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第二章
座頭 弐
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一方、艦隊への出撃命令が下った、同時刻の事である。
「明石、もう一度説明してくれ」
顔面蒼白な長門が、しごく冷静を保つよう両手を握りながら問う。司令室での事だ。
執務用の立派な机の前に立つつなぎ姿の若い男は姿勢を崩さぬまま、だが額にうっすらと汗を浮かばせて答えた。
「座頭は、冥海に漂う死者の魂を食らって成長を促している、と言う結果がでました。完璧な形であれ、歪であれ、糧となるのならなんでも構わないようです。これは空母機動部隊の持ち帰った貴重な残骸を切り刻んで得た成果であります」
なんと言うことだ、と長門は頭を抱えてしまった。
先程帰港したばかりの空母たちから受け取った座頭の残骸を解剖した結果、座頭の動力源は取り込んだ魂であると言うじゃないか。
ひとえに死者と言っても、ここは人も船も関係なく、役目を終えた魂が集まるのが冥海である。
死者の途切れる日を、長門は一度だって迎えたことはない。つまりは・・・・・
「我々は永遠に座頭と戦わねばならないのか・・・・・」
「まだそうとは言い切れませんよ。座頭の動力源となるものがなにか判明したたけで、座頭そのものが生まれる原因は、残念ながら発見には至っていません。ここで悲観なさるのは早急かと」
「・・・・・そうだな。すまない、性急だった」
重い頭をあげ、少し乱れた前髪をかきあげながら、長門は背筋をのばしてぐっと目を開くと、明石に新たな令を授ける。
「大和には悪いことをしたが、緊急時だ。彼女にも出てもらう」
「うえ?良いんですか?謹慎中だと聞きましたけど」
「致し方ない。さっき、大淀から新たに情報が入った。目標は大型、目測だが弩級型らしい。あいつら、足は遅いが装甲は強固だ」
「なるほど、大和の主砲なら撃ち抜けると・・・・・・」
「・・・・・・まぁ、当たればの話だが」
「・・・・・・ですよね」
微妙な笑みを浮かべながら、明石はポリポリと頬を掻いた。
練度の差はあれど、大和の主砲はなかなか当たりにくい。そればかりが気掛かりだった。
「明石、もう一度説明してくれ」
顔面蒼白な長門が、しごく冷静を保つよう両手を握りながら問う。司令室での事だ。
執務用の立派な机の前に立つつなぎ姿の若い男は姿勢を崩さぬまま、だが額にうっすらと汗を浮かばせて答えた。
「座頭は、冥海に漂う死者の魂を食らって成長を促している、と言う結果がでました。完璧な形であれ、歪であれ、糧となるのならなんでも構わないようです。これは空母機動部隊の持ち帰った貴重な残骸を切り刻んで得た成果であります」
なんと言うことだ、と長門は頭を抱えてしまった。
先程帰港したばかりの空母たちから受け取った座頭の残骸を解剖した結果、座頭の動力源は取り込んだ魂であると言うじゃないか。
ひとえに死者と言っても、ここは人も船も関係なく、役目を終えた魂が集まるのが冥海である。
死者の途切れる日を、長門は一度だって迎えたことはない。つまりは・・・・・
「我々は永遠に座頭と戦わねばならないのか・・・・・」
「まだそうとは言い切れませんよ。座頭の動力源となるものがなにか判明したたけで、座頭そのものが生まれる原因は、残念ながら発見には至っていません。ここで悲観なさるのは早急かと」
「・・・・・そうだな。すまない、性急だった」
重い頭をあげ、少し乱れた前髪をかきあげながら、長門は背筋をのばしてぐっと目を開くと、明石に新たな令を授ける。
「大和には悪いことをしたが、緊急時だ。彼女にも出てもらう」
「うえ?良いんですか?謹慎中だと聞きましたけど」
「致し方ない。さっき、大淀から新たに情報が入った。目標は大型、目測だが弩級型らしい。あいつら、足は遅いが装甲は強固だ」
「なるほど、大和の主砲なら撃ち抜けると・・・・・・」
「・・・・・・まぁ、当たればの話だが」
「・・・・・・ですよね」
微妙な笑みを浮かべながら、明石はポリポリと頬を掻いた。
練度の差はあれど、大和の主砲はなかなか当たりにくい。そればかりが気掛かりだった。
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