魔剣が作れるおっさんは、今日も魔力が帯びた剣を生み出したがらない。

リゥル

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第34話 ドングリの背比べ

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「え~っと。マサムネさん、まずは何処を探しましょう?」

 シャルに留守番を任せた俺達は、フラミーの捜索を始めた……始めたのは良いのだが。

「……サクラ。つかぬことを聞くが、何故君も居るんだ? 君はフラミーとは面識もないし、顔を会わせる理由もないだろ?」
「マサムネさんはつれないですね……毒を食らわば皿までって言うじゃないですか。この際なんで伝説のパーティーメンバーの皆さんと、お近づきになろうかと思いまして」

 俺はサクラの言葉に頭を抱えた。
 薄々は気づいて居た。彼女が俺に近づくと──何故かレオナの視線が厳しくなることに……。

「いや、ならなくていい。って言うか言葉が間違ってるぞ、誰が毒だ、誰が……」

 突き放す……っと言う程ではないが、俺はやんわりと否定の意思を見せたものの──

「またまた~、私みたいな美人と一緒にいれて嬉しいくせに」

 ──っと、効果は今ひとつのようだ。
 それどころか俺に対し、サクラは必要以上に迫って来る。
 何て言うか……構って構ってと、舌を出す犬のようだ。

「──はぁ? 美人ならここに居る、十分足りとるわ! マサムネはな、、女が好きやねん。お子様は帰った帰った!」
「お、おい何を言って……」

 どうやら、サクラの台詞はレオナのヘイトを稼いでしまったらしい。
 さながら、こちらは全身の毛を逆立て威嚇する、猫のようなものだろうか?

「それなら、レオナ先輩より、大人びて見えると思いますよ?」
「なに言うてんねん、その乳の大きさでか? 面白い冗談やな!」
「──なっ! 胸は関係ないじゃないですか!? それに、先輩だって小さいじゃないですか!?」

 二人は俺を両脇から挟み、不毛な口論を始めた……。
 これは不味い。お互いにデリケートな部分に触れてしまっている、共倒れになるぞ!?

 それにこのまま口論が続くようなら、確実に俺も巻き込まれて……何とかせねば!!

「二人とも落ち着け……な? 今はそれよりフラミーの捜索……」
「──ええ度胸やな!? 今から比べてもええんやで! あんさんをペッタンペッタンに叩き潰したるわ!!」
「──え~望むところです! 先輩のちっぱいなんかに負けませんから!!」

 こ、これはダメだ、きりがない。
 どっちの方が大きいですか? なんて聞かれでもしてみろ……それは俺の死を意味してる。

「あぁ~もうしらん! 勝手にやってろ、俺は先にいくからな!?」

 こんな時は逃げるが吉だ!
 聞き分けのない二人を後にして、俺は捜索活動を始めることにした。

「ご、ごめなさい。マサムネさん、置いてかないで下さいよ!」
「ごめんって、ちょっと茶目っ気出しただけやないか。置いてかんといてな!?」

 そうしてようやく、捜索活動は開始されることとなったのだ。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「えっと……捜索で、どうしてダンジョンなんでしょうか?」

 捜索活動の出だし、俺は彼女等を率いてドゥジエーム第二のダンジョンへと足を運んだ。

「いや深い意味はない。ただ、一番行かれては困る場所、そこからしらみつぶしに探した方が良いと思ってな?」
「いや、マサムネ……うちらがヨハネを縛り上げて聞き出したのは、この箱庭の武器屋って情報やで? いくらなんでも、ダンジョンの中にって事は……」

 確かに、武器屋に行くつもりがダンジョンに入ってしまう。
 それは迷子っ言うより迷走にも近い行いなのだが……。

「いや、あのフラミーだぞ? 不可能を可能に、絶望を希望に、一本道で横道にそれる……昔と変わらないのなら、十分考えられると思うのだが?」
「マサムネ……流石にそれは言い過ぎやで? あのフラミリアでもそこまでないやろ」

 流石に本気で思っている訳でもないんだがな?
 しかし、たいした手間にならぬ以上。可能性は潰しておくに限るからな。

「まぁ、聞くぶんにはタダだ。聞いてみればいいさ」

 そう言いながら、俺はフロントに近づいていく……。

「──ようこそ、ドゥジエーム第二のダンジョンへ。中に入られる方々は、【ギルドカード】の提出をお願いします」

 お決まりのうたい文句が、フロント勤めのギルド職員から飛び出した。

「あ~少し訪ねたいのだが……名前はフラミリア。黒髪で歳は二十程の女性がダンジョン内に入ったりはしなかっただろうか?」

 流石に不躾ぶしつけだっただろうか?
 ギルド職員は、警戒した表情を俺達に向けるのだった。
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