな。だが、そのまま無鉄砲に向かうわけにもいかないし……」
 零弥は悩む。最初に入った部屋では、唐木からの勧誘も含まれていたので、いきなり銃撃ということはなかった。しかし、今はもう断っているので、そうなるはずがない。
「なら……正面から奇襲攻撃しちゃおうよ」
「正面……?」
 零弥は意外な顔をする。
「部屋ごと重力を反転させればいい」
 ユミが内容を解説する。
「そういうことか……なら、『解除』と先頭は任せる」
 零弥が左手を扉に向ける。
「──反転しろ」
 零弥は呟く。
『?ウオッ!?』
 壁の向こうから驚きの声が聞こえた。
「よし!」
 ユミが扉に向かい、全力で突き破る。そして、鞘から桐鋼を抜き出し、『結論改竄リザルトキラー』によって、『重力制御』の効果が打ち消され、重力は元に戻る。
 その結果、男たちは一斉に床に叩きつけられる。その中に、唐木の姿もあった。
 ユミが『重力制御』の効果を受けなかったのは、受ける直前に桐鋼で無効化したからだ。零弥もそれを予測して発動位置を狭くしている。
「終わりだ……観念しろ」
 後から入った零弥は、構成員たちに対して最後通告をする。いつも以上に声に重みがあるのは、決して気のせいではない。
「ウッ……ウアァァァァ!」
 男の一人が、隠し持ったナイフで脇腹を刺そうと走りよってくる。
 しかし、ユミは華麗に避け、すぐさま桐鋼で叩いた。
「チッ……役立たずが……」
 唐木が舌打ちをする。若干焦りが出てきたのか、冷や汗をかいているようにも見える。
「おい!前列、突撃するんだ!」
 唐木の指示で、前列にいたナイフ部隊が一斉に仕掛ける。
「遠慮はいらない」
「わかってるよ」
 零弥とユミが敵を見る。ユミが前列に、零弥は光子銃フォトン・バレットで援護射撃と、ユミと同列の位置で迎え討つ。
 ユミは大剣である桐鋼を難なく使いこなす。そのスイングのスピードは尋常ではなく、とても目で終えるようなものではない。
 零弥は光子銃フォトン・バレットで、光子フォトンの弾丸を、一発づつ発射する。
 弾丸は構成員の肩や膝に正確に当たり、戦闘不能に追い込んでいる。零弥もなかなかの腕前だ。
 結局、前列はあっけなく倒されていった。
「あの銃は何なんだ!どうして弾切れを起こさない!」
 前述した通り、光子フォトンの生成には時間がかかる。本来、連射すればすぐに弾切れを起こしかねないのだが、何故か零弥の光子銃フォトンバレットは生成が早い。かなりの高性能なものなのだろうか?
「まだ抵抗するか。おとなしく降伏するんだな」
「……次だ!迎え撃て!」
  次は銃撃部隊。所々でポジションを変えながら、ハンドガンで追い詰めようとする。
 ユミは思わず前に出ようとするが……
「俺が行く!」
 零弥が制止した。
 零弥は右側の壁に向かって走り、光子フォトンを撃って牽制する。
 零弥が前に出たため、その注意は零弥に向けられ、弾丸は零弥に向かって飛んでいく。
 そんな中、重力のベクトルを変えながら弾丸を避け、光子フォトンを確実に当てていく。
 肩や膝に当たった者は力無く崩れていき、第二段階は終了した。
「クソッ!バケモノがぁ!」
 唐木は振り替えって奥の間へと逃げていった。構成員たちは混乱している。リーダーの風格はもはや廃れていた。
「待てっ!」
 零弥が追いかけようとする。
「させるか!」
 残りの男の一人が、刀を構え、向かって来る零弥を斬りつけようとする。
 ここは無理をしない。すばやい光子剣フォトン・ブレードを刃に当てて、つばぜり合いに持ち込み、零弥はバック宙で戻る。
「零弥!ここは任せて。早くいかないとまずい気がする」
 ユミが桐鋼を構えて忠告する。
 これだけの人数をユミ一人で戦わせるのはあまりいい策だとは思わなかったが、急ぎたいのもまた事実。
 零弥は一瞬考えた。
「──分かった。任せたぞ!」
「うん!」
 零弥は『重力制御』を発動する。構成員たちの頭上を一気に飛び越え、唐木を追跡する。
 零弥の姿が見えなくなったところで、ユミが一言告げる。
「あなた達の相手は私よ。全て斬ってみせる!」
 ユミは構成員たちに突っ込んでいった。
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