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89.援軍
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「マチルダさん。」
「だ、大丈夫だ。」
どうやら、防具強化の効果が出ている。マチルダは吹き飛ばされただけで無傷だ。ヤスオは土壁を作って、ミノタウロスの追撃を許さない。だが、その壁を破壊し、マチルダに向かって突進する。
──ゴン。
二つ目の壁にぶつかり、後ろによろめいて行く。
──2度も同じ手にかかるなんて、こいつもバカだな。
ヤスオは、そう思い余裕を持った。ミノタウロスが地面に腰を据えたらそこに投石魔法を放ち、先端の尖った石で確実にとどめを刺そう考えた。そして、いつでも投石魔法が発動できるよう準備をした。だが、ミノタウロスは、よろめくばかりで一向に腰を据えない。
「ヤスオ殿。罠だ。」
マチルダは、ミノタウロスがよろめくごとにヤスオに近づいていることに気づき、声を荒げた。その声が合図になり、ミノタウロスは振り返り、ヤスオに突進してきた。
「させるかぁー。」
マチルダは、慌ててミノタウロスの後を追う。
──しまった。油断した。
一気に間合いを詰められ、慌てて投石魔法を唱えた。だが、それは角にはじかれ効果がない。その後は焦って集中できず、何も間に合わない。ヤスオは反撃をあきらめ、少しでもダメージを減らそうと身構える。
──イタッ。
両肩に激痛が走ると、飛翔魔法でも使ったような、不思議な感覚に襲われる。
──バッコォォォォン。
ミノタウロスは、大木にぶつかり、真二つにした。すぐにマチルダが詰め寄り、斬りかかる。ミノタウロスは角で応戦する。
「……、あれ?」
目を開くと目の前には青空が広がっていて、足元に森が見えた。ヤスオは空を飛んでいた。
「ヤスオっち。無事さぁ?」
頭の上から声が聞こえる。見上げるとそこにはサーチェがいた。下から見上げるサーチェも中々いいものだと、妄想にふけこもうとするが、肩の激痛がそれを許さない。
「サーチェ。痛い。」
サーチェの足が、ヤスオの両肩をつかみ、飛んでいた。だが、サーチェも焦ったのだろう。足に力が入り過ぎて、鋭い爪がヤスオの肩に突き刺さっていた。
「ごめんさぁ。すぐ降ろすさぁ。」
「サーチェ、奴が怖いのにどうして来た。」
「ミノは怖いけど、ヤスオがいなくなるのは、もっと怖いさぁ。だから頑張るさぁ。わっちも手伝うさぁよ。」
さすがのマチルダも角を斬る事はできなかった。ミノタウロスは頭を振りまわし、角で威嚇する。一旦、剣を角で止められると、持っているパワーが桁違いなので、あっという間に剣ごと、吹き飛ばされてしまう。なので、剣を止められないよう斬りつけるタイミングが重要だった。
「そろそろ目が回って、動きを止めてくれると、ありがたいのだが。」
散々、頭を振りまわしているので、人ならとっくに目を回している。だが、そこはさすがの上位魔物。まだまだと言わんばかりに、速さを増し、さらに振りまわした。
「マチルダさん、下がって。でかいの、行きます。」
──ヤスオ殿か?
ミノタウロスにやられたと思ったら一瞬で姿を消したので、心配していた。声が空から聞こえたようだが、ミノタウロスから目を離す訳にはいかない。速さが増し、反撃が難しくなったので、とりあえず、言われるがまま後退して、戦線を離脱した。
「なんだ、これは?」
ミノタウロスはマチルダを追撃しなかった。理由は自身の上空に暗雲が渦を巻き始めたからだ。本能で危険と知らせ、これから起こる事を警戒した。そして、時間と共に暗雲の渦が早くなる。
──ドッカァァァァン。
耳を塞ぎたくなる轟音と共に、すさまじい光を放つ雷が、ミノタウロスを直撃した。ミノタウロスは白目になり口から黒い煙を吐き、膝から崩れ落ちるようにうつ伏せに倒れた。
マチルダは轟音に驚き、その場で耳を塞ぎ、身をすくむ。
──ドスン。
「いたぁぁぁぁぁ。」
目の前にヤスオが落ちてきた。ヤスオは、全身を地面に叩きつけられ、痛がっている。
「サーチェ、痛い。」
「ごめんさぁ。わっち、雷はミノ以上に怖いさぁ。」
雷に驚いたサーチェは思わず足の力を緩めてしまい、ヤスオを落とした。ヤスオは自身に治癒魔法をかけながら、サーチェに文句を言っていた。マチルダは、驚くことが多すぎて、混乱した。
──あれは、ハーピー。なぜ、このような所に?ヤスオ殿とは、どういう関係だ?
詳しい事は後で聞くことにして、まずは目の前のミノタウロスに集中する。
「これは、ヤスオ殿が放ったのか?こんなの初めて見たが。」
ヤスオが、放ったのは雷魔法の最上位、稲妻魔法。その威力と音の大きさに放ったヤスオ自身が驚き、次から使うのは控えようと思っていた。
「すごい、威力だな。さすがのミノも、ひとたまりもないか。」
マチルダは真っ黒になり、うつ伏せに倒れているミノタウロスに歩み寄り、その威力のすごさを、見渡していた。
この時、マチルダもヤスオも知らなかった。この世界のミノタウロスは、悪魔族によって複製されたものなので、死ねば魔石に戻ることを。
(ヤスオ、まだ終わってない。)
「マチルダさん、危ない。」
ミノタウロスは立ち上がりながら、マチルダに自慢の角を突き付け、身体ごと上空へ振り払った。上空に飛ばされたマチルダは、頭から地面に向かって落下していく。その落下地点にミノタウロスが突進する。
「しまった。」
チェックメイトの状態だ。通常なら確実に死ぬ。だが今なら、ヤスオにかけられた2重の強化魔法がある。マチルダはそれに賭けて、生き残ることを祈った。
一瞬、ミノタウロスの前を何かが通過した。その何かは、ミノタウロスの角に接触し出血する。その血液がミノタウロスの顔面を覆い、突進の勢いを緩めた。
そのおかげで、ヤスオの土壁魔法が間に合った。今のミノタウロスに土壁を破壊する力はない。土壁を破壊するのを諦め、勢いを緩め手前で立ち止まる。そして、標的をヤスオに変え、間合いを詰めてくる。
マチルダは地面に叩きつけられたが、受け身が取れたので、たいした損傷もなく、すぐに態勢を立て直す。
──ハーピー殿。感謝する。
先程ヤスオを助けた時は早くて見逃がしたが、今回は落下しながらも、見逃さなかった。サーチェがミノタウロスの前を横切り、勢いを抑えた事、そして負った傷が深い事も。
マチルダは急ぎ、落とした剣を拾い上げ、勢いそのままヤスオの作った土壁によじ登った。そして、ヤスオに向かって歩むミノタウロスの背中に向かって、飛んだ。
──ギャァァァァァァ。
「だ、大丈夫だ。」
どうやら、防具強化の効果が出ている。マチルダは吹き飛ばされただけで無傷だ。ヤスオは土壁を作って、ミノタウロスの追撃を許さない。だが、その壁を破壊し、マチルダに向かって突進する。
──ゴン。
二つ目の壁にぶつかり、後ろによろめいて行く。
──2度も同じ手にかかるなんて、こいつもバカだな。
ヤスオは、そう思い余裕を持った。ミノタウロスが地面に腰を据えたらそこに投石魔法を放ち、先端の尖った石で確実にとどめを刺そう考えた。そして、いつでも投石魔法が発動できるよう準備をした。だが、ミノタウロスは、よろめくばかりで一向に腰を据えない。
「ヤスオ殿。罠だ。」
マチルダは、ミノタウロスがよろめくごとにヤスオに近づいていることに気づき、声を荒げた。その声が合図になり、ミノタウロスは振り返り、ヤスオに突進してきた。
「させるかぁー。」
マチルダは、慌ててミノタウロスの後を追う。
──しまった。油断した。
一気に間合いを詰められ、慌てて投石魔法を唱えた。だが、それは角にはじかれ効果がない。その後は焦って集中できず、何も間に合わない。ヤスオは反撃をあきらめ、少しでもダメージを減らそうと身構える。
──イタッ。
両肩に激痛が走ると、飛翔魔法でも使ったような、不思議な感覚に襲われる。
──バッコォォォォン。
ミノタウロスは、大木にぶつかり、真二つにした。すぐにマチルダが詰め寄り、斬りかかる。ミノタウロスは角で応戦する。
「……、あれ?」
目を開くと目の前には青空が広がっていて、足元に森が見えた。ヤスオは空を飛んでいた。
「ヤスオっち。無事さぁ?」
頭の上から声が聞こえる。見上げるとそこにはサーチェがいた。下から見上げるサーチェも中々いいものだと、妄想にふけこもうとするが、肩の激痛がそれを許さない。
「サーチェ。痛い。」
サーチェの足が、ヤスオの両肩をつかみ、飛んでいた。だが、サーチェも焦ったのだろう。足に力が入り過ぎて、鋭い爪がヤスオの肩に突き刺さっていた。
「ごめんさぁ。すぐ降ろすさぁ。」
「サーチェ、奴が怖いのにどうして来た。」
「ミノは怖いけど、ヤスオがいなくなるのは、もっと怖いさぁ。だから頑張るさぁ。わっちも手伝うさぁよ。」
さすがのマチルダも角を斬る事はできなかった。ミノタウロスは頭を振りまわし、角で威嚇する。一旦、剣を角で止められると、持っているパワーが桁違いなので、あっという間に剣ごと、吹き飛ばされてしまう。なので、剣を止められないよう斬りつけるタイミングが重要だった。
「そろそろ目が回って、動きを止めてくれると、ありがたいのだが。」
散々、頭を振りまわしているので、人ならとっくに目を回している。だが、そこはさすがの上位魔物。まだまだと言わんばかりに、速さを増し、さらに振りまわした。
「マチルダさん、下がって。でかいの、行きます。」
──ヤスオ殿か?
ミノタウロスにやられたと思ったら一瞬で姿を消したので、心配していた。声が空から聞こえたようだが、ミノタウロスから目を離す訳にはいかない。速さが増し、反撃が難しくなったので、とりあえず、言われるがまま後退して、戦線を離脱した。
「なんだ、これは?」
ミノタウロスはマチルダを追撃しなかった。理由は自身の上空に暗雲が渦を巻き始めたからだ。本能で危険と知らせ、これから起こる事を警戒した。そして、時間と共に暗雲の渦が早くなる。
──ドッカァァァァン。
耳を塞ぎたくなる轟音と共に、すさまじい光を放つ雷が、ミノタウロスを直撃した。ミノタウロスは白目になり口から黒い煙を吐き、膝から崩れ落ちるようにうつ伏せに倒れた。
マチルダは轟音に驚き、その場で耳を塞ぎ、身をすくむ。
──ドスン。
「いたぁぁぁぁぁ。」
目の前にヤスオが落ちてきた。ヤスオは、全身を地面に叩きつけられ、痛がっている。
「サーチェ、痛い。」
「ごめんさぁ。わっち、雷はミノ以上に怖いさぁ。」
雷に驚いたサーチェは思わず足の力を緩めてしまい、ヤスオを落とした。ヤスオは自身に治癒魔法をかけながら、サーチェに文句を言っていた。マチルダは、驚くことが多すぎて、混乱した。
──あれは、ハーピー。なぜ、このような所に?ヤスオ殿とは、どういう関係だ?
詳しい事は後で聞くことにして、まずは目の前のミノタウロスに集中する。
「これは、ヤスオ殿が放ったのか?こんなの初めて見たが。」
ヤスオが、放ったのは雷魔法の最上位、稲妻魔法。その威力と音の大きさに放ったヤスオ自身が驚き、次から使うのは控えようと思っていた。
「すごい、威力だな。さすがのミノも、ひとたまりもないか。」
マチルダは真っ黒になり、うつ伏せに倒れているミノタウロスに歩み寄り、その威力のすごさを、見渡していた。
この時、マチルダもヤスオも知らなかった。この世界のミノタウロスは、悪魔族によって複製されたものなので、死ねば魔石に戻ることを。
(ヤスオ、まだ終わってない。)
「マチルダさん、危ない。」
ミノタウロスは立ち上がりながら、マチルダに自慢の角を突き付け、身体ごと上空へ振り払った。上空に飛ばされたマチルダは、頭から地面に向かって落下していく。その落下地点にミノタウロスが突進する。
「しまった。」
チェックメイトの状態だ。通常なら確実に死ぬ。だが今なら、ヤスオにかけられた2重の強化魔法がある。マチルダはそれに賭けて、生き残ることを祈った。
一瞬、ミノタウロスの前を何かが通過した。その何かは、ミノタウロスの角に接触し出血する。その血液がミノタウロスの顔面を覆い、突進の勢いを緩めた。
そのおかげで、ヤスオの土壁魔法が間に合った。今のミノタウロスに土壁を破壊する力はない。土壁を破壊するのを諦め、勢いを緩め手前で立ち止まる。そして、標的をヤスオに変え、間合いを詰めてくる。
マチルダは地面に叩きつけられたが、受け身が取れたので、たいした損傷もなく、すぐに態勢を立て直す。
──ハーピー殿。感謝する。
先程ヤスオを助けた時は早くて見逃がしたが、今回は落下しながらも、見逃さなかった。サーチェがミノタウロスの前を横切り、勢いを抑えた事、そして負った傷が深い事も。
マチルダは急ぎ、落とした剣を拾い上げ、勢いそのままヤスオの作った土壁によじ登った。そして、ヤスオに向かって歩むミノタウロスの背中に向かって、飛んだ。
──ギャァァァァァァ。
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