43 / 46
第42話 魔剣
しおりを挟む
俺は、いくつも迫り来る巨大な氷の針に臆すること無くキルに向かい走っていく。
走りながらも剣で払い、盾で払いのける。
到底全ては捌ききれず、腹部を掠め、肩に刺さり……俺の体は奴に近づく度、血で赤く染まっていく。
誘い出されているのかもしれない……それでも一秒でも早く距離を縮めなければ、的になるだけだ!?
「良いねマサムネ! その最適解を選び抜く発想力と思いっきりの良さは相変わらずだな!」
杖を構え、キルは新たな詠唱を行った。目の前には先程よりは小さいものも、メラメラと燃え上がる火球が現れる。
「だがマサムネ──貴様はそれだけだ!」
そしてそれは、躊躇なく俺に向かい飛ばされたのであった。
この距離では、回避もままならない──
「……えぃ──ままよ!!」
剣を納め、慌て二枚目の盾と持ち変える。
それで火球を払い除けるが、払い除けた木製の盾に引火し、俺は火がついた一枚を投げ捨てた。
「──くそ、残り一枚!」
半ば、後少しと言う距離間で詰め寄る事が出来た俺は声を上げる。
それを聞いたキルは嬉しそうに、更に二つの火球を生み出した。
「じゃぁ、二つならどう防ぐんだ?」っと……。
そしてキルは俺に向かい火球を飛ばそう杖を振るった──
「──こうやって……防ぐのさ!」
俺アーセナルから、布にくるんだあるものを、キルの放つ炎に目掛け、投げ込んだ。
それが炎へと当たった瞬間、激しい爆発音と共に火球は消し飛び、辺りは粉と土が舞い上がり視界を奪ったのだ。
「くそ、マサムネめ何処に!」
俺は、先程みた位置と奴の声を便りに、爆発の現場を盾を構え、真っ直ぐに突っ切っていく。
そして視界が晴れると同時に、キルの足を目掛け剣を抜き振るった──だが。
「残念だったな、マサムネ。今俺を殺れたと思っただろ?」
気付くと俺は、剣を振るった格好のままの格好で体にツルが巻き付いており、身動きが取れなくなってしまっていた。
──くそ、キルの魔法か!
必死に抗い、ツル草を千切っていく……しかし、千切っても千切っても延びてきて、体を動けずにいた。
一体どうなっているんだ? 振るった剣は間違いなくキルを捉えたはず。
……そのはずだったのに、意表を突いた渾身の一撃はキルを傷つけるには至っていない。
剣を持つ手には、先程までの重さが感じられない。
視線を剣に向けると、鍔から上の部分が殆んど失われている。
「なっ!?」
剣が……斬られて。いや、溶かされているだと!
「──ずっとこれが見せたくてな! いやー手加減するのは大変だったぜ」
「そ、それは一体……」
何と、杖を持っていないキルの右手からは、炎が噴射していた。
それは恰も、揺らぎのないロウソクの火のような、炎で作られた剣のように見える。
「これか? これは魔力で作った剣……“魔剣”だよ」
「魔剣……」
目の前の現象と皮肉じみた名前に、俺は言葉を失った。
鉄の剣を一瞬で両断する熱量を手に持ち振るう、そんな非現実的な現象を理解できず、本能が勝ち目がないと理解してしまった。
「これは、貴様の魔力を帯びただけの剣とは比べ物にならないぜ? 何たって、魔力その物で作られているんだからな?」
炎の剣から発せられる熱の為か……汗が吹き出、驚異に足が震える。
距離を取らねば……殺される!!
俺は剣の柄を捨て、ナイフに持ち変える。
そして、慌てる様にツル草を斬っていく……斬って行くのだが──。
「──比較して見たかったが……残念だ、もう飽きた。死ねよ、マサムネ」
しかし無情にも、それだけ言葉を残しキルの魔剣は俺に向かい、振るわれたのだった……。
走りながらも剣で払い、盾で払いのける。
到底全ては捌ききれず、腹部を掠め、肩に刺さり……俺の体は奴に近づく度、血で赤く染まっていく。
誘い出されているのかもしれない……それでも一秒でも早く距離を縮めなければ、的になるだけだ!?
「良いねマサムネ! その最適解を選び抜く発想力と思いっきりの良さは相変わらずだな!」
杖を構え、キルは新たな詠唱を行った。目の前には先程よりは小さいものも、メラメラと燃え上がる火球が現れる。
「だがマサムネ──貴様はそれだけだ!」
そしてそれは、躊躇なく俺に向かい飛ばされたのであった。
この距離では、回避もままならない──
「……えぃ──ままよ!!」
剣を納め、慌て二枚目の盾と持ち変える。
それで火球を払い除けるが、払い除けた木製の盾に引火し、俺は火がついた一枚を投げ捨てた。
「──くそ、残り一枚!」
半ば、後少しと言う距離間で詰め寄る事が出来た俺は声を上げる。
それを聞いたキルは嬉しそうに、更に二つの火球を生み出した。
「じゃぁ、二つならどう防ぐんだ?」っと……。
そしてキルは俺に向かい火球を飛ばそう杖を振るった──
「──こうやって……防ぐのさ!」
俺アーセナルから、布にくるんだあるものを、キルの放つ炎に目掛け、投げ込んだ。
それが炎へと当たった瞬間、激しい爆発音と共に火球は消し飛び、辺りは粉と土が舞い上がり視界を奪ったのだ。
「くそ、マサムネめ何処に!」
俺は、先程みた位置と奴の声を便りに、爆発の現場を盾を構え、真っ直ぐに突っ切っていく。
そして視界が晴れると同時に、キルの足を目掛け剣を抜き振るった──だが。
「残念だったな、マサムネ。今俺を殺れたと思っただろ?」
気付くと俺は、剣を振るった格好のままの格好で体にツルが巻き付いており、身動きが取れなくなってしまっていた。
──くそ、キルの魔法か!
必死に抗い、ツル草を千切っていく……しかし、千切っても千切っても延びてきて、体を動けずにいた。
一体どうなっているんだ? 振るった剣は間違いなくキルを捉えたはず。
……そのはずだったのに、意表を突いた渾身の一撃はキルを傷つけるには至っていない。
剣を持つ手には、先程までの重さが感じられない。
視線を剣に向けると、鍔から上の部分が殆んど失われている。
「なっ!?」
剣が……斬られて。いや、溶かされているだと!
「──ずっとこれが見せたくてな! いやー手加減するのは大変だったぜ」
「そ、それは一体……」
何と、杖を持っていないキルの右手からは、炎が噴射していた。
それは恰も、揺らぎのないロウソクの火のような、炎で作られた剣のように見える。
「これか? これは魔力で作った剣……“魔剣”だよ」
「魔剣……」
目の前の現象と皮肉じみた名前に、俺は言葉を失った。
鉄の剣を一瞬で両断する熱量を手に持ち振るう、そんな非現実的な現象を理解できず、本能が勝ち目がないと理解してしまった。
「これは、貴様の魔力を帯びただけの剣とは比べ物にならないぜ? 何たって、魔力その物で作られているんだからな?」
炎の剣から発せられる熱の為か……汗が吹き出、驚異に足が震える。
距離を取らねば……殺される!!
俺は剣の柄を捨て、ナイフに持ち変える。
そして、慌てる様にツル草を斬っていく……斬って行くのだが──。
「──比較して見たかったが……残念だ、もう飽きた。死ねよ、マサムネ」
しかし無情にも、それだけ言葉を残しキルの魔剣は俺に向かい、振るわれたのだった……。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。
大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。
そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。
しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。
戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。
「面白いじゃん?」
アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった
雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。
天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。
だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。
鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。
一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。
朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。
悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。
目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる