奥様はご主人様

東門 大

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第一章 健太の視点

第一話 醜悪な発見

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 後悔先に立たずと言うけれど、ある一瞬の出来事で人生は大きく変わるものだ。でも今回のことは後悔してはいない。むしろ本来の自分に目覚めることができたという点においては、ハッピーな出来事であったと言っていい。

「お尻をたたいてやるから、四つん這いでお尻を出しなさい」

 僕はテレビの向こう側にいるM男に自分を投影しながら、オナニーをしていた。

 自分で女王様の鞭に合わせて尻を叩き、左手で自分のペニスをしごきながら、自分の性癖を満たす至福の時間をリビングで過ごしていた。


 そして絶頂を迎えようとしたその時、

 ガチャリ  

 リビングのドアが開いた。

 振り向くと、そこには妻の美沙がいた。美沙は仕事で遅番のはずだった。

(しまった!!)

 全裸になり、汗だくで自分の性器をイジる。そんな自分を見て、美佐はどう思っただろう。絶対に見られてはいけないところを見られてしまった。

 僕は勃起した股間を慌てて手で隠し、まずはこの卑猥なテレビを消さなくてはと、リモコンを探した。

 「健太」

 その冷徹な声が響いた瞬間、心臓が跳ね上がった。 軽蔑、嫌悪、そして未知の感情をはらんだ瞳で、無様な僕を見ている。 

「美沙……どうして……今日は遅番じゃ……」 

 それ以外の言葉は出なかった。

 終わった。これで完全に……僕は彼女に見捨てられる。

 しかし、美沙から返ってきたのは、別れの言葉ではなかった。 

「最近、誘ってくれないと思っていたら、こんなことで、性欲を満たしていたのね」

 そうなのだ。Mの性癖を持つ僕は、彼女とのSEXよりもオナニーが好きで、長い間セックスレスが続いていた。  

 彼女は僕の前に歩み寄り、怒りをあらわにした

 「土下座。しなさいよ」

 逆らえなかった。いや、逆らいたくなかった。 むしろ僕は震えながら、喜びをかみしめていたのかもしれない。

 言われるままにうずくまる僕の背中に、美沙の冷たい足の感触が伝わってきた。踏みつけられている。彼女の体重が、僕の脂肪へと食い込んでいく。

「許してあげるから、私の言うことを何でも聞きなさい。あのテレビに映っていた奴隷のように生きたいのなら、今日から私の奴隷として生きなさい。それがあなたの望みなのでしょう」

 絶望するはずのその言葉が、僕には福音のように聞こえた。  

 視界の端で、彼女が僕を人間ではなく、一匹の動物として見ているのが分かった。

 羞恥心で顔が熱くなる。けれど、それ以上に、僕の全身は言いようのない歓喜でひくひくと震えていた。  

 僕は、この日から人間であることをやめた。美沙というご主人様に飼われる、一匹の豚になったのだ。
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