70 / 72
1章
第70話 アリスの優しさ
しおりを挟む
俺達は王城を出てグドラ国王の手配により、王都にある屋敷に泊まることになった。
屋敷は広々としており、伯爵でもこれほど贅沢な屋敷には住めないだろうというくらい豪華だ。
そしてエトラはこの屋敷に来る途中でたまたま合流でき、俺たちは王都で休むことになった。
「ロラン王子、ですよね?」
エトラは不安そうに聞いてくる。
まあ無理はないか、なんせ一緒に戦ってた奴が自国の王子だったんだからな。
「黙っててすまない、あまり混乱させる訳にはいかなくてな」
俺がそう言うと、エトラは首を横に振る。
「いえ、王子という立場なら納得です」
「ああ、後俺のことはロランと呼んでくれ。今更王子扱いされたくない」
俺はそう言って椅子に座る。
あまり特別扱いをされすぎると疲れるからな。
エトラも俺の気持ちが伝わったのか少し笑顔になる。
「ロランさん……私との約束覚えてますか?」
俺が椅子に座るとエトラは改まってそんな事を言ってくる。
「もちろん、魔法を教える約束だろ?」
「は、はい!」
「ハーキム王国に戻ってほとぼりが冷めてからになるけど、エトラに魔法を教えるよ。だからそれまで待っててもらえるか?」
俺がそう言うとエトラはパァと笑顔になる。
「は、はい!! 私はそれまでにたくさんの事を学びます!」
エトラはそう言ってはしゃぎ始める。
やっぱりエトラは面白いな。
魔法好きという共通点からかアリスといるといよりかは、エトラといる方が楽しいかもしれない。
そんな事を思っていると、突然扉がノックされた。
そして扉は開かれ、3人の女性が部屋に入ってくる。
「ロラン師匠!? 私以外の女と一緒にいるだなんて……どういう事ですか!?」
部屋に入ってきたのはクレハだ。
横にはアリスとリアもおり、2人はクレハに腕を掴まれている。
アリスは少し面倒な顔をしていて、リアは微笑んでいる。
エトラは何が何だか分からないようでおどおどしている様子だ。
「クレハ……どうしたんだ?」
俺が呆れたように言うと、クレハは当たり前のように俺の横に座る。
「ロラン師匠! 私もたくさん魔法を勉強したいです! 私弟子なので!」
クレハはそう言って俺の手を取る。
それをエトラはきょとんした表情で見ている。
「分かった分かった、2人とも俺が責任もって教える。だから手を離してくれ」
俺がそう言うとクレハは渋々と腕を離す。
それを見たアリスは呆れた顔でため息をつく。
「全く、ロランは女の子を手懐けるのが早いわね」
そう言ってアリスは紅茶の入ったコップを持ち、飲む。
全く、アリスは何を言っているんだか。
俺はただ魔法を教えようとしてるだけなんだけどな。
そんな事を俺が考えているとリアはハッと何かを思い出したかのように立ち上がる。
「そういえばアデルお兄様は?」
「ああ、あの逃げ足王子ね。あいつなら今頃父上に怒られてるんじゃない? まあ、あんな奴どうでもいいけど」
アリスはそう吐き捨てるように言い、紅茶を啜る。
アデルの奴、せっかく俺が総大将にしてやったのに、逃げたなんて、まあもうどうでもいいが。
そんな事よりも、今はアルバラン王国の復興が最優先だからな。
他の城塞都市が陥落した今、アルバラン王国は他国攻められたらひとたまりもないだろう。
「まあとりあえず、アルバラン王国を守るためには守備に徹底しないとな。あとはリアの力があればなんとか出来るだろう」
「わ、私の?」
リアが自分を指さしながら言う。
「ああ、治癒魔法を使ってアルバラン王国の人々を治癒してやって欲しい」
「分かりました、頑張ります!」
リアは笑顔でそう言う。
治癒魔法ってのはあまり使える人がいないからな、リアがこの仕事を一任する価値がある。
こう言った行動は王位を争う上で必要なことだ。
「さて、そろそろ部屋に戻りましょうか。これ以上のんびりしていたら眠くなっちゃいそうだわ」
アリスはそう言って椅子から立ち上がる。
クレハ達も同時に席を立ち上がり、部屋から出ていく。
だがそんな中、1人だけがまだその場に残っていた。
「アリス……? どうした、まだなにかあるのか?」
俺がそう聞くとアリスは俺の前に立つ。
そして俺の目をじっと見て口を開く。
「私は……もう王位争いには参加しないわ」
「な!?」
突然の言葉に俺は思わず驚きの声が漏れる。
王位争いに参加しない……だと?
もし今の話が本当なら、王位は簡単に勝ち取ることができる。
だがなぜ王位を?
するとアリスは話を続ける。
「私が王位を求めていたのは禁書を解読し、ハーキム王国を魔法大国にするため。魔法大国になってしまえば他国に攻められる心配はなくなる。でも……ロラン、あなたを見てて思ったの、魔法大国にならなくてもこの国は守れるって」
アリスはそう言って俺を見る。
その目は真っ直ぐで、とても嘘をついているようには見えない。
「本気で言っているのか?」
俺は少し低い声でアリスに聞く。
「ええ本気よ、それに私が王位を求めていた理由はあんた達にも原因があるんだからね」
「お、俺達?」
「当たり前でしょ、リアは非力、ロランはこの前まで無能、アデルに関しては豪遊ばかりの情けない王子。皆んな王の器じゃなかったじゃない」
「ぐ、ぐうの音も出ねえ」
俺はなんとも言えない表情になり、肩を下ろす。
それを見たアリスは笑顔になり、話を続ける。
「でも……あなた達は変わった。今のロランは、魔法も使えるようになってる。それにリアの治癒魔法は凄いし、いつか聖女なんて呼ばれるかもしれない。だから……思ったの。私はあなた達2人を横で支えてあげようって」
アリスはそう言って俺の手を握る。
俺はそんなアリスを見て思わず涙がこぼれる。
「ア、アリス、俺はお前の事を誤解していたのかもしれない」
俺はつい嬉しすぎて、そんな事を言ってしまった。
元々アリスはハーキム王国を守る為に王位を求めていた。
原作とストーリーが変わってきて、アリスの考えが変わっているのは知っていた。
だが俺はアリスが禁書を読む為だけに王位を求めていたと思っていた。
でも違った。アリスも、俺達と過ごす内に考えが変わったのだ。
俺がそう考えていると、アリスは俺の目を見て口を開く。
「もう眠くなってきたし、部屋に帰るわね」
そう言ってアリスはドアノブに手に触れる。
「おやすみ、ロランお兄様」
アリスは俺のことをお兄様と呼び、部屋から出ていく。
「アリス……」
俺はそう呟き、アリスが出ていったドアを見つめる。
そして俺はベッドに入り眠りにつくのだった。
屋敷は広々としており、伯爵でもこれほど贅沢な屋敷には住めないだろうというくらい豪華だ。
そしてエトラはこの屋敷に来る途中でたまたま合流でき、俺たちは王都で休むことになった。
「ロラン王子、ですよね?」
エトラは不安そうに聞いてくる。
まあ無理はないか、なんせ一緒に戦ってた奴が自国の王子だったんだからな。
「黙っててすまない、あまり混乱させる訳にはいかなくてな」
俺がそう言うと、エトラは首を横に振る。
「いえ、王子という立場なら納得です」
「ああ、後俺のことはロランと呼んでくれ。今更王子扱いされたくない」
俺はそう言って椅子に座る。
あまり特別扱いをされすぎると疲れるからな。
エトラも俺の気持ちが伝わったのか少し笑顔になる。
「ロランさん……私との約束覚えてますか?」
俺が椅子に座るとエトラは改まってそんな事を言ってくる。
「もちろん、魔法を教える約束だろ?」
「は、はい!」
「ハーキム王国に戻ってほとぼりが冷めてからになるけど、エトラに魔法を教えるよ。だからそれまで待っててもらえるか?」
俺がそう言うとエトラはパァと笑顔になる。
「は、はい!! 私はそれまでにたくさんの事を学びます!」
エトラはそう言ってはしゃぎ始める。
やっぱりエトラは面白いな。
魔法好きという共通点からかアリスといるといよりかは、エトラといる方が楽しいかもしれない。
そんな事を思っていると、突然扉がノックされた。
そして扉は開かれ、3人の女性が部屋に入ってくる。
「ロラン師匠!? 私以外の女と一緒にいるだなんて……どういう事ですか!?」
部屋に入ってきたのはクレハだ。
横にはアリスとリアもおり、2人はクレハに腕を掴まれている。
アリスは少し面倒な顔をしていて、リアは微笑んでいる。
エトラは何が何だか分からないようでおどおどしている様子だ。
「クレハ……どうしたんだ?」
俺が呆れたように言うと、クレハは当たり前のように俺の横に座る。
「ロラン師匠! 私もたくさん魔法を勉強したいです! 私弟子なので!」
クレハはそう言って俺の手を取る。
それをエトラはきょとんした表情で見ている。
「分かった分かった、2人とも俺が責任もって教える。だから手を離してくれ」
俺がそう言うとクレハは渋々と腕を離す。
それを見たアリスは呆れた顔でため息をつく。
「全く、ロランは女の子を手懐けるのが早いわね」
そう言ってアリスは紅茶の入ったコップを持ち、飲む。
全く、アリスは何を言っているんだか。
俺はただ魔法を教えようとしてるだけなんだけどな。
そんな事を俺が考えているとリアはハッと何かを思い出したかのように立ち上がる。
「そういえばアデルお兄様は?」
「ああ、あの逃げ足王子ね。あいつなら今頃父上に怒られてるんじゃない? まあ、あんな奴どうでもいいけど」
アリスはそう吐き捨てるように言い、紅茶を啜る。
アデルの奴、せっかく俺が総大将にしてやったのに、逃げたなんて、まあもうどうでもいいが。
そんな事よりも、今はアルバラン王国の復興が最優先だからな。
他の城塞都市が陥落した今、アルバラン王国は他国攻められたらひとたまりもないだろう。
「まあとりあえず、アルバラン王国を守るためには守備に徹底しないとな。あとはリアの力があればなんとか出来るだろう」
「わ、私の?」
リアが自分を指さしながら言う。
「ああ、治癒魔法を使ってアルバラン王国の人々を治癒してやって欲しい」
「分かりました、頑張ります!」
リアは笑顔でそう言う。
治癒魔法ってのはあまり使える人がいないからな、リアがこの仕事を一任する価値がある。
こう言った行動は王位を争う上で必要なことだ。
「さて、そろそろ部屋に戻りましょうか。これ以上のんびりしていたら眠くなっちゃいそうだわ」
アリスはそう言って椅子から立ち上がる。
クレハ達も同時に席を立ち上がり、部屋から出ていく。
だがそんな中、1人だけがまだその場に残っていた。
「アリス……? どうした、まだなにかあるのか?」
俺がそう聞くとアリスは俺の前に立つ。
そして俺の目をじっと見て口を開く。
「私は……もう王位争いには参加しないわ」
「な!?」
突然の言葉に俺は思わず驚きの声が漏れる。
王位争いに参加しない……だと?
もし今の話が本当なら、王位は簡単に勝ち取ることができる。
だがなぜ王位を?
するとアリスは話を続ける。
「私が王位を求めていたのは禁書を解読し、ハーキム王国を魔法大国にするため。魔法大国になってしまえば他国に攻められる心配はなくなる。でも……ロラン、あなたを見てて思ったの、魔法大国にならなくてもこの国は守れるって」
アリスはそう言って俺を見る。
その目は真っ直ぐで、とても嘘をついているようには見えない。
「本気で言っているのか?」
俺は少し低い声でアリスに聞く。
「ええ本気よ、それに私が王位を求めていた理由はあんた達にも原因があるんだからね」
「お、俺達?」
「当たり前でしょ、リアは非力、ロランはこの前まで無能、アデルに関しては豪遊ばかりの情けない王子。皆んな王の器じゃなかったじゃない」
「ぐ、ぐうの音も出ねえ」
俺はなんとも言えない表情になり、肩を下ろす。
それを見たアリスは笑顔になり、話を続ける。
「でも……あなた達は変わった。今のロランは、魔法も使えるようになってる。それにリアの治癒魔法は凄いし、いつか聖女なんて呼ばれるかもしれない。だから……思ったの。私はあなた達2人を横で支えてあげようって」
アリスはそう言って俺の手を握る。
俺はそんなアリスを見て思わず涙がこぼれる。
「ア、アリス、俺はお前の事を誤解していたのかもしれない」
俺はつい嬉しすぎて、そんな事を言ってしまった。
元々アリスはハーキム王国を守る為に王位を求めていた。
原作とストーリーが変わってきて、アリスの考えが変わっているのは知っていた。
だが俺はアリスが禁書を読む為だけに王位を求めていたと思っていた。
でも違った。アリスも、俺達と過ごす内に考えが変わったのだ。
俺がそう考えていると、アリスは俺の目を見て口を開く。
「もう眠くなってきたし、部屋に帰るわね」
そう言ってアリスはドアノブに手に触れる。
「おやすみ、ロランお兄様」
アリスは俺のことをお兄様と呼び、部屋から出ていく。
「アリス……」
俺はそう呟き、アリスが出ていったドアを見つめる。
そして俺はベッドに入り眠りにつくのだった。
263
あなたにおすすめの小説
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる