艦神 ーふねがみー 反抗期真っ只中の最凶戦艦、女の子を拾ったは良いが案の定振り回される

ミナズキ

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第一章

テイメイ

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眩しさと熱量の増した日の光を一身に浴びつつ、大和は赤レンガ作りの、大正の香り漂う建物へ向かって、一言も口をきかずに歩いていた。

紙の束にあった艦魂達の会議に参加する為である。

もっとも、次の出撃に大和が出るか否かは、まだ決まってはいない。
此度の作戦会議は、その事について結論をだすためのものであった。

正直なところ少しだけ期待はしていた。
この半年間、内地での演習や書類仕事ばかりで辟易していたのだ。

実際、自分の力についてはそこそこの自信はあった。
   
生前こそ成果をあげることは出来なかったし、その事で他の艦艇や、運命を共にしてくれた英霊たちに対して申し訳ない思いでいっぱいだった。

それを覆す、とまではいかなくとも、英霊たちや艦魂連中が納得するような結果を早くだしたかった。

そうすれば、少しでも彼らの魂が報われるのではと思っての事だ。

はやる気持ちを抑え込み、しかし歩調は緩むことはなく、建物の入り口に差し掛かった。
門番の役目を請け負った石造りの狛犬の前で一度立ち止まると、大和は形式的な敬礼をかわした。

石の狛犬は硬い口を動かし、一声「轟ッ」とだけ答えて再び動かなくなった。

右手をさげながら大和はそのまま足を進める。
コツンコツンと軽快とは言いがたい重い足音を鳴らし、黒いブーツの先で、転がっていた小石を蹴飛ばす。

その小石が転がっていく先に、もうひとつ誰かの黒い靴が写り込んだ。
ふと顔をあげると、大和から数歩先をこちらに向かって歩く人をみた。

星の様に白い髪を肩先でひとつに結び、前髪が長いせいで目は少し隠れている。

夏らしい涼しげな半袖のジョンベラ・・・・・をきちんと着用し、大和同様大量の紙の束を両手に抱えていた。

本人は平気な顔こそすれ、見てくれは中学生程の幼げな女子である。
しかし大和は別段気にする素振りも見せずに、その横を通りすぎようとした。

「大和、お疲れ様です」

丁度すれ違うと言うところで、少女は紙束を片手に抱え直すと、先程の大和と同じく敬礼をかわした。

ここでひとつだけ言うとすれば、大和はそこそこ階級の高い艦魂。一応、駆逐艦や潜水艦、軽巡や重巡達の上司にあたるのだ。

しかし、彼女が大和を呼び捨てにするのは、別に特別な事ではなかった。

「・・・・・・あぁ、浜風か。お疲れ」

それだけ言うと、これ以上の会話をすることなく大和は軽く左手をふって行ってしまった。

 その高く黒い後ろ姿を、浜風はどこか切なそうな目で見送った。

「・・・・・最近、煙草の数増えてないかしら」

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