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第四章 新天地
421話 秘策
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「──カナデ君、やっぱりここに居た」
「トゥナ!? どうしたんだよ、夜遅くにこんな所に来て」
鍛冶場の入口から、トゥナが顔を覗かせた。
どうやら先ほどの声の主は、彼女だったらしい。
「カナデ君を追って来たのよ。何となく、元気が無さそうだったから……」
気遣ってなのだろうか、上目遣いで俺の様子を伺っている様だ。
本当、皆よく見てるな……。
そんなに俺、分かりやすいのだろうか?
「あー……心配かけちゃってるよな、すまない。それにしても、ハーモニーとティアが良く許したな?」
「今回は私の番らしいから、それに……」
それに? それに何だろう。
「薄々気付いてると思うの。二人とも私がカナデ君の事で、皆に隠し事をしている事に」
「隠し事?」
「……うん、魔王の正体。その事だけは、誰にも話してないから」
そうか、だから誰も触れないで居てくれたのか。
確かにその事が周りに知れ渡れば、心象を悪くするだろう。
俺だけなら良い。最悪、周りの人にも飛び火するかもしれないからな……。
「そうか……ありがとう。気を使わせちゃったな」
俺はトゥナにお礼を述べた。
しかし、彼女の心配事はそれだけでは無いらしい。
「それと昼間は声に出して確認出来なかったけど、本当にいいの? 相手はお父さんなんでしょ?」っと、さらに表情を曇らせたのだ。
「あの時も言っただろ? 皆を守るのが俺の仕事だから。それにミコは家族だ。例え父さんだろうと、邪魔をするなら……」
そう、覚悟はとうの昔に決まっている。
今までとは違う、一歩も引けないところまで来ているのだから……。つまり、背水の陣って奴だ。
「ねぇ、カナデ君。本当にあの人を倒せるの? 不意打ちが通用する相手だとは思えないのだけど……」
「……武器を片手に向かうんだ、その時点で多分駄目だろうな」
目的はあくまでも鎮を倒すことだ。流石に丸腰で近づく訳にもいかない。
腰から刀を下げている以上、相手は警戒するのは目に見えてるな。
「じゃぁ、どうやって……」
「そんなの、真っ向勝負しかないだろ?」
「──真っ向勝負って!? いくらカナデ君でも……」
彼女の言いたい事は分かる。俺達と鎮とでは、戦闘能力に雲泥の差があるのだから。
だからと言って、後は無いのだ。引く事は許されない。
「大丈夫。俺も考えなしって訳じゃないよ、秘策はある……」
「秘策?」
勝てる保証はない。
ただこれ以外の策は、いくら思考を巡らせても考えはつかなかった。
「じいちゃんがどうして、俺に帯刀流剣術じゃなく抜刀術を教えたか、今回の件が関係している気がするんだ」
抜刀術の特徴。それを最大限に発揮できれば、確信は無いが格上の相手にも対抗できるはずなのだ。
最速を誇る抜刀術、ならではの方法で──。
「トゥナ、すまないがこの後少し付き合ってくれないか?」
「付き合う? えっと……何をすればいいのかしら?」
ただ、ぶっつけ本番って訳にも行かない。
丁度手持ち無沙汰だったし、相手がトゥナなら特訓相手に申し分ない。
俺は蝋燭を棚から引っ張り出し、火を移していく。
そしてランタンに入れ、鍛冶屋の外へと並べた、そして──。
「今からするのは、対魔王戦に向けての特訓だよ。トゥナにしか頼めないんだ、協力してくれ!」っと、俺は彼女に向かい刀を構えたのだった。
「トゥナ!? どうしたんだよ、夜遅くにこんな所に来て」
鍛冶場の入口から、トゥナが顔を覗かせた。
どうやら先ほどの声の主は、彼女だったらしい。
「カナデ君を追って来たのよ。何となく、元気が無さそうだったから……」
気遣ってなのだろうか、上目遣いで俺の様子を伺っている様だ。
本当、皆よく見てるな……。
そんなに俺、分かりやすいのだろうか?
「あー……心配かけちゃってるよな、すまない。それにしても、ハーモニーとティアが良く許したな?」
「今回は私の番らしいから、それに……」
それに? それに何だろう。
「薄々気付いてると思うの。二人とも私がカナデ君の事で、皆に隠し事をしている事に」
「隠し事?」
「……うん、魔王の正体。その事だけは、誰にも話してないから」
そうか、だから誰も触れないで居てくれたのか。
確かにその事が周りに知れ渡れば、心象を悪くするだろう。
俺だけなら良い。最悪、周りの人にも飛び火するかもしれないからな……。
「そうか……ありがとう。気を使わせちゃったな」
俺はトゥナにお礼を述べた。
しかし、彼女の心配事はそれだけでは無いらしい。
「それと昼間は声に出して確認出来なかったけど、本当にいいの? 相手はお父さんなんでしょ?」っと、さらに表情を曇らせたのだ。
「あの時も言っただろ? 皆を守るのが俺の仕事だから。それにミコは家族だ。例え父さんだろうと、邪魔をするなら……」
そう、覚悟はとうの昔に決まっている。
今までとは違う、一歩も引けないところまで来ているのだから……。つまり、背水の陣って奴だ。
「ねぇ、カナデ君。本当にあの人を倒せるの? 不意打ちが通用する相手だとは思えないのだけど……」
「……武器を片手に向かうんだ、その時点で多分駄目だろうな」
目的はあくまでも鎮を倒すことだ。流石に丸腰で近づく訳にもいかない。
腰から刀を下げている以上、相手は警戒するのは目に見えてるな。
「じゃぁ、どうやって……」
「そんなの、真っ向勝負しかないだろ?」
「──真っ向勝負って!? いくらカナデ君でも……」
彼女の言いたい事は分かる。俺達と鎮とでは、戦闘能力に雲泥の差があるのだから。
だからと言って、後は無いのだ。引く事は許されない。
「大丈夫。俺も考えなしって訳じゃないよ、秘策はある……」
「秘策?」
勝てる保証はない。
ただこれ以外の策は、いくら思考を巡らせても考えはつかなかった。
「じいちゃんがどうして、俺に帯刀流剣術じゃなく抜刀術を教えたか、今回の件が関係している気がするんだ」
抜刀術の特徴。それを最大限に発揮できれば、確信は無いが格上の相手にも対抗できるはずなのだ。
最速を誇る抜刀術、ならではの方法で──。
「トゥナ、すまないがこの後少し付き合ってくれないか?」
「付き合う? えっと……何をすればいいのかしら?」
ただ、ぶっつけ本番って訳にも行かない。
丁度手持ち無沙汰だったし、相手がトゥナなら特訓相手に申し分ない。
俺は蝋燭を棚から引っ張り出し、火を移していく。
そしてランタンに入れ、鍛冶屋の外へと並べた、そして──。
「今からするのは、対魔王戦に向けての特訓だよ。トゥナにしか頼めないんだ、協力してくれ!」っと、俺は彼女に向かい刀を構えたのだった。
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