魔剣が作れるおっさんは、今日も魔力が帯びた剣を生み出したがらない。

リゥル

文字の大きさ
40 / 46

第39話 魔剣の使い手

しおりを挟む
「じゃぁ、扉を開けるぞ?」

 俺はアーセナルから三本の鍵を取りだし、解錠作業を始めた。
 まったく、なんてめんどくさい鍵だ、一体誰が……って、もうこれは一度やった気がするな。

「ドゥジエームの二層かいな……未開の地なんて懐かしいわ、武者震いが止まらへん」

 鍵を開けている最中すぐ後ろではレオナがそわそわして見せる 。
 気持ちは分からんではないが、君はもう子供では無いんだぞ──?

「──やる気な所悪いが、今回は無理は禁物だぞ? ただでさえ、回復魔法が使える者が居ないんだ」
「わかってるって、それよりはよ行こうや」

 まるで、童心に帰った子供のようだな。未知に心が疼くのは、冒険者の本来の姿なのかもしれぬが……。

「レオナ、本当に分かっているのか?」

 彼女は熱くなると、周りが見えなくなるからな。些か心配ではあるな……。

 三つの鍵の解錠を終えた俺は、その巨大な鉄の扉をそして開けた。

 ──ギィギィギィっと音を立て、強固な鉄の二枚扉が開かれる。
 すると階段の下からは、湿度を帯びた熱気が上がってきた。

「相変わらず……凄い湿度ですね」
「あぁそうだな、」
「──なんやマサムネはともかく、サクラも行ったことがあるんか!?」

 そ、そう言えばその事も話しては居なかったか?
 レオナは何故か俺を見ると、説明を求めるような……いや、これは単純に睨み付けているだけか?

「あぁ、この前少しな? それよりも、先を急ごう」
「ちょい待ちぃ! うちは聞いてへんで──!?」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「──なるほど、そんなことがあったんかいな」

 二層へと下る長い階段。その最中、この前来たここの事を、俺はレオナに買いつまんで説明した──。

「──ゴーレムを退治した後、何とか命からがらダンジョンから逃げおおせた……っと言う訳だ」
「ってことは、サクラもその時、マサムネの魔剣を使ったっちゅう事かいな……」

 やはりそこは気にする……よな。
 他に方法がなかったとは言え、あんな危険な代物を未来ある少女に握らせた訳なのだから。

「あぁ、すまない……。しかし、五年前の教訓のお陰で、サクラを君みたいな目に合わせずに済んだ。どれだけ感謝をしても、レオナには感謝をし足りないぐらいだ」

 あの時の惨劇が瞼に焼き付いていなければ、俺はサクラが魔剣を振るったときに走り出しはしなかっただろう。

「そんな事は別にエエんやけどな? それよりも、ウチだけやないんか……」

 会話中、レオナの声が徐々に小さくなり、最後の方を聞き逃してしまった。

「──ん、聞こえなかった。今なんて……?」
「べ、別になんもゆうてへんわ!」

 きゅ、急に怒鳴りだして……レオナのやつ、五年立って更に怒りっぽくなったのではないか?

 そんな疑問を抱く中、サクラから呟く声が聞こえた──。

「レオナ先輩……可愛いです」

 ──っと……。
 サクラ、確かにレオナは小さく、可愛らしい外見かも知れないが、そっとしておいてやってくれ。本人も気にしている。

 何て言うか……本当緊張感に欠けるな。大丈夫だろうか?

「そんな事を言っている内に……二層に着いたぞ?」

 階段の終わりが見え、一際明るい光が差し込む 。
 光に目が慣れると、遠巻きに何か居るのが見えた。

「あれ……この前のゴーレムじゃない。人ですよね。それに、三人も?」

 三人の内、二人の背中には何処か見覚えがあった。
 そう、ここに入れるものは限られている、悩むまでもない──。

「──フラミー! それに……キル!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。

あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。

才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった

雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。 天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。 だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。 鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。 一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。 朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。 悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。 目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。

処理中です...