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第9話 絶望的状況
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「──なっ!」
坊主の一撃は、確かに魔物の首筋を捉えた。
しかし、手を斬ったことで剣の勢いが落ちたのだろうか……? いや、決定的な理由はあの武器だ。
今の攻撃は斬ったわけではなく、武器の重みで叩き斬っただけ。
刃がしっかり付いていれば、もしかしたら……。いや、今はそんな事を言っている場合ではない!
「──坊主、早く逃げるんだ!」
魔物は切断され残った腕を、坊主に向かって振るった。
「──ガハッ!」
殴られた坊主は、勢いの余り武器を手放し宙を舞う。
なんて馬鹿力なんだ……坊主のやつ、軽く五、六メートルは飛ばされたぞ!
「──キャァァァ!」
視線で魔物を追うと、先程の魔法を驚異と思ったのだろうか? 魔物はシャル目掛け、一目散に向かっていた。
──不味い!
俺は急ぎ、彼女の元へと走った。
魔物がシャルを襲おうとする中、サクラが間に割って入る。
しかし、彼女の攻撃は──軽すぎた!
サクラが振るう剣は魔物の甲冑に阻まれ、その後の魔物によるカウンターを剣で受け、サクラまでも吹き飛ばされた。
「こ、来ないで!」
シャルは、逃げようと後ろを向きに走り出す。
しかし魔物はその姿を見てか、自身の剣を彼女に向け放ったのだ!
「──ア゛ァ゛ァァァ!」
不幸にも刃は彼女の足を掠め、シャルはその場に転倒し、手に持つロッドを落とした。
足からは次々と血が流れ、彼女は魔物から離れようと必死に体を引きずる。
奴がそれを見逃すはずもない。先程投げた剣を拾い、距離を詰め寄りロッドを踏み砕く……。そして剣を振り上げ──
「──殺らせるか!!」
俺は盾を構え、側面から体重を掛け体当たりをした!
金属同士が激しく衝突する音と共に、魔物が勢い良く吹き飛ぶ。
“戦う者”でもなく、例え鈍足であろうと、アーセナルを担いだ質量の体当たりだ、これは効くだろ!
「──シャ、シャル!」
「──シャルさん、大丈夫!?」
先程やられた二人が、傷付いたシャルを心配し駆け付ける。
良かった、二人はなんとか無事みたいだ……。
俺はアーセナルから剣を一本引き抜く。
「坊主、これを使え! サクラと一緒に前線を維持。その隙に、俺がシャルを抱いて脱出する。俺達が距離を取った後、二人も退避してくれ!」
皆で助かるにはこれしかない……。負傷者を守りながら戦えるほど、目の前の魔物は生ぬるい相手ではない!
しかし、坊主は剣を受け取ろうとしなかった……。そして、魔物が飛ばされた方を指さし、震えているようにも見える。
「何をしてて、早くする……んだ……」
俺は何気なく、彼の指さす方を見た。そこには、信じられない光景が映し出された……。
「あれは……文献で見たことがある。奴は──ゴーレムなのか!?」
甲冑が剥がれた部分から、土の地肌が見える。
魔物は左手を地面に着けた。すると辺りの地面を吸収するように 、それは──修復されていく……。
「坊主早くしろ! 皆が手遅れになるぞ!!」
俺の声を聞き、慌てて剣を手に取った坊主は、あろうことか──そのまま扉に向かい走り出した!
「坊主、どこに行く!」
「──そいつは真面じゃない! 共倒れになるぐらいなら、俺は逃げさせてもらう!」
捨て台詞を吐き捨てると、坊主は脇目も振らず、第一層へと走り去っていった……。
「くそ、あの坊主……そこまで腐ってたか!?」
ぼやいている場合ではない……最優先事項はこちらだ──!
「──サクラ、君も坊主に着いていけ! このままじゃ、勝ち目がない!」
これが、今出来る手段で最も生存者を出せる手立てだ。
シャルすまない……こんなオッサンだが、死ぬまで付き添って──。
「──お断りよ、シャルが走れないわ! それに、あなたも残る気でしょ? 諦めさせてなんて……あげないわ!」
──なっ!! まったく……彼女は賢いと思っていたのにな……。
俺は、自然と緩む口元を手で覆い隠した。
「ったく……本当言うことを聞かない子供達だ!」
まさか、こんな少女に大切なことを思い出させられるとはな。年をとるのも──悪くはないものだ!
坊主の一撃は、確かに魔物の首筋を捉えた。
しかし、手を斬ったことで剣の勢いが落ちたのだろうか……? いや、決定的な理由はあの武器だ。
今の攻撃は斬ったわけではなく、武器の重みで叩き斬っただけ。
刃がしっかり付いていれば、もしかしたら……。いや、今はそんな事を言っている場合ではない!
「──坊主、早く逃げるんだ!」
魔物は切断され残った腕を、坊主に向かって振るった。
「──ガハッ!」
殴られた坊主は、勢いの余り武器を手放し宙を舞う。
なんて馬鹿力なんだ……坊主のやつ、軽く五、六メートルは飛ばされたぞ!
「──キャァァァ!」
視線で魔物を追うと、先程の魔法を驚異と思ったのだろうか? 魔物はシャル目掛け、一目散に向かっていた。
──不味い!
俺は急ぎ、彼女の元へと走った。
魔物がシャルを襲おうとする中、サクラが間に割って入る。
しかし、彼女の攻撃は──軽すぎた!
サクラが振るう剣は魔物の甲冑に阻まれ、その後の魔物によるカウンターを剣で受け、サクラまでも吹き飛ばされた。
「こ、来ないで!」
シャルは、逃げようと後ろを向きに走り出す。
しかし魔物はその姿を見てか、自身の剣を彼女に向け放ったのだ!
「──ア゛ァ゛ァァァ!」
不幸にも刃は彼女の足を掠め、シャルはその場に転倒し、手に持つロッドを落とした。
足からは次々と血が流れ、彼女は魔物から離れようと必死に体を引きずる。
奴がそれを見逃すはずもない。先程投げた剣を拾い、距離を詰め寄りロッドを踏み砕く……。そして剣を振り上げ──
「──殺らせるか!!」
俺は盾を構え、側面から体重を掛け体当たりをした!
金属同士が激しく衝突する音と共に、魔物が勢い良く吹き飛ぶ。
“戦う者”でもなく、例え鈍足であろうと、アーセナルを担いだ質量の体当たりだ、これは効くだろ!
「──シャ、シャル!」
「──シャルさん、大丈夫!?」
先程やられた二人が、傷付いたシャルを心配し駆け付ける。
良かった、二人はなんとか無事みたいだ……。
俺はアーセナルから剣を一本引き抜く。
「坊主、これを使え! サクラと一緒に前線を維持。その隙に、俺がシャルを抱いて脱出する。俺達が距離を取った後、二人も退避してくれ!」
皆で助かるにはこれしかない……。負傷者を守りながら戦えるほど、目の前の魔物は生ぬるい相手ではない!
しかし、坊主は剣を受け取ろうとしなかった……。そして、魔物が飛ばされた方を指さし、震えているようにも見える。
「何をしてて、早くする……んだ……」
俺は何気なく、彼の指さす方を見た。そこには、信じられない光景が映し出された……。
「あれは……文献で見たことがある。奴は──ゴーレムなのか!?」
甲冑が剥がれた部分から、土の地肌が見える。
魔物は左手を地面に着けた。すると辺りの地面を吸収するように 、それは──修復されていく……。
「坊主早くしろ! 皆が手遅れになるぞ!!」
俺の声を聞き、慌てて剣を手に取った坊主は、あろうことか──そのまま扉に向かい走り出した!
「坊主、どこに行く!」
「──そいつは真面じゃない! 共倒れになるぐらいなら、俺は逃げさせてもらう!」
捨て台詞を吐き捨てると、坊主は脇目も振らず、第一層へと走り去っていった……。
「くそ、あの坊主……そこまで腐ってたか!?」
ぼやいている場合ではない……最優先事項はこちらだ──!
「──サクラ、君も坊主に着いていけ! このままじゃ、勝ち目がない!」
これが、今出来る手段で最も生存者を出せる手立てだ。
シャルすまない……こんなオッサンだが、死ぬまで付き添って──。
「──お断りよ、シャルが走れないわ! それに、あなたも残る気でしょ? 諦めさせてなんて……あげないわ!」
──なっ!! まったく……彼女は賢いと思っていたのにな……。
俺は、自然と緩む口元を手で覆い隠した。
「ったく……本当言うことを聞かない子供達だ!」
まさか、こんな少女に大切なことを思い出させられるとはな。年をとるのも──悪くはないものだ!
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