肥満アラート

東門 大

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第6話 反論

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 ここでぼくは意を決して反論した。

「そんなことできません。今でも恥ずかしいのに、こんな格好で教室行くくらいなら…」

 その先を考えていなかったぼくは、言葉に詰まった。

「行くくらいならどうしたいのかな?」

 そう聞いてくる教頭にムカついて、言い返した。

「学校に来ません!」

 きっぱりと言ってやったが、2人の教師は、やはりそうくるかという顔をして、机の上のタブレットパソコンを開いた。

「いいですよ。もし君たちが本校にいたくないというのであれば、こういう施設に強制的に入れられることになるのですが…」

 パソコンの画面にどこかの中学が映った。ただ、中学というよりは刑務所の様な外観だった。

「ここはBMI30以上の子が送られる施設です。名付けてトリート・プレ・メタボリックシンドローム中学(メタボ予備軍を治療する中学)略してTPM中学。これを見ても、そんなことが言えますか?」

 動画に映っているその学校では、連れてこられた肥満児が首輪に繋がれて、ひどい仕打ちを受けていた。

 強制的に運動させられ、食事を制限され、ある時は鞭で打たれ、ある時は、腸内洗浄と称して浣腸されるという悲惨なシーンが映し出された。

 そう言えば1週間前に隣のクラスの100キロ超えのデブ男が突然転校させられていた。

 もしかするとこの施設に入れられたのかもしれないと思うと、ぞっとした。

 そしてこんな中学に入れられるくらいなら、こちらの方が100倍ましだと思った。

 教頭はそんな僕たちの気持ちを見透かしているように、言葉をかけた。

「さあ、どちらを選択するかね?今なら授業中だから、こっそり教室には入れるかもしれませんよ」
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