魔剣が作れるおっさんは、今日も魔力が帯びた剣を生み出したがらない。

リゥル

文字の大きさ
42 / 46

第41話 マサムネとキルケー

しおりを挟む
 構えた巨大な盾で、生まれたばかりの魔物に体当たりをしながら突破口を開く。

 後続から着いてくるキルは、盾で飛ばした魔物を炎で焼き払いながらも、俺を追いかけ走ってきた。

 俺は後ろを気にしながらも、皆から距離を取るためキルから逃げるよう切り立つ崖の縁を走る 。

「──くっ! 降りれる所は無いのか!? 障害物が多い森の中なら、あるいは!」

 単純な足の早さなら“祈る者”の彼に負けはしない。
 問題視する部分は、キルの魔法から逃げ切る方法だ!

「おいおいマサムネ、どこまで逃げる気なんだよ!?」

 後少し、後少し逃げ切れば……。

 キルが本気なら、背中を向けた時点で恰好の的だろう。油断している……今しかない!

 しかし、奴はそんなに甘くは無かった。
 森林へと繋がる斜面を目前としたその時だった……。

「──くっ!」

 目の前の斜面を、突如巨大な氷柱が道を塞ぐ。──これは! キルの魔法か!?

「必死だなマサムネ。森の中なら逃げきれると思ったんだろうが、止めておいた方がいいぜ……森と共に消し炭になりたくなかったらな? くっくっく」
「キル……貴様、どれだけ外道なんだ?」

 考えが甘かった……顔を見ればわかる。
 確かに今の奴なら、森を焼き払うぐらい本気でしてしまいそうだな。

「マサムネ、レオナとの貴重な時間を奪ったことは万死に値する……簡単には殺さんからな?」
「お前がレオナに構って貰えないのは、俺のせいじゃないだろ? 八つ当たりとは相変わらずタチの悪い奴だな」

 本当なら、煽るなんてもっての他だがな。
 しかし、嫌がるレオナにこれ以上付き纏うのは許せない……鼠が、猫を噛むと言う事を嫌と言うほど教えてやる!

「あぁ、タチ悪くて結構。だから無力な貴様をほふろうが、まったく抵抗がないな!?」

 キルが右手の杖を俺に向け、何かを呟いた。
 すると、やつの前に巨大な火球が現れ、それを飛ばしてきたのだ。

「吹き飛べ──マサムネ!!」

 くそ! あんなもの、盾なんかで受けたら一溜りもないぞ!?
 咄嗟の判断で俺は回避行動を取り、火球を避けきった……ハズだった。

「──ガハッ!?」

 背後から、強い衝撃と石を投げられた様な痛み、激しい熱気が俺を襲った。
 それに吹き飛ばされ、膝を着いてしまう……。

「はっはっは、ザマァーないな!」
「くっ、完全に避けたはず……」

 攻撃を受けた背後を見ると、先程の氷柱に火球が当たったのだろう、氷柱の上部は砕け、中央には半欠けの穴が開き、火球はその氷の中でいまだ燃え残っていた。

「水蒸気爆発か……」

 わざと避けれる様に火球をほかったのか!?
 油断しているところを水の気化による爆発を利用して……。

「おいおいマサムネ、直撃した訳じゃないんだ、早く立てよ。まだ、遊び足りねぇよ!!」

 俺は剣を地面に立て、それを支えに立ち上がる……。
 キルの奴、相変わらず魔法の行使が早い。

 奴の戦闘スタイルは十分理解している。
 設置型の魔法と高速詠唱を得意とし、そのどれもが人を殺すには、十分すぎる程のカリョクを出すことができる……。

 立ち上がり、盾と剣を構える。これは、どう考えても勝ち目はない。
 キルの奴、敵に回すとこれ程まで厄介な相手なのか……。
 
「くそ──なるようになれ!」

 俺はキルに向かい走る。
 唯一勝てる方法があるとすれば、奴の懐に入ることだ。

 いくら詠唱が早いとはいえ、近接戦闘に持ち込めば余裕を奪えるはず!?

 俺の突撃に合わせ、キルは後ろに下がりながら、地表から次々と氷柱を作り出す。

「マサムネ……こんなもので死ぬなよ? アイスピラーズ!!」

 魔法名と共に氷柱の先端は折れ、突風と共に氷で出来た無数の巨大な針が俺を俺に襲いかかったのだった……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。

あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。

才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった

雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。 天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。 だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。 鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。 一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。 朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。 悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。 目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。

処理中です...