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第三章 リベラティオへの旅路
第206話 守りたい、その想い!
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「──き……貴様、いったいなんのつもりだ!」
男が力強く振り下ろした足は、ティアの新刊を踏むことはなかった。
地面に投げつけられた瞬間、視界の中に彼女の顔が見えてしまった。
そんなの……体が動かない訳がないだろ?
「カ、カナデ様……」
俺はとっさに、ティアの新刊を庇うようにストーキングキングの足の下に滑り込み、頭を踏まれながらもソレを死守したのだ。
その行為を見ていたのであろう。周囲の冒険者からざわめきが起こる。
「な、なんでそんな物の為に、何故貴様はそこまでするんだ……バカなのか?」
頭を踏んでいる足を、俺は手で掴み振り払った。──そんな物? ふざけやがって……。
ティアの新刊を持ったまま、顔を上げた。そして、俺は目の前のストーキングキングを睨み付ける。
「バカはお前だ。そんな物の為にだって? お前はこれがどんな思いで作られてるのか知っているのか?」
居ても立ってもいられず、声を荒げてしまった。
俺は知っている……これは沢山の、とてつもなく沢山の大好きな気持ちが惜しみ無く込められているんだ。
自分の願いを、本当は叶わないと知っていてもどうしようもなく押さえられない願い。
本の中だけでも結ばれたい、そんな悲しくも儚い願望器……。
それをみすみす踏みにじられるのを、黙って見過ごせるかよ!
「本当……バカだよな、俺もティアもお前も」
ティアの新刊を手に持ったまま、起き上がる。──守りたい、守ってやりたい。仲間の願いを、想いを!!
「描いた人の愛が詰まってるんだよ……寝る間も削り、時間を費やし、情熱を注いで。そうやって生まれた、一つの愛の形なんだよ! お前には、それが分からないだろ!」
「貴様は……何を言ってるんだ? たかが一冊の本だぞ?」
ストーキングキング発言に、俺の頭に血が昇るのが分かる。
本を持っていない左手に力が入る。自分でも、何でこんなに感情的になっているかは分からない。
ただ──隣で瞳を潤ませている彼女を見て、心に歯止めが効かなくなってしまった。
「何も見えていないんだな? 彼女の綺麗な所しか見てないんだろ。自分の感情を押し付けるだけ押し付けて、相手の心を見ようともしない……。お前には、ティアを好きになる資格はない!」
右手に持っている新刊を見せつけながら、俺は言い放った。
言いたいことは言ってやった……。これでティアの心は、少しでも晴れただろうか?
「貴様……もしかしてその本の著者なのか?」
──おい、なんでそんな話になってんだよ!
ストーキングキングの一言で、俺は冷静さを取り戻した。
周囲を見渡すと、ざわめきが起きている。知らぬ間に、人集りが出来て居たのだ。
「カ、カナデ様……あの、お願いがあります」
ティアは俺の服の袖を掴み、小声で話しかけてきた。
その表情は今にも泣き出してしまいそうなほどで、涙を瞳に貯め、頬は紅く染まっている。
「す、すみません……。俺、熱くなって……」
考えても見れば、彼女の本を持ったまま力説してたんだ。
著者誰か分からないにしても、ティアは恥ずかしいに決まっている……。やっぱり俺もバカだった!
俺の発言に、ティアは首を左右に振り胸の前で両手を組んで見せた。
「カナデ様。もう一度、もう一度、ティア! って言ってもらえませんか? 後、今後、出来ればため口を使っていただきたのですが……」
「え~っと……ティアさん? 何をおっしゃっているのでしょうか?」
「──もう、違いますよ! ティア、です!」
彼女は突如、地団駄を踏むように怒りだした。──な、何だこれ……。
「ティ、ティア……これでいいのかな?」
俺の言葉を聞き、顔を覆い隠しながら「ありがとうございます~!」と声を上げるティア……。──もう、訳が分からない。
ストーキングキングは、そんな俺達を見て顔を強ばらせた。そして、自分の手袋を外し始めたのだ──。
「貴様……俺の前で、ティアさんとよくもイチャイチャ、イチャイチャと!」
──そして、ストーキングキングは叫び声を上げ、手袋を俺に向かって投げてきたのだ。
男が力強く振り下ろした足は、ティアの新刊を踏むことはなかった。
地面に投げつけられた瞬間、視界の中に彼女の顔が見えてしまった。
そんなの……体が動かない訳がないだろ?
「カ、カナデ様……」
俺はとっさに、ティアの新刊を庇うようにストーキングキングの足の下に滑り込み、頭を踏まれながらもソレを死守したのだ。
その行為を見ていたのであろう。周囲の冒険者からざわめきが起こる。
「な、なんでそんな物の為に、何故貴様はそこまでするんだ……バカなのか?」
頭を踏んでいる足を、俺は手で掴み振り払った。──そんな物? ふざけやがって……。
ティアの新刊を持ったまま、顔を上げた。そして、俺は目の前のストーキングキングを睨み付ける。
「バカはお前だ。そんな物の為にだって? お前はこれがどんな思いで作られてるのか知っているのか?」
居ても立ってもいられず、声を荒げてしまった。
俺は知っている……これは沢山の、とてつもなく沢山の大好きな気持ちが惜しみ無く込められているんだ。
自分の願いを、本当は叶わないと知っていてもどうしようもなく押さえられない願い。
本の中だけでも結ばれたい、そんな悲しくも儚い願望器……。
それをみすみす踏みにじられるのを、黙って見過ごせるかよ!
「本当……バカだよな、俺もティアもお前も」
ティアの新刊を手に持ったまま、起き上がる。──守りたい、守ってやりたい。仲間の願いを、想いを!!
「描いた人の愛が詰まってるんだよ……寝る間も削り、時間を費やし、情熱を注いで。そうやって生まれた、一つの愛の形なんだよ! お前には、それが分からないだろ!」
「貴様は……何を言ってるんだ? たかが一冊の本だぞ?」
ストーキングキング発言に、俺の頭に血が昇るのが分かる。
本を持っていない左手に力が入る。自分でも、何でこんなに感情的になっているかは分からない。
ただ──隣で瞳を潤ませている彼女を見て、心に歯止めが効かなくなってしまった。
「何も見えていないんだな? 彼女の綺麗な所しか見てないんだろ。自分の感情を押し付けるだけ押し付けて、相手の心を見ようともしない……。お前には、ティアを好きになる資格はない!」
右手に持っている新刊を見せつけながら、俺は言い放った。
言いたいことは言ってやった……。これでティアの心は、少しでも晴れただろうか?
「貴様……もしかしてその本の著者なのか?」
──おい、なんでそんな話になってんだよ!
ストーキングキングの一言で、俺は冷静さを取り戻した。
周囲を見渡すと、ざわめきが起きている。知らぬ間に、人集りが出来て居たのだ。
「カ、カナデ様……あの、お願いがあります」
ティアは俺の服の袖を掴み、小声で話しかけてきた。
その表情は今にも泣き出してしまいそうなほどで、涙を瞳に貯め、頬は紅く染まっている。
「す、すみません……。俺、熱くなって……」
考えても見れば、彼女の本を持ったまま力説してたんだ。
著者誰か分からないにしても、ティアは恥ずかしいに決まっている……。やっぱり俺もバカだった!
俺の発言に、ティアは首を左右に振り胸の前で両手を組んで見せた。
「カナデ様。もう一度、もう一度、ティア! って言ってもらえませんか? 後、今後、出来ればため口を使っていただきたのですが……」
「え~っと……ティアさん? 何をおっしゃっているのでしょうか?」
「──もう、違いますよ! ティア、です!」
彼女は突如、地団駄を踏むように怒りだした。──な、何だこれ……。
「ティ、ティア……これでいいのかな?」
俺の言葉を聞き、顔を覆い隠しながら「ありがとうございます~!」と声を上げるティア……。──もう、訳が分からない。
ストーキングキングは、そんな俺達を見て顔を強ばらせた。そして、自分の手袋を外し始めたのだ──。
「貴様……俺の前で、ティアさんとよくもイチャイチャ、イチャイチャと!」
──そして、ストーキングキングは叫び声を上げ、手袋を俺に向かって投げてきたのだ。
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