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ナイトプールじゃなくて
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琉生『体力なさすぎてさ、何か運動始めようかな?』
あれから、蒼真くんとは軽いメッセージのやり取りが続いている。
蒼真『今は外、危ないよ。屋外の運動は涼しくなってから』
琉生『じゃあ、ナイトプールとか?』
蒼真『ナイトプール』
コンスタントに返ってきていた通知が、そこでふっと止まった。
既読が付いたまま、画面が静かになる。──やりすぎた? “チャラいΩ”みたいに見えたかもしれない。
琉生『ナイトプールじゃ運動にならないか。今ならまだ海、間に合う?』
(たしか、お盆前なら泳げるはずだ)
少しして──
蒼真『海いいね。訓練では冬でも入るけど、オフの海水浴なんて久しぶり』
琉生『じゃあ決まり! その前に水着、買いに行きたい』
蒼真『了解』
そこからは、とんとん拍子だった。日程が決まり、待ち合わせも決まる。
週末、駅前の大型スポーツショップ。
蛍光灯の白い明かりの下、色とりどりの水着が並ぶ。日焼けした蒼真くんの肌には、どれも映える。
「琉生くんは焼けやすい?」
「うん。すぐ真っ赤になる」
「じゃあ長袖のラッシュガード。……これ、どう?」
差し出されたのは、白地に深い水色のラインが入ったシンプルな一着。鏡の前で当ててみると、思ったより悪くない。
横から覗き込んだ蒼真くんが、「似合う。落ち着いてるけど、ちゃんと綺麗」とにこりと微笑む。
「そう? ……じゃあ、これにする」
蒼真くんは、色違いの黒地のものを手に取った。
「もっと派手なのも似合いそうだけど?」
「現場は蛍光オレンジだよ? オフは地味でいいんだ」
くしゃっと笑って、肩をすくめる。
水着を購入して出口へ向かう途中、浮き輪やフロートの棚を横切る。
視界の端で、透明なビニールが照明を反射してきらりと光った。──ホテルの屋上、貸切プール。用意された水着。フロートの上で絡み合う腕。
胸の奥で遠い記憶が軋む。けれど、身体の横で揺れるビニール袋と、蒼真くんのスニーカーが床を擦るリズム──いまここにある生活の音が、その軋みをさらっていく。
「日焼け止め、SPF高いのも買っとこ」
「はーい、日向隊員。弊社のおすすめ商品宣伝するよ。」
「そっか、琉生くん化粧品メーカー勤務だったね。教えて」
軽いやりとりを続けながら自動ドアを抜けると、真夏の光が差し込んだ。
そのあとドラッグストアにも寄って、日焼け止めや必要なものを買い込む。
コンドーム売り場を通り過ぎるとき、浅ましくも「今日は?」と期待してしまう自分に反吐が出た。まだ僕らの関係に名前はない。あえて言うなら、友達だ。
馬鹿だ、期待するな──心の中でブレーキを踏み、棚から目を逸らす。期待して、一人で舞い上がって堕ちるその先は次こそ戻れない暗闇が広がっている。
次の行き先は決めていない。目的は果たしたけれど、まだ離れたくない。なのに、レジへ向かうその手を繋ぐ勇気もない。
「どうしたの、琉生くん?」
あれから、蒼真くんとは軽いメッセージのやり取りが続いている。
蒼真『今は外、危ないよ。屋外の運動は涼しくなってから』
琉生『じゃあ、ナイトプールとか?』
蒼真『ナイトプール』
コンスタントに返ってきていた通知が、そこでふっと止まった。
既読が付いたまま、画面が静かになる。──やりすぎた? “チャラいΩ”みたいに見えたかもしれない。
琉生『ナイトプールじゃ運動にならないか。今ならまだ海、間に合う?』
(たしか、お盆前なら泳げるはずだ)
少しして──
蒼真『海いいね。訓練では冬でも入るけど、オフの海水浴なんて久しぶり』
琉生『じゃあ決まり! その前に水着、買いに行きたい』
蒼真『了解』
そこからは、とんとん拍子だった。日程が決まり、待ち合わせも決まる。
週末、駅前の大型スポーツショップ。
蛍光灯の白い明かりの下、色とりどりの水着が並ぶ。日焼けした蒼真くんの肌には、どれも映える。
「琉生くんは焼けやすい?」
「うん。すぐ真っ赤になる」
「じゃあ長袖のラッシュガード。……これ、どう?」
差し出されたのは、白地に深い水色のラインが入ったシンプルな一着。鏡の前で当ててみると、思ったより悪くない。
横から覗き込んだ蒼真くんが、「似合う。落ち着いてるけど、ちゃんと綺麗」とにこりと微笑む。
「そう? ……じゃあ、これにする」
蒼真くんは、色違いの黒地のものを手に取った。
「もっと派手なのも似合いそうだけど?」
「現場は蛍光オレンジだよ? オフは地味でいいんだ」
くしゃっと笑って、肩をすくめる。
水着を購入して出口へ向かう途中、浮き輪やフロートの棚を横切る。
視界の端で、透明なビニールが照明を反射してきらりと光った。──ホテルの屋上、貸切プール。用意された水着。フロートの上で絡み合う腕。
胸の奥で遠い記憶が軋む。けれど、身体の横で揺れるビニール袋と、蒼真くんのスニーカーが床を擦るリズム──いまここにある生活の音が、その軋みをさらっていく。
「日焼け止め、SPF高いのも買っとこ」
「はーい、日向隊員。弊社のおすすめ商品宣伝するよ。」
「そっか、琉生くん化粧品メーカー勤務だったね。教えて」
軽いやりとりを続けながら自動ドアを抜けると、真夏の光が差し込んだ。
そのあとドラッグストアにも寄って、日焼け止めや必要なものを買い込む。
コンドーム売り場を通り過ぎるとき、浅ましくも「今日は?」と期待してしまう自分に反吐が出た。まだ僕らの関係に名前はない。あえて言うなら、友達だ。
馬鹿だ、期待するな──心の中でブレーキを踏み、棚から目を逸らす。期待して、一人で舞い上がって堕ちるその先は次こそ戻れない暗闇が広がっている。
次の行き先は決めていない。目的は果たしたけれど、まだ離れたくない。なのに、レジへ向かうその手を繋ぐ勇気もない。
「どうしたの、琉生くん?」
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