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第一章 目覚め
第8話 隊長と副隊長
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「これはいったい何事だ? それに、何故こんなところに子供が……」
今しがた現れた、胸に国章を掲げた一際立派な鎧を身に纏う金髪の騎士が、わっちをチラチラと見ながら他の騎士達に尋ねる。
「計画通りじゃな。あれが噂の隊長殿かの」
魔物討伐において、一騎当千の目覚ましい活躍を見せる金獅子。
ネココが住む田舎町にも、轟く名声じゃ。
「おい、隊長さんよ。見てみろこの焼跡……。うちのやつらが束になっても出せる火力じゃねぇぜ」
ほう、赤髪のこっちが副隊長殿かの。
武骨そうじゃが、内包しておるマナ量は隊長と呼ばれた男より多い、こりゃ楽しめるかの?
それを聞き、考え込んだ隊長殿は一つの答えにたどり着いたのじゃろう。
「まさか……その子がやったと言わないよな?」
答えは出ていたようなものじゃが、いの一番にそれを口にするとは、話が早くてすみそうじゃ。
「その通りじゃ、わっちがやったのじゃが?」
隊長殿は、一瞬驚いた顔を見せるが直ぐ冷静さを取り戻す。
魔術は年齢じゃない、どうやらこの男はそれを理解しておるようじゃな。
「それを成す程の力の持ち主……。少年、何のためにこんなことをしてるんだ、理由があるんじゃないのか?」
くっくっく、完全に狙い通りじゃ。
ここで力を見せつければ、こやつらは黙っておれん。
それにまんまと、わっちを男だと思い込んでおるわ。
「ぬしは中々に話がわかりそうじゃの? なに、少々望みがあっての」
「望み? こんな手段を用いての願いなど許可出来るわけがない。今なら見逃そう、素直に家族の所へ帰りなさい」
「御断りじゃ。それに残念ながらわっちにも都合があっての? 易々と出て行く気は無い」
こちらの返事を聞くと、隊長殿は他の騎士に手で指示を出す。
二人の兵が、背後から捕まえようと襲いかかってくるが、わっちはそれを軽々と避け、隊長殿に向け指を一本立てて見せる。
「そこでじゃ、実力主義の魔道騎士団様に提案じゃ。一つ決闘でもして決めぬかの? わっちが負ければ、大人しく退散することを約束しよう。なんなら刑に処しても構わぬ」
わっちの提案になのか、それとも情けない兵を見てなのか、もしくはその両方なのかは分からぬが、隊長殿は頭を抱えているようすじゃ。
「何を戯れ言を、私達が子供相手に、そんな大人気ない勝負事など……」
「──なんじゃ、自信が無いかの? なんならそちらは、二人で良いのだぞ?」
流石の隊長殿も、子供にここまで言われ多少なり屈辱だったのじゃろうな。一瞬だが、眉が動きおった、これは後一息かの?
「俺様がやる。めんどくせぇが、この焼跡を見せられちゃ、黙ってられねぇーな!」
「シバ駄目だ。お前は手加減が下手すぎ……」
「──いーや、ガキは少しぐらい痛い目見た方が良いんですよ。このまま調子に乗せてたら、面倒が増えそうだ!」
ふむ、向こうは釣れなんだの。
シバと呼ばれた副隊長殿は、詠唱を始め炎を生み出す。
先ほどわっちが唱えた魔術とほぼ同様。違いと言えば、同じように巨大な炎の玉が三つある事じゃろうか。
それを見た騎士達は、慌てるように次々とその場を逃げ出して行く。
「ほう、中々の炎じゃな。副隊長と呼ばれる事だけはあるの」
感心しながら腕組みして眺めていると、シバは半身に構える。
「殺されたくなければ、自分で何とかするんだな──くらいやがれ!」
炎弾が一つの、わっちに向け飛ばされた。
先ほどの兵の火球のように、マナの塊をぶつけ、相殺しようと試みたのじゃが。
「消えぬだと!? この炎、もしや……」
消す事に失敗した炎弾は、轟々と空気を焼ながら、油断してたわっちの目前まで迫り来ておった。
今しがた現れた、胸に国章を掲げた一際立派な鎧を身に纏う金髪の騎士が、わっちをチラチラと見ながら他の騎士達に尋ねる。
「計画通りじゃな。あれが噂の隊長殿かの」
魔物討伐において、一騎当千の目覚ましい活躍を見せる金獅子。
ネココが住む田舎町にも、轟く名声じゃ。
「おい、隊長さんよ。見てみろこの焼跡……。うちのやつらが束になっても出せる火力じゃねぇぜ」
ほう、赤髪のこっちが副隊長殿かの。
武骨そうじゃが、内包しておるマナ量は隊長と呼ばれた男より多い、こりゃ楽しめるかの?
それを聞き、考え込んだ隊長殿は一つの答えにたどり着いたのじゃろう。
「まさか……その子がやったと言わないよな?」
答えは出ていたようなものじゃが、いの一番にそれを口にするとは、話が早くてすみそうじゃ。
「その通りじゃ、わっちがやったのじゃが?」
隊長殿は、一瞬驚いた顔を見せるが直ぐ冷静さを取り戻す。
魔術は年齢じゃない、どうやらこの男はそれを理解しておるようじゃな。
「それを成す程の力の持ち主……。少年、何のためにこんなことをしてるんだ、理由があるんじゃないのか?」
くっくっく、完全に狙い通りじゃ。
ここで力を見せつければ、こやつらは黙っておれん。
それにまんまと、わっちを男だと思い込んでおるわ。
「ぬしは中々に話がわかりそうじゃの? なに、少々望みがあっての」
「望み? こんな手段を用いての願いなど許可出来るわけがない。今なら見逃そう、素直に家族の所へ帰りなさい」
「御断りじゃ。それに残念ながらわっちにも都合があっての? 易々と出て行く気は無い」
こちらの返事を聞くと、隊長殿は他の騎士に手で指示を出す。
二人の兵が、背後から捕まえようと襲いかかってくるが、わっちはそれを軽々と避け、隊長殿に向け指を一本立てて見せる。
「そこでじゃ、実力主義の魔道騎士団様に提案じゃ。一つ決闘でもして決めぬかの? わっちが負ければ、大人しく退散することを約束しよう。なんなら刑に処しても構わぬ」
わっちの提案になのか、それとも情けない兵を見てなのか、もしくはその両方なのかは分からぬが、隊長殿は頭を抱えているようすじゃ。
「何を戯れ言を、私達が子供相手に、そんな大人気ない勝負事など……」
「──なんじゃ、自信が無いかの? なんならそちらは、二人で良いのだぞ?」
流石の隊長殿も、子供にここまで言われ多少なり屈辱だったのじゃろうな。一瞬だが、眉が動きおった、これは後一息かの?
「俺様がやる。めんどくせぇが、この焼跡を見せられちゃ、黙ってられねぇーな!」
「シバ駄目だ。お前は手加減が下手すぎ……」
「──いーや、ガキは少しぐらい痛い目見た方が良いんですよ。このまま調子に乗せてたら、面倒が増えそうだ!」
ふむ、向こうは釣れなんだの。
シバと呼ばれた副隊長殿は、詠唱を始め炎を生み出す。
先ほどわっちが唱えた魔術とほぼ同様。違いと言えば、同じように巨大な炎の玉が三つある事じゃろうか。
それを見た騎士達は、慌てるように次々とその場を逃げ出して行く。
「ほう、中々の炎じゃな。副隊長と呼ばれる事だけはあるの」
感心しながら腕組みして眺めていると、シバは半身に構える。
「殺されたくなければ、自分で何とかするんだな──くらいやがれ!」
炎弾が一つの、わっちに向け飛ばされた。
先ほどの兵の火球のように、マナの塊をぶつけ、相殺しようと試みたのじゃが。
「消えぬだと!? この炎、もしや……」
消す事に失敗した炎弾は、轟々と空気を焼ながら、油断してたわっちの目前まで迫り来ておった。
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