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40.ドレス
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──カラン、カラン
「いらっしゃい。あら、あんた。確かヤスオさん。久方ぶりね。今日は何の用だい?」
鈴の音を聞きつけ店の奥から、ダナエが出てきた。
「先日キープしてもらったシンシアさんの服と、子供の外出用の服を見立てて頂きたいのですが。」
「子供用ね。女の子かい?」
「はい。孤児院のアイルと言う女の子です。」
「あーあの赤いリボンの子だね。だったら、あのリボンに合わせてこれなんかどうだい。」
ダナエは子供用でオシャレな服を見立てた。
(ダメよ。これじゃ庶民から抜けてない。リボンも新しくしましょう。)
「いえ。貴族の晩餐会に行くような服で、リボンと合わせて買います。」
「貴族?あぁ、あの子、里親が決まったのかい。だったらドレスだね。」
ダナエは店の奥にある扉の中へ消えていった。
そして戻ると、一着のドレスを持ってきて、広げて見せた。
「これなんかどうだい?フリルが付いていて、かわいらしさがあり、全体的には美しさを感じる。あたしのお気に入りだよ。」
(いいわね、文句なしよ。あと、靴と靴下と下着も。)
「そのフルリが、かわいいですね。あとそれに合ったリボンと靴と靴下と下着も、お願いします。」
(フリルよ。フリル。)
ヤスオは、わかっているように振る舞って見せたが墓穴を掘った。
「まかせて。」
ダナエはドレスをカウンターに置き、再び奥の扉に消えていく。
(ヤスオ、見て見てぇ。あのワンピース。可愛い。ヤスオあれに決めたわ。あれ買って。身体がないって便利ね。サイズを気にしなくていいから。)
アリアドネは店内に展示されている服に目をつけた。
「いや、着るのは無理ですよね。意味ないから。」
(い、や、だ。欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しいぃ。)
「子供ですか。ダメですよ。」
「あんた。何をブツブツ言っているのだい。」
ダナエがすべてを用意して、戻ってきていた。
「いえ。何でもないです。」
「それで、ドレスに合わせて、リボン、靴下、靴、そしてパンツ。どうだい。」
用意した商品をすべて、カウンターの上に並べた。
(さすが、ダナエ完璧よ。)
「完璧です。これで、お願いします。」
「はいよ。」
(ヤスオ、ヤスオ、ヤスオ、ヤスオ、ヤスオォォォ。)
「あー。分かりました。」
「ん?何だい?」
商品をたたんでいたダナエが手を止め、様子のおかしいヤスオに怪しむ視線を向けた。
「あの、ワンピースなのですが。」
「ああ、あれ。自分用かい?」
「はぁ?ち、違いますよ。サイズ的に無理でしょう。」
「そうだね。あんたに合うサイズはあるにはあるけど見るかい?」
「だから違います。アリアドネ様にどうかと思ったのです。」
「アリアドネ様?アリアドネ様にはあのワンピースは少し小さいね。それに趣味でもない。」
ダナエはワンピースが吊ってある棚へ向かい、中から一つ取り出し、広げて見せた。
「あの方なら、これを選ぶと思うよ。」
(さすがダナエ。分かっているわぁ。)
「では、それもお願いします。」
「…下着は良いのかい?」
ダナエの瞳は怪しい視線から、変態を見る視線にかわっていた。
「したぎぃ?」
(下着かー。そういえば以前、ヤスオにパンツを握り締められた事があったなー。あれ、もうはけないな。)
「し、下着もお願いします。」
ヤスオの顔は赤くなり、耳まで真っ赤になっていた。
「だろうね。待っていな。」
そして、ダナエは汚物を見るような目でヤスオを見ていた。
「あんたの趣味の事は聞いているよ。あたしも商売だから、欲しけりゃ服も下着も売ってやる。ただし、人様の物を盗むんじゃないよ。」
もはや、聞く耳持たぬようで、ヤスオは弁明をあきらめた。
「はい、約束します。それで、別々の包装でお願します。」
「あいよ。」
ダナエは手際よく袋詰めを済まし、そろばんをはじく。
「これがシンシアの分。これが、アイルの分。これが、あんたの分だよ。」
シンシアの袋にはリボンがつけられ、アイルの袋は大きく取っ手が付いたものが、ヤスオにはただの袋が用意された。
「合計、66700ドラク。白金貨1枚と金貨1枚、白銀貨1枚と銀貨1枚、白銅貨1枚と銅貨2枚だよ。アイルのリボンはわたしからのお祝いだよ。」
「ありがとうございます。」
ヤスオは支払いを済ませ、収納した。
──ほう。
それを見ていたダナエは、驚いた表情を見せた。
「一カ月ほど前、女の後ろでオロオロしていた奴が、今や立派な魔法使いか。また、来ておくれ。」
ヤスオは、ダナエに礼を言い、店を出た。
「アリ姉様。俺、完全に変態ですよね。」
服を届けるため、孤児院に向かっていた。
(ええ間違いなく変態と思われたわ。わたしはただ服が欲しかっただけなのに。なぜかしら?)
「ダナエさん、アリ姉様の趣味じゃないって言っていたけど。なんでも良かったのですか?」
(うん。何でもいいから買って欲しかった。けど、ダナエがいい物、用意してくれて、よかったわ。)
「下着は、ひどくないですか?」
(あら、わたし嘘を言ったかしら。)
「あれは、本当にごめんなさい。事故ですから、勘弁して下さい。俺、すっかり忘れていたのに。」
ヤスオが転移した直後、アリアドネの荷物をあさり、下着を握りしめた事があった。
(わたしも、忘れていたわ。あの場でたまたま思い出しただけ。気にしてないわ。)
「最悪のタイミングで思い出しましたね。なにか怨念のようなものを感じます。」
(はいはい。そんな事より早く孤児院へ行って、アイルの喜ぶ顔が見たいわ。急ぎましょう。)
「もうすぐ、授業が終わる時間ですね。いいタイミングで渡せそうです。」
孤児院への道のりを、早歩きで進んだ。
孤児院まであと少しのところまできた時。
隣の礼拝堂の扉が開けっぱなしになっているのが見える。
普段、開放される事はなかったので、気になった。
(何かあったのかしら?)
近づくにつれ、声が聞こえてくる。
何やら騒ぎになっているようだ。中から子供達の泣き声も聞こえる。
「何かあったようですね。」
「いらっしゃい。あら、あんた。確かヤスオさん。久方ぶりね。今日は何の用だい?」
鈴の音を聞きつけ店の奥から、ダナエが出てきた。
「先日キープしてもらったシンシアさんの服と、子供の外出用の服を見立てて頂きたいのですが。」
「子供用ね。女の子かい?」
「はい。孤児院のアイルと言う女の子です。」
「あーあの赤いリボンの子だね。だったら、あのリボンに合わせてこれなんかどうだい。」
ダナエは子供用でオシャレな服を見立てた。
(ダメよ。これじゃ庶民から抜けてない。リボンも新しくしましょう。)
「いえ。貴族の晩餐会に行くような服で、リボンと合わせて買います。」
「貴族?あぁ、あの子、里親が決まったのかい。だったらドレスだね。」
ダナエは店の奥にある扉の中へ消えていった。
そして戻ると、一着のドレスを持ってきて、広げて見せた。
「これなんかどうだい?フリルが付いていて、かわいらしさがあり、全体的には美しさを感じる。あたしのお気に入りだよ。」
(いいわね、文句なしよ。あと、靴と靴下と下着も。)
「そのフルリが、かわいいですね。あとそれに合ったリボンと靴と靴下と下着も、お願いします。」
(フリルよ。フリル。)
ヤスオは、わかっているように振る舞って見せたが墓穴を掘った。
「まかせて。」
ダナエはドレスをカウンターに置き、再び奥の扉に消えていく。
(ヤスオ、見て見てぇ。あのワンピース。可愛い。ヤスオあれに決めたわ。あれ買って。身体がないって便利ね。サイズを気にしなくていいから。)
アリアドネは店内に展示されている服に目をつけた。
「いや、着るのは無理ですよね。意味ないから。」
(い、や、だ。欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しいぃ。)
「子供ですか。ダメですよ。」
「あんた。何をブツブツ言っているのだい。」
ダナエがすべてを用意して、戻ってきていた。
「いえ。何でもないです。」
「それで、ドレスに合わせて、リボン、靴下、靴、そしてパンツ。どうだい。」
用意した商品をすべて、カウンターの上に並べた。
(さすが、ダナエ完璧よ。)
「完璧です。これで、お願いします。」
「はいよ。」
(ヤスオ、ヤスオ、ヤスオ、ヤスオ、ヤスオォォォ。)
「あー。分かりました。」
「ん?何だい?」
商品をたたんでいたダナエが手を止め、様子のおかしいヤスオに怪しむ視線を向けた。
「あの、ワンピースなのですが。」
「ああ、あれ。自分用かい?」
「はぁ?ち、違いますよ。サイズ的に無理でしょう。」
「そうだね。あんたに合うサイズはあるにはあるけど見るかい?」
「だから違います。アリアドネ様にどうかと思ったのです。」
「アリアドネ様?アリアドネ様にはあのワンピースは少し小さいね。それに趣味でもない。」
ダナエはワンピースが吊ってある棚へ向かい、中から一つ取り出し、広げて見せた。
「あの方なら、これを選ぶと思うよ。」
(さすがダナエ。分かっているわぁ。)
「では、それもお願いします。」
「…下着は良いのかい?」
ダナエの瞳は怪しい視線から、変態を見る視線にかわっていた。
「したぎぃ?」
(下着かー。そういえば以前、ヤスオにパンツを握り締められた事があったなー。あれ、もうはけないな。)
「し、下着もお願いします。」
ヤスオの顔は赤くなり、耳まで真っ赤になっていた。
「だろうね。待っていな。」
そして、ダナエは汚物を見るような目でヤスオを見ていた。
「あんたの趣味の事は聞いているよ。あたしも商売だから、欲しけりゃ服も下着も売ってやる。ただし、人様の物を盗むんじゃないよ。」
もはや、聞く耳持たぬようで、ヤスオは弁明をあきらめた。
「はい、約束します。それで、別々の包装でお願します。」
「あいよ。」
ダナエは手際よく袋詰めを済まし、そろばんをはじく。
「これがシンシアの分。これが、アイルの分。これが、あんたの分だよ。」
シンシアの袋にはリボンがつけられ、アイルの袋は大きく取っ手が付いたものが、ヤスオにはただの袋が用意された。
「合計、66700ドラク。白金貨1枚と金貨1枚、白銀貨1枚と銀貨1枚、白銅貨1枚と銅貨2枚だよ。アイルのリボンはわたしからのお祝いだよ。」
「ありがとうございます。」
ヤスオは支払いを済ませ、収納した。
──ほう。
それを見ていたダナエは、驚いた表情を見せた。
「一カ月ほど前、女の後ろでオロオロしていた奴が、今や立派な魔法使いか。また、来ておくれ。」
ヤスオは、ダナエに礼を言い、店を出た。
「アリ姉様。俺、完全に変態ですよね。」
服を届けるため、孤児院に向かっていた。
(ええ間違いなく変態と思われたわ。わたしはただ服が欲しかっただけなのに。なぜかしら?)
「ダナエさん、アリ姉様の趣味じゃないって言っていたけど。なんでも良かったのですか?」
(うん。何でもいいから買って欲しかった。けど、ダナエがいい物、用意してくれて、よかったわ。)
「下着は、ひどくないですか?」
(あら、わたし嘘を言ったかしら。)
「あれは、本当にごめんなさい。事故ですから、勘弁して下さい。俺、すっかり忘れていたのに。」
ヤスオが転移した直後、アリアドネの荷物をあさり、下着を握りしめた事があった。
(わたしも、忘れていたわ。あの場でたまたま思い出しただけ。気にしてないわ。)
「最悪のタイミングで思い出しましたね。なにか怨念のようなものを感じます。」
(はいはい。そんな事より早く孤児院へ行って、アイルの喜ぶ顔が見たいわ。急ぎましょう。)
「もうすぐ、授業が終わる時間ですね。いいタイミングで渡せそうです。」
孤児院への道のりを、早歩きで進んだ。
孤児院まであと少しのところまできた時。
隣の礼拝堂の扉が開けっぱなしになっているのが見える。
普段、開放される事はなかったので、気になった。
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