破滅確定の悪役貴族、【絶対快眠】スキルで最強魔法使いになったので、学園スローライフを満喫する

1章

第38話 すっきりとした目覚め

翌朝。
　
　目を覚ますと、隣にフィリアがちょこんと眠っている。

　妹の寝顔は天使のようで、少し髪が乱れているのが可愛らしい。
　
　俺はそっと布団から抜け出し、身支度を整える。

　一瞬で爆睡したおかげで心身ともにリフレッシュされた。

「……お兄さま……？　おはようございます」
　
　フィリアも目を開け、俺の姿を見上げる。
　
「おはよう、フィリア。よく眠れたか？」
　
「はい……すごく安心して眠れました。お兄さまの体温、あったかかったです」

　そうして二人で笑い合い、まずは朝食へ向かうことにする。

　屋敷の中は朝の日差しで満ちており、使用人たちが忙しく動き回っていた。

　★

　朝食を終えた後、俺は早速エリシアに呼び出される。

　庭での魔法訓練はもちろん、座学も合わせて行うという。

「おはようございます、レオン様。昨日はお疲れでしょうし、今日は軽めのメニューにいたしましょうか？」
　
「いや、俺は大丈夫だよ。むしろ本格的にやりたいかも。外での経験を無駄にしたくないし」
　
「ふふ、頼もしいですね。では、午前中は理論講義をしましょう。魔力の循環と属性変換について……」

　エリシアが広げる教材は専門的な魔導書だが、俺には正直難しく感じる。

　眠くなりそうだ――と思ったが、“絶対快眠”で小刻みに仮眠を挟めるおかげで集中力が持続する。

「レオン様、今までより飲み込みが早いですね。ちゃんと読解していますか？」
　
「うん、要は火属性の魔力と土属性の魔力は感覚が違うってことだろ？　そこを意識して流れを切り替えるには、こういうイメージを持てばいい……って書いてあるし」
　
「そうです、その通り。素晴らしいです」

　エリシアが笑顔で頷き、俺がちょっとした優越感を得る。

　こんな風に誰かに教わるのが、こんなに面白いとは思わなかった。

　午後は庭で実践訓練。火、土、風の簡単な魔法を交互に撃ち分ける練習や、仮想敵への攻撃シミュレーションをこなす。

　もちろん、時折仮眠しながら魔力を回復して連続して放つ。
　
　エリシアも魔法を使って無数の氷片を生成し、的を作ったり、俺の攻撃をあえて受け流したり。

　実践的な演習だ。

「これなら学園に入っても、最下位クラスに落ちることはないでしょうね。むしろ中～上位を狙えるかもしれません」
　
「マジか……。ありがたい話だな」
　
「ええ、期待していますよ」

　エリシアは真剣な眼差しで俺を見つめる。

　その瞳に映る自分を見て、俺は改めて気を引き締める。

　破滅確定ルート？　そんなもの、全力で回避してみせるさ。