虚構幻葬の魔術師

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異端児達の集結

狂騒乱舞のダークサイド①前編

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 ここでまた、生徒会メンバーに戻ってみよう。
 生徒会室では、ニュース番組が流れる中、数人の生徒が昼食をとっている。
 そもそも、生徒会室は仕事を昼休み中に行いたい場合が多いことで、昼休み、放課後では毎日解放している。しかし、生徒会メンバー以外の生徒はメンバーの許可がないと使用できず、使用する場合はメンバーが同行しなければいけない。
 本題に移るが、部屋にいるのは、紗亜矢、藍那、奈緒、摩美の4人である。たまに和希と早奈英も加わることはあるが、和希に関しては稀である。
 4人とも、それぞれ弁当を持ってきて、女子トークをしたりしている。この中に和希が入れるはずもなく、早奈英もここまで密室に人がいる空間は苦手である。
「これから、一年生も高校生活が始まったのね…またあの頃に戻ってみたいなぁ」
「会長、何を今さら」
 摩美が薄笑いをしながらツッコミを入れる。
「だって、新しい学校に入学するのってさぁ、ワクワクするでしょ?やっぱり、進級よりも入学のほうが、また、いい気分を味わえるじゃない」
「今年受験があるからといってごまかすなよ」
 藍那がそういう。
 勿論、三年生は受験、もしくは就職活動が始まってくる。紗亜矢は進学志望だ。
「それに、お前は椎名くんと交渉するという大事な役割があるんだから、しっかり考えておくんだぞ」
「大体、勧誘は五月頃でしょ。そんなに焦らなくったって…」
「いきなり勧誘すれば、さすがに乗りにくいだろ。こういうのは早めに手を打っておくべきだ。ほら、先手必勝って言うだろ?」
「いやいや…奈緒ちゃんは…」
「副会長の言うとおりだと思いますが」
 奈緒が冷たく対応する。
「ひどい…」
「流石は茜沢にしざわ先輩、冷たいですね」
 摩美が面白がるように茶々を入れる。
茜沢あかねざわです」
 この会話もいつも通りだ。
「まあまあ、紗亜矢は椎名くんと直接あってるんだろ、どんな感じだった?」
 藍那が零弥について尋ねた。 
「まあ、話をしたって、本当に一瞬だから詳しくはわからないけど、とりあえず悪い人ではないと思うわ。けど、躓いたときは、ちょっとぐらい悪意はあった気はするんだけど…」
「どういうことだ?」
「それは置いといて、私が急いでいるのも一瞬で見抜いていたし、すぐに時刻は見せるし、わりと真面目な子なんじゃない?」
「かなり洞察力がありますね」
 これは奈緒の発言だ。
「そりゃあ、一番ですからね」
 これは摩美の発言。
「それなら、交渉には応じてくれそうだな。任せたぞ、紗亜矢」
「ちょっと!せっかく忘れようとしていたのに…」
「まぁ、会長なら大丈夫じゃないですか?『校内では男子に人気のある会長』ならね」
「それは誉め言葉なの?」
「誉め言葉ですけど…まさか、自信がないんですかぁ?」
 いつものように摩美が煽る煽る。
「そんなわけないでしょ!何を根拠にそんなことを…」
 いつものパターンに藍那と奈緒は顔を見合わせて苦笑いした。この流れだと、また紗亜矢がドジを踏む。しかし、話の終着点は見当がつかないでいたのは、いつもと違うと言って言い点だ。
「会長が仰る通りならば、椎名くんは交渉に応じてくれるはずです。 藍那ふくかいちょうが仰る通り、先手必勝です。こういった行動はすぐにとることをお薦めしますよ!」
「そんな嬉々として言わなくてもいいじゃないの…」
 紗亜矢が「まいった」というような表情をする。
 紗亜矢の扱いが容易で、ドジを踏むような性格の持ち主であることは、すでにお分かりであろう。この事は三年の女子はほとんど理解しており、肴として話題に上がっている。人気校の生徒会長でも、同学年からの扱いは大体その程度である。
 しかし、他学年は別の話。紗亜矢は『成績優秀の生徒会長(そもそも生徒会に入る時点でかなり優秀)』として他学年の女子の憧れの対象でもあった。そのため、彼氏などできてしまえば、その男性がどこまでの被害を被るのかは計り知れない。紗亜矢がモテるが彼氏がいないのはそのためである。紗亜矢自身、おもいっきり恋をしたことなどなく、興味はあるが、在学中はやめようと決めている。
 それについては二年生の摩美はよく理解している。摩美自身、ネットワークは広く、普通に男子生徒と話すよゆうはあるのでなおさらだ。
 摩美の真意はもうお分かりだろう。
 ここの性格はある意味流雅に酷似しているのかもしれない。
「まぁまぁ、そういうことで、今日仕掛けてみればどうでしょうか?」
「でもね…ここっ…こういうのは準備が必要なのよ!いいいいきなり話したら流石に迷惑…」
「怖いんですか?」
 形勢の立て直しを図った紗亜矢に、更に追い討ちをかける。
「交渉をした結果、あっさり断られて相手にもされないことが…」
「そそそそんなわけないでしょ!見てなさいよ!今日中にやってやるから!」
「ついに言ったな」
「そうですね…」
 こっそりやり取りを見ていた藍那と奈緒がぼそりと呟いた。
 こうして、人気校の生徒会長は、自分が全く気付かないうちに追い詰められいていたことを今更ながらも知ったのだった。
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