我ら、白蛇一派が参りやす

ミナズキ

文字の大きさ
3 / 6
第一話 龍閣の白蛇一派

ガラルと言う妖怪

しおりを挟む
「・・・・・へぇ。そいつはエライ目に遇ったな」

小一時間かけて、陽一はひたすらに今まであった事を全てぶちまけた。

その間男は、いや、ガラルは相づちを打つものの話しに割って入り込む事はなく、ただ聞いていた。やっと話を聞いてくれる相手が現れたこともあって、話し終える頃には陽一の目には涙が浮いていた。

「もう、病院の先生すら手に負えなくて・・・・・なんにも心当たりがないんです。うちの家系がどうのとかもないし、なにがなんだか・・・・・」

ちびちびと、出された酒を飲みつつ陽一は俯き加減のままとつとつと話している。全ての話を聞き終えたガラルは考えるように口元へ指を這わせ「ふーん」と唸っている。

「どうにか出来ないでしょうか?両親も良い年で負担も半端じゃないんです。このままだとお袋だけじゃなく親父も駄目になってしまう。一体、なにが原因なんでしょうか」

「まぁ待ちな。聞いただけで原因まで分かるわけねぇから。本当に心当たりはないんだな?」

「はい、全くさっぱり」

ガラルはふと、陽一の手元に目線を落とした。飲みかけの酒になんの用なのかと陽一もそっちを見たが、別になんの変化も起こっていない。普通に美味しい酒だ。

「なにがしかの"モノ"が憑いているのは確かだろう」

「なにがしかのって?」

「これだよ、これ」

今度は店主がそう言いながら両手を身体の前でダラリとぶら下げた。あれは幽霊の意なのだろう。

「まさか、母に限ってそんな・・・・」

「絶対とは言えないさ。向こうが勝手に因縁つけてだらだらと付きまとうなんて事ザラにある。あいつらにお前さん達の道理が通じる訳がねぇ」

そう、ガラルは淡々と言いはなった。

「じ、じゃあ、あのままだとお袋は・・・・」

「まず助からねぇな。ただの幽霊と言っても、無害なモンから人を死に追いやるようなタチの悪いモンまで色々いる。仮にお前さんの母親にどんなモノが憑いているのか、この目で見ねぇとなにも言えん」

「そ、そうですか・・・・・」

だが、この口振りから依頼は受けてくれるようだ。その事にはひとまず胸を撫で下ろした。

「ひとまず、どんなものか見に行くか」

よっこらせと、酒のせいでふらつく足でガラルは立ち上がった。驚く陽一をよそにガラルは店主に向かって「ツケといて」とだけ言って、お冷やを一気に煽った。

「今からどちらへ?」

「あ?なに寝ぼけてんだ。今からお前の母親の所に行くんだろ?」

「え?今からですか?もう病院の面会時間は終わってますよ」

そう言って止めたが、ガラルは聞いているのかいないのか、壁に立て掛けてあった長く立派な錫杖しゃくじょうを掴み、あいた手を服の中に突っ込んだ。

「関係ない、関係ない。アンタは病院のそとで待ってな。母親の入院してる部屋を教えてくれりゃ、俺が見に行く」

それだけいうと、ガラルはさっさと外へ出てしまった。慌てた陽一が店の外へ飛び出すと、ガラルはもう大鳥居の向こう側へ行ってしまった。背中が段々と小さくなっていく。酒の代金を払おうとしたが、店主はニコニコ笑って断った。

「こいつはサービスだから。早く行かねぇと置いてかれちまうぜ?」

店主の言葉に深く頭をさげ、言われた通り陽一はガラルの後を追ったのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...