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プロローグ
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「──お前だけならまだ助かる! 俺達を置いて逃げろ……逃げてくれ!」
薄暗いダンジョンの一角……。目の前では小さな少女が、その体に不釣り合いな禍々しく、燃える様な大剣を持ち、目の前の驚異と向き合っている。
その相手は魔物と呼ばれる化け物……。しかし、今まで対峙してきたものとは訳が違った。
体躯は今までのものより何回りも大きく、力は何倍も強い……そして額には赤く、眩い程輝く宝石が埋め込まれていた。
別の仲間である二人は健闘も虚しく、先ほど魔物の一撃を受け倒れてしまった……。そう──たった一撃でだ!
そして意識がないのか、今は動きもしない……。
──絶望的な状況、見る者誰の目にもそう映るに違いないだろう。
しかし目の前で、化け物相手に立ちふさがる彼女は生きることを諦めてはいないようだ。
仲間を庇うかのように魔物の前に立ちふさがる事を、決して止めようとはしない。
その威風堂々とした姿は、勇猛で勇敢で……そして、それ以上に無謀にも見えるだろう。
睨み合っていた両者は、先に魔物側が痺れを切らしたようだ。小さき少女に向かい、その豪腕を振り下ろす──。
「──獣王連撃!」
少女は声を上げながら、一撃を掻い潜った! 振り下ろされた魔物の攻撃を避け、それに合わせ大剣を振り上げる。
少女は一閃の下、魔物の腕を切断すると同時に飛び上がった! 空高く舞い上がると、剣を振り上げた重みで一回転する。
「これ…──と……め…!」
魔物の首元に、少女が振るった大剣が刺さった。刃は深くめり込み、魔物からは血が吹き出る。
彼女の一撃は、魔物を倒したかの様に思われた。
「──危ない、避けるんだ!」
残っている方の魔物の腕は、無情にも小さき少女を襲おうとしていた!
しかし彼女は、逃げるどころか更に深く……深く刃を突き立てようと力を加えるのだ!
──もうダメだ!
あまりの事態に、俺は目を閉じた。脳裏に最悪の事態がよぎってしまう。
「──グギャァァァァァ!!」
しかし聞こえてきた叫び声は少女のものではなく、巨大な魔物のものであった。
声につられ、ゆっくりと目を開けた……すると。
「魔物が──燃えてる……」
突き刺さった大剣からは、轟々と炎が上がっていた。吹き出る血液が、瞬く間に蒸発してしまう程の炎だ……。
魔物の上半身は、一瞬にして火に飲まれていく。
「逃げろ! さっさと手を離して……逃げてくれ!」
俺の叫びは、儚くも魔物の叫びにかき消され少女に届くことはなかった……。
火の手は魔物だけではなく、大剣を持っている彼女の手にも燃え移ってしまう。
──少女の苦痛による悲鳴が響く。
彼女はその後、熱さのあまり大剣を手放し、地面を転げ回った……。
歩くことすら儘ならない俺は、祈ることしか出来なかった──頼む……助かってくれ! っと──。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「──はっ!」
俺は呼吸を荒げていた……シャツは汗で湿っており心臓の音が響く。
「くそ……またこの夢か」
体を起こした俺は、拳を握りしめ自身の胸を叩く。静かにしろ……っと。
落ち着いたのを見計らい、汗で濡れたシャツを着替えた。
「……まったく、最低な一日の出だしだ」
着替えを終えると、ぼやく声と共に部屋のドアノブを回し寝室を後にした。
開いた扉の先では、夢で見た黒く焦げた折れた禍々しい大剣の柄が──戒めの様に飾られていたのだった……。
薄暗いダンジョンの一角……。目の前では小さな少女が、その体に不釣り合いな禍々しく、燃える様な大剣を持ち、目の前の驚異と向き合っている。
その相手は魔物と呼ばれる化け物……。しかし、今まで対峙してきたものとは訳が違った。
体躯は今までのものより何回りも大きく、力は何倍も強い……そして額には赤く、眩い程輝く宝石が埋め込まれていた。
別の仲間である二人は健闘も虚しく、先ほど魔物の一撃を受け倒れてしまった……。そう──たった一撃でだ!
そして意識がないのか、今は動きもしない……。
──絶望的な状況、見る者誰の目にもそう映るに違いないだろう。
しかし目の前で、化け物相手に立ちふさがる彼女は生きることを諦めてはいないようだ。
仲間を庇うかのように魔物の前に立ちふさがる事を、決して止めようとはしない。
その威風堂々とした姿は、勇猛で勇敢で……そして、それ以上に無謀にも見えるだろう。
睨み合っていた両者は、先に魔物側が痺れを切らしたようだ。小さき少女に向かい、その豪腕を振り下ろす──。
「──獣王連撃!」
少女は声を上げながら、一撃を掻い潜った! 振り下ろされた魔物の攻撃を避け、それに合わせ大剣を振り上げる。
少女は一閃の下、魔物の腕を切断すると同時に飛び上がった! 空高く舞い上がると、剣を振り上げた重みで一回転する。
「これ…──と……め…!」
魔物の首元に、少女が振るった大剣が刺さった。刃は深くめり込み、魔物からは血が吹き出る。
彼女の一撃は、魔物を倒したかの様に思われた。
「──危ない、避けるんだ!」
残っている方の魔物の腕は、無情にも小さき少女を襲おうとしていた!
しかし彼女は、逃げるどころか更に深く……深く刃を突き立てようと力を加えるのだ!
──もうダメだ!
あまりの事態に、俺は目を閉じた。脳裏に最悪の事態がよぎってしまう。
「──グギャァァァァァ!!」
しかし聞こえてきた叫び声は少女のものではなく、巨大な魔物のものであった。
声につられ、ゆっくりと目を開けた……すると。
「魔物が──燃えてる……」
突き刺さった大剣からは、轟々と炎が上がっていた。吹き出る血液が、瞬く間に蒸発してしまう程の炎だ……。
魔物の上半身は、一瞬にして火に飲まれていく。
「逃げろ! さっさと手を離して……逃げてくれ!」
俺の叫びは、儚くも魔物の叫びにかき消され少女に届くことはなかった……。
火の手は魔物だけではなく、大剣を持っている彼女の手にも燃え移ってしまう。
──少女の苦痛による悲鳴が響く。
彼女はその後、熱さのあまり大剣を手放し、地面を転げ回った……。
歩くことすら儘ならない俺は、祈ることしか出来なかった──頼む……助かってくれ! っと──。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「──はっ!」
俺は呼吸を荒げていた……シャツは汗で湿っており心臓の音が響く。
「くそ……またこの夢か」
体を起こした俺は、拳を握りしめ自身の胸を叩く。静かにしろ……っと。
落ち着いたのを見計らい、汗で濡れたシャツを着替えた。
「……まったく、最低な一日の出だしだ」
着替えを終えると、ぼやく声と共に部屋のドアノブを回し寝室を後にした。
開いた扉の先では、夢で見た黒く焦げた折れた禍々しい大剣の柄が──戒めの様に飾られていたのだった……。
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