【書籍化決定】悪役貴族に転生した僕、家族を救うために水魔法を極めて破滅回避する!

空月そらら

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王都観光編

第58話 家族皆で夕食

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 まだ日は落ちていないが、そろそろ宿で休む時間だ。

 明日はいよいよ夜祭り本番。

 きっと凄まじい賑わいになるだろうし、体力を温存しておかないといけない。
 
 高級宿の正面に戻ると、門番が「おかえりなさいませ、辺境伯さま」と出迎えてくれ、僕たちはロビーを通ってエレベーターのような魔力リフトを使い、最上階のスイートルームへ向かった。

 廊下にはフカフカの絨毯が敷かれ、壁には豪華な絵画や金の装飾が施されている。

 僕は足裏に感じる絨毯の柔らかさに目を丸くして、フェルも「わん……」と不思議そうに踏みしめていた。

 邸宅とはまた別の豪華さだ。

 部屋に入ると、まるで別世界。

 広いリビングにはシルクのソファがあり、壁には大きな窓があって王都を一望できる。

 ベッドルームも複数あるらしく、ドアが何枚か並んでいた。

 母が「まあ、こんなに広い必要あるのかしら」と苦笑するほど贅を尽くしているみたいだ。

 父はすっかり満足げで「いいだろう、リウス。これが高級宿だ」とにやけている。

 僕は「あ、すごしゅぎ……ばぶ……」と圧倒されるばかりだ。

 エレノアお姉ちゃんはグルグル部屋を回り、「お風呂場も広ーい! いいなあ、しっかり疲れをとれそうね」とはしゃいでいる。

「よし、じゃあ荷物を置いたし、軽く部屋を整えたら夕食を食べよう。ホテルのダイニングでもいいし、ルームサービスでも頼めるんだが……リウスはどうしたい?」
 
 父が聞いてくるが、僕は考えた末に「あ、ルームサービス……ここで食べたい」と呟く。

 正直、足が疲れてしまったし、フェルも一緒にリビングで落ち着いて食べられるならそっちのほうがありがたい。

 エレノアお姉ちゃんも「いいわね、まったりできそう」と賛同。

 母も笑って「そうしましょう。高級宿のルームサービスってどんなものが出るのか興味あるし」と意見が一致する。

「じゃあ注文してみようか」と父が宿のスタッフに指示を出すと、メニューが持ってこられる。

 そこには肉料理やスープ、パン、魚料理など豊富に記載されていて、あまりにも種類が多い。

 母が「さすが王都……うちの辺境伯邸でも負けてないつもりだけど、メニューのバリエーションは圧倒的ね」と呆れるほどだ。

 僕は「どれを頼んでも美味しそう」と興奮する。

 結局、父と母がメインディッシュを数品、エレノアお姉ちゃんがスープとサラダを選び、僕は「ロースト肉、また食べたい……」とお願いして、フェルの分も少し塩を控えて用意してもらうことになった。

 狼が部屋食を頼むなんて、現世じゃ考えられないが、ここはファンタジー世界だし、対応してくれるのだろう。

「ふふ、明日は夜祭り。リウス、踊りとか興味あるかしら?」
 
 母がそんなことを言いながらテーブルを整える。

 僕は考えて、「踊り……見たことないけど、なんか楽しそう……」と返事する。

 夜祭りでは通りに音楽が流れ、貴族も平民も一緒になって踊る文化があると邸宅の本で読んだことがある。

 現世じゃダンスなんて苦手だったけど、ここではどうなるか分からない。

 エレノアお姉ちゃんが「私が手を取ってあげるから、一緒に回ってみる?」と笑うので、ちょっと恥ずかしいが頷く。

 フェルは踊りは無理そうだが、尻尾を振ってリズムを取っている絵面が浮かんで微笑ましい。

「よーし、料理が届くまでちょっと休憩だ。リウス、そろそろ座っていいぞ。あまり部屋を駆け回ると足にくるからな」
 
 父がソファを勧めるので素直に腰掛ける。

 深く沈む高級クッションが心地良すぎる。

 フェルは僕の横でドカッと座り込み、クッションに前足を乗せて「わん」と鳴いた。

 家での王子様ライフを超えるような贅沢空間で、僕はしばし呆けてしまう。

 そうしてしばらくすると、ドアがノックされ、スタッフがワゴンを押してやってきた。

 いい匂いが部屋いっぱいに広がり、皿がテーブルの上に並べられていく。

 肉料理、魚料理、スープやパン、デザートまである。

 父がワインを頼むとスタッフが「こちらは当ホテル自慢のヴィンテージでございます」と洒落たボトルを持ってきて満足そうな顔をする。

 母が「ほどほどにね」と釘を刺すのはいつものことだ。

「リウス、これ、子どもでも大丈夫な甘いジュースらしいわよ。飲んでみる?」
 
 エレノアお姉ちゃんがグラスに注いでくれたのは、林檎と葡萄をミックスしたような果汁飲料。

 僕はゴクリと飲んで「おいひい……」と頰を緩めた。

 フェルにも特別に焼き加減を抑えた肉を出してくれるらしく、気の利いたスタッフが皿を用意してくれる。

 フェルは目をキラキラさせて「わん!」と吠え、早速ガツガツ食べているようだ。

「ん……ばぶ……おいしい……」
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