ひとりぼっちの千年魔女、転生したら落ちこぼれ令嬢だったので、家族を守るために魔法を極めます! 〜新たな家族ともふもふに愛されました!〜

空月そらら

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序章

第41話 反撃の連携

「――舐めるなアアアアッ!! 人間ごときが、この俺を見下すなぁッ!!」

 ナードルの絶叫と共に、戦場の空気が沸騰した。

 彼の全身から溢れ出した漆黒の魔力が、無数の黒い雷撃となって周囲を薙ぎ払う。

 それは狙いも何もない、ただの力の暴走。

 だが、それゆえに回避が困難な広範囲攻撃だ。

「お嬢様ッ!」

 クライブが私の前に滑り込み、剣を振るう。

「『旋風斬(ウィンド・スラッシュ)』!」

 彼の剣から生じた真空の刃が、迫りくる黒い雷撃を相殺し、弾き飛ばす。

 だが、ナードルの攻撃は一発や二発ではない。

 雨あられと降り注ぐ高位魔法の連打だ。

 ドガガガガッ!!

 クライブの周囲で爆発が起きる。

 彼は神業のような剣技で致命傷を避けているが、弾ききれなかった余波が彼の頬を切り、肩の鎧を砕く。

「ぐっ……! なんてデタラメな火力だ……!」 

 クライブが片膝をつく。

 彼の深緑の騎士服が、赤く染まり始めていた。

 それでも彼は退かない。

 背中に私という守るべき存在がいるからだ。
 
 私の胸の奥で、冷たい怒りの炎が燃え上がった。

 私の大切な騎士を傷つけ、父を倒し、私の魔法を汚した罪。

「クロ、お願い!」

 「ミャウッ!」

 肩の上のクロが応える。

 背中から熱い奔流が流れ込む。

 私の魔力はすでに悲鳴を上げているが、クロの純度の高い魔力が、強引にそれを補強し、拡張していく。

 私は右手を突き出した。

「酸素よ、集え。赤熱の弾丸となれ――《ヒート・バレット(熱弾)》!」

 私の掌に、ルビーのように輝く光球が三つ生成される。

「消えろぉぉぉッ!」

 ナードルが巨大な闇の槍を放ってくる。

 クライブがそれを剣で受け流そうと構えるが――。

「下がって、クライブ!」

 私は叫ぶと同時に、熱弾を射出した。

 ヒュンヒュンヒュンッ!

 赤い閃光が闇の槍に突き刺さり、空中で爆散させる。

「ハッ! なんだその豆鉄砲は! そんな貧弱なファイアボールで、この俺の障壁が破れると思ったか!」

 ナードルは嘲笑い、あの絶対障壁(イージス・ヘキサ)を展開する。

 だが、私の狙いは障壁の破壊ではない。

「……誰が真っ直ぐ狙うと言ったのかしら?」

 私は右手の人差し指を、指揮者のようにクイッと跳ね上げた。

 その瞬間。

 爆煙の中から飛び出した残りの熱弾が、直角に曲がった。

「なっ!?」

 ナードルの視界から消え、背後や側面へと回り込む。 

 全方位からの同時攻撃。

「なぜだ! なぜこんなガキに、これほどの制御が……!?」

 ナードルは驚愕しつつも、さすがは魔人と言うべきか、反応速度は速い。

 体を捻り、障壁を球状に展開して熱弾を防ぐ。

 だが、それこそが私の狙いであり――クライブへの合図だ。

ナードルが熱弾を防ぐために、一瞬足を止めた。

 その隙を、歴戦の騎士が見逃すはずがない。

「――そこだァッ!!」

 風を裂く音。

 クライブが、いつの間にかナードルの懐に潜り込んでいた。

 ナードルが熱弾に気を取られ、回避行動を取ったその着地点。

 そこに、クライブの剣が待ち構えていたのだ。

 ザシュッ!!

「ぐあッ!?」

 銀閃が走る。

 ナードルの青白い腕から、ドス黒い血が噴き出した。

 浅い。

 とっさにバックステップで致命傷は避けられたようだが、その顔には明らかな動揺が張り付いている。

「き、貴様ら……!」 

「へっ! ざまあみやがれ!」

 クライブはニカっと笑い、私の方へ親指を立てて見せた。

「助かったぜ、お嬢様! あの訓練で鍛えられた予測能力が、こんなところで役に立つとはな!」 

「ええ。貴方が私の魔法の軌道を熟知していてくれて助かったわ」
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