虚構幻葬の魔術師

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異端児達の集結

異端児達の入学⑤

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 入学式から一晩明けたこの日。
 この日から特に集会等はしばらく行われないため、各自が私服で登校することを正式に認められる。
「自由の尊重」をモットーにした私立星雷高校の教育方針の一貫である。
「制服」という呪縛から解放され、個人が快適な環境で教育や授業を受けることは、中学生達の憧れの対象である。
 そして、その校則に乗っ取り、零弥は自らが好む服に袖を通そうとするのだ。
 零弥はパーカー等の服装を好む。
 この日も、黒いパーカーに薄いブルーデニムという至って地味な服装。
 フードも基本被ることが多い。
 これが零弥の普段着である。
 靴も動きやすさを重視し、運動用のランニングシューズを履いているようだ。
「これで…いくとするか」
 零弥はノートパソコンとバッテリーを鞄に入れ、スマートフォンをポケットに入れ、部屋の扉を開けてエレベーターへと歩く。
 エレベーターの中で、零弥は今日やるべきことを確認する。
①通常通り登校する。その後、校舎内の内装を今度こそは確認する。この時、あまり他学年の生徒と接触しないように心がける。
②月島亜芽にストラップを返却する。ユミと流雅に相談し、亜芽に話をする。
 こんなもんかと考えていれば、エレベーターは一階に到着していた。
 零弥の住むアパートは校舎とあからさまに離れているわけではないので、歩いてでも十分だ。普段通りであれば、十分ほどで到着する。
 流石に入学式のような出来事は二日連続で発生することはなく、零弥はどんな事件に巻き込まれることなく星校に到着した。
「あっ。零弥、おはよー」
 ユミも同じ頃に到着していたようだ。何故か今回は寝坊などはしておらず、余裕をもって登校できたようだ。
 零弥はその不思議を何故、昨日に発動できなかった(してくれなかった)のか疑念を持った。
「あぁ。おはよう……というか何だよその服装は」
 ユミは動きやすさを重視するため、中学生の時はジャージや、ウィンドブレーカー等の女子の嗜みの一つであるファッションの欠片もなかった。
 しかし、今回は膝位のスカートを履き、普通におしゃれしていた。
「えへへ。私こういうのしてみたかったんだー」
 ―してみたかった―それはユミの大きな願望のひとつでもあった。
 ユミは夜にも休日にもゆっくり出来ない。
 それはユミの仕事上の問題である。
 いつ行かなければならないかわからない。こんな仕事を女子高生が勤めているのだ。
 しかし、これはユミ自身が望んで始めたことだ。自分の目的を達成するために。零弥もそれを理解しているから止めることはない。
 ならば、精一杯のサポートをしてやろう――零弥はそう考えていた。
「そうだな。なら、教室にいこうか。やることもあるしな」
「はいはーい」
 ユミは軽い返事をして零弥の後を追う。
「そういえば、零弥は部活どうするの?」
「入らん。というか仕事上入れないだろ。そんな時間はない」
 ユミの冗談に少し笑ってツッコミを入れる。
「そういえば、昨日は入学式の後すぐに帰ったけど、星校ってホント広いよね~」
 星校は県内でも有数の広さを持つ。これこそ、私立校の特権と言うものだろうか。
「内装はどんなかんじなのかな?」
「それを今回確かめにいくのだが…」
「そうなの?何で昨日にしなかったの?」
「いや、お前のせいだろ」
 そんなやり取りをしていれば、玄関についてしまっていた。
「あれっ。お早いねぇ、二人とも・・・・
「俺を含めるな。俺を」
 玄関には流雅がいた。
 流雅は中学生の時もこのぐらいの時間帯に登校している。
 だから、流雅としては当たり前のはずだが、零弥達の登校がいつも以上に早かったため、何故か流雅が遅れているような状況だった。
「流雅おはよー」
「おはよう、ユミちゃん。どうしたの早いじゃん」
「なんか結構目覚めがよかったのよね」
「それを昨日に発動してほしかったのだがな」
 零弥が白い目でユミを見つめる。
 時間に余裕があったので、そこまで急がずに行動できそうだ。
 零弥は二人とともに、ここでストラップの事について相談することにした。
「ところで、月島にどうやって、ストラップを返すんだ?」
「昼休みがいいんじゃない?この高校外食OKだから。近くのファストフード店に一緒にいこうよ」
 星校の付近には多くの飲食店がある。
 星校の校則も、昼休みには外出してもいいので、より話しやすいファストフード店が最良と判断した。
「それで、どう誘うの?」
 ユミが流雅に聞く。
「そんなの、キミは既に察しているんじゃないの?」
 今度は逆に流雅がユミに聞く。
「まさか、私が!?」
「その通り。男子の僕と零弥くんが誘えるわけ無いっしょ」
 ヘラヘラした外見の流雅だが、このような常識はやはり持っていた。
 しかし、問題はユミの方だ。
「あんな冷たそうな表情の子を誘える自身無いよ…」
 ユミは軽度の人見知りである。
 中学生時代も、女子と零弥と流雅以外は自分からはまともに話したことがない。
「まっ、よろしくね」
 流雅からの投げやりな言葉を食らってしまう。頼みの綱として零弥に視線をずらすが…
「今回ばかりは仕方ない」
「まだ何も言ってないでしょ…」
 結局、手札を全て失ったユミはしぶしぶその役割を受けるのであった。
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