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リリアの故郷編
第85話 僕、皆に魔法を教えるよ!
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思わず口にしながら、僕は期待で胸が高鳴る。
ここは僕の実力で結界を修復したというのもあって、村が感謝の意を表したいのだろう。
リリアもすぐに「どうしますか、坊ちゃま?」と隣から囁いてくれるし、フェルは「わんわん!」と吠えて大賛成とばかり尻尾を振っている。
「ぜひ、参加しまちゅ」
素直に返事すると、村長は「ありがとうございます! きっと大勢が喜びますよ! 魔物の被害でずっと暗かった村が、これで一気に元気になるでしょう!」
と大喜びで微笑んだ。
長老たちも「いいじゃないか、いいじゃないか」と手を打ち鳴らして賛同している。
みんな本当に嬉しそうで、僕もわくわくしてきた。
★
そのまま村長の家を出ると、丁度そのタイミングで、僕と同じくらいの年齢の子供たちが数人走り寄ってきた。
子供たちは大きな瞳を輝かせながら「リウス先生! 魔法を教えてほしいー!」と口々に叫ぶから、僕は一瞬固まる。僕が魔法で結界を直したという反響らしい。
リリアが「まあ、人気になっちゃいましたね、坊ちゃま……」と笑う。
フェルが「わんわん!」と尻尾を振って仲間に入れてほしそうだ。
「きみたち、やりたいの……?」
僕が困惑気味に聞くと、子どもたちは勢いよく頷いて「うん! だって魔法ってすごいんだもん!」「この村、魔法使える人がいないし、リウス先生が教えてくれるならうれしい!」と口々に言う。
僕は嬉しい反面、僕自身もまだ修業中の身で、人に教えられるほどじゃない。
昨日だってなんとか形になった程度だし……。
「う、う~ん……じゃあ、また簡単にできる範囲でいいなら、やろうか……」
そう返事するしかない。
すると子供たちは大歓声で「わああ、やったあ!」と飛び跳ねて喜ぶから、僕は恥ずかしくてフェルに隠れたくなる。
リリアが「ふふ、いいですね。坊ちゃまも、子どもたちと仲良くしている姿を見られて嬉しいです」と微笑むから、僕は「そ、そでしゅ?」と頬をかきながら答える。
そして子どもたちに連れられ、“村の学校”らしき場所へ行くことになった。
粗末な木造の小屋だが、中には簡易な机と椅子が並んでいる。
「リウス先生に魔法を教わるんだあ!」「やったー!」
数人の子どもがはしゃぎ声を上げながら駆けていく。
僕はあとをついていきつつ、フェルをなでて「ね、フェル、一緒に見守ってくれる?」と囁くと、「わん!」と尻尾を立てて力強く答えてくれた。
リリアは「私は巡回があるので、少ししたら離れてもいいですか?」と聞いてくるから、僕は「うん、だいじょうぶ」と返事する。
子供たち向けの魔法教室なんて僕だけで大丈夫かな、と心配しつつもなんとかなるかもしれない。
ほどなくして学校に着いた。
子どもたちは半円状に席を並べ、僕は黒板の前に立つことになる。
まずは簡単な水魔法のイメージを説明するところから始めると、皆が「はい、先生!」と返事してくれてなんだかむずがゆい。
「せ、先生って呼ぶのやめてでしゅ」と言っても「えー、いいじゃん!」と笑いあう子どもたち。
僕は苦笑しながら、またチョークを手に取り、板書っぽいことを開始する。
「えっと……魔力っていうのは……体の内側から……イメージで……」
もたもたしながら説明するが、子どもたちにとっては見るもの聞くもの新鮮なのか、「すごい! リウス先生~!」「でもまだ出せないよ~」などとわいわい騒いでいる。
フェルは教室の隅で座っていて、子どもが寄ってきては「わんわん先生!」と呼んで頬を寄せたり尻尾をもふもふ触ったりして遊んでいる。
リリアが笑みを浮かべて見ているが、程なく「では私は巡回に行ってきますね。坊ちゃま、頑張ってください」と声をかけて教室をあとにする。
僕は「に、にげたでしゅね」と小さく答えて見送るしかない。
(リリアがいないと少し心許ないが、子どもたちの熱気がすごいなあ……)
内心で焦りつつ、僕は魔力をどう感じるか簡単に教えてみる。
子どもたちが「むずかしー!」とか「水が出る気配すらないよ~」と投げ出しそうになるたびに、「焦らないで、魔法は急に出ない人も多いし」と諭して回る。
そんな状態で、にぎやかな授業? が進んでいくわけだ。
「そういえば、将来、領主様になるかもしれないんでしょ? リウス先生!」
その質問に、思わず身を固くする。
辺境伯家の次男だから領主というわけでもないんだけど、周囲が「未来の領主様」と勝手に期待しているだけ。
僕は「い、いちおう……そんな話もあるかも、でしゅね」と曖昧に答えるしかない。
すると、子どもたちが「いいなあ、領主様ってすごそうだね!」「リウス先生が領主になってくれたら魔法を習えるのかな?」と目を輝かせるから、なんとも申し訳ない気分になる。
「んー……わかんない。でも、みんなが幸せに暮らせるといいよね」
絞り出すように言うと、子どもたちが「うん、うん!」と嬉しそうに大きく頷く。
フェルも入口付近で「わんわん!」と鳴いてまるで賛同しているかのようだ。
僕は心が温かくなる一方で、破滅ルートを回避しないとこんな幸せも長くは続かないのかと思うと、一層努力しなくてはと感じる。
おそらく1時間ほど、子どもたちにあれこれ説明したり、少しだけ魔力の体操をさせたりしていると、教室のドアが開いて村の年配者が入ってきた。
ここは僕の実力で結界を修復したというのもあって、村が感謝の意を表したいのだろう。
リリアもすぐに「どうしますか、坊ちゃま?」と隣から囁いてくれるし、フェルは「わんわん!」と吠えて大賛成とばかり尻尾を振っている。
「ぜひ、参加しまちゅ」
素直に返事すると、村長は「ありがとうございます! きっと大勢が喜びますよ! 魔物の被害でずっと暗かった村が、これで一気に元気になるでしょう!」
と大喜びで微笑んだ。
長老たちも「いいじゃないか、いいじゃないか」と手を打ち鳴らして賛同している。
みんな本当に嬉しそうで、僕もわくわくしてきた。
★
そのまま村長の家を出ると、丁度そのタイミングで、僕と同じくらいの年齢の子供たちが数人走り寄ってきた。
子供たちは大きな瞳を輝かせながら「リウス先生! 魔法を教えてほしいー!」と口々に叫ぶから、僕は一瞬固まる。僕が魔法で結界を直したという反響らしい。
リリアが「まあ、人気になっちゃいましたね、坊ちゃま……」と笑う。
フェルが「わんわん!」と尻尾を振って仲間に入れてほしそうだ。
「きみたち、やりたいの……?」
僕が困惑気味に聞くと、子どもたちは勢いよく頷いて「うん! だって魔法ってすごいんだもん!」「この村、魔法使える人がいないし、リウス先生が教えてくれるならうれしい!」と口々に言う。
僕は嬉しい反面、僕自身もまだ修業中の身で、人に教えられるほどじゃない。
昨日だってなんとか形になった程度だし……。
「う、う~ん……じゃあ、また簡単にできる範囲でいいなら、やろうか……」
そう返事するしかない。
すると子供たちは大歓声で「わああ、やったあ!」と飛び跳ねて喜ぶから、僕は恥ずかしくてフェルに隠れたくなる。
リリアが「ふふ、いいですね。坊ちゃまも、子どもたちと仲良くしている姿を見られて嬉しいです」と微笑むから、僕は「そ、そでしゅ?」と頬をかきながら答える。
そして子どもたちに連れられ、“村の学校”らしき場所へ行くことになった。
粗末な木造の小屋だが、中には簡易な机と椅子が並んでいる。
「リウス先生に魔法を教わるんだあ!」「やったー!」
数人の子どもがはしゃぎ声を上げながら駆けていく。
僕はあとをついていきつつ、フェルをなでて「ね、フェル、一緒に見守ってくれる?」と囁くと、「わん!」と尻尾を立てて力強く答えてくれた。
リリアは「私は巡回があるので、少ししたら離れてもいいですか?」と聞いてくるから、僕は「うん、だいじょうぶ」と返事する。
子供たち向けの魔法教室なんて僕だけで大丈夫かな、と心配しつつもなんとかなるかもしれない。
ほどなくして学校に着いた。
子どもたちは半円状に席を並べ、僕は黒板の前に立つことになる。
まずは簡単な水魔法のイメージを説明するところから始めると、皆が「はい、先生!」と返事してくれてなんだかむずがゆい。
「せ、先生って呼ぶのやめてでしゅ」と言っても「えー、いいじゃん!」と笑いあう子どもたち。
僕は苦笑しながら、またチョークを手に取り、板書っぽいことを開始する。
「えっと……魔力っていうのは……体の内側から……イメージで……」
もたもたしながら説明するが、子どもたちにとっては見るもの聞くもの新鮮なのか、「すごい! リウス先生~!」「でもまだ出せないよ~」などとわいわい騒いでいる。
フェルは教室の隅で座っていて、子どもが寄ってきては「わんわん先生!」と呼んで頬を寄せたり尻尾をもふもふ触ったりして遊んでいる。
リリアが笑みを浮かべて見ているが、程なく「では私は巡回に行ってきますね。坊ちゃま、頑張ってください」と声をかけて教室をあとにする。
僕は「に、にげたでしゅね」と小さく答えて見送るしかない。
(リリアがいないと少し心許ないが、子どもたちの熱気がすごいなあ……)
内心で焦りつつ、僕は魔力をどう感じるか簡単に教えてみる。
子どもたちが「むずかしー!」とか「水が出る気配すらないよ~」と投げ出しそうになるたびに、「焦らないで、魔法は急に出ない人も多いし」と諭して回る。
そんな状態で、にぎやかな授業? が進んでいくわけだ。
「そういえば、将来、領主様になるかもしれないんでしょ? リウス先生!」
その質問に、思わず身を固くする。
辺境伯家の次男だから領主というわけでもないんだけど、周囲が「未来の領主様」と勝手に期待しているだけ。
僕は「い、いちおう……そんな話もあるかも、でしゅね」と曖昧に答えるしかない。
すると、子どもたちが「いいなあ、領主様ってすごそうだね!」「リウス先生が領主になってくれたら魔法を習えるのかな?」と目を輝かせるから、なんとも申し訳ない気分になる。
「んー……わかんない。でも、みんなが幸せに暮らせるといいよね」
絞り出すように言うと、子どもたちが「うん、うん!」と嬉しそうに大きく頷く。
フェルも入口付近で「わんわん!」と鳴いてまるで賛同しているかのようだ。
僕は心が温かくなる一方で、破滅ルートを回避しないとこんな幸せも長くは続かないのかと思うと、一層努力しなくてはと感じる。
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