ちびっ子には見せられないよ!魔法少女と、その使い魔。

リゥル

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第二章 恋愛相談

第12話 恋愛相談

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「しばらく、友達の家に泊まってます。心配しないでください……。送信っと」

 日曜日の昼過ぎ、俺は猫の姿のまま相澤の部屋でスマートフォンをいじっていた。
 猫の手でタッチパネル操作、マジ大変。

「──なんにゃそれ、彼氏とコッソリ外泊する女子高生みたいな文章だにゃ」
「つっ!?」

 俺は相澤かと思い、慌ててスマフォの上に飛び乗る。
 声を掛けてきたのは今日もフラフラと酔っ払っている、朝帰りのシロルだった。
 
「な、な、なんだシロルか、脅かすなよ。って誰が女子高生だ」
「兄さんこそ何だとはなんにゃ、ココは俺っちの住処だにゃ。こんな所で不用心にそんなの弄ってるから、ビクつく羽目になるにゃ」

 くっ、酔っぱらいの癖に正論を。
 でもこちらにも事情があるんだよ。

「俺だって、出来る事なら落ち着いて連絡をとりたいよ。でもなるべく相澤の側にって言ったのはシロルだろ? それに一度人の姿に戻ると、この姿になるのに気を使うんだよ、相澤がいつ見てるか分からないから」

 実は昨日、部活の後。
 学校のトイレで猫の姿になり帰ろうとした所、相澤が柱の影から人の姿の俺を待ち構えていたのだ。
 その時は声を掛け無理やり連れて帰ったが、こんな事を繰り返していたら、いつか怪しまれてしまう。
 何よりあのままだと、彼女は出てこない人間を待ち続ける事になる。
 自業自得とは言え、それは流石に可哀想だ。
 
「でも定期連絡だけはしておかないと、母さん達が出掛け先で俺を心配する。母さん達にはほとぼりが冷めたらこちらから連絡するから、今は帰って来るなって言ってあるけど……」

 取り立て屋が張っているのに、家に帰って来るのは危険だ。
 まぁここ数日間、猫の姿のまま合間を見て自宅のインターホンを確認しにいっても、誰かが訪ねてきた形跡もないが。
 念には念を入れもうしばらく様子を見るつもりなんだけど……。

「その事なら大丈夫にゃ。警察も動いてくれてるから、そうそう下手な事は出来ないはずにゃ。なんなら家の前にも一人つけるかにゃ?」
「つけるって、警察官をか!?」

 何食わぬ表情で国家機関の名前を出し、後ろ足で顔をかく目の前の白猫。
 俺の中で、一つの予感が脳裏をよぎる。

「もしかして魔法少女って、国家絡みの機関だったりするのか?」
「聞くと後戻り出来なくなるにゃよ。知らない方が幸せだって事もあると思うけどにゃ?」
「あ、あぁ……。それは痛感してる」

 シロルの言うように、深入りはよそう。
 あくまで俺は、借金を返済の為に使い魔をしているにすぎない。

 そんな事を考えていると、階段を駆け上がる音が聞こえ、俺は再びスマホの上に飛び乗った。

「──ノアちゃん、シロルちゃん、大変だよ」

 とても慌てた様子で、相澤が勢いよくドアを開いた。
 気の緩む隙が一切ない。
 やっぱり今後は、例え時間が無くてもここでスマフォは止めよう、寿命が縮まりそうだ。

「どうした、ゾーオかにゃ!?」
「違うの、今から友達がここに来ることになっちゃったの!」
「友達、かにゃ?」

 友達が部屋にくる、その事自体おかしい事は無いだろう。
 でも問題は、この部屋だよな。

「まぁ、確かに大変だな。この量の写真を片付けないといけないわけだし」

 部屋一面に飾られている俺の写真。
 コレを片付けるのは、中々に骨が折れるだろう。
 しかしその懸念は少し、的外れだったらしい。

「ごめんねノア君。今日一日だけだから……」

 相澤は申し訳無さそうに写真の俺に謝ると、それをクルリと半周ひっくり返したのだ。
 裏面からは、風景画や可愛い子猫の写真が現れる。

「額に入れてあった理由がやっとわかったよ。賢いですね……」
「えへー、でしょ? DIYで作ったんだ。他にもノア君の写真に穴を開けたくないって理由もあるんだけどね」

 既製品と見分けがつかなかった……。
 相澤、器用なのか不器用なのか分からないやつ。
 多少ツッコミどころはあるけど、俺が飾られてないと普通の女の子の部屋なんじゃないか?
 まあ、普通の女の子の部屋を知らんが。

 日輪成分が少ない相澤の部屋を見渡していると、勉強机の上にある写真立てに気付く。

「あれ、一番小さい写真がそのままだぞ。あれは隠さなくていいのか?」
「あれはいいの、そのままで」

 ……何でだよ。

 確かにあの写真だけ相澤が写り込んでいるけど、俺がメインに写ってるだろ。
 誰がどう見ても、この部屋にあるのは不自然だろ?
 そんなツッコミを入れるか悩んでいると、インターホンが鳴り響く。

「早速来たみたい。行ってくるね」

 相澤は、慌ただしく部屋を飛び出した。
 まったく、今日は嵐のような一日だな。
 …………違うな、今日もか。

「ふぅ……。それにしても今からこの部屋で、ガールズトークが繰り広げられる訳だ」

 きっと恋愛や、悩みなんかを語り合うんだろうな。
 俺の名前も出るのかな? なんて自惚れか。
 そう言えば女子同士の会話は、結構エグいものがあるとか噂で聞いたこともある。

「……逃げるか」

 こういうのは見ぬが花、知らぬが仏だ。
 でも退散する前に、体の下にあるコイツをなんとかせねば。

 スマフォに付いているストラップを口に咥え、引きずりながらテレビ台の前まで移動する。
 以前隠し場所をみつけた、この裏。
 ここなら、模様替えでもしない限り見つかることは無いはず。

 おっと、念のために電源だけ落として……。

「って、この手で電源ボタン長押し、難しいな!」

 落ち着け俺、冷静になるんだ。
 慌てさえしなければ、何ともない作業だろ?
 今までも、いくつも修羅場をくぐり抜けてきたじゃないか。
 
 「──おじゃまします。」

 一階の方から、相澤の友人らしき声が聞こえた。
 そしてドアの向こうから、二人分の足音が近づいてくる……。

 で、電源は切れた。
 でも隠す時間が足りない!?

 俺は三度、端末の上に飛び乗った。
 そしてそれとほぼ同時に、部屋の扉が外から開かれたのだった……。
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