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47.既視感?
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メンガンダルが、ヤスオの肩を握り引き止めた。
「アリアドネ様の件については、後日ゆっくりと。今はアイルとイリスに専念しましょう。」
ヤスオは鋭い眼光を向け、メンガンダルの手を払いのける。
そして、そのまま教会を後にし、消えていく。
メンガンダルはその場で立ちすくみ、ヤスオを見送る形になった。
その額からは、一滴の汗が流れ落ちる。
「組合長、アリアドネ様の件とは何ですか?」
「どうやらヤスオの中に、アリアドネ様が宿っておられるようだ。」
「えぇ?まさか。」
シンシアは信じられない顔をしたが、イーシアは逆に納得した顔をした。
「いいや、あたしはその話、信じるね。昨日とは完全に別人だよ。それに再生魔法だって、人が使える魔法じゃねぇよ。」
シンシアは考え込んだ。イーシアの言い分が、もっともと思えたからだ。
──だとしたら、これまでのヤスオさんとのやり取りをすべて見ていた?
「どうした、シンシア。顔が真っ赤だぞ。」
──院長先生、マイヤ姉ちゃん。お腹すいたー。
目を覚ました子供達が、炊き出しの匂いをかぎつけ続々と庭に出てきた。
マイヤが慌てて庭に出て子供達に朝食を配った。子供達は庭での朝食は初めてで、少し気分が高揚していた。
そんな中、ビルとリンが礼拝堂に入ってきた。シンシア達に気づくと喜び駆け寄った。
だが途中、棺を見つけ事態を理解する。
泣きじゃくる2人をセメレがあやし、庭に連れていき朝食を取るよう誘った。
そのままアイルの葬儀が行われた。
アリアドネの葬儀とは違い、孤児院の子供の死に行列ができることはなかった。
後で、トイ爺がアントの夢に赴き、訃報を知らせるそうだ。
きっと、アントの夢が臨時休業になる事はない。3人が交代で参列することになるだろう。
花も用意されない。だが、アイルの棺に花など必要なかった。
──お姫さまだぁ。
棺の中のアイルを見た子供達の第一声だ。ドレス姿のアイルの美しさに子供達は悲しむのを忘れた。
特に女の子達は、競ってドレスに触りたがった。
そんな子供達を、セメレがたしなめ、全員で手を合わし祈った。
そうしてアイルは、兄弟姉妹達に見守られて最後の日を過ごす。
その後、シンシアを残してメンガンダルとイーシアは仕事に戻った。
セメレが昼食の準備をしていた頃、里親希望の老夫婦が訃報を聞きつけて訪ねてきた。
こうなってしまったのは自分達が里親を希望したからだと、涙ながらに謝罪していた。
もちろん、まったく関係ないのだが。
そして、アイルがゴブリンに対して勇敢に戦い、1体打ち取ったことを知り、
──自慢の娘だ。
と言ってくれた。
最後の別れに棺の中を見て、自慢の娘の美しさに驚いていた。
さらにドレスを用意したのが、かの有名なG級ヤスオと知り、改めて驚き、感謝した。
老夫婦はアイルを引き取り、その家の霊園にお墓を作りたいと希望してきた。
セメレは老夫婦に感謝し、すべてが終わったら引き渡すことを約束した。
時は少しさかのぼり、ヤスオはイエーナ通りに向かっていた。
(ヤスオ、メンガンダルに対しての“今はアイルとイリスに専念しましょう”のセリフ。かっこよかったわよ。)
「そうですか。今はアリ姉様のことをアレコレと聞かれるのが面倒で、適当な理由で言ったのですけど。」
(きっと、“昨日とは別人だ。”なんて、みんなが言っているわよ。)
「成長したと思われたらいいのですけどね。」
イエーナ通りは街の南東の城壁に平行する道。
住宅が建ち並びお店などは、ほとんどない通りだ。
あまり裕福でない方が多く住むが、治安が悪い場所ではない。
ヤスオは初めてこの通りを歩く。
道端で掃除をしている老婆がいたので、声をかけることにした。
「すいません。この辺にソフィヤさんのお宅がありませんか?」
革の防具を身に纏った知らない男に声をかけられ、老婆は不審がっていた。
さらに、老婆は会ったことのないこの男を、どこかで見たような気がしていた。
「あんた誰だい?ソフィアに何の用だい?今、あそこは娘さんが行方不明で気苦労している。お前みたいな奴が……まさか、お前がさらったのかい。」
老婆はその男が、かの有名なG級ヤスオだと思い出した。
そして、持っていたホウキを逆さに持ち直した。
「待ってください。確かに娘さんの件で訪ねてきたのですが、俺がさらったわけではありません。」
後ずさりしながら両手の平を見せ、戦闘の意思がないことを伝え、必死に弁明した。
だが、老婆の戦闘態勢は整う。身体の横にまっすぐホウキを立てた、見事な八相の構えだ。
──この人絶対、元冒険者だ。
時代劇が好きなヤスオは、老婆の隙のない構えに只者ではないと恐れた。
「この変態野郎ぉぉぉ。」
老婆はヤスオにホウキで斬りかかった。
──あれ?デジャブかな?前にこれ経験したような?
老婆に反撃するわけにはいかず、頭を抱えてうずくまった。
「この、すけべ。変態。女の敵。虫けら。etc. etc.」
老婆は思いつく限りの罵倒を浴びせながら、ヤスオをホウキで斬りつけた。
「待て、イタッ、ちょっ、イタッ、話を、イタッ、聞いて、イタッ、ください、イタッ。」
ヤスオは老婆の連打を浴び、何も話せない。その後、騒ぎに気が付いた息子さんが止めに入るまで老婆の連打は続いた。
「うちの母が、すいません。それで、G級ヤスオが、ソフィアさんに何の御用でしょう?」
止めに入った息子さんが謝罪をしてくれた。
だが、彼は何かを疑い不審者だと思っている。
謝罪相手を呼び捨てにしていることが、なによりの証拠だ。
防具を着ていたし、ホウキが武器だったのでヤスオにダメージはなかったが、精神的に結構、来ていた。
(前回の裸で縛られるよりは、マシだったわね。でも、わたし的には屈辱。)
これまで、アリアドネはホウキで殴られた経験はなかったであろう。
ゆえに、結構立腹していた。
ただ、ヤスオに寄生して以来、このようなことは日常茶飯事で、いちいち怒っていてはキリがないとあきらめた。
だが、ヤスオは違った。声をかけただけで、ホウキで殴られ、本人からの謝罪はなく、その息子からは、呼び捨てで呼ばれる。
この世界にきて、こんなことばかりで、いい加減にしてほしかった。
「ソフィアさんの娘さん、イリスさんの件でお話があります。これ以上は、他人のあなた達に話す必要はないでしょう。まだ妨害するのでしたら、俺もいい加減、怒りますよ。」
ヤスオは2人に鋭い視線を送り、威嚇した。
「アリアドネ様の件については、後日ゆっくりと。今はアイルとイリスに専念しましょう。」
ヤスオは鋭い眼光を向け、メンガンダルの手を払いのける。
そして、そのまま教会を後にし、消えていく。
メンガンダルはその場で立ちすくみ、ヤスオを見送る形になった。
その額からは、一滴の汗が流れ落ちる。
「組合長、アリアドネ様の件とは何ですか?」
「どうやらヤスオの中に、アリアドネ様が宿っておられるようだ。」
「えぇ?まさか。」
シンシアは信じられない顔をしたが、イーシアは逆に納得した顔をした。
「いいや、あたしはその話、信じるね。昨日とは完全に別人だよ。それに再生魔法だって、人が使える魔法じゃねぇよ。」
シンシアは考え込んだ。イーシアの言い分が、もっともと思えたからだ。
──だとしたら、これまでのヤスオさんとのやり取りをすべて見ていた?
「どうした、シンシア。顔が真っ赤だぞ。」
──院長先生、マイヤ姉ちゃん。お腹すいたー。
目を覚ました子供達が、炊き出しの匂いをかぎつけ続々と庭に出てきた。
マイヤが慌てて庭に出て子供達に朝食を配った。子供達は庭での朝食は初めてで、少し気分が高揚していた。
そんな中、ビルとリンが礼拝堂に入ってきた。シンシア達に気づくと喜び駆け寄った。
だが途中、棺を見つけ事態を理解する。
泣きじゃくる2人をセメレがあやし、庭に連れていき朝食を取るよう誘った。
そのままアイルの葬儀が行われた。
アリアドネの葬儀とは違い、孤児院の子供の死に行列ができることはなかった。
後で、トイ爺がアントの夢に赴き、訃報を知らせるそうだ。
きっと、アントの夢が臨時休業になる事はない。3人が交代で参列することになるだろう。
花も用意されない。だが、アイルの棺に花など必要なかった。
──お姫さまだぁ。
棺の中のアイルを見た子供達の第一声だ。ドレス姿のアイルの美しさに子供達は悲しむのを忘れた。
特に女の子達は、競ってドレスに触りたがった。
そんな子供達を、セメレがたしなめ、全員で手を合わし祈った。
そうしてアイルは、兄弟姉妹達に見守られて最後の日を過ごす。
その後、シンシアを残してメンガンダルとイーシアは仕事に戻った。
セメレが昼食の準備をしていた頃、里親希望の老夫婦が訃報を聞きつけて訪ねてきた。
こうなってしまったのは自分達が里親を希望したからだと、涙ながらに謝罪していた。
もちろん、まったく関係ないのだが。
そして、アイルがゴブリンに対して勇敢に戦い、1体打ち取ったことを知り、
──自慢の娘だ。
と言ってくれた。
最後の別れに棺の中を見て、自慢の娘の美しさに驚いていた。
さらにドレスを用意したのが、かの有名なG級ヤスオと知り、改めて驚き、感謝した。
老夫婦はアイルを引き取り、その家の霊園にお墓を作りたいと希望してきた。
セメレは老夫婦に感謝し、すべてが終わったら引き渡すことを約束した。
時は少しさかのぼり、ヤスオはイエーナ通りに向かっていた。
(ヤスオ、メンガンダルに対しての“今はアイルとイリスに専念しましょう”のセリフ。かっこよかったわよ。)
「そうですか。今はアリ姉様のことをアレコレと聞かれるのが面倒で、適当な理由で言ったのですけど。」
(きっと、“昨日とは別人だ。”なんて、みんなが言っているわよ。)
「成長したと思われたらいいのですけどね。」
イエーナ通りは街の南東の城壁に平行する道。
住宅が建ち並びお店などは、ほとんどない通りだ。
あまり裕福でない方が多く住むが、治安が悪い場所ではない。
ヤスオは初めてこの通りを歩く。
道端で掃除をしている老婆がいたので、声をかけることにした。
「すいません。この辺にソフィヤさんのお宅がありませんか?」
革の防具を身に纏った知らない男に声をかけられ、老婆は不審がっていた。
さらに、老婆は会ったことのないこの男を、どこかで見たような気がしていた。
「あんた誰だい?ソフィアに何の用だい?今、あそこは娘さんが行方不明で気苦労している。お前みたいな奴が……まさか、お前がさらったのかい。」
老婆はその男が、かの有名なG級ヤスオだと思い出した。
そして、持っていたホウキを逆さに持ち直した。
「待ってください。確かに娘さんの件で訪ねてきたのですが、俺がさらったわけではありません。」
後ずさりしながら両手の平を見せ、戦闘の意思がないことを伝え、必死に弁明した。
だが、老婆の戦闘態勢は整う。身体の横にまっすぐホウキを立てた、見事な八相の構えだ。
──この人絶対、元冒険者だ。
時代劇が好きなヤスオは、老婆の隙のない構えに只者ではないと恐れた。
「この変態野郎ぉぉぉ。」
老婆はヤスオにホウキで斬りかかった。
──あれ?デジャブかな?前にこれ経験したような?
老婆に反撃するわけにはいかず、頭を抱えてうずくまった。
「この、すけべ。変態。女の敵。虫けら。etc. etc.」
老婆は思いつく限りの罵倒を浴びせながら、ヤスオをホウキで斬りつけた。
「待て、イタッ、ちょっ、イタッ、話を、イタッ、聞いて、イタッ、ください、イタッ。」
ヤスオは老婆の連打を浴び、何も話せない。その後、騒ぎに気が付いた息子さんが止めに入るまで老婆の連打は続いた。
「うちの母が、すいません。それで、G級ヤスオが、ソフィアさんに何の御用でしょう?」
止めに入った息子さんが謝罪をしてくれた。
だが、彼は何かを疑い不審者だと思っている。
謝罪相手を呼び捨てにしていることが、なによりの証拠だ。
防具を着ていたし、ホウキが武器だったのでヤスオにダメージはなかったが、精神的に結構、来ていた。
(前回の裸で縛られるよりは、マシだったわね。でも、わたし的には屈辱。)
これまで、アリアドネはホウキで殴られた経験はなかったであろう。
ゆえに、結構立腹していた。
ただ、ヤスオに寄生して以来、このようなことは日常茶飯事で、いちいち怒っていてはキリがないとあきらめた。
だが、ヤスオは違った。声をかけただけで、ホウキで殴られ、本人からの謝罪はなく、その息子からは、呼び捨てで呼ばれる。
この世界にきて、こんなことばかりで、いい加減にしてほしかった。
「ソフィアさんの娘さん、イリスさんの件でお話があります。これ以上は、他人のあなた達に話す必要はないでしょう。まだ妨害するのでしたら、俺もいい加減、怒りますよ。」
ヤスオは2人に鋭い視線を送り、威嚇した。
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