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1章
第29話 面白いヒロインだ
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リザラが握る剣は、先ほどまで冷気の魔力が纏っていたが、俺がマニフェストを発動した瞬間、その魔力は霧散してしまった。
これでは、ただの剣を持っているに過ぎない。
もう勝負はついただろう。
「この勝負、俺の勝ちだな」
「ま、まだ」
「もうやめておけ、これ以上剣に魔力を纏わせても、俺に勝ち目はない」
俺はリザラにそう言い切る。
すると、先ほどまで自信満々だった彼女の表情が一変し、静寂の空気が流れ始めた。
その場の雰囲気が重くなる。
「リザラ、お前に話があるんだが」
「何よ……」
「約束とは違うが、別に俺と同行しても構わんぞ」
「え!?」
「なかなか良い動きをしていたしな、あの行動パターンを読み取る機敏さは素晴らしい」
「で、でも、私は勝負に負けたし……」
「確かに負けはしたが、俺はリザラの実力を高く評価している。俺の想像を上回る動きをしていたんでな」
俺は勝負をするまで、リザラの実力をかなり下に見ていた。
リザラは物語の中で王国の騎士団隊長になる逸材だが、今はまだまだ未熟だ。
全盛期のリザラはかなりの実力者だろう。
まあ、本来は勇者カイルのヒロインでもあるから、それぐらい強くなければ話にならない。
そんなことを考えていると、リザラが俺の前に来て、少し照れたように言った。
「えっと……ありがとう」
「ん?」
「だって、凄い褒めてくれるし……」
リザラの頬はほんのり赤く染まり、少しモジモジとした様子を見せる。
さっきの勇ましい雰囲気はどこに行ったのだろうか。
俺がそんなことを考えていると、リザラが俺の体に抱きついてきた。
「お、おい、何を」
リザラの胸が俺の体に押し付けられる。
前世で女性との経験が乏しい俺は、少し緊張してしまう。
すると、彼女は上目遣いでニヤニヤと俺を見つめてくる。
「もしかして緊張してるアレン? あんまりこういう経験はないの?」
「そ、そんなものあるに決まってるだろう。いいから離れてくれ」
「ふーん」
俺がそう言うと、リザラは押しつけていた胸を離し、少し距離を置いた。
「それでアレン、ここからどうやって問題を解決していくの?」
「まずは、魔力探知をして魔法書が何処に転送されているのか特定しなくてはいけないな」
「転送されている場所を特定するって、かなり難しいんじゃない?」
「ああ、だが俺の魔法を使えば魔力を探知する事が出来る。少し時間は掛かるがな」
俺は前回、ユキのレッドストーンを探すために使用した魔法、アルカナクラスを使えば魔力探知ができることを思い出す。
しかし、範囲が広ければ広いほど、かなりの時間が掛かってしまう。
「まずはアジトの特定から始まるのね。私に何か出来ることはある?」
「そうだな、フィオガルラ王国の地図を見て、洞窟や根城になりそうな場所をマークしてもらえるか?」
「分かったわ」
王国といってもかなりの広さだし、見つけるのは難しいが、やはり周辺の確認は重要だ。
特に王都の近くには洞窟が多いから、アジトにするには最適な場所だろう。
「よし、話はまとまったし、訓練場から出るぞ」
「ねえアレン、一つ聞かせて」
「何だ?」
俺は訓練場から出ようとすると、リザラが俺に声を掛ける。
「アレンって、どのくらいのレベルまで魔法を使えるの?」
「まあ、そこそこだ」
俺ははぐらかすようにリザラとの会話を終わらせる。
リザラは少し頬を膨らませて俺を睨んでいるが、俺はそれをスルーする。
(さて、ここから大変だな)
これでは、ただの剣を持っているに過ぎない。
もう勝負はついただろう。
「この勝負、俺の勝ちだな」
「ま、まだ」
「もうやめておけ、これ以上剣に魔力を纏わせても、俺に勝ち目はない」
俺はリザラにそう言い切る。
すると、先ほどまで自信満々だった彼女の表情が一変し、静寂の空気が流れ始めた。
その場の雰囲気が重くなる。
「リザラ、お前に話があるんだが」
「何よ……」
「約束とは違うが、別に俺と同行しても構わんぞ」
「え!?」
「なかなか良い動きをしていたしな、あの行動パターンを読み取る機敏さは素晴らしい」
「で、でも、私は勝負に負けたし……」
「確かに負けはしたが、俺はリザラの実力を高く評価している。俺の想像を上回る動きをしていたんでな」
俺は勝負をするまで、リザラの実力をかなり下に見ていた。
リザラは物語の中で王国の騎士団隊長になる逸材だが、今はまだまだ未熟だ。
全盛期のリザラはかなりの実力者だろう。
まあ、本来は勇者カイルのヒロインでもあるから、それぐらい強くなければ話にならない。
そんなことを考えていると、リザラが俺の前に来て、少し照れたように言った。
「えっと……ありがとう」
「ん?」
「だって、凄い褒めてくれるし……」
リザラの頬はほんのり赤く染まり、少しモジモジとした様子を見せる。
さっきの勇ましい雰囲気はどこに行ったのだろうか。
俺がそんなことを考えていると、リザラが俺の体に抱きついてきた。
「お、おい、何を」
リザラの胸が俺の体に押し付けられる。
前世で女性との経験が乏しい俺は、少し緊張してしまう。
すると、彼女は上目遣いでニヤニヤと俺を見つめてくる。
「もしかして緊張してるアレン? あんまりこういう経験はないの?」
「そ、そんなものあるに決まってるだろう。いいから離れてくれ」
「ふーん」
俺がそう言うと、リザラは押しつけていた胸を離し、少し距離を置いた。
「それでアレン、ここからどうやって問題を解決していくの?」
「まずは、魔力探知をして魔法書が何処に転送されているのか特定しなくてはいけないな」
「転送されている場所を特定するって、かなり難しいんじゃない?」
「ああ、だが俺の魔法を使えば魔力を探知する事が出来る。少し時間は掛かるがな」
俺は前回、ユキのレッドストーンを探すために使用した魔法、アルカナクラスを使えば魔力探知ができることを思い出す。
しかし、範囲が広ければ広いほど、かなりの時間が掛かってしまう。
「まずはアジトの特定から始まるのね。私に何か出来ることはある?」
「そうだな、フィオガルラ王国の地図を見て、洞窟や根城になりそうな場所をマークしてもらえるか?」
「分かったわ」
王国といってもかなりの広さだし、見つけるのは難しいが、やはり周辺の確認は重要だ。
特に王都の近くには洞窟が多いから、アジトにするには最適な場所だろう。
「よし、話はまとまったし、訓練場から出るぞ」
「ねえアレン、一つ聞かせて」
「何だ?」
俺は訓練場から出ようとすると、リザラが俺に声を掛ける。
「アレンって、どのくらいのレベルまで魔法を使えるの?」
「まあ、そこそこだ」
俺ははぐらかすようにリザラとの会話を終わらせる。
リザラは少し頬を膨らませて俺を睨んでいるが、俺はそれをスルーする。
(さて、ここから大変だな)
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