スキル:自販機

あごにくまるたろう

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僕の商才

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行商のおじさんは、コルネコさんと言って、恰幅の良い体格をしているが、荷物の積み下ろしや、道すがらの魔物の討伐もするから、お肉の下にある筋肉は隆々だ。愛妻家で常に奥さんの絵姿を懐に忍ばせているらしい。

そんな行商のおじさんが、おいおい泣きながら、僕に怒っている。

「タダで良い訳ないでしょう!今のご時世、魔法だって王都では売っているんですからねぇ!癒しのヒール屋とか!魔法を道具に込めたりとか!スキルだってぇ、売って良いんですからねぇ!」

泣きながら、言葉が途切れると、手に持ったコーラを飲んで、また話し出す。

「お父さん!アナタどういう教育しているんですかぁ!教育してないんですかぁ?!」

「す、すみません…」

父が怯えながら謝った。

「村の人になら、まだ良いんですよ。商人の私にまで、タダで好きなだけ持って行けって!何考えてるんですか!コレは売れますよぉ!バカ売れなんですよぉ!!」

「コ、コナソ。お、お金を取りなさい!この人からお金を!」

父が、場を収めたい一心で言ったという事が伝わってくる。

「でも、行商のおじさんは、こんな田舎の村に物資を届けてくれて、珍しい物を見せてくれたり、お話を聞かせてくれたり、いつも感謝してるんだ。だって、おじさん以外にこの村に来てくれる人なんていないじゃない。そんな良い人からお金を取れないよ。」

僕の発言に、行商のおじさんは言葉を詰まらせた。

「わ、わたしは…(そのような良い人ではない。ここに立ち寄るのは、この地を収めている貴族に、ダンジョンから出た魔物によって村が壊滅されていないかを見るように言われとるんだ。ダンジョンの危険性を分かっとるくせに、これといった策も取らず、自分のいる地に被害が及ばないかだけを警戒しとる。腐った貴族め。しかし、それで報酬を得てる私もまた同類…。しかしこの事を素直に話して、怒りが貴族に向く事も良くない。)…ふぉぉぉ。」

「うーん。おじさんのギャン泣きは全く可愛くないわねぇ。」

「やめてよ姉ちゃん!!」

何故か仁王立ちで毒つく姉。そして何故か、ふと、思いついてしまった。なんの脈略も無く思いついたこれは、もう、やるしかない。

「こうするのはどうですか?今回は無料で好きなだけ差し上げます。次回からはお金を頂きます。売る際に、変わった飲物がこの村にある事を宣伝してください。その宣伝を聞いて来た人がいたら、その人からは、お金を貰います。」

「ふぉぉ…宣伝料変わりというやつですな。面白い。面白いですぞぉ。」

行商のおじさんは涙を拭った。

「しかしこれは、人の多いところで直接売る方が、やりやすいと思うのぉ。コナソ君がもう少し大きくなって、商売に目覚めた時は、ぜひ一枚噛ませておくれ。」

「ねぇ、あとね最後にもう一度だけ、さっきの綺麗な宝石を見せて欲しいんだ。」

行商のおじさんは、そんな事ならと、荷馬車の中から先程のビロードの箱を取り出した。

「僕が蓋をあけるね。落とすと大変だから、おじさんは、しっかり箱を持っててね。」

行商のおじさんは屈んでくれた。僕は、蓋を全部外さずに、向こうに傾ける様にして、中を見つめた。

「綺麗だねぇ。」

「おや、コナソ君。そんな腕輪付けていたかい?」

行商のおじさんが僕の腕を見て言った。

「ポケットに入れてたんだ。今付けたの。かっこいいでしょ?」

僕は蓋を閉じて、お礼を言った。その後、行商のおじさんは、悪魔に取り憑かれた様に自販機の飲物を出し続けた。

「コナソ君。お姉ちゃんと情報共有しましょうか?」

近くに寄り、こっそり話す姉に、僕はニヤリと笑った。
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