スキル:自販機

あごにくまるたろう

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お疲れ様

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豪華絢爛の部屋に案内されたものの、内装を楽しむ余裕もなく、僕はベットに倒れ込んだ。

「広すぎる…。」

寝る前に、深夜の自販機設置を申しつかったものの、到着したお城は、余りにも広く、僕らの村程の大きさなのではと思えてしまうくらいだった。こんなに広いなら、明日にして貰えば良かった。

王女様は、自販機を自分の部屋に置くつもりだったけど、肖像画の出来も良いし、折角だから王宮の目立つ場所に置いて、様々な人に使われてチヤホヤされたいと言い出し、僕は設置場所検討に城内を連れ回されたのだ。

結局、平民用の自販機を、お給仕の人が使う休憩スペースに、ピンクの自販機をエントランスと、王族の居住スペースと、色々と無償で提供してくれたお礼も込めて王女様の部屋に置いた。

王女様は、明日皆が驚く顔が楽しみだと、最後まで元気だった。

今回の自販機には、初めて値段を設定した。王女様はもっと高くても良いと言っていたけれど、貧しい村民の僕からすると十分過ぎる値段だ。ピンクの自販機は銀貨1枚、平民用は銅貨1枚だ。村では無償なので皆たくさん使ってくれたけど、金額を設定していると、そうもいかなくなるかもしれない。

「どうなるかなぁ…。」

柔らかいベットに埋もれ、次第に眠りに落ちた。

♦︎

朝、いつも通りの早朝に目を覚ました。畑の世話もないのに、習慣とは素晴らしいなぁ。眠る時間が遅かったので、横になれば再び眠りに落ちそうだ。

「でも、人気のない内にやっておこうかな。」

僕は部屋のあらゆる家具を、地面型のゴミ箱を発動して、収納し、すぐに元に戻した。普通のゴミ箱だと、ひとつひとつを取り出さなければいけないけど、地面型の収納は、グループで収納しているので、範囲を指定していれば、そこに丸っと戻す事が可能なので、便利だ。

「新しいお知らせがきてる。どれどれ。」

自販機やゴミ箱に、細密な装飾を施す事が可能になった。沢山の物を収納したけど、それ以外は何も無かった。やっぱり家具よりも、食物とか飲物を収納したほうが、新しい物が生まれるなぁ。今日ギルドに寄ったあと、商店も見て回ろう。いくつか、目星をつけているフルーツもある。

勝手に外に出るのも良くない気がして、僕はベットの上で溜まりに溜まった、まだ見ていないお知らせをチェックしていった。その内に段々とまどろんでしまう。

コンコンッ—

はっとして、返答すると、可愛らしい女の子のメイドが現れた。

「おはようございます、昨晩は良くお眠りになられましたか?」

「ハイッ!」

メイドが、こんな可愛い女の子だとは思っておらず、なんだか気恥ずかしくて、変な返答をしてしまった。

「私は、メイドのハイパラと申します。」

お辞儀をしてくれたので、僕も慌てて頭を下げた。

「朝食の前に、湯浴みのご用意をさせて戴きます。どうぞこちらへ。」

そう言って、部屋の奥にある浴室へと歩き出した。僕も慌ててベッドから降りてついて行った。浴室には、衝立の奥にシャワーと、空の白いバスタブがあった。メイドのハイパラさんは、バスタブに手をかざして、おそらく魔力を込めた。だって次の瞬間には、空のバスタブに程良い量のお湯が張っていたんだもの。メイドのハイパラさんは棚から箱をひとつとり、それを振りかけると薔薇の花びらが湯船にたくさん浮かんだ。

「お召し物はこちらの籠にお願いします。新しい着替えを後程お持ち致します。」

魔法の事を少し聞きたかったけど、メイドのハイパラさんはお辞儀をして去ってしまった。僕は上手く話せなくて、ちょっとだけしょげた顔を、パンっと手で叩いて元気を注入した。

まるで王様の気分だなぁ~と湯に浸かりながらぱしゃぱしゃ足を動かした。子供の僕には、このバスタブは大きくて泳げそうだ。

「失礼します。お着替えをお持ちしました。」

「あ、ありがとうございます!」

「御髪のお手入れをさせて戴きます。」

「え?」

なんの迷いもなく入室したメイドのハイパラさんは、僕の頭を良い匂いの液体でワシャワシャと洗い出した。

「え?…あの!わぷぷ!」

濃密な泡で顔を撫でられたところで、お湯で流された。

「あの、こんな、恥ずかしいので1人で洗いますからっ!」

家族と一緒に入浴することは多々あるが、こんな可愛い女の子に洗われるのは、恥ずかしくて敵わなかった。

「何を仰いますか。王女様の大切な客人の入浴介助は私の仕事でございます。また、朝食では王族の皆様と同席して頂きますので、王族の皆様に対しても失礼がないように、私が完璧に仕上げさせて頂きます。」

そう言いながら、僕の体を柔らかいスポンジで洗い始めた。

「や、やめてぇ…。」

王族と朝食…。余りの衝撃に抵抗するチカラは弱まり、僕は何か大切なものを失ったような気持ちになった。メイドのハイパラさんは、表情をひとつも変えずに、良い匂いのオイルで僕の腕をマッサージし始めた。気持ち良い…。
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