魔剣が作れるおっさんは、今日も魔力が帯びた剣を生み出したがらない。

リゥル

文字の大きさ
12 / 46

第11話 魔剣アルマス 

しおりを挟む
「──サクラ、聞こえるか!」

 ゴーレムとの交戦中の為、こちらに振り返る事の出来ない彼女は「なに!」っと一言だけ返事をした。

「いいか、そのままで良く聞け! 今から、俺がそいつを倒せる──起死回生きしかいせいの一振りを生む!」

 彼女は驚いたのか……もしくは何かしらの考えがあってだろうか? 一瞬だが足が止まってしまう。

 ──って、そのままでと言っただろ!?

 そしてそれを見たゴーレムは、手に持つ剣を振り落とした!
 サクラはそれを間一髪で回避し、奴の体を蹴り、宙を舞う。
 そして、着地と共にこちらを向いた──。

「──そんな事、本当に出来るの!?」
「大丈夫だ、死にたくなければ俺を信じろ!」

 俺が彼女の立場なら、信じれるわけもないか……。しかし、これは断言できる。

 強大な魔物だろうと、刃をまともに突き立てることができるのなら、間違いなく倒せる。それは経験済みだからな。

 それには、大きなリスクを抱えての話になるが……。でも、それを説明する時間は今は無いだろう。

「使うにあたって、これだけは約束してくれ! その刃を、なるべく早く奴に突き立て……すぐさまそれから手を離して欲しい!」
「…………」

 彼女黙ったまま、よろけていた目の前にいる化け物を睨み付ける。

 そりゃ、言っている意味も分からないし胡散臭いよな? 信じられないのも当然の事で……。
 
「──わかったわマサムネさん……。眉唾物の話だけど、私は心から貴方を信頼する。として!」

 俺は、彼女のまさかの答えに驚かされた。拒否される……そんな風に思ったのにな。

 危機的状況に関わらず、俺の胸は高鳴った。
 こんなやり取りも懐かしい。昔、同じ様に俺を信じてくれた仲間を思い出す。

「なら俺も、結果として期待に応えよう! 君が心から信用出来るとして!」

 サクラはニコリと微笑み、ゴーレムに向け突撃をした。

「──言っておくけど、時間稼ぎはあまりもたないわよ!?」
「あぁ、そんなには待たせないさ──」

 ──必死に時間稼ぎをしてくれている彼女の為にも、一刻も早く取りかかるとしよう。

 “戦う者”が、自身の身体能力を底上げして戦える才を持つように。
 “祈る者”が、魔力を駆使し、魔法と呼ばれる奇跡を公使出来るように。
 両方に属さぬ“作る者”にも、人知れず何かしらの“才能アビリティー”を持つ者が存在する。

 敵は土塊つちくれの化け物。炎は効果的ではない……よし──!
 
「──アビリティー発動!」

 俺は声を上げ、足元に一振りのロングソードを突き立てた。
 すると、俺の周り囲むよう魔法陣が現れる。
 
「精製を開始する!」
 
 思い描け……理想を追い求めろ──。

 『──今から打つは、万物全ての時を止める“氷”。絶対零度の一振り。
 形状は、一突きで相手を死に至らせる刺突剣レイピア

 手に持った魔石を、剣に打ち付けた。するとそれは、衝突するのではなく、まるで剣の中に飲み込まれていく様に消えていく。

 次々と剣に魔石を与えると突如、目が開けれぬ程眩しく──青白い発光を始めた。

『熱し……折り返し。熱し折り返す……何度も何度も繰り返して──』

 抽象的な思いを、イメージとして想像した……すると眩い光の中、剣がその姿を徐々に変えていく。
 
『このままでは、奴には刺さらない。先端は細く鋭く、刃は丈夫に……』

 曖昧さを回避すべく、目的に応じさらに明確にイメージをする。
 体から力が抜ける感覚と、冷えていく空気に身を震わせる。

 いつしか剣のシルエットは、俺が思い描いた、切っ先が細いレイピアへと姿を変えていた。
 
「さぁ、我の前にその姿を現せ。そしてその力を見せつけろ! 魔剣アルマス!」

 光は消えると、そこには先程まで存在したロングソードではない……氷で出来たかの様な、何とも言い難い神秘的なレイピアが地面に刺さっていた。

 俺は地面から、その氷のように冷たくとぎすまされた刃を引き抜く。

「──サクラ、待たせた!」

 俺は魔剣を逆手に、前線のサクラに向かい走り出した。
 いつこれが牙を剥くの分からない……一刻も早く彼女の元へ!!

 そんな俺に気付いたのだろう。彼女はゴーレムの攻撃を掻い潜り、その隙をいてその場を離れた。

「マサムネさん──!」

 そして俺の手から、伸ばした彼女手に、今生み出したばかりの一振りの希望が受け渡された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。

あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。

才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった

雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。 天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。 だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。 鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。 一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。 朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。 悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。 目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。

処理中です...